サイドストーリー⑦~ミーア&ヤマト~出会い編

しばらくして凄く嫌そうにコックコートに着替えた女がロッカールームから出てきた。

「おい、、」
小柄なその女に声をかけるヤマト。

「!!」
思ったより隙のない雰囲気に一瞬戸惑う。

気がつけば、自分の真横の壁がパラパラと砕け落ちていた。
その壁を砕いた主は細いがよく鍛えられた腕を持っている。
「、、、、」

「、、女だからってバカにすんじゃねぇ。文句があるなら披露宴のあとにしろ。お前らにとっても大事な催事じゃねぇのかよ!料理人のプライドってもんがねぇのか!それとも、、泣きみる前に帰るか?」

その女はそう捨て台詞を吐いて颯爽と去っていった。

直接殴られた訳では無いが、脳天が揺れた気がして立てなかった。

ズルズルと床に座り込むヤマト。
「おい、大丈夫か!?やべぇなあいつ、、何もんだ?」
同僚が慌てて声をかけるが、さっき言われた言葉がヤマトの頭を駆け巡っていた。
「料理人のプライド、、か、、、」

、、、、

「こっちできてるよ!ソースの味見お願い!」
「メインの仕込み終わってる!あと最後に出すデザートのフルーツ冷やしてるよー!」

次々に仕事をこなしていく応援の女。
その姿を見ながら自分は一体今まで何やってたんだと、悔しさが込み上げて気がつけば拳を強く握っていた。

「おい、ヤマト!お前何やってんだよ!早くここ片付けろ!動けねぇなら向こう行ってろ!」
その時、苦手な先輩の怒号が飛んだ。
小松がいないタイミングで先輩はヤマトを怒鳴りつけた。
「す、すいまっ、、、」
「お前一人くらいいなくたっていいんだぞ、、さっさと辞めろや、、」
「っっ、、、」
その点、俺と来たら先輩1人にビビって、情けない、、、もういいや、もう辞めて帰ろ、、、
諦めにも似た感情がじわじわと湧き上がり、もう少しで溢れそうだった。

その時。
「おい!」
女の声がした。
「あ?」
視線の先の女は先輩を睨んでいた。

「なんだてめえ、、ただの応援がちょっと動けるからっていい気になるなよ、女のくせに」
「るせぇな、そのただの応援の女に全部仕事先回りされてんのはどこのどいつだ?」
負けてなかった。
「お前、こいつらの先輩なんだろ?さっきから見てると、怒鳴ってばかりでぜんっぜんさばけてねぇよな?そんなんでこいつらが育つわけねぇだろ、そんなこともわかんねぇのか?」
「、、、っっ、そ、そこまで言うならお前が捌いてみせろや」
明らかに返す言葉がなく、苦し紛れに吐いたようなセリフだった。
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