甘い秘密

ヤマトが帰ってから数人の客が来たあと、残り1食になり、テーブルを拭きながらふぅと外の寒さとは裏腹に額にかいた汗を拭うミーア。

「、、、そろそろか?」
そう呟いて扉を見た。
今日はなんとなく、来る気がする。
そう思った。
その予想は数分後に的中する。

大きな音がして扉が開いた。
立っていたのはやはりゼブラだった。

「いい加減静かに開けられねぇのかよ、、壊れるっつーの」
「ふんっ」
ズカズカとフロアに入るとどっかりと椅子に腰を下ろした。
「定食とは別にスープあるけど、、飲む?」
「あるんなら黙ってもってこい、飲むに決まってんだろ」
ゼブラの返事を聞いて呆れた顔をして、はいはい、と厨房へと向かうミーア。

「今日、寒かっただろ?結構みんな飲んで行ってくれたからあんまり残ってないけど、、定食もすぐに持ってくるから!」
そう言って目の前にスープの入った皿を置いた。

ずるるっ

「、、、」
鍛えた体に寒さはそんなに酷に感じないが、体の内側からほんわりと暖かくなるこの感じ、、、
「、、悪くねぇ、、」
思わず1人で呟いてしまうほどだった。

ミーアが定食を持ってくる頃にはスープは既に完食していた。
「はやっ、、もう飲んだのか?熱かっただろ?」
「うるせぇな、定食持ってくんのが遅せぇんだよ、早くしろ」
「はいはい、悪かったなっ、どうぞ!」
いつもの軽口を言い合いながらスープの皿を片付けて定食をどん、と置いた。

例の如く皿から瞬く間に料理が無くなっていく。
何度もおかわりを繰り返すゼブラ。
厨房とフロアを何度も往復するミーア。

厨房にあった料理が全て無くなった頃、ようやくゼブラのおかわりが止まった。
「相変わらずよく食うな、、ほんっと、、」
ようやく止まったおかわりコールに満足そうにミーアは笑った。
「今日のはどうだった?」
「、、、悪くねぇ」
「美味いって言えよっ、なんだよそれっ」
相変わらず美味いと言わないゼブラに突っかかる。
「、、、最初に出てきたスープは、、まぁ、、、良かった」
「おっ、ほんとか!?」
ほんの少しだけのゼブラなりの褒め言葉。
ミーアは心から嬉しそうに笑った。
「、、、」

なぜだ、この間からこいつの笑った顔が直視できねぇ、、、

「あ、そうだ、ゼブラって、甘いのもいける口だっけ?」
「あ?」
質問の意図がわからずミーアを睨むゼブラ。
「今日、バレンタインデーなの、知ってるか?」
「バレ、、?なんだそれ、、、食えるのか?」
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