祭りのあとの静けさ

カラン、、コロン、、
慣れない下駄の花緒が指の間を痛めつける。
「いててて、、、」
少し引きずりながらひと気のない場所を歩いていた。
祭りはすでに終わり、出店はシートがかけられ始めている。

ミーアの手にはさっき、出店でおまけに、と貰った線香花火。

向かった先は。

「ほら、やっぱりここだった」
ミーアのその声にこちらを振り向きもせず、微動だにもせず、向こうを見据えたままのゼブラがそこにいた。

「、、、さっきの続きでも言いに来たのか」
少し不貞腐れた顔で静かに一言そう言った。
「それもあるけど、、、ほら、これ!!」
ミーアは少し怒った顔をしつつもさっき貰った線香花火を見せつけるようにゼブラの鼻先に突きつけた。
「なんだ?食いもんか?、、、火薬の匂い?」
「違うよっ、線香花火!!どうせ打ち上げ花火、見なかったんだろ?」
「俺は食いもんと喧嘩以外は興味ねぇからな」
「だろうな。ねぇ!今からやろ!」
「やらねぇ」
被せるように拒否するゼブラ。
「火、持ってる?」
「やらねぇっつってんだろ!聞いてんのかよ」
「私の線香花火の火が先に落ちたら、定食1回無料にしてやるよ、勝負だ勝負!!勝負から逃げるのか?ん?」
拒否された事すらなかったかのようにニカッと笑って1つをゼブラに寄越した。
思わず受け取ってしまうゼブラ。
「、、、ったく、、、つーか、火も持ってこねぇでやろうっつったのかよ、調子に乗ってるな、ほんっとによ」
そう言ってポケットからマッチの入ったケースをミーアに投げてよこした。
「おっ、やっぱり持ってた!」
ラッキーと言わんばかりのテンションでそれを受け取る。
「俺が持ってなかったらどうするつもりだったんだ、、」
「いひひっ」
呆れた顔をするゼブラにミーアはそう、笑ってのけた。
「さ!勝負だ!!」
「ガキかよ、、」
2つ同時に火をつける。

小さくパチパチと火花が飛んだ。

「、、、打ち上げ花火、綺麗だったぞー」
「知るか、興味ねえ」

2人の線香花火がまるで写し絵のように同じように燃える。

「、、、今日もまたあいつといたな」
「ん?ヤマトの事か?偶然会ったんだよ、リンはトリコと、陽輝はサニーと行っちゃって、ココと小松とどうする?って、なった時に声かけられてさ」

線香花火は炎の形を変えながらチリチリと小さな音を立てて燃えていく。

「んで、誘われてノコノコ付いてったのか」
「誤解を招く言い方やめろ、誘われたからそれにただ乗っただけだ、知り合いだったからってだけで、深い意味はねぇよ」

「それにその格好、なんだ、それは」
こちらを見向きもせず静かに放つ言葉は、小さなトゲを隠しきれていなかった。
「リンに説得されて仕方なく着たんだよ、でも、コックコートよりは全然いいな、下駄は痛いけど、、」
照れるように笑うミーア。
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