煙火玉が溶ける夜

、、、、

「今日は言わないのか?」
りんご飴をかじりながらニヤニヤとからかうようにミーアはヤマトに聞く。
「えっ?何をっすか?」
「デートだデートだっていつもはしゃいでるくせに、今日はやけにおとなしいな、夏バテか?」
ギクッ、、

そりゃ、自分の気持ちがはっきりわかるまでは誤魔化すようにそう言ってたけど、ミーアさんが好きだってマルシェの時に分かって以来、以前はどんなふうに接していたのか、上手く思い出せないんだよなぁ、、、

「そ、そうっす!夏バテで、、あはは、、」
「なんだよ、情けないなぁ。厨房はこれよりもっと暑いだろ、大丈夫なのか?そんなんで」
呆れたように笑うミーア。
「そうっすよねぇ、、あははっ、ほんと、この暑さには困るっす」
なんとか繕うが、そんな自分に腹が立つ。
誰の顔色伺ってんだろ、俺。

「喉乾いたな」
食べ終えたりんご飴の串を手で遊びながら甘くなった口周りをペロリと舐めた。
「あっ、俺、そこの出店で何か飲み物買ってくるっす!」
「あっ、おい!」
ミーアが呼び止めたがすでにヤマトは人混みの中に消えていった。
「なーんか、、今日のヤマト、変だなー、、何かあったのか??仕事の悩みでもあるのか??」

しばらくして、ラムネの瓶を持ったヤマトが走って戻ってきた。
「これでいいっすか?」
「うん、ありがと、いくらだった?」
「いやっ、俺の奢りっす!」
「いいのか?、、なんか、いつも悪いな」
申し訳なさそうにするミーア。
「これくらい全然!!」

しゅぽん、といい音がして栓があくと、中の炭酸がシュワシュワと踊る。
ビー玉がコロンとかわいた音をさせた。

「久しぶりだなー、ラムネなんて飲むの、子供の頃以来かも、、いただきますっ」

「、、、っ」
思わず炭酸を飲むミーアの喉元を見て、胸がキュッとなる。
「どうした?」
「あっ、、いやっ、別にっ」
慌てるヤマトを不思議そうな顔で見つめる。
その視線さえも心臓を高鳴らせる。
「、、、悩みでもあんのか?」
「え、、?」
思ってもないことを聞かれて少しだけ拍子抜けした。
「今日のヤマト、いつもとなんか違うから、、悩みでもあんのかな、って、、それともはぐれた友達が気になる?今から探すの手伝おうか?」
もはや腹の立つレベルで何もわかっていないミーアに少しだけ呆気に取られながら違うと首を振った。

「そっか、、、やっぱり夏バテか?ヤマトも飲む?」
ビー玉の転がる音がして気がつくと目の前に瓶が差し出されていた。
「い、、いいんすか?、、、」
「そもそもお前が買ってきてくれたんだろ。いいよ、1本しかないから一緒に飲も」
夏の暑さか、それとも好きな人が口をつけたラムネの瓶を意識してなのか、全身が熱くなった。
目の前にはいつもの変わらぬ笑顔のミーア。
受け取ろうと指が触れた。

その時。
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