いつかのあの場所で

「、、、まぁ、いいや、コーヒーでも飲みながら星空眺めていよう。それが目的だったんだし、、」

熱いコーヒーをカップに注ぎ、1口含むと、空を見上げた。

苛立ちも、とまどいも、混乱も、ざわつきも、、、
色んな思いが浄化されていく。

いつまでもキラキラときらめくその星空を、遠くどこかスッキリした顔でしばらく眺めていた。

薪も尽きて炎が小さくなる頃、ようやく襲ってきた眠気に勝てず、ミーアも横になり目を閉じた。

、、、、

「、、寒、、」
前ほどの気温では無いものの、やはり炎が消えると少しシンと空気が冷えてきた。

「風が出てきたな、、」
しばらくして寒さに目を覚ましたミーアは寝ぼけた頭でそうつぶやくと持ってきたブランケットを1枚体に巻き付けた。

「、、俺にも寄越せ」
「ゼブラ、、、起きてたのか?ブランケット、、ごめん、1枚しか持ってきてない、、」
苦笑いでそう答える。
「はぁ?」
「だって、この前もそのまま寝てたし、、いいのかな、と思って、、」
「気の利かねぇやつだな、ほんっとに」
「うるせーよっ、悪かったな、気が利かなくてっ」
そう言ってそのブランケットをゼブラに投げて渡した。
「1枚しかねぇならいらねぇ」
「いいよ、使いなよ、私はいいから」
「いいっつってんだろ」
今度は譲り合いが始まった。飛び交うブランケット。

「いいから、使えよ」
最後にミーアがゼブラにブランケットを投げて再び横になろうと体勢を傾けた。

「、、、ったく、、、しゃーねぇなぁ、、」
おもむろにブランケットを鷲掴みにするとミーアの元へと移動するゼブラ。
「?」
不思議な顔をしてゼブラの行方を追う。

バサッ

「うわっ」
寝ようとするミーアの視界がブランケットに覆われて遮られ、少し焦っていると、背中がふと、暖かくなったのが分かった。
「いらないって、、ば?、、、んんっ!?」
いつか、朦朧とした意識の中で味わったことのある感覚だった。
「、、、あの、、、」
「なんだよ、まだ眠てぇんだから、喋んな、うるせぇな」
面倒くさそうにアクビまじリに言うゼブラの声がすぐ後ろから聞こえる。
「これは、、ど、どういう事ですか?」
思わず敬語になってしまうミーア。
「あ?ブランケットが1枚しかねぇんだったら、こうするしかねぇだろ、さみぃんだから、もう少しこっちに寄れ」
ミーアの冷えた小さな体がゼブラの体へと引き寄せられた。

抵抗する気は不思議なほど起こらなかった。

じんわりと感じる背中のぬくもりと、自分に少しだけ多めにかけてくれているブランケットの暖かさで、とまどいの中でも、自然と瞼がトロリと落ちてくるのが分かった。

「連れてきてくれた事には感謝するけどさぁ、、ほんっと、、、ずるい、、、なんだよこれ、、、」
キラキラと瞬く星空の下。
ウトウトと残る意識の中で悪あがきのようなセリフを吐くミーアだった。
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