いつかのあの場所で

「なぁ、、」

しばらく無言で夜空を見ていると、隣で自分を呼ぶ声がした。

「ん?珍しいな、ゼブラから話しかけてくるなんて、、、どうした?帰る?」
落ち着いたミーアの声。
「ちげーよ。、、、ヤマト、、とか言ったな、お前にとってあいつはなんなんだ?」
「なんで、ここでヤマトがでてくんだよ、あいつとはなんでもないただの料理人仲間だよ?つーか、ゼブラまで同じこと聞いてきて、、お前らなんかあったのか?なに、噂でも流れてんの??」
キョトンとした顔でゼブラを見る。

「どういう意味だよ」
「ヤマトもマルシェを手伝った日に、同じこと聞いてきてさ、、」
「お前はなんて答えた?」
「そりゃ、今と同じこと答えたよ。ヤマトとは料理人仲間だ、って。嘘つく必要もねぇしな、実際そうだし」

、、、なんで自分がそんな質問を唐突にしたのか、分からない。
ただ、胸の奥のざわつきがうるさくて、口からそんな言葉が出ていた。

「なんだ、あいつを男として見てねぇのかよ」
心のどこかでホッとする自分が不思議だった。

「変なこと聞くなぁ?私がそんな目で見るわけねぇだろ。今日どうした?変だぞ?」
「うるせぇ」
そっぽ向いて寝たフリをした。

「なんだよ、、自分から聞いて来といて、、変なやつ、、、あっ、もしかして、ヤキモチか!?私がヤマトと一緒に居たからデートだと思ったんだろ??ん??どうなんだ?正直に言えーっ」
ニヤニヤしながら狸寝入りのゼブラをからかって冗談だと分かっていながらつついた。
当然、うるせぇ、とか、調子に乗るな、とか、そんな返事が返ってきて、また、小競り合いが始まる、ミーアはそう思っていた。

「、、、、そうなのかもな」
「、、はへ?、、、?」
返ってきたその静かな一言に一瞬時が止まったかのように体がかたまった。
「今、なんて?、、聞き違い?」
「聞き違いなんかじゃねぇよ、はへってなんだよ、はへって」
ゼブラはむこうを向いていて表情が分からない。
「いや、だって、、今、そうなのかもって、、、」
「確かに言った」
むくりと体を起こし言ったことを認める。
「は、はぁ!?なんで、、!?」
「いちいちうるせぇなぁ、、、」
ゼブラの視線がミーアとぶつかる。

「、、、、俺にもよくわかんねぇわ」
焚き火の炎がゼブラの切ない顔を照らした。
「ただ、、、このモヤモヤした変な気持ちが、そのヤキモチ?なんだとしたら、そうなのかもしれねぇと思ったまでだ」

そう言ってまた、ゴロンと寝てしまった。

「、、、、な、、、なんだよ、、それ、、」

ずるい、反射的にミーアはそう思った。

「今日みたいな日に、そんな事言うなよ、、っメンタル弱くなってんだからさぁ、混乱すんだろ、、っっ」
またむこうを向いてしまったゼブラの無言の背中に小さく吐き捨てた。

「明日は、店やんのか?」
「は?、、、あ、いや、休みにするつもりだけど、、」
未だに動揺を隠せないミーアの小さな声をゼブラは拾う。
「んじゃ、今日は帰る必要ねぇな」
「、、うん」

しばらくしてゼブラの寝息が聞こえてきた。
「、、、寝やがった、、なんっか、、腹立つな、、言いたい放題言って人を混乱させといてのんきに寝息なんかたてやがってっ、、言ったもん勝ちかよ、、ばか」

パチパチと燃える炎越しに見えるゼブラの背中を睨んだ。
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