苦手なもの

連日雨が降り続く雨季。
客足も少しだけ落ちる季節。

「やっぱりこの時期、、嫌いだぁ、、ぜんっぜん来ねぇ、、」

開店してから僅か3人の客を見送ってからピタリと来客が止まってしまい、つまらなそうにテーブルで頬杖付いてため息をつくミーア。

「また、話し相手にゼブラが来ないかなぁ、、なんて呟いてたら、来るかな、、?」

、、、、、
ザーーー、、、

「、、って、何言ってんだ、私っ、なんでゼブラが出てくんだよっ、、、、」
独り言に突っ込むが、ただ、激しい雨が窓を打付けるだけだった。
「、、、よ、よし、昨日手に入った食材でなんか試作品作るかな、、、」

そう言って腰を上げた時。

ガチャっ

店の扉が開いた。

「!?!?(、、まさか、ほんとにゼブラが来た!?)」

思って驚いた顔で扉を見た。

「、、、なんやねん、鳩が豆鉄砲食らったみたいな顔しよってから」

関西弁が聞こえた瞬間、少し体の力が抜けたのが分かった。

「、、、なんだよ、ブランチか」
「なんだとはなんやねん、まるでワシ以外に待ってたやつでもおるかのような言い方やな」

少し古風な傘の雨粒をバサバサと払いながら言い返すブランチ。

「そんなんじゃねぇよ。で?今日はどうした。こんな雨の日に」

「今日はな、客として来てん」
ふふん、と長い鼻をならす。

「客?」
思わず聞き返すミーア。

「こないだ譲ってもらった食材の礼にな。あの日に食べた定食がうまくて、また食べたなってん」

「嬉しいこと言ってくれるね。わかったよ、すぐ作るから待ってな!」

「おう、頼むわ!、、、、ほんっと、料理するのが好きなんやなぁ、昔からそこは変わらんな」
ウキウキと嬉しそうに厨房に走るミーアの背中を見ながらブランチはそう呟いた。
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