不良と不良

ぱたん。

ふぅ。と一息。

ようやく、フロアが静かになる。

、、、、
「、、、おい」

「ん?どした?」
絆創膏だらけの顔のゼブラに呼ばれて駆け寄る。
「足りねぇ。まだ持ってこい」
もぐもぐしながら皿をよこしてくるゼブラ。

「ほんと、よく食うなぁ。ちょっと待ってな」
少し呆れたように笑うとその皿を受け取り厨房へと向かった。

、、、
「はい、どうぞ!」
ゼブラの待つテーブルにおかわりの皿を置くと、思い出したように表の看板をCLOSEに変えた。

、、、、
ゼブラが食べ終わると、その皿を下げて、また、フロアに戻ってくる。

「、、あれ、まだいたんだな」
エプロンで手を拭きながらさほど驚く事もなく、普段通りにゼブラに話しかけるミーア。

「いちゃわりぃかよ」
不貞腐れた顔でセリフを吐く。

「いや、別にいいけどさ。いつも食べ終わったらすぐいなくなるから、珍しいなと思って」

「ふんっ、、俺の勝手だろ」

「はいはい、そうですね。ま、今日は店も終わりだし、ゆっくりして行きなよ、、、なんか飲む?」

そう声をかけ、厨房へと向かいかけた時。

「待て」
ゼブラがそれを引き止めた。

「ん?どうかしたか?、、っっ!?」

振り向くと、既に目の前にゼブラが迫っていた。
「っな、なんだよ、、」

「あいつ、、天狗野郎と、、向こうで何話してた?」

心臓が痛い。顔が熱くなっていくのがわかる。

「いや、、、何にも。食材の話とか、、しただけ、だけど、、?な、なんでそんな事聞くんだよ、、」

「、、、お前の心拍数が途中から早くなった」

「そっか、、、って、いやいやっ、、つーか!人の心臓の音、盗み聞きするなよっ、ほんとになんにも話してないから!お前には関係ないだろっ」

「、、そうかよ。ふんっ、、じゃあな」
そう言って扉へと向かう。

「行くのか?、、、」
そう言ってゼブラをフロアから見送ろうとした。

「、、、俺はあいつらみたいに、ここまで来てはもらえねぇのか?」
扉を開け、振り向きざまにそう吐き捨てるゼブラ。

「え、何?見送ってほしいのか?」
ミーアはニヤリとからかうように笑った。

「っそんなんじゃねぇっ!」
一瞬うろたえ、少し焦ったように言い返すと、そのまま振り向かずに出ていった。

「それならそうと、素直に言えばいいのにぃ。ほら、見送ってやるよ!気をつけてな!」

、、、

「そういや、こうやってちゃんとゼブラを見送るの、初めてだったな、、、、、あいつ、さっき私の心臓の音がどうとかって言ってたよな、、てことは、、ブランチとの会話も聞こえてたんじゃ、、、だったらわざわざ聞いてこなくてもいいのに、、、」

そんなことをうっすら思いながら暗闇に消えたゼブラをぼーっと見送る。

そののち。

「、、、ちょっと待った!!だとしたら、何話してたっけ!?ブランチ、あいつ、なんて言ってた!?、、っっくっそ、ブランチ、、あのバカっ、、まさかゼブラが聞いてるの分かってて、わざとじゃないだろうなっ、、!?私、なんて言ってたっけ!?」

ミーアは、自分の顔が熱くなる理由が、わからないまま、少しだけ眠れない夜を過ごした。



9/9ページ
スキ