ガラル地方
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〜♪〜〜♪♪
特徴のあるメロディに思わず、ぴたっと手が止まる。鳴った電子音はメールが届いたことを知らせるものだが、このメロディ、確かこの世界の古い映画のラスボスの登場BGMだった気がする。
「・・・」
「す、スオウ博士?メールが届いたようですけど」
「・・・そうだな、更にこのメールの音楽はオーキド博士からだな」
「(お世話になっている博士からの着信音にラスボス登場BGMをつけてるんかいこの人は)あの、最重要事項なのでは・・・・・・」
「はァ」
パソコンへちら、と目をやってそのまま開く様子をみせないスオウ博士に、思わず声をかければやれやれとため息をつかれてしまった。また確認怠ると電話がきますよ、と付け加えるとそうなる方が面倒だと判断したのか、しぶしぶ立ち上がりデスク上のマウスに手をかける。
ここからだとスオウ博士の背中に遮られて、メールの内容は見えない。
「・・・・・・・・・」
「? スオウ博士?」
「・・・・・・・・・・・・・・・はぁあ」
先程よりもさらに大きなため息だ。
私がぱちくりと目を瞬かせ、ため息の理由を聞いていいものか考えあぐねているとスオウ博士はくるりとこちらを振り向き、じっと私の目を見つめる。
「臨時ボーナス欲しくないか?」
「え・・・」
「臨時ボーナスだよ」
「な、な、なんですか?一体」
「・・・」
「?? お使いですか?フィールドワークですか?」
「・・・・・・まあ、そうだな、フィールドワークみたいなものだな」
「ええ、もちろんです。どの地方へ?」
「ガラル」
「ガラルですか、また遠いですね」
「1週間後にガラルに着くように出発してくれ」
「し、しかも急ですね」
傍らに与えられたノートパソコンでガラル地方を検索すれば、ここからだと飛行機を乗り継ぎしなければならないようだ。電車に乗れる街、さらには空港がある街までそもそもかかるため早めに出なければ間に合わない。
「すぐ出発の準備をしますね。ええっとそれで、どこへフィールドワークへ向かえば?」
「・・・現地の博士に連絡をとる、その人に従ってくれ」
「はい。それじゃ荷造りします!」
慌てて手元の作業を保存して、自室へと戻る。インテレオンへ引き継ぎも素早く行わないと間に合わなそうだ。
「(ガラル地方へ行くのは初めてだ。たしかこの地方の通信機器は・・・す、まほロトム?)」
ロトムって確かポケモンだったような気がするが、私の記憶しているロトムと合っているだろうか?手元のノートパソコンのキーボードへ指を滑らせて、検索欄へロトムと打ち込んでみる。
ぱっとすぐにページがヒットして、ロトムとは書かれたタイトルのサイトをクリックした。分かりやすく写真つきでロトムについて詳細に書かれている。
「(たしか電化製品に潜り込む?んだっけ?わ、ほんとに色んなフォルムがある。電化製品によってタイプが変わるんだよね。)」
ガラル地方のロトムはスマートフォンへと潜り込んで、自身で浮遊したり喋ったりもするようだ。
「スマホロトム……ポケモンなのかぁ。手に入れるのは難しそうかな。それに」
これ以上通信機器を増やすのは得策ではない気がする。この間もライブキャスターを譲っていただいたばかりなのだ。色んな通信機器が鳴ってしまう現象も起きているし、これ以上は控えないと……。
「(まあでもポケモンセンターに付ければ通信機器は使わせてもらえるし、とりあえずガラルへ行ってみて、ポケモンセンターで連絡を取ればいいかな)」
こう楽観的になれるのもいくつもの地方を旅してきた実績の賜物である。うんうん、と思わず自身の思考へ頷き、慣れた手つきで支度を整えた。いつもの動きやすいパンツを履き、パソコンでガラル地方の気温を確認する。
「(地区ごとに気温差があるなぁ、けどそこまで寒い所へ行かなければジャケットで事足りそうかな。あとは最悪、防寒着はポケモンセンターで貸出があるだろうし)」
ふふふ、ポケモンセンターでの貸出事情だってバッチリ把握しているのだ。ピッピ人形とこの間お給料をはたいて買った虫除けスプレーもバッチリである。
「よし」
行こう!ガラル地方へ!
☆
いつもの事ながら、私を心配して泣きじゃくるインテレオンを宥めて有難く彼の手製のお弁当をカバンへ仕舞う。スオウ博士はいつもより増し増しの仏頂面で、とにかく報酬は弾むからよろしく頼んだという旨を念押ししてきた。
「(な、なんなんだろう……ガラルのそこまで厳しい環境下の地区へ行かされるって訳じゃ無さそうなのに……)」
確か、私が向かうのはナックルシティ。
うーん、特に気候とか寒暖差が激しいとかでも無さそうだし……。むしろ栄えた街に見える。
首をひねりながらも2人へ手を振って別れ、電車で空港へ移動し、慣れた様子で空港の搭乗口をくぐった。顔なじみの保安所のおじさんが「今度はどこへ行かされんだい?」と声をかけてくれる。
「行かされるだなんて言い方やめてください。お仕事なんです!」
「ははは!初めてここ通った時にゃぁ、荷物を忘れていきそうになったおじょーちゃんが立派になったもんだァ」
「そっ!?その話は忘れてくださいって言ったでしょう!!??」
〈ジュジュ!〉
「ほ、ほらジュカインが仕事しろって言ってますよ!」
「ハイハイ、気をつけてな!」
彼のアシスタントをしている優秀なジュカインのおかげで、恥ずかしい暴露攻撃を早々に切り上げることが出来た。ジュカインへ手を振れば、彼もぴっと手をあげてくれる。相変わらずのイケメンさんだ。
さてさて急がないと。
小走りで乗り場へ向かうと今度は曲がり角からやってきたCAさんとぱちりと目が合った。
「あら、ハルちゃん」
「レイラさん!こんにちは。あ、もしかしてガラル地方のフライトへ?」
「残念、今回はカントーなの。ハルちゃんはガラルなのね。また今度、フライトが被ったらクッキーサービスしちゃうわね」
「わあー!そんなあ悪いですよ〜」
「貴方のお陰で私のミミロルが助かったんだもの、これくらいじゃ足りないわ」
そうウインクする金髪のお姉さんは、これも顔なじみのCAさんだ。彼女のミミロルが具合が悪くなってしまったところを、偶然私が助けて仲良くなったのだ。
私まだ時間あるから、一緒に搭乗口前まで行きましょうというレレさんのお誘いに二つ返事で頷き、隣へ並ぶ。
「ガラル地方へは初めてよね?」
「はい!博士にフィールドワークを頼まれまして」
「スオウ博士は本当に出不精ねぇ。どれくらい滞在するの?」
「向こうの博士との打ち合わせとかの兼ね合いもあったりするんですが、突然とにかく迎えとのことで……私は1週間くらいで見積もってますけど」
「少し長旅になるわね。ガラル地方にはガラルにしかない色々なものがあるから、たくさん見てくるといいわ」
「あ!それってダイマックスってやつですよね?以前少しだけ文献を読んで、見るのが楽しみなんです!メリープがダイマックスしたら、とても素敵だと思いませんか!?」
「相変わらずねぇ、ハルちゃんも。あら、いけない。そろそろ離陸よ、ハルちゃん急いで」
「わ、ほんとだ!じゃあまた!レイラさん!」
レイラさんにも会えたし、準備はバッチリだし、今回はいい旅になりそうだ!と。後々に考えればなんとも綺麗なフラグであった。
浮き足立つような気分でガラル地方のガイドブックを読み込み、弾む足を落ち着かせつつもたどり着いたガラル地方で、私はとんでもない話をその地の博士の口から聞かされた。
「周年記念パーティー……????」
→
特徴のあるメロディに思わず、ぴたっと手が止まる。鳴った電子音はメールが届いたことを知らせるものだが、このメロディ、確かこの世界の古い映画のラスボスの登場BGMだった気がする。
「・・・」
「す、スオウ博士?メールが届いたようですけど」
「・・・そうだな、更にこのメールの音楽はオーキド博士からだな」
「(お世話になっている博士からの着信音にラスボス登場BGMをつけてるんかいこの人は)あの、最重要事項なのでは・・・・・・」
「はァ」
パソコンへちら、と目をやってそのまま開く様子をみせないスオウ博士に、思わず声をかければやれやれとため息をつかれてしまった。また確認怠ると電話がきますよ、と付け加えるとそうなる方が面倒だと判断したのか、しぶしぶ立ち上がりデスク上のマウスに手をかける。
ここからだとスオウ博士の背中に遮られて、メールの内容は見えない。
「・・・・・・・・・」
「? スオウ博士?」
「・・・・・・・・・・・・・・・はぁあ」
先程よりもさらに大きなため息だ。
私がぱちくりと目を瞬かせ、ため息の理由を聞いていいものか考えあぐねているとスオウ博士はくるりとこちらを振り向き、じっと私の目を見つめる。
「臨時ボーナス欲しくないか?」
「え・・・」
「臨時ボーナスだよ」
「な、な、なんですか?一体」
「・・・」
「?? お使いですか?フィールドワークですか?」
「・・・・・・まあ、そうだな、フィールドワークみたいなものだな」
「ええ、もちろんです。どの地方へ?」
「ガラル」
「ガラルですか、また遠いですね」
「1週間後にガラルに着くように出発してくれ」
「し、しかも急ですね」
傍らに与えられたノートパソコンでガラル地方を検索すれば、ここからだと飛行機を乗り継ぎしなければならないようだ。電車に乗れる街、さらには空港がある街までそもそもかかるため早めに出なければ間に合わない。
「すぐ出発の準備をしますね。ええっとそれで、どこへフィールドワークへ向かえば?」
「・・・現地の博士に連絡をとる、その人に従ってくれ」
「はい。それじゃ荷造りします!」
慌てて手元の作業を保存して、自室へと戻る。インテレオンへ引き継ぎも素早く行わないと間に合わなそうだ。
「(ガラル地方へ行くのは初めてだ。たしかこの地方の通信機器は・・・す、まほロトム?)」
ロトムって確かポケモンだったような気がするが、私の記憶しているロトムと合っているだろうか?手元のノートパソコンのキーボードへ指を滑らせて、検索欄へロトムと打ち込んでみる。
ぱっとすぐにページがヒットして、ロトムとは書かれたタイトルのサイトをクリックした。分かりやすく写真つきでロトムについて詳細に書かれている。
「(たしか電化製品に潜り込む?んだっけ?わ、ほんとに色んなフォルムがある。電化製品によってタイプが変わるんだよね。)」
ガラル地方のロトムはスマートフォンへと潜り込んで、自身で浮遊したり喋ったりもするようだ。
「スマホロトム……ポケモンなのかぁ。手に入れるのは難しそうかな。それに」
これ以上通信機器を増やすのは得策ではない気がする。この間もライブキャスターを譲っていただいたばかりなのだ。色んな通信機器が鳴ってしまう現象も起きているし、これ以上は控えないと……。
「(まあでもポケモンセンターに付ければ通信機器は使わせてもらえるし、とりあえずガラルへ行ってみて、ポケモンセンターで連絡を取ればいいかな)」
こう楽観的になれるのもいくつもの地方を旅してきた実績の賜物である。うんうん、と思わず自身の思考へ頷き、慣れた手つきで支度を整えた。いつもの動きやすいパンツを履き、パソコンでガラル地方の気温を確認する。
「(地区ごとに気温差があるなぁ、けどそこまで寒い所へ行かなければジャケットで事足りそうかな。あとは最悪、防寒着はポケモンセンターで貸出があるだろうし)」
ふふふ、ポケモンセンターでの貸出事情だってバッチリ把握しているのだ。ピッピ人形とこの間お給料をはたいて買った虫除けスプレーもバッチリである。
「よし」
行こう!ガラル地方へ!
☆
いつもの事ながら、私を心配して泣きじゃくるインテレオンを宥めて有難く彼の手製のお弁当をカバンへ仕舞う。スオウ博士はいつもより増し増しの仏頂面で、とにかく報酬は弾むからよろしく頼んだという旨を念押ししてきた。
「(な、なんなんだろう……ガラルのそこまで厳しい環境下の地区へ行かされるって訳じゃ無さそうなのに……)」
確か、私が向かうのはナックルシティ。
うーん、特に気候とか寒暖差が激しいとかでも無さそうだし……。むしろ栄えた街に見える。
首をひねりながらも2人へ手を振って別れ、電車で空港へ移動し、慣れた様子で空港の搭乗口をくぐった。顔なじみの保安所のおじさんが「今度はどこへ行かされんだい?」と声をかけてくれる。
「行かされるだなんて言い方やめてください。お仕事なんです!」
「ははは!初めてここ通った時にゃぁ、荷物を忘れていきそうになったおじょーちゃんが立派になったもんだァ」
「そっ!?その話は忘れてくださいって言ったでしょう!!??」
〈ジュジュ!〉
「ほ、ほらジュカインが仕事しろって言ってますよ!」
「ハイハイ、気をつけてな!」
彼のアシスタントをしている優秀なジュカインのおかげで、恥ずかしい暴露攻撃を早々に切り上げることが出来た。ジュカインへ手を振れば、彼もぴっと手をあげてくれる。相変わらずのイケメンさんだ。
さてさて急がないと。
小走りで乗り場へ向かうと今度は曲がり角からやってきたCAさんとぱちりと目が合った。
「あら、ハルちゃん」
「レイラさん!こんにちは。あ、もしかしてガラル地方のフライトへ?」
「残念、今回はカントーなの。ハルちゃんはガラルなのね。また今度、フライトが被ったらクッキーサービスしちゃうわね」
「わあー!そんなあ悪いですよ〜」
「貴方のお陰で私のミミロルが助かったんだもの、これくらいじゃ足りないわ」
そうウインクする金髪のお姉さんは、これも顔なじみのCAさんだ。彼女のミミロルが具合が悪くなってしまったところを、偶然私が助けて仲良くなったのだ。
私まだ時間あるから、一緒に搭乗口前まで行きましょうというレレさんのお誘いに二つ返事で頷き、隣へ並ぶ。
「ガラル地方へは初めてよね?」
「はい!博士にフィールドワークを頼まれまして」
「スオウ博士は本当に出不精ねぇ。どれくらい滞在するの?」
「向こうの博士との打ち合わせとかの兼ね合いもあったりするんですが、突然とにかく迎えとのことで……私は1週間くらいで見積もってますけど」
「少し長旅になるわね。ガラル地方にはガラルにしかない色々なものがあるから、たくさん見てくるといいわ」
「あ!それってダイマックスってやつですよね?以前少しだけ文献を読んで、見るのが楽しみなんです!メリープがダイマックスしたら、とても素敵だと思いませんか!?」
「相変わらずねぇ、ハルちゃんも。あら、いけない。そろそろ離陸よ、ハルちゃん急いで」
「わ、ほんとだ!じゃあまた!レイラさん!」
レイラさんにも会えたし、準備はバッチリだし、今回はいい旅になりそうだ!と。後々に考えればなんとも綺麗なフラグであった。
浮き足立つような気分でガラル地方のガイドブックを読み込み、弾む足を落ち着かせつつもたどり着いたガラル地方で、私はとんでもない話をその地の博士の口から聞かされた。
「周年記念パーティー……????」
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