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それからは恐ろしいほどのスピードで事態は解決した。
レッドくんは10代そこらにしか見えないというのに、手持ちのポケモン達が恐ろしく強く、そしてこの山のことを知り尽くしていた。
当たり前のようにサッとリザードンを繰り出し、背中に乗るように指示され、ポケモンの背中に乗った経験なんてない私の必死のお断りを無視して初めての飛行を体験させられた。
怖すぎてレッドくんに必死にしがみついてしまい、びくっと体を震わせてしまうほどにレッドくんを怯えさせてしまったが背に腹は代えられない。
「っ、おねえさん‥‥そんなに捕まらなくても落とさないよ」
「わ、わかってるんだけど!ごめ、ごめん、嫌かもしれないけど離したくない!」
「‥‥‥ん、もういいや」
ピカチュウは慣れた様子でレッドくんの足の間に納まっている。浮遊感、生身の生き物にそのまま乗っているので安定感もない。頼りになるのはこのリザードンを操っているレッドくんしかいない。
「うう、ポッポ‥‥いそう?」
「この山に野生のポッポはいないはずだから、いたら目立つ」
[ピカピカ]
ピカチュウが身を乗り出してどこかを指さしている。
「見つけた?」
「ほんと!?」
「おねえさん、降りるから」
降りるから?
言葉の意味を理解する前に、レッドくんがリザードンに何か指示を出して、ひゅっと突然下降した。とんでもなく甲高い悲鳴を上げてしまったことは言うまでもない。
「おねえさん、ポッポ逃げちゃう」
「ごめっ、ごめん、むりっ‥‥う、もうむりっ」
「‥‥‥」
[ピカ!]
瞬間、私たちをリザードンの上に残して、ピカチュウがひらっと宙へと跳んだ。え!?と思ったのもつかの間、レッドくんが淡々と10まんボルト、と指示を出した。
[ポ!?]
木にとまっていたポッポに10まんボルトが命中する。
でんきタイプの技を受けて、ひこうタイプのポッポは成す術なくふらふらと止まっていた枝から足が離れて落ちてしまう。
「あ、!」
レッドくんの優秀なリザードンが落ちていくポッポを掬うように下降してくれて、思わずさっきまでしがみついていた手を離してしまった。ポッポが私の腕へと落ちる。
「っおねえさん!」
ポケモンに乗ったことなんてない私が支えなしで、体制を保っていられるわけもなく。グラっと傾く体をレッドくんの片腕が絡め取った。ぐっと引き寄せられて、眉を寄せたレッドくんと顔が近づく。
「‥‥おねえさん、ほんとおもしろい」
台詞と表情が一切合っていない。
私はポッポを必死に抱きしめながら、今更ながらに落ちるところだった、という恐怖にぶるぶる震えた。
「ほんとに‥‥すみませんでした‥‥」
☆
「ポポちゃん‥‥!」
女の子はガードマンさんと一緒にゲートの近くで待ってくれていた。青い顔のガードマンさんから「君ポケモントレーナーじゃなかったの!?」と詰められ、必死に平謝りする。
しっかり確認せず申し訳なかったとガードマンさんからも謝罪を受けてしまい、この世界のことをもっと勉強しなければいけないな、と猛省する。
「この子がポポちゃんで間違いない?」
「うん‥‥!お姉ちゃん、ほんとうにありがとう!」
「ちょっと電撃を受けちゃってね‥‥傷薬で治療はしているけど、すぐポケモンセンターに連れて行ってね」
女の子は何度も頷いて、何度もこちらを振り返りながら手を振ってくれた。よかった、無事にトレーナーのところに戻ることができて。
「おねえさん」
「あ、レッドくん。ポッポ、トレーナーの子のところに戻れたよ!」
「そう、」
振り返るとポーカーフェイスに戻ってしまったレッドくんが、肩にピカチュウを乗せたままじっと私を見つめていた。
「もう行くの」
「うん、そうだね。お使いの途中だから、もう行かないと」
「‥‥おねえさん、1人で大丈夫なの」
「うん?もう山からは出たし、あ、どこかでピッピ人形だけ補充しないとな‥‥でもなるべく街を通ってマサラタウンに戻るから大丈夫だよ」
「‥‥‥ふーん」
「?? えっと、レッドくん本当にありがとう。なにかお礼したいけど、今は何も持ってなくて」
お金もないし、渡せるアイテムも持っていない。
ピッピ人形や虫よけスプレーは山の中で使い切ってしまった。スオウ博士の研究所まで戻れば、何かあるかもしれないけどそれもすぐには叶わない話だ。
「なら、また会いに来て」
「え?」
「ぼくはずっとここにいるから、お礼しに」
「あ、そうだね!うん、そうするね」
「絶対きて、約束して」
「え、う、うん。約束する」
「‥‥‥」
また何か言いたげだ。
ピカチュウが寂しそうに[ピィカ‥‥]と鳴いてくれる。
「また絶対に来るね、ピカチュウ」
「ぼくには?」
「ええ?ふふ、レッドくんにもね」
レッドくん、お菓子とか好きだろうか。インテレオンとよく作るからいつか作って届けにこよう。
不服そうだったレッドくんも、私の言葉に納得してくれたようで頷いてリザードンを繰り出すとまた慣れた様子で背中にと乗った。
「またね、おねえさん」
そのままものすごいスピードで上昇して、あっという間に見えなくなる。私、あれに乗ってたんだ‥‥。そりゃ怖いよね‥‥と思わず遠い目になってしまう。
「いや~~久しぶりに見たなぁ」
「え?」
私たちの様子を少し離れた場所で見ていたガードマンさんが、驚いた様子で私の隣に並んだ。
「滅多に降りてこないんだよ。キミ、チャンピオンと知り合いなの?」
「‥‥‥‥‥え?」
「チャンピオンだよ、知らないの?」
10代そこらの年齢の男の子。
この山のポケモンはどのポケモンもそこらの野生とは違いレベルが高かったが、比じゃないくらいに恐ろしいくらいに強い彼の手持ちのポケモンたち。
ピシピシとパズルのピースがはまっていく。
「チャンピオン!!?」
私のとんでもない声量の絶叫は、レッドくんに届いただろうか。
→
レッドくんは10代そこらにしか見えないというのに、手持ちのポケモン達が恐ろしく強く、そしてこの山のことを知り尽くしていた。
当たり前のようにサッとリザードンを繰り出し、背中に乗るように指示され、ポケモンの背中に乗った経験なんてない私の必死のお断りを無視して初めての飛行を体験させられた。
怖すぎてレッドくんに必死にしがみついてしまい、びくっと体を震わせてしまうほどにレッドくんを怯えさせてしまったが背に腹は代えられない。
「っ、おねえさん‥‥そんなに捕まらなくても落とさないよ」
「わ、わかってるんだけど!ごめ、ごめん、嫌かもしれないけど離したくない!」
「‥‥‥ん、もういいや」
ピカチュウは慣れた様子でレッドくんの足の間に納まっている。浮遊感、生身の生き物にそのまま乗っているので安定感もない。頼りになるのはこのリザードンを操っているレッドくんしかいない。
「うう、ポッポ‥‥いそう?」
「この山に野生のポッポはいないはずだから、いたら目立つ」
[ピカピカ]
ピカチュウが身を乗り出してどこかを指さしている。
「見つけた?」
「ほんと!?」
「おねえさん、降りるから」
降りるから?
言葉の意味を理解する前に、レッドくんがリザードンに何か指示を出して、ひゅっと突然下降した。とんでもなく甲高い悲鳴を上げてしまったことは言うまでもない。
「おねえさん、ポッポ逃げちゃう」
「ごめっ、ごめん、むりっ‥‥う、もうむりっ」
「‥‥‥」
[ピカ!]
瞬間、私たちをリザードンの上に残して、ピカチュウがひらっと宙へと跳んだ。え!?と思ったのもつかの間、レッドくんが淡々と10まんボルト、と指示を出した。
[ポ!?]
木にとまっていたポッポに10まんボルトが命中する。
でんきタイプの技を受けて、ひこうタイプのポッポは成す術なくふらふらと止まっていた枝から足が離れて落ちてしまう。
「あ、!」
レッドくんの優秀なリザードンが落ちていくポッポを掬うように下降してくれて、思わずさっきまでしがみついていた手を離してしまった。ポッポが私の腕へと落ちる。
「っおねえさん!」
ポケモンに乗ったことなんてない私が支えなしで、体制を保っていられるわけもなく。グラっと傾く体をレッドくんの片腕が絡め取った。ぐっと引き寄せられて、眉を寄せたレッドくんと顔が近づく。
「‥‥おねえさん、ほんとおもしろい」
台詞と表情が一切合っていない。
私はポッポを必死に抱きしめながら、今更ながらに落ちるところだった、という恐怖にぶるぶる震えた。
「ほんとに‥‥すみませんでした‥‥」
☆
「ポポちゃん‥‥!」
女の子はガードマンさんと一緒にゲートの近くで待ってくれていた。青い顔のガードマンさんから「君ポケモントレーナーじゃなかったの!?」と詰められ、必死に平謝りする。
しっかり確認せず申し訳なかったとガードマンさんからも謝罪を受けてしまい、この世界のことをもっと勉強しなければいけないな、と猛省する。
「この子がポポちゃんで間違いない?」
「うん‥‥!お姉ちゃん、ほんとうにありがとう!」
「ちょっと電撃を受けちゃってね‥‥傷薬で治療はしているけど、すぐポケモンセンターに連れて行ってね」
女の子は何度も頷いて、何度もこちらを振り返りながら手を振ってくれた。よかった、無事にトレーナーのところに戻ることができて。
「おねえさん」
「あ、レッドくん。ポッポ、トレーナーの子のところに戻れたよ!」
「そう、」
振り返るとポーカーフェイスに戻ってしまったレッドくんが、肩にピカチュウを乗せたままじっと私を見つめていた。
「もう行くの」
「うん、そうだね。お使いの途中だから、もう行かないと」
「‥‥おねえさん、1人で大丈夫なの」
「うん?もう山からは出たし、あ、どこかでピッピ人形だけ補充しないとな‥‥でもなるべく街を通ってマサラタウンに戻るから大丈夫だよ」
「‥‥‥ふーん」
「?? えっと、レッドくん本当にありがとう。なにかお礼したいけど、今は何も持ってなくて」
お金もないし、渡せるアイテムも持っていない。
ピッピ人形や虫よけスプレーは山の中で使い切ってしまった。スオウ博士の研究所まで戻れば、何かあるかもしれないけどそれもすぐには叶わない話だ。
「なら、また会いに来て」
「え?」
「ぼくはずっとここにいるから、お礼しに」
「あ、そうだね!うん、そうするね」
「絶対きて、約束して」
「え、う、うん。約束する」
「‥‥‥」
また何か言いたげだ。
ピカチュウが寂しそうに[ピィカ‥‥]と鳴いてくれる。
「また絶対に来るね、ピカチュウ」
「ぼくには?」
「ええ?ふふ、レッドくんにもね」
レッドくん、お菓子とか好きだろうか。インテレオンとよく作るからいつか作って届けにこよう。
不服そうだったレッドくんも、私の言葉に納得してくれたようで頷いてリザードンを繰り出すとまた慣れた様子で背中にと乗った。
「またね、おねえさん」
そのままものすごいスピードで上昇して、あっという間に見えなくなる。私、あれに乗ってたんだ‥‥。そりゃ怖いよね‥‥と思わず遠い目になってしまう。
「いや~~久しぶりに見たなぁ」
「え?」
私たちの様子を少し離れた場所で見ていたガードマンさんが、驚いた様子で私の隣に並んだ。
「滅多に降りてこないんだよ。キミ、チャンピオンと知り合いなの?」
「‥‥‥‥‥え?」
「チャンピオンだよ、知らないの?」
10代そこらの年齢の男の子。
この山のポケモンはどのポケモンもそこらの野生とは違いレベルが高かったが、比じゃないくらいに恐ろしいくらいに強い彼の手持ちのポケモンたち。
ピシピシとパズルのピースがはまっていく。
「チャンピオン!!?」
私のとんでもない声量の絶叫は、レッドくんに届いただろうか。
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