らくがき帳
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平浦
20260405(日)23:25胸元に唇が触れて、見上げてくる琥珀色の目と目が合った。熱い手が頬を滑り、ぴたりと止まる。
「………こわい?」
「へ…?」
思いもしないことを聞かれてぱちぱちと目を瞬かせた。自分の上に覆いかぶさっていた平子がゆっくりと体を起こす。瞼に掛かる浦原の髪をそっと撫でながらやけに甘い目を細くした。
「気分やなかったやろ、ごめんな」
「ぁ……」
平子は終わりの合図のように浦原の額にキスをして、触れていた肌を離してしまう。思えば確かに集中できていなかった。まさかそんな寂しそうな顔をさせるとは。ぼんやりしていた頭が唐突にぐるんと回って、焦って平子に縋りついた。
「ちが……っ、違う、平子さ、」
「ええって。わかってる。大丈夫やから」
「……っ」
もう一度強く抱きしめられて、速くなる呼吸を落ち着かせるように背中をぽんぽんと撫でられる。自分が本当に小さな子どものように思えてくるからやめてほしいのに、それでしっかり落ち着いてしまうせいで抗えない。大丈夫、大丈夫、と微笑みながら宥めてくる低い声が優しすぎるのが悪いのだ。ぐず、と小さく鼻をすする音を微かに笑われたのが悔しくて、頭突きをかます勢いで平子の肩に頭を埋めた。×浦
夏五兄弟パロ
20260331(火)04:22「お店そんなに広くないでしょ?邪魔になっちゃうし、僕はここで待ってるよ」
「だめだよ、兄ちゃん、一緒に来て」
「すぐるくんが居るんだから平気でしょ?」
「俺の方じゃなくて!あーもう、じゃあ俺も兄ちゃんとここで待ってるから、すぐる買ってきて!チョコのやつとクリームのやつ絶対な!」
「なんでそうなるの……」
さとるは悟さんの腕にしがみついて私に財布を押し付けてきた。渋々受け取ると悟さんが申し訳なさそうに眉を下げて、僕が行こうか?なんて言ってくるものだからしっかり断って一人で店の扉を開けた。途端にふわっと甘い匂いが押し寄せてくる。
トレーとトングを持って店内からガラス越しに2人を見ると、私の視線に気付いたさとるが手を振った。悟さんが一人だったら心配過ぎて気が気じゃないが、さとるが付いているから問題は起きないだろう。そうは思ってもやはり目立ち過ぎる兄弟だ、心配な事に変わりはない。
面白い動画か何かを見つけたのか、さとるがスマホの画面を悟さんに見せて二人で笑い合っている。可愛すぎる上に無防備な二人にやきもきしながら、二人が好きそうなドーナツを手早くぽんぽんトレーに載せていく。よからぬ輩が近寄らないかと鬼の形相で何度も外の様子を伺う私の方こそ怪しまれている事には気付かなかった。夏五
平浦
20260322(日)23:28体を起こしながら大きく欠伸をしてまだ霞む目を擦り、隣に居たはずのもう一人の姿を探す。とっくに起きていたらしい平子はデスクに片肘をついてノートパソコンを開き、カチカチカチカチ、忙しなくマウスを動かしていた。
現世のネットワークにも接続できるようにしたそれで平子が見ているのは大体ファッション通販サイトだろう。重い体を引き摺ってそばに寄り、後ろから覗き込むと案の定、画面には聞いたこともないファッションブランドのアイテムがずらりと表示されていた。購入したところで尸魂界までは届けられないので配送先は浦原商店に設定している。こちらとしてはいきなり身に覚えのない荷物がどっさり届くのでいい迷惑だ。
「おはよーさん、顔洗ってきや」
「…………ぉはじゃぃます………」
「ふ、ぼけぼけやん。冬眠明けの熊かいな」
振り返った平子は呆れたように、でもどこか嬉しそうに笑ってただでさえ寝癖でくしゃくしゃの髪を荒々しく撫で回した。画面に表示されていた長袖の黒いシャツを見て顔を顰める。
「……似たようなのいっぱい持ってるじゃないスか…」
「全然ちゃうて。袖のボタンが黒蝶貝やねんで?めっちゃかわええやろ」
「…現世でしか着ないからってウチに置きっぱなしだし…」
「ええやんか、無駄に部屋数あんねんから。オレのクローゼットに一部屋くらい使わせてえな…あ、これもかわええ」
「今着てるのと一緒じゃないスか……」×浦
夏五
20260321(土)03:30誰にも辛さを打ち明けずに、罪で塗られた秘密を抱えて一人で消えてしまったら。残された者がいくら紐解こうとしたって、真実はわからない。
傷ついて疲れ果てて、もう嫌だと一言でも告げてくれたなら、きっとどうにだってしてやれたのに。もう間に合わないの。傑との間にはもう、これ以上は何も無いの。
「……傑……すぐるっ……」
俺の事が嫌いなら、それでいいから。許してくれなくていいから。行かないでよ。
半身を失ったような痛みに蹲る。窓に背を向けて、二人で撮った写真を握り潰した。夏五
平浦
20260318(水)23:40誰も死なせるつもりは無かったけれど、傍にいられたわけではなかった。有事の際ほど平子の周りには人を置けない。自分に代わり隊を率いさせた三席は足を負傷し現在も治療に専念している。折り重なる屍の山も立ち込める血の匂いも未だ記憶から消えてくれない。平子の丸まった背中を心配気に見つめる副官に気付かれぬよう僅かに舌を噛み、膝に手をついて気怠げに立ち上がった。
隊長羽織に刻まれた数字の下に何十人もの隊員の命と覚悟が伸し掛る。救いようのない猫背はそのせいかと背を向けたまま苦笑した。こんな堅苦しい羽織など早急に脱ぎ散らかして寝転んでしまいたい気分だが、生憎気に入っていた昼寝スポットのベンチすら瓦礫に埋もれて潰れてしまった。
「現世で人間共の戦争に巻き込まれたときも勘弁してくれ思たけど、こっちの戦も変わらへんなあ、どうなったって虚しいだけや」
「………………寝てる場合じゃないっスね…」
「ボーナスステージで10年くらい寝とっても良かったんやで?こないはやく起きてもうて、また倒れるまでこき使いたなってまうやん」
「ハハ…10年も寝てたら、起きた時には更地になってそうで嫌っスよ」
「有り得そうで怖いわ………今回も結局オマエが居らなどうにもならんかったしなあ…」×浦
平浦
20260318(水)01:51不意にふわりと背中に柔らかいブランケットを掛けられて振り返った。背後に立っていた平子はにやりと笑い、浦原の髪をくしゃくしゃに撫でてくる。
「まだ寝えへんのん?もう2時過ぎたで」
「……平子サンこそ寝てなかったんスか」
「映画見とってん。スタージョーズ3」
「あー、ブラピの最新作スね」
「知らんくせに無理すなて」
こつんと叩かれた頭を摩りながら手元を向いた。忘れた頃に見返したら自分でも解読できそうにない、日本語かも怪しい文字で埋め尽くされた帳面に平子の方が苦い顔をした。
「……キリないやろ、終わりにして寝よや」
「はい……」
ペンを握っていた手に手を重ねられ、強引に止められる。平子の手が温かくて初めて寒かったことを思い出した。
「手ェ冷た!!血ィ通ってますか!?」
「止まってるかもしんないっス……」
慌てた声を出す平子の両手にがっちりと包まれて摩られる。かさついた手に触れて、平子の滑らかな手まで擦れてしまいそうで嫌だったが、そんな事を言われて止まる男ではないのはもう知っている。大人しくされるがまま、眉を顰めた平子の顔をぼんやり見上げた。×浦
ワタニャルニア
20260316(月)02:27夕食には少し早いが賑やかな方が美味しく感じる。ふわ五のおかげで華やかな料理に囲まれた食卓はいつもと雰囲気も異なり新鮮だった。食事を終えると悟は柱に立てていた杖を手に取りひょいと振るった。木製の食器がふわふわと宙を飛び、洗い場へと流れるように運ばれる。ふわ五は驚いて飛び跳ねた。
「ふわ!ふわぁ!」
「み〜!」
「悟、通り過ぎてるよ」
ふわ五に褒められて悟は得意げに鼻を鳴らすが、残念ながら食器は洗い場を通り越し、玄関へとふよふよ浮かんで飛んでいく。まだまだ魔力のコントロールは上手いこといかないようだ。悟はしょんぼりと耳を垂らすと、外まで飛び出してしまいそうな食器をぱたぱたと追いかけた。夏五
過去平浦
20260315(日)17:30「はぁ〜〜〜〜………」
「どうしたんスか?溜息ついちゃって」
「んぁ…?ぁー、喜助ェ……」
後ろに手をついて両足を投げ出し座っている平子に背後から声を掛けると、驚異的な柔軟性でぐにょんと上体を後ろに倒しこちらを向いた。床にまで流れる長い金髪を踏んでしまわないように気を付けながら、なんとなく隣に座った。
「なーんもやる気せえへんねん……」
「お天気いいっスもんねェ」
こんなところで日向ぼっこをしていると暖かくて気持ち良くて、仕事のことなど考えたくなくなってしまう。平子と並んで空に浮かぶ雲を眺めながら沈黙が続くが、居心地の悪さは感じない。そのうち小型爆弾のような副官が怒鳴り込みにくるだろう。それまであともう少し、このままで居てもいいだろうか。そんなことを思った瞬間、こてんと肩に寄りかかる重みを感じた。×浦
hrhn夏五
20260314(土)06:08「悟、手を止めて」
「……っ大丈夫、」
「大丈夫じゃないでしょ。誤魔化せると思わないで」
「………ごめん…」
「……私もごめんね、責めたわけじゃないよ」
向かいの席で俯いてしまった悟の手からスプーンを抜き取り、そっと皿に立てかけた。今朝からあまり良くなかった顔色はもう真っ白で、とても食事がとれる状態とは思えないのに意地を張って無理に詰め込もうとしてしまう。
「……せっかく作ってくれたのに……」
「そんな死にそうな顔して食べてもらっても嬉しくないよ。悟のためならいくらでも作るから、今日はおしまい」
「………ん……」
「いい子。横になろうか。ベッド行く?ソファにする?」
「……ソファがいい。傑の、見えるとこ」
「わかった。おいで」
席を立って悟の隣に行くと、悟は座ったまま素直に甘えるように両手を差し出してくる。しっかりと抱き上げてリビングのソファにそっと寝かせた。夏五
平浦
20260313(金)02:24浦原の泣き腫らして真っ赤になってしまった目に濡らしたタオルを当てて冷やしてやりながら、その体を抱きしめた。彼を丸ごと包み込めるような体躯だったらもっと安心させてやれたかもしれないと思うと、筋肉もつきにくい自分の体質がなんとなく恨めしくなる。ぐす、と鼻をすすりながらきゅっと胸元を掴む、その子どものような仕草に静かに笑った。
「……オマエのせいや、何してくれてんねやって、一回でもオマエに言うたことあるか?ないやろ?そんなん思たことすらないわ」
「……で、も……」
「でももストもあらへん。喜助が自分のせいや言うんやったらオレかてオレのせいやて言わなあかんやん。嫌やでオレ、アイツの肩持つの」
「……っ」
「どうしたらオマエが楽になれるんかわからへんけど…あんまり自分を責めたるなや、可哀想やわ……オレの好きなヒトやねん、そないイジメんといてや」
目元に押し当てていたタオルがそっと離れて、ぼんやりした視線がこちらを向いた。目が合うと驚いたようにまたタオルの下に隠れてしまう。いじらしい仕草が愛しくて、強く抱き寄せて頭を撫でた。×浦
