らくがき帳

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  • アイドル夏×貧乏学生五

    20260508(金)00:38
    「わっ…!すぐるだ…!えっと、えっと」

    今朝たまたま公園で見つけたユキノシタの土を洗い落としている最中、ポケットに入れていたスマホが突然鳴り出して飛び上がった。断り切れずに傑から譲り受けてしまったスマホの操作は未だに慣れない。慌てて手を拭いてポケットから取り出したスマホを握り一呼吸、緊張の面持ちで通話ボタンをタップした。

    「も、もしもし、傑?」
    『あぁ、悟、よかった。今大丈夫?』
    「うん、これからご飯にしようと思ってたとこだよ」
    『そう?何食べるの?』
    「えっとね、今日はユキノシタが採れたからおひたしにしてね、」
    『よし、ご飯食べに行こうか』
    「えっ?」
    『家に居るよね?迎えに行くから待ってて』
    「え、うん……わ、わかった…」

    傑の声は優しいのに時折抗えない圧を持つ時がある。通話の切れてしまったスマホの画面を見つめてぱちくり固まった。

    「傑もおひたし食べたいのかな……あれ?食べに行こうって言った?わ、どうしよ、着替え、っ!ぎゃ!あだっ!」

    部屋着といってもこんな中学時代の体操服姿、傑にはとても見せられない。着替えようと慌ててキッチンを飛び出したら柱に正面からぶつかって、痛みに悶えた拍子にタンスに足をぶつけて転げ回った。

    夏五

  • 兄弟パロ 8

    20260508(金)00:24
    「すぐるー?すぐる、聞いてる?」
    「…え?あ、あぁ、ごめん。聞いてなかった」
    「もー、何ぼーっとしてんだよ。すぐる明日も朝練あんだろ?もう寝ろよな、電気消すよ?」
    「あぁ、うん、そうだね、もうこんな時間か」
    「ったく。急にスイッチ切れるよなーお前。ちゃんとアタマ休ませろよー?おやすみー」
    「はいはい、おやすみ」

    ベッドに横になって、気付けば随分昔のことを考えていた。
    布団を深く手繰り寄せて目を閉じるけれど、やがて静かにパタパタと本を捲る音が聞こえてきて薄目を開ける。ベッドライトの下、さとるは体を伏せて頬杖を付き、枕に置いた本を読み耽っていた。
    何か気になることがあるとすぐこれだ。勉強熱心なのは良いけれどちゃんと休んでほしいのはこっちの台詞だと溜息が出た。
    態と喧しく寝返りを打ってさとるの方を向き直り、ベッドライトに手を伸ばして灯りを消した。

    「あっ、何すんだよすぐる」
    「今日は終わり。さとるこそちゃんと休まないと、また寝不足で倒れるよ」
    「もうあんなヘマしねえよ」
    「だーめ。さとる、こっち来て」
    「はぁー?なんだよ、一人で眠れねえの?さみしんぼでちゅかー?すぐるくんは~?」

    しょうがない奴だな~と呆れたように吐き捨てつつも、満更でもなさそうに私のベッドに潜り込んでくるのだから本当に可愛くて、さとるの体を抱きしめて頭を撫でた。

    「ん~、すぐる、どうしたんだよ、甘えんぼか?」
    「そうだよ。甘えんぼなの。甘やかして」
    「しょうがねえなぁ、よしよし」

    さとるは私の真似をしてぐしゃぐしゃと頭を撫でる。抱きしめたさとるの体は何故か甘いミルクのような匂いがする。ぎゅうと強く抱きしめた、暗闇の中。目を開けると、さとるの少し赤らんだ頬。青い瞳が細められて揺らめくのは、眠気か、それとも。

    夏五兄弟パロ

  • ヘン主 9

    20260507(木)05:59
    地下道を抜けた先は城の広い中庭だった。青空の眩しさに目を細めた矢先、木陰に蹲っていた何かが起き上がりこちらを向いた。

    「ん?なんだろあれ、犬かな?」
    「犬…?いや違う、ドラゴンキッズだ…っぐぉっ!」

    言い終える間もなく遠目に犬かと思われたそれは翼を広げて飛びかかってきた。咄嗟に防御姿勢を取るが間に合わず、城壁に背中を打って身悶えた。リュカへと振り返った瞬間放たれたリュカのバギでドラゴンキッズは目を回し、地面に落ちた。

    「ヘンリー、大丈夫?」
    「あぁ、問題ない……まったく…こんな魔物を放し飼いにしてるとはな…本当にどうしちまったんだか、ラインハットは」
    「とりあえずデール王に直撃でいいんだよね」
    「そうだな…。話を聞いた限りデールがおかしくなったわけじゃなさそうだが、太后が幽閉されてることも、国の惨状も、どこまで把握してんのか、何考えてんのかもわかんねえ。直接話した方が早いだろ」
    「うん……あと、この子どうしよっか」
    「………めちゃめちゃこっち見てるぞ。連れてってやるか?」
    「ふふ、仲間が増えるのは嬉しいね。ドラゴンキッズか……コドラン、なんてどうかな」
    「また安直だがまぁまともな方か…?よかったな、コドラン」

    よたよたと起き上がり、リュカの何かに魅せられたのか、ドラゴンキッズは目を輝かせてこちらを見つめた。コドランと名付けられたそいつは薬草を与えると嬉しそうに飛びついた。

    「いっかくうさぎにスライムにドラゴンキッズに逃げた奴隷の2人組……トンチキ集団になってきたな」
    「王さま、会ってくれるかな」
    「悲鳴上げて逃げ出すかもなぁ、あいつは泣き虫だったから」

    揶揄うようにくつくつ笑ってすっかり回復したコドランを連れ、城内へと続く扉を堂々と開け放った。

    DQ5

  • 兄弟パロ 7

    20260507(木)00:23
    最初はその人が一人で居るかと思っていたけど、彼は腕の中に小さな子供を抱きしめていた。私はその痩せた体が心配で、思わず手を伸ばしてしまった。パシッと私の手を弾いたのは、その子どもを抱きしめている彼だった。

    「…っ、さわら、ないで……この子には、触れ、ないで」
    「あ、ごめんなさい、ごめんなさい、なかないで」

    泣いてなんかいないのに、どうしてそんな事を言ったのだろう。でも、泣いているように見えたのだ。綺麗な瞳が揺れていて、薄い肩がどうしようもなく震えていたから。
    兄さんは視線を合わせるように地面にしゃがみこんで、少しの間その人と何かを喋っていたけれど、私は叩かれた手をもう片方の手で握りながら、兄さんの広い背中をただ見つめているだけだった。

    やがて兄さんはその人の手を取って立ち上がり、「一緒に帰ろう」と微笑んだ。
    私と兄さんと悟とさとる。私達はあの夜から家族になった。さとるが私と同い年だと聞いた時は何故か妙に嬉しくて、運命だと思った。
    兄さんが教師として働き始めて、私達が中学生になる頃に、親が「安かったから買っといた」とふざけた理由で一括で購入していたこの家に引っ越した。親元を離れたのは兄さんの我儘と、いつまでも両親に遠慮してしまう悟さんのためだった。

    夏五兄弟パロ

  • ヘン主 8

    20260506(水)03:32
    「どういうことだ…!?なんで城の中でふんぞり返ってるはずの女が、こんな地下牢に居るんだよ…!?」

    鉄格子の隙間から枝のように細くなった腕を突き出し、ひたすらに出してくれと懇願する女の前にリュカが身を乗り出した。制する間もなくリュカは女の手首を掴む。女は痛みに体を跳ねさせ、小さく悲鳴を上げた。

    「待て…っ!リュカ、!」
    「出してたもれ……っ!お願いじゃ、わらわを、わらわをここから……っ」
    「あなたが、この国の太后さま?」
    「っそうじゃ!信じられぬと申すか…!?……たしかに10年前、ヘンリーを攫わせ亡き者にしたのはわらわじゃ…。しかしそれもデールを王にさせたかった哀れな親心から……今では本当に悪かったと改心しておる…。だからお願いじゃ!わらわをここから、ここから出してたもれ……!うっ……うぅ…っ」
    「…………どうする?」
    「……………」

    リュカは視線を女に向けたまま確かにこちらに向けて問い掛けた。その瞳も声も、刺すように鋭い。どうする、なんてオレに聞くのか。首筋から酷く体が冷えていく感覚に目を瞑った。

    「………手、放してやれ」

    絞り出すように告げた声は情けなく震えていたかもしれない。リュカは温度のない表情を浮かべたまま、ぱっと手を開いて崩れ落ちる女を見下ろした。唇を噛み、拳を握り、先へ進む。

    「……城に居る太后が何者なのか、確かめに行くぞ」
    「…………」
    「……リュカ」
    「……ぼくは、きっと赦せない」
    「………あぁ。それでいいよ」

    それをオレに向けてくれよと嘆息しつつ、目を合わせることはできなかった。

    DQ5

  • 事後平浦

    20260506(水)03:09
    もしも世界にたった2つのピースしかないパズルがあって、1つが自分だったとしたら、もう1つはきっと彼ではないように思うけれども。嵌まらないピース同士でもくっついていたいと願うのは、別に悪いことではないだろう。

    「んふふふふ」
    「…なんスか…ニヤニヤして…」
    「かわええなぁ思て」
    「どこが………」
    「おん?聞きたいん??」
    「ぁ、違、待って」

    しまった、と眉をひくつかせ逃げようとする浦原を抱いて制し、上気した頬に手を滑らせた。浦原は頭を振って平子の胸に手を押し付けるが本気の抵抗とは程遠く弱々しいのがいじらしくてまたニヤけてしまう。

    「おっきい目とろーんとさして甘えてくるんも、いやいや言うくせにしがみついてくるんも、終わったらふにゃふにゃ言いながら寝転んでるんも全部かわええ」
    「だ、からもう、いいって…っ」
    「最初はなんやオレの呼吸測ったり霊圧の揺れ見たりしてんのに途中からわけわからんなって諦めてるんもかわええな〜〜」
    「〜〜〜ッ」

    今度こそ平子を容赦なく押し退けて頭から布団を被り隠れようとする浦原を掴まえて、もう一度腕の中に連れ戻す。赤らんでいる首筋が可愛くて唇を擦り寄せた。

    ×浦

  • 兄弟パロ 6

    20260506(水)00:22
    さとる達と出会ったのは、幼い頃の夏だった。
    記憶が曖昧なのは私がまだ幼かったからだろうけど、青い瞳が宝石のように綺麗で驚いたことだけは、今でもはっきりと覚えている。

    母におつかいを頼まれた兄さんに、僕も一緒に行くと駄々を捏ねて連れて行ってもらったのがきっかけだった。もう暗くなるからダメだよと宥められても諦められなかったのは、買い物に付いていけばお菓子を買ってくれることを学んでいたからだ。
    その日は柔らかいお煎餅か何かを買ってもらって、兄さんに手を引かれて家に帰る途中。大きな滑り台とブランコだけが置かれた公園の端っこで、街灯に照らされたベンチに座る人影に何故か私は目を奪われた。
    隣を見上げると兄さんも目を大きく開けてその人を凝視していて、気付けば兄さんに引っ張られてベンチに駆け寄っていた。

    その人はあまりに美しかった。伸びた白い髪は女の人かと思ったけれど、体は男の人のそれで、大きな瞳は博物館で見た珪孔雀石によく似ていると思った。

    夏五兄弟パロ

  • ちみ夏五

    20260505(火)12:10
    雲の上ダンス

    夏五

  • 兄弟パロ 5

    20260505(火)00:22
    さとるくんの背中を見て不意に思い出すのは、日も沈んだ暗い公園のベンチに座り、身を寄せ合っていた兄弟だ。幼い弟を守ろうと細い腕の中に抱き寄せて、毛を逆立てた猫のように鋭い瞳で警戒心いっぱいに私達を睨んでいた悟の姿。
    そんな懐かない猫のように思えた悟が、私には笑顔を見せてくれた。私には身を寄せて、頬を撫でさせてくれた。あの瞬間、私は全力でこの兄弟を守ろうと誓ったのだ。

    悟の腕の中で静かに眠っていたあの小さな子どもが、もうこんなに成長して今では立派な高校生だ。感慨深いなぁと我ながら年寄り臭いことを思ってしまう。
    自分の鞄を手に取って帰り支度を済ませて通りかかった図書室で、さとるくんが何冊もの本を抱えて尚も本棚を見上げているのが目に入った。

    さとるくんは医者になるのだと言っていた。
    兄ちゃんのために力をつけたい。俺は兄ちゃんが病気とは言いたくないけど、やっぱり自由ではないから。病院で薬ばっか飲まされて余計に塞ぎ込む姿はもう見たくない。何があっても支えになって、守れる力と知識を身に付けたい。
    そう言って部活にも入らずに毎日何時間も勉強に費やして、片っ端から本を漁って。そんなさとるくんが私は誇らしかった。悟の言葉を聞かせてやったら、彼はなんと言うだろう。
    「もっと遊んでほしい。部活だって学生の時しかできないのに。やりたいこといっぱいあるんじゃないの?もっと若人らしく青春したらいいのにさぁ」なんて。
    悟も大概おじさん臭いよなあと思い出し笑いが漏れてしまって、ハッとこちらを見たさとるくんに窓越しに見つかった。結局私の車で一緒に帰る事になってしまったけれど、まぁたまにはいいだろう。
    教師と生徒にしては距離が近いことを怒られる時もあるけれど、仕方ないよな。彼だって私の大切な弟なのだ。

    夏五兄弟パロ

  • 兄弟パロ 4

    20260504(月)00:21
    「夏油先生~、これわかんないんだけど」
    「……数学の事は冥さんに聞いてくれるかい?」

    五条さとるという生徒は、この学校の中でも色んな意味でぶっ飛んだ学生だった。
    一目で異質だとわかるのはまずその容姿だ。白い肌に白い髪。白くて長い睫毛が、大きなブルーの瞳を縁取っている。紫外線に弱いからと普段はサングラスをしているおかげで尚更目立つ。くるくると変わる表情も、細くて長い四肢も、よく動く艶やかな唇も、どれもが人目を惹き付けて、どれもが人を虜にさせる。更に頭脳明晰で運動神経も抜群ときたらもう誰もが一度は恋をする。言動はどうにも子供っぽいし馬鹿っぽいし、中身を知った途端に冷めてしまう人も多い中、頭が小学生なところも可愛い♡と謎にファンを増やしているのも事実であった。

    ここはハリウッドかと見紛うようなオーラを纏ったさとるくんは、今日も廊下で駄弁る生徒達をモーゼの十戒如くかき分けながら、ズガズカと私の目の前に現れて立ち止まる。そして勢いよく突き出してきた教科書に、私は大きく溜息をついた。さとるくん、残念ながら私は極度の文系なのだ。

    「冥さん居ねえんだもん」
    「居なかった?部室かな…とにかく申し訳ないけど私は数学はてんでダメなんだ。帰ったら悟に聞いてみるといいよ」
    「えー、教師なのにー」
    「誰だって得手不得手があるものだよ」
    「なんだよー、しょうがねえなぁ。職務放棄だって兄ちゃんに言いつけてやる」

    どうにも確率ってやつが納得できない。100回サイコロ振って、たまたま100回6が出る事だってあるんじゃねえの?とか何とか。ぶつくさ呟きながら廊下を歩き去る彼の背中を見送って、自分も鞄を取りに職員室へと足を運んだ。
    私はこの学校の教師で、さとるとすぐるはここの生徒だ。血の繋がりは無いにしても、さとるくんも私の大切な家族の一人。特に悟とは血よりももっと深くで繋がった、自分の半身にすら思えるときがある。

    夏五兄弟パロ