らくがき帳
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兄弟パロ 12
20260512(火)00:27そうして暫く経ったある日の夜。あんなコピー用紙の手紙を宝物のように握りしめて、電車を乗り継いでこんな所まで逃げてきた最愛の人。ずっと会いたかったと私の腕の中で泣いた悟が、今もここにいる。
離ればなれだった数年間で悟は随分と変わってしまった。私の弟と同い年の弟が出来ているし、人懐っこかったあの無邪気な笑顔は隠れてしまって、表情は憂いを帯びて曇りがちだ。そしていつも周囲を警戒している様だった。
自宅に連れて帰るとすぐに家族会議が開かれて、悟は静かに眠る弟を抱きしめて、俯いたままぽつぽつと経緯を話してくれた。
今までよく頑張ったね、もう大丈夫よ、うちにおいで。その母親の一声で、悟はぼろぼろと声も上げずに泣き出して、あまりにも切ないその泣き方に、胸が痛くて仕方なかった。悟が逃げてきてくれたその日から、私達は家族になった。
大口を開けてわんわん泣き叫んでいたあの子供が、唇を噛み締めて声を殺して泣いていることに、無性にやるせない気持ちになった。
悟の家は母子家庭だったけど、優しい母親と笑っている姿もよく見ていたから尚更だ。離れてしまった数年間で、悟を取り巻く環境がこうも変わり果てていたなんて考えもしなかった。
外への不安が強い悟はどうしても他人が苦手で、両親にも時折怯えた表情を見せた。はやく実家を出るべきだと思ったのは、悟のそんな姿を見てきたからだ。両親も気付いていたんだろう。いくら金があるからって近所の適当な家を買って子供に渡すなどイカれていると思ったが、中学生の弟達を連れて、迷わず私は悟とその家に引っ越した。
悟が過ごしやすい環境を、悟が笑ってくれる日常を、悟が安心できる温かい家族を作りたい。私の中にあるのはそれだけだ。
閉じていた目を開いて、腕の中で眠る悟に視線を向けた。甘えるように私の胸元にちょんと手を添えているのが可愛くて、もう一度よしよしと頭を撫でた。
可愛い。愛しい。大好き。もちろんいつだって抱きたいけれど、そればかりなわけじゃない。
こうして抱きしめているだけでこんなにも満たされて、胸の奥から癒されるのだ。今はただ、こうしているだけで十分だった。夏五兄弟パロ
兄弟パロ 11
20260511(月)00:26悟にその事を言い出せたのは引っ越してしまうギリギリの時期で、悟があまりにも悲しそうにわんわん泣くから、私までつられて声を上げて号泣した。
おれのこと忘れるなよ。たのしくなかったら戻ってこいよ。ぜったいにまた会おうな。おまえのこと、忘れないから。
そんな言葉を言い合って、目が真っ赤になるほど二人で泣いて、泣き止んでからは言葉も出なくて。お互いに掠れた声でバイバイ、と鼻をすすってお別れしたのを覚えている。
転校先の学校は生徒数もずっと少ない小さな学校だったけど、それなりに上手くやっていた。中学に上がる頃に年の離れた弟ができて、バスケ部に入った私は嫌になるほどモテたけど、心にぽっかり空いた穴は塞がらないままだった。悟のことをいつまでも思っていたから。
いつだったか、ごちゃごちゃしてきた部屋をいい加減に片付けなさいと怒られて、渋々小学校の教材を整理していた時だった。懐かしいノートに挟まれていた、一枚の手紙が床に落ちた。
『すぐる へ
いつも なかよくしてくれて ありがとう。
おまえ まえがみ へんだけど、にあうから そのままでいいよ
ごじょう さとる より』
クソみたいな手紙だ。だけど何故か鼻がツンと痛んで泣きそうになった。これは、そうだ。仲良しの友達に手紙を書きましょう、とかいう先生の思いつきみたいな授業で、悟から受け取った物だった。私も悟に手紙を書いて、溢れんばかりの思いを綴ったら長文になりすぎて、読んでられねえよ長すぎんだろと悟に笑われたのを覚えている。手紙の裏に書かれた悟の住所を見つけて、口角が緩んだ。変わっていない保証は無かったけれど、何もしなかったら何も起きない。
衝動的なそれに便箋を買う時間も勿体なくて、ただのコピー用紙につらつらと書き綴った。読んでられねえよと突っぱねられたら意味が無いから、なるべく簡潔に、だけど精一杯の思いを込めて。自分の近況と、悟への思い。そしてどうか、もう一度会いたいと。そんな言葉で締めた手紙を封筒に入れて切手を貼って、届きますようにとポストへ投げた。夏五兄弟パロ
BD平浦🎂💐2
20260510(日)20:21「おや、賑わってるねェ」
「総隊長サン、どないしてん」
「どないしてんって、そりゃもちろんお祝いしにきたのさ。はい、お誕生日おめでとう」
「おぉ、おおきに……ってなんやこれ、写真?」
仮面の軍勢が集まる五番隊の隊首室に挨拶も無く気楽に入ってきた京楽は、真っ直ぐに隊首に向かい、二枚の写真をぽんと平子の掌に握らせた。平子は裏の白い面しか見えていないそれをひっくり返し、ギョッと目を見開いた。
「………京楽サン、アンタこれ、どこで……は…?」
「隊長時代の浦原クン、かわいいでしょ」
「かわ……かわえ……かわええけど…!!アンタこれ今までずっと自分で持っとったんか…!?いつ撮ったんやこんなん…!!」
「あっはっは、んじゃまたね〜」
「待てやコラァ総隊長!!」
京楽は陽気に笑い、ひらひらと手を振りながらさっさと部屋を出て行った。平子は僅かに震える手でもう一度渡された写真を凝視する。そこに写っていたのは、両手で持ったたい焼きを小さな口を開けて頬張る浦原の横顔と、カメラに気付いて照れくさそうにふにゃりと笑う浦原だった。
「………リサ、京楽サンて喜助ンこと狙ってたんか…?」
「知るか。アンタほどの物好きちゃうやろ。浮竹隊長の写真はよう眺めとったけどな」
「おん……なんやねんほんま…」
陽を浴びて輝く柔らかそうな淡い金髪と、小動物のように膨らんだ頬。今ではもう帽子の影に隠れてしまった、純粋さを含む緩んだ笑顔。
「クッ……ソ……かわええ……」
「どれ、見してみ」
「あかん!見んな!喜助が減る!」
平子サン平子サン、とよく懐いた犬のように駆け寄ってきたり、時に生意気な口を聞きながらも、慕ってくれていたと思う。研究に没頭し過ぎて何日も引き篭り、仙人のような風貌になった浦原を引き摺り出して風呂にぶち込んだり、二人で密かに抜け出して甘味処に行っては、ひよ里に見つかって二人揃って吹っ飛ばされたり。ぼろぼろと剥がれ落ちた破片を拾うように、遠い日々を思い出した。×浦
BD平浦🎂💐1
20260510(日)01:27「喜助からの通知が来ませんッ!!!」
「忘れてんねやろ、アンタの誕生日なんて」
「そんなわけあらへん!!きっとあれや、今頃必死こいて準備してくれてんねや…!!LINEしとるヒマもないほどに…!!」
「無理なポジティブが痛々しいな」
「自分にリボン巻いてプレゼントは、ア・タ・シ♡なんてことも…!?キャ〜〜ッッ!!大胆ッッ!!」
「それアイツにされて嬉しいか…?」
「ハッ…!せや…!リボンぐるぐる巻きになっとるせいで伝令神機触られへんのかもしらん…!!あかん、もう直接現世までひとっ走りしてくるわ…!!」
「雛森ー、コイツに縛道ぶっ放してやれ」
「おおん……厳し……」
しおしおと力なく机に伏せて項垂れた瞬間、投げ出した手に握っていた伝令神機が小さく震えて勢い良く跳ね起きた。が、再びがっくりと肩を落とした。
「ハッチかい…期待させよって…なんやねん……オレほんまに忘れられてる…?嘘やろ…?」
「そういう真子も喜助くんの誕生日よく忘れてるよね」
「付き合うて初めての誕生日やで!?流石に盛大に祝うやろ!!なんやこの仕打ち!!」
「また引きこもって仙人みたくなってんじゃねえのか?真子の方から連絡すりゃいいだけじゃねえか、面倒くせえな」
「オレの扱い酷ない…?うぅ……もうええもん……オレから送るもん……はぁ……」
些細なプレゼントを持って隊首室に集まってくれた馴染みの面子に喜んだのも束の間。サボりの口実に利用されただけと気付いた今ではもう心が折れかけている。
「えー……『きすけくん、なんや大事なこと忘れとるんとちゃいますか』。…送信、と」
「ダルい詰め方したるなや気色悪い」
「なァもっと優しくしてくれてもええんやで…?」×浦
兄弟パロ 10
20260510(日)00:25「悟、寝るよ」
「ん~…?何ぃ…?まだ終わんないよ」
悟の部屋のベッドに我が物顔で寝転がり、隣の空白をぽんぽんと叩いてこっちへおいでと促した。悟は眠そうに目を擦りながらまだ開いたノートパソコンと向き合っている。多少強引に作業を中断させて、ベッドへと連れ込んだ。
「眠くて集中できてないでしょ。少しは寝ないと効率悪いよ」
「ん〜……」
「ほら、おいで」
むにゃむにゃと何かを呟きながら体を寄せて、私の腕の中に包み込むと、ぐずっていた割にすんなりと目を閉じた。伝わる体温は温かくて、再会した頃より随分背は伸びたけれど、線の細さは相変わらずだ。
「……おやすみ、悟…」
すうすうと寝息を立てて眠りについた悟を抱きしめて、髪を撫でて口付けた。
私と悟は、小学生の頃に出会った幼なじみだ。
入学したばかりで緊張していた初めての教室の、初めての自分の席。名前順に並んだその席で、真後ろにいた奴がやたらと背中をつつくのが鬱陶しくて注意しようと振り向いた時。にっ、と笑った彼の屈託の無い笑顔に、こっちこそ思いきり破顔してしまった。
思えば一目惚れだったのかもしれない。それ以降悟は驚異的な可愛さで何度も私の心臓を無自覚にぶち抜いた。何をしたって可愛いのだ。歩いても可愛い。座っても可愛い。体育座りで膝に顎を乗せてこちらを見上げた上目遣いが最高に可愛い。細っこいくせに足が速いのも可愛いし、体操服からちらりと覗くおへそまで涙が出るほど可愛かった。いよいよ自分がとんでもない変態なんじゃないかと悩み始めた小学3年生の夏。私は父親の転勤で転校することを告げられた。夏五兄弟パロ
兄弟パロ 9
20260509(土)00:25「ん……ぅ……すぐる…っ」
「……昔のことを思い出してね。家に来たばかりのさとる、ずっとシャーシャー威嚇してて面白かったよね」
「はぁ…?マジでいつの話してんだよ…もう忘れろって」
「何をするにも悟さんにべったりで、私が近寄るとお風呂を嫌がる猫みたいに大暴れして引っ掻いて」
「悪かったって……てかお前面白がってたのかよ…俺の必死の抵抗を…」
「今じゃこんなに甘えん坊なのにね」
「甘えん坊は、お前だろうが…っ!だぁもう!触んな!寝ろ!」
首を振るさとるの耳に手を添えて、柔らかい唇を捕まえた。はむ、と唇ごと口に含むと甘い吐息が漏れる。
「ちょ……ん…っ、すぐる、」
「可愛い…さとる……」
「ぁぅ…ぅ、だめ、だって…」
「うん…さとる、もっかいキスしよ」
さとるが私の背中をきゅっと掴んで、私はさとるの唇にもう一度口付けた。ビクビクと震える体がたまらなく可愛くて、執拗いほどに舌を絡める。なんとか付いてこようとするその一生懸命な表情が、どうしようもなく愛しい。
「さとる…すき、すきだよ…」
「んぅ…、おれも、おれも、すき…っ」
「ふふ…ありがと…」
「…ん……は…ぁ……」
何度目かの口付けでさとるはくったりと脱力してぐーすか眠ってしまったけれど、どうにも収まらないからベッドから出てトイレでこっそり抜いたのは秘密だ。欲望のままにむしゃぶりついてしまいたいけれど、傷つけたくはないし誰よりも大切に愛したい。
私の家族で、親友で、大好きな人。
悟さんの次にでいいから、私のことも好きでいて。
もう一度ベッドへ戻って、眠るさとるの額にそっと口付けた。抱き枕のように腕の中に包み込むと、本当に驚くほどよく眠れるのだ。夏五兄弟パロ
ヘン主 10
20260508(金)04:39形だけの玉座で、王は項垂れていた。
呼ばれてもいない客が謁見の間に足を踏み入れても見向きもせず、ただ俯いている。そんな王を気遣うでもなく立っているだけの大臣を軽くあしらい、王の前に膝をついた。
「…………。そこにいる大臣から聞いたであろう。今日は誰とも話したくないのだ。下がるがよい」
一切目を合わさぬまま全てを諦めたようにデール王は吐き捨てる。聞き馴染んだ声よりずっと大人びた、けれど確かにあの頃の面影を残した、懐かしい声だった。
「……ですが王さま。子分は親分の言うことを聞くものですぞ」
「………!!」
目前の王にだけ聞こえるような声で悪戯っぽく呟くと、王は弾かれたように頭を上げた。驚愕に見開かれた王の両目に、鮮やかな緑の髪の男が映る。デール王は唇を震わせて、力強く立ち上がった。
「そんな………まさか………おい大臣!私はこの者と話がある。下がっておれ!」
「は?……はい。分かりました」
突然の王の鋭い声での命令に、大臣は怪訝な顔をしながらも渋々と部屋を出る。自分達しか居なくなった空間で、デール王は飛びつくように二人の前にしゃがみ込み、兄の節くれだった両手を取った。
「兄さん!ヘンリー兄さん!生きていたんだね!」
「あぁ…。随分と留守にして悪かったな」
「そちらの方は…?」
「オレの親友だ。デール、オレの話は後でいい。太后は上か?」
「母上?うん、この上の部屋に居るよ」
「……そいつは、お前の母親じゃないぞ」
「え…?」
「やっぱりお前も気付いてないのか……本物の太后は地下牢に閉じ込められていた。上にいる奴は何者だ?」
「えぇ!?母上が地下牢にっ!?」
「シーッ!声が大きいぞ、デール!」
「わぁぁ!ごめん!え、だって、そんな……」
つい先ほどまで暗く沈んでいたのが嘘のようにデールはコロコロと表情を変え、やがて考え込むように顎に手を添えて固まった。
「……言われてみれば、色々思い当たることがあるな…。っすぐに母上を牢から、」
「バカ!そんなことしたら本人諸共消されるだけだ!いいか?お前は何も知らない振りをしてここに居ろ。オレたちで何とかするから」
「で、でも……そうだ、城の鍵を持って行ってよ。何か役に立つかもしれない。……兄さん、どうか無理をしないでね」
「あぁ、お前こそ下手に動いて勘づかれるなよ。頼んだぞ」DQ5
アイドル夏×貧乏学生五
20260508(金)00:38「わっ…!すぐるだ…!えっと、えっと」
今朝たまたま公園で見つけたユキノシタの土を洗い落としている最中、ポケットに入れていたスマホが突然鳴り出して飛び上がった。断り切れずに傑から譲り受けてしまったスマホの操作は未だに慣れない。慌てて手を拭いてポケットから取り出したスマホを握り一呼吸、緊張の面持ちで通話ボタンをタップした。
「も、もしもし、傑?」
『あぁ、悟、よかった。今大丈夫?』
「うん、これからご飯にしようと思ってたとこだよ」
『そう?何食べるの?』
「えっとね、今日はユキノシタが採れたからおひたしにしてね、」
『よし、ご飯食べに行こうか』
「えっ?」
『家に居るよね?迎えに行くから待ってて』
「え、うん……わ、わかった…」
傑の声は優しいのに時折抗えない圧を持つ時がある。通話の切れてしまったスマホの画面を見つめてぱちくり固まった。
「傑もおひたし食べたいのかな……あれ?食べに行こうって言った?わ、どうしよ、着替え、っ!ぎゃ!あだっ!」
部屋着といってもこんな中学時代の体操服姿、傑にはとても見せられない。着替えようと慌ててキッチンを飛び出したら柱に正面からぶつかって、痛みに悶えた拍子にタンスに足をぶつけて転げ回った。夏五
兄弟パロ 8
20260508(金)00:24「すぐるー?すぐる、聞いてる?」
「…え?あ、あぁ、ごめん。聞いてなかった」
「もー、何ぼーっとしてんだよ。すぐる明日も朝練あんだろ?もう寝ろよな、電気消すよ?」
「あぁ、うん、そうだね、もうこんな時間か」
「ったく。急にスイッチ切れるよなーお前。ちゃんとアタマ休ませろよー?おやすみー」
「はいはい、おやすみ」
ベッドに横になって、気付けば随分昔のことを考えていた。
布団を深く手繰り寄せて目を閉じるけれど、やがて静かにパタパタと本を捲る音が聞こえてきて薄目を開ける。ベッドライトの下、さとるは体を伏せて頬杖を付き、枕に置いた本を読み耽っていた。
何か気になることがあるとすぐこれだ。勉強熱心なのは良いけれどちゃんと休んでほしいのはこっちの台詞だと溜息が出た。
態と喧しく寝返りを打ってさとるの方を向き直り、ベッドライトに手を伸ばして灯りを消した。
「あっ、何すんだよすぐる」
「今日は終わり。さとるこそちゃんと休まないと、また寝不足で倒れるよ」
「もうあんなヘマしねえよ」
「だーめ。さとる、こっち来て」
「はぁー?なんだよ、一人で眠れねえの?さみしんぼでちゅかー?すぐるくんは~?」
しょうがない奴だな~と呆れたように吐き捨てつつも、満更でもなさそうに私のベッドに潜り込んでくるのだから本当に可愛くて、さとるの体を抱きしめて頭を撫でた。
「ん~、すぐる、どうしたんだよ、甘えんぼか?」
「そうだよ。甘えんぼなの。甘やかして」
「しょうがねえなぁ、よしよし」
さとるは私の真似をしてぐしゃぐしゃと頭を撫でる。抱きしめたさとるの体は何故か甘いミルクのような匂いがする。ぎゅうと強く抱きしめた、暗闇の中。目を開けると、さとるの少し赤らんだ頬。青い瞳が細められて揺らめくのは、眠気か、それとも。夏五兄弟パロ
ヘン主 9
20260507(木)05:59地下道を抜けた先は城の広い中庭だった。青空の眩しさに目を細めた矢先、木陰に蹲っていた何かが起き上がりこちらを向いた。
「ん?なんだろあれ、犬かな?」
「犬…?いや違う、ドラゴンキッズだ…っぐぉっ!」
言い終える間もなく遠目に犬かと思われたそれは翼を広げて飛びかかってきた。咄嗟に防御姿勢を取るが間に合わず、城壁に背中を打って身悶えた。リュカへと振り返った瞬間放たれたリュカのバギでドラゴンキッズは目を回し、地面に落ちた。
「ヘンリー、大丈夫?」
「あぁ、問題ない……まったく…こんな魔物を放し飼いにしてるとはな…本当にどうしちまったんだか、ラインハットは」
「とりあえずデール王に直撃でいいんだよね」
「そうだな…。話を聞いた限りデールがおかしくなったわけじゃなさそうだが、太后が幽閉されてることも、国の惨状も、どこまで把握してんのか、何考えてんのかもわかんねえ。直接話した方が早いだろ」
「うん……あと、この子どうしよっか」
「………めちゃめちゃこっち見てるぞ。連れてってやるか?」
「ふふ、仲間が増えるのは嬉しいね。ドラゴンキッズか……コドラン、なんてどうかな」
「また安直だがまぁまともな方か…?よかったな、コドラン」
よたよたと起き上がり、リュカの何かに魅せられたのか、ドラゴンキッズは目を輝かせてこちらを見つめた。コドランと名付けられたそいつは薬草を与えると嬉しそうに飛びついた。
「いっかくうさぎにスライムにドラゴンキッズに逃げた奴隷の2人組……トンチキ集団になってきたな」
「王さま、会ってくれるかな」
「悲鳴上げて逃げ出すかもなぁ、あいつは泣き虫だったから」
揶揄うようにくつくつ笑ってすっかり回復したコドランを連れ、城内へと続く扉を堂々と開け放った。DQ5
