らくがき帳
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兄弟パロ 16
20260621(日)02:46さとると抱き合っていたらおかしなくらい安心して、いつの間にかうとうと眠ってしまっていた。突然勢い良く向きを変えたさとるの寝相の悪さに巻き込まれて、2人してソファから転がり落ちた。びっくりして目が覚めて、床に転がったまま笑い合って。そんな姿をいつからそこに居たのか、離れたところで寛いでいた傑にまで笑われた。
「いって~…!兄ちゃん大丈夫?」
「いったぁ…あれ…傑いつ帰ってたの?」
「ふふ、ついさっきだよ」
「え~、起こしてよ~」
「気持ちよさそうに寝てるんだもの、起こせないよ」
席を立って近づいてきた傑に抱き起こされて、もう一度ソファに腰掛けた。狭いところでさとるを乗っけて寝ていたからか、体のあちこちが痛かった。さとるはぴょん、と起き上がって、喉乾いた~!とキッチンへ駆けていく。若いっていいなぁ。
パキパキ音を立てる関節をぐいと伸ばして解していたら、体は痛くてもずっしりと重かった頭の痛みは消えているのに気がついた。傑が寝癖を直すように僕の髪を優しく撫でる。
「悟、具合悪かった?大丈夫?」
「ちょっと頭痛かっただけ…。もう平気だよ」
「そう?無理しないでね」
「うん、すぐるくんは?帰ってる?」
「ああ、2階に居るよ」
「兄ちゃんこれ食おうぜ~」
「あ、こら、もうご飯にするから、お菓子はダメだよ」
「え~~」
跳ねるようにキッチンのお菓子ボックスからコンビニで買ったチョコシューを取り出してきたさとるに釘を刺すと、さとるはわかりやすく肩を落とした。しゅん、と垂れた耳が見えた気がしたのは僕だけじゃないようで、苦笑した傑にヨシヨシと頭を撫でられていた。
今日は卵の期限が近いからオムライスを作ろうと決めていた。こんな時間まで寝てしまうつもりはなかったけれど、傑も手伝ってくれたおかげで全て完成するまでそう時間はかからなかった。
特製きのこソースをかけてお皿に盛り付け、食卓へ並べるとすぐるくんも降りてきてみんなで手を合わせて食べ始める。この時間が好きだった。
狭いマンションの一室で、帰りの遅い母を僕は一人でカップ麺を食べて待っていた。
さとるが生まれてからは、さとるのために本で調べて見よう見まねで作った柔らかいご飯を少しだけつまんでいて、父はそんな僕を冷めた目で見下ろしていた。
夏油家に引き取られて、傑のお母さんの手料理を初めて食べさせてもらった時、何故だか泣いてしまったのを思い出した。
相変わらず別にそんなに上手なわけでもない僕の料理を、みんな嬉しそうに食べてくれる。こんな事しかできない僕に、いつだって愛されている実感をくれる。ぺろりと平らげて、美味しかったと笑う家族に、僕はいつも救われている。
明日は何をつくろうかなって、そんなことを思うようになるなんて。明日が来るのが楽しみになるなんて、あの頃には考えもしなかった。夏五兄弟パロ
スタゼノ
20260608(月)03:34なかなか困ったことになった。拘束されるのも攫われるのも趣味ではないのに、どうしてか僕の身には度々こういう事態が起こる。縄で入念に手足を縛られ、口には猿轡を押し込まれ、視界は黒い布で覆われて何も見えない。息苦しさと苦手な圧迫感に眉を顰める。どこへ向かうも何をしようも状況に不安は無いが、今頃鬼神の如き形相で猛追しているであろう彼の気苦労を思うと可哀想で泣きたくなった。僕だって好きで攫われているわけではない。
後部座席に転がされているが、あまりにも雑な運転のせいで体がシートの上を滑り至る箇所に痛みが走る。運転席の男は先程から何度も舌打ちを繰り返し相当に苛立っている。カーブの度に遠心力で体が反対側へと転がるのが非常に不快だ。誰かの運転する車に乗っているというより、暴れる獣の背中にでもしがみついているかのようだった。発進も停止も柔らかく、路面の凹凸など感じさせない絹の上を滑るようなスタンの運転ではこんな思いはしたことがない。込み上げる吐き気を堪えて目を瞑るとじわりと布地に水滴が染み込んだ。
舌打ちと怒鳴り声が鼓膜を揺する。おお、なんと愚かしい人間だろう。僕を拘束し拉致した時点で君の行く先は地獄しかないというのに。縛られた手足が痺れる。気休めに身を捩ると同時に大きく車体が揺れて、犯人の終わりを悟った。恐らく後部フェンダーを別車両に衝突されたのだろう。リアタイヤのトラクションを奪われた車体がぐるんとスピンして停止した。瞬間にドアガラスが撃ち抜かれ、男が醜い悲鳴を上げた。
「ゼノ、」
リアドアが破壊されそうな勢いで開け放たれて、生温い風が車内に吹き込む。動作と声色の不一致に笑いそうになった。一瞬の間を置いてスタンが静かに煙を吐いた。何も見えないがどんな顔をしているのかまでわかってしまう。毒ガスの臭いに安心するなど僕も相当汚染されているのかもしれない。愛しい気配のする方へ顔を向けようとすると頬にそっと手を添えられた。吹き飛ばす勢いでドアを開けたのと同じ手が、今度はシャボン玉の膜でも撫でるかのような手つきで後頭部の結び目を解いていく。ようやく解放された口で深く息を吐くと肩まで震えた。強く瞑っていた目を開くと、星が散るように煌びやかな琥珀色の目がじっと見ていた。スゼ
ヘン主 13
20260603(水)06:17倉庫の扉はデールから受け取った鍵で開いた。本棚をひっくり返す勢いで片っ端から漁っていくがそれらしい記述は見当たらない。長らく換気もされていなかった室内の淀んだ空気が纏わりつく額を手で拭い、分厚い図録と歴史書の間に挟まれていた古びた日記を手に取った。
『○月✕日。
今日この城の旅の扉より南の地におもむく。南の地には古き塔あり。真実の姿をうつしだす鏡がまつられていると聞く。しかし塔の扉は我には開かれず。そのカギは修道僧が持てり。』
「……あった!これだ!」
「え、はやいね」
リュカは手にしていた本を閉じてオレの手元を覗き込む。誰が書いたかもわからない古い日記だ。リュカは口元に手を添えて首を傾げた。
「この城の旅の扉…?そんなものある?」
「……この奥にさ、もう一つ部屋があるんだよ。臭うのはそこだな」
「旅の扉に臭いがあるの?」
「お前さぁ……」
閉じた日記を懐に仕舞い、黒く丸い目を瞬かせるリュカの頭をぽんと叩いた。納得していない顔のリュカを背に、乱雑に置かれた物の合間を縫って部屋の奥へと踏み込んだ。城の兵士相手にかくれんぼを繰り返した悪ガキの記憶も少しは役に立つ。思った通り、木の扉が棚の後ろに隠されていた。鍵を差し込み慎重に扉を開けると、青い光が差した。
「うわ、本当にあったよ、旅の扉」
「これがそうなの?」
「ああ。こんなもんが城の中にあるなんて不思議だよな、誰が作ったんだか」
それは扉というよりも泉のようだ。転移魔法の魔法陣が描かれた床が青白い光を放ち波打っている。
「行こうぜ、リュカ」
「うん、」
魔物相手には物怖じしないくせに、妙に訝しげな顔をして杖の先で床をつついているリュカの手を引いて泉に足を踏み入れた。途端に目を開けていられないほど眩しい光が渦を巻いて全身を包み込む。咄嗟にぎゅっと目を瞑り、ぐわんと脳が揺れる衝撃に足が縺れる。つんのめった体をどうにか支えて目を開けると、そこは森の中だった。DQ5
平浦+浦
20260531(日)01:17昼食を食べている最中、突然呼びかけられて振り返ってみたら浦原が二人いた。
右へ左へ、何度見返しても同一人物が二人居る。緑と白の縞模様の帽子を被り、黒い羽織と作務衣を着たいつもの喜助。そしてその隣に立っているのは、
「隊長羽織と…白と黒の縞帽子……なんやその格好…?」
背も顔も同じだが、こちらは死覇装の上に十二番隊の隊長羽織を身に纏い、白と黒の縞模様の帽子を被った見慣れない格好をしている。浦原は目をまん丸に見開いて、バケモンでも見たような顔で固まっていた。見慣れたいつもの浦原が扇子を開き、首を傾げてもう一人の浦原に視線を向けた。
「……残念ながら義骸ではないですし、アタシ自身が分裂したわけでもないっスね。恐らく並行世界と繋がったんス」
「並行世界?」
「並行世界、パラレルワールド、マルチバース……表現は様々っスけどまあそんな感じっス」
「ほーん……なんでまた……」
舐め回すように見つめられた死覇装の浦原は一歩後退り、皮肉まじりに呟いた。
「……こっちのアタシは随分洒落た格好してるんスねェ」
「胡散臭くて良いでしょう、アナタの帽子もカジュアルでイケてるっスよ」
「自分と喧嘩すなや、仲良うないんかいなオマエら」
ズルズルとラーメンを啜って二人の間に箸を突き出すと、二人は気まずそうに口を閉ざした。スープまで飲み干して箸を置き、浦原に向き直る。
「てか並行世界て何?ほーんとか言うたけどようわかれへん」
「例えば平子サンは今カップ麺を食べてますけど」
「おう」
「お湯を入れてここまで運んでくる際に、床にぶちまけて食べ損ねてしまった平子サンもいたかもしれない」
「ほう」
「塩ラーメンではなく醤油ラーメンを選択した平子サン、3分待っている間に居眠りしてしまい伸びきった麺を泣く泣く啜るはめになった平子サン。一つの選択、少しの違いで無数に未来が分岐するんス」
「はー……んで、そのどっかで別の選択をした世界線の喜助が、なんやしらんけどこっちの世界に来てもうたと」
「何がきっかけで繋がっちゃったのかは、さっぱりわかんないっスけど」
「ほんなら今、ここに居るコイツは…」
「今ここに居るコイツは、魂魄消失事件の際に平子サンたちを見捨てたことで現在ものうのうと隊長業務を続けているが罪の意識に耐え切れず別の人格を憑依させてどうにか取り繕っている愚かな浦原喜助、っスかね」
「どっちにしろこうなんのかいオマエは」×浦
ヘン主 12
20260529(金)00:54絢爛な城に似つかわしくない下品な笑い声が響き、つい広間の様子を覗き込んだ。数名の兵士がテーブルを囲み駄弁っている。一瞬こちらに目配せしたかと思えば堂々と仲間に入ろうとするリュカの後を慌てて追いかけた。
「どうもこんにちは」
「お?なんだ兄ちゃん!おめえも兵士になりたくてやって来たのかい?この国はいいぞお!戦ってさえいれば金がいっぱいもらえるし、うまい物も食い放題だぜっ」
どう見ても人間ではない相手に平然と話し掛けるリュカこそ恐ろしいと内心かなり引いているが、気付かれないように顔を逸らした。もっちゃもっちゃと音を立てながら食っているその肉は奇妙な緑色をしている。何の肉か想像もしたくなかった。こんな奴らにオレの国が……。舌打ちしそうになる口を必死に引き締めた。
「こんなに暮らしやすい国は他には無いな。大臣たちはチョー弱気でなんでも我らの言いなりだぞ〜」
「まったくこの国の太后さまはなかなかたいした人物だな。この国が世界を征服する日もそう遠いことではあるまい。わっはっはっ」
「世界征服…!?」
「へえ、次はどこの国に攻め込むか楽しみですね。あっはっは」
リュカは思わず叫んだオレの肩を押して、貼り付けた笑顔で態とらしく笑いながら部屋を出た。
「さまようよろいにがいこつへい、魔物しか居なかったね」
「完全に乗っ取られてるな…。世界征服って…あの偽太后はそんなこと考えてんのかよ……。クソ、はやく鏡の手掛かりを探そうぜ」
自分達が歩き出すと同時に足音が聞こえ振り返ると、一人の兵士が向かってきていた。彼は広間の扉の前で立ち止まり深い溜息をついた。
「……あんた大丈夫か?酷い顔してるぜ」
「あ……あぁ…すまない、最近思うのですが、太后さまの集めた連中は気持ちの悪い人ばかりで……。ああっと!私がこんなこと言ったなんて人には言わないでくださいよ」
「……あいつらを気持ち悪いと思えるならあんたはまともだな。ひょっとして城の兵士たちは全員おかしくなってるのかと心配してたけど安心したよ」
「あぁ……あなた方もまともそうだ。少し安心しました」
青ざめた表情のまま兵士は笑い、意を決したように扉を開けた。相変わらずゲラゲラと笑う声に頭が痛くなる。魔物たちの談笑をまだ興味深そうに覗こうとするリュカのマントを引っ張って倉庫へと急いだ。DQ5
ちみ五
20260527(水)06:04絵
平×ショタ浦
20260526(火)20:21膝に乗り上げている少年の小さな手が平子の隊長羽織をちょんと摘んだ。今にも彼の作務衣をひん剥こうとしていた手を己の額に当てて天を仰いだ。
「……あかん、あかんで、流石にこれはあかん。いくらオレかてそんくらいの倫理はあんねん」
「……………」
「なんでまた来てもうたんや………」
ポフン、とアホみたいな音が響いた瞬間、煙幕で何も見えなくなった。ようやく視界が開けたと思ったらさっきまでイチャついていた恋人の体が小さくなっている。額から手を退けて再度目を凝らしてもやはり状況は変わらない。幼い浦原は平子の足に跨がりきょとんとこちらを見上げていた。この姿の浦原と会うのは実に数ヶ月振りになる。もう二度と会うことはないと思っていたのに随分早い再会だった。
「あー……久しぶりやな」
「……………」
「嘘やろ、オレんこと知らん?」
「……………」
「アレとは別個体なん?それともアレより前の喜助っちゅーこと?あ、記憶無くなるんやったっけ?」
「………?」
「はー……もうどないなっとんねん、説明せぇや喜助ェ……って喜助はオマエか……はぁー……また難儀やなァ…」
「………………」
「しゃーない、マユリんとこ行くかァ……」
浦原は喋らない。以前は一言二言でも返事をくれる程度には懐いてくれていたのに、平子の声だけが虚しく部屋の空気を揺らした。おあずけをくらった挙句、また振り出しに戻された感覚に泣きたくなった。
「………あんたアレやな、あん時ほどボロボロやないんやな」
「…………」
「今て四楓院家に居んの?……ちゃうんか?どっから来たん?」
「…………?」
「あかん何も噛み合わへん……助けて……」×浦
BD平浦🎂💐4
20260523(土)02:26何をそこまで飢えているかと自分事ながら笑いさえ込み上げてくる。乾いた砂漠を散々彷徨った果てにようやく見つけた泉に縋りつくような必死さに、浦原は何を思ったかぐっと唾液を飲み込んだ。白い肌にむしゃぶりついてあちこちに赤い痕を散らしながら、指先は敏感な耳をするりと撫でる。項に齧りついて歯を立てると、薄い肩を震わせて甘い緊張の孕む吐息を漏らした。
「きすけ、きすけ、」
「待って、ここじゃ…っ」
「ん、わかってる、部屋行こな」
「ッ……」
最後に舐めた首筋は濡れた蛇が這った跡のようにぬらりと光る。唇を離すと涙目になってこちらを見つめてくる目と目が合った。恨めしそうに睨んでいても大きい目は可愛いばかりで意味が無い。笑いながら頭を撫でて、奪い取っていた帽子を再び被らせた。
「メシ、風呂、オレ!どれにする?!」
「お仕事終わりでお腹空いてないんスか?」
「オレは今すぐにでも喜助が食べたいです」
「よく洗ってからじゃないと食べらんないっス」
「っしゃ!オレが全身みっちり洗ったる!」
「……………」
「なんやその目は!!なんでもする言うたん喜助やからな!?今更取り消し効かへんからな!?」
「なんでもさせるとは言ってないっス…」
「同じや!!」
噛み付くように反論すると浦原は居心地が悪そうに背中を丸めて小さくなった。そういえば物的なプレゼントを貰ってないとか、ケーキの蝋燭に息を吹きかける儀式もやってないとか、そもそもこんな時間までこいつはどこで何をやっていたんだとか、問い詰めるのも美味しくいただいた後にして、丸まった背中をぐいぐい押して私室へと連行していく。明日はどうせまともに動けなくなるだろう。一日中甲斐甲斐しく世話を焼いてやりながらこの頬がぱんぱんになるまでたい焼きを詰め込んでやろうと思い立ち、背後から浦原の両頬をむにと摘んだ。×浦
ヘン主 11
20260515(金)01:02ほんの僅かに開いた扉の隙間から太后の居座る部屋を覗き見る。豪華なドレスを纏いソファで寛いでいる彼女の横顔は不自然なほど記憶にある義母の姿と酷似していた。早々に見張りの兵士に追い出され、観察していられたのは数秒だったが、階段を下りながらリュカは自分が思ったことと同じ言葉を口にした。
「僕が昔に見た顔と変わってないね」
「間違いないな…。人の姿に化ける魔物だ。神殿にも居ただろ、そういうの」
「魔力が高い証拠だね。どうしよっか。あの太后がニセモノだって証明できる何かがあれば……」
「ラーの鏡……」
「ん?」
王の元に戻りうーんと頭を捻っていると、二人の会話を聞いたデールがぽつりと聞き慣れない言葉を発した。希望の光が差したかのように、その目は僅かな輝きを持って真っ直ぐにリュカを見る。
「いつだったかボク読んだことがあるんだ。真実の姿を映す、不思議な鏡の伝説を。この城の倉庫の本棚だったと思うな。兄さんも読んだことない?」
「オレに読書なんてご立派な趣味があったと思うか?……真実の姿を映す鏡ねぇ…。おとぎ話としか思えないけど、他に縋るものも今は無いしな、探してみるか」
「うん…。無理はしないでね、兄さん」
「はいはい、わかったって」
廊下へ出て倉庫に向かうが、次第に足取りが重くなり、リュカは不思議そうにこちらの顔を覗き見た。
「ヘンリー?顔色が悪いよ」
「あー、いや……あの倉庫ってオレが攫われた場所の近くでさ。思い出したらなんだか背筋がゾワゾワと……」
「お城の中は変わってないね」
「……雰囲気は随分物々しいけどな…やっぱりここはオレの家なんだよ。懐かしくて嫌になるね」
懐古する度に見えない刃で貫かれる痛みが走る。魔物に乗っ取られ衰退した国。焼き払われたサンタローズ。パパスという英傑の死。幼いリュカから父親を奪い、彼の人生を狂わせた元凶。目にしてきた凄惨な光景の全てが、元を辿れば己の愚行に帰結する。破裂しそうなほど激しく脈打つ胸を押さえて、今にも倒れ込みそうな体を強引に引き摺った。
「………全部オレのせいなんだもんな、冗談じゃないよ」
「あの偽太后のせいだったでしょ。だからこれから懲らしめてやるんだ」
「パパスさんなら止められた」
「………意味のない話だ」
「……………」
前方を歩くリュカの表情はわからない。どこまでも最低な自分をいっそのこと刺し殺して欲しいこの渇望は、彼には一生届くことは無い。DQ5
兄弟パロ 15
20260515(金)01:02「……兄ちゃん……俺、なんもされてないよ。大丈夫だよ。兄ちゃんが、守ってくれたから」
「……っ、さ、とる……さとる、」
「うん…にいちゃんの手、あったかくしてやるからな。おれが、ぎゅーって、してやるから」
冷えきった体も心も、足の先から頭の先まで全部全部全部、俺があっためてやるから。
ほら、見ろよ。俺の体、もうこんなにデカいんだよ。今ならもう兄ちゃんが倒れる前に抱きしめられるし、兄ちゃんを傷つける奴はぶっ殺せるし、兄ちゃんの体をぎゅってして、あっためてやるのだって余裕なもんよ。
「さとる……、さとる……!」
「うん、うん…兄ちゃん、ありがとな」
守ってくれて。俺を見捨てないでくれて。ずっと一緒にいてくれて。俺のこと、大好きって言ってくれて。
兄ちゃん、思い出して。ここにはもう俺達を踏み躙る奴らは居ないよ。連れ出してくれたのは兄ちゃんだろ。傑達が引っぱり上げてくれただろ。兄ちゃんはもう怯えなくていいよ。
「もう、大丈夫だからな…」
兄ちゃんがいつも言ってくれた言葉。その声がいつだって俺を安心させてくれたように。俺だって、兄ちゃんの不安を拭い去りたい。
「………さ、とる…?」
「うん……兄ちゃん、目痛い?」
「……ん……」
「横んなってて、薬持ってくっから」
「あ、待って…」
抱き合ったままじっとしてたら、兄ちゃんはやっと意志を持った目で俺を見た。充血してしまっている綺麗な目が可哀想で、そっと瞼に触れた。働き者の兄が昼間から眠ってしまうのなんて、相当具合が悪い時だけだ。薄い瞼は時折痙攣しているし、きっといつもの頭痛だろう。ソファから下りて離れようとした俺のシャツを、兄ちゃんの指がちょんと掴んだ。
振り返ると、潤んだ瞳が俺を見つめている。たまらなくなって、兄ちゃんの体をもう一度抱きしめた。
「さとる……っ」
「もー、兄ちゃん、心配すんなよ。ただの悪い夢だって」
本当に、あんな日々がぜんぶ夢だったらよかったのに。兄ちゃんの背中をぽんぽん撫でながら、もう大丈夫だと何度も何度も言い聞かせた。俺を抱きしめる腕が小さく震えて、だんだんと力が抜けていく。
「俺がこうしてたら、ゆっくり眠れる?」
「だめ……ねちゃっ、たら……」
「兄ちゃんちょっと休んだ方がいいよ。どうせ今日も色々やってくれてたんでしょ。頑張りすぎ」
「だめ……だよ……」
「じゃー俺もう寝たいから兄ちゃん寝かしつけて!ぎゅってしててくれないと寝れない!」
「さとる……」
「なに?」
「汗臭い……」
「汗ごと抱きしめて!」
兄ちゃんは呆れたように笑って、それでも強く抱きしめてくれて。目を閉じた兄ちゃんの唇が俺の首筋に触れて、ゾクッとした。
「兄ちゃん……」
「ん……?」
「こっち……」
顔を上げたら、潤んだ青い目が俺を見ていた。兄ちゃんの唇が俺の唇にそっと重なって、指と指が絡んだ熱に、体が震えた。濡れた音が耳を掠めて、兄ちゃんの長い睫毛が、俺の頬を擽る。
(兄ちゃん、大好き、大好き、大好き)
俺の思いはどこまで届いてるだろう。たった一人の本当の家族。たった一人の、俺の兄ちゃん。可愛くて、格好良くて、強くて、優しくて、たまに阿呆で。切なくなるほど、綺麗な人。
暗闇を背負って泣いているしか無かった日々。傷は傷のまま、痛みは痛みのまま残り続けて、一人で眠ることさえ出来なくなって。それでもこうして抱きしめてれば、兄ちゃんの胸に開いた傷口も、きっといつかは塞げるんじゃないかって。兄ちゃんの傷は俺のせいだ。だったら傷を癒すのも、俺の手がいい。夏五兄弟パロ

