巨体の人外に助けられて世話される話
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魔術師は連行され、あなた達は騎士団に帰ってきた。
明日の尋問までの間、彼女はミザロの監視下に置かれることになった。
皆と別れたあと、あなたは獣のルドガーと騎士団の厩舎に向かった。
彼はさっき獣化した際に服がはじけ飛んでしまったため、あなたは一度部屋に戻り、服を持ってきたのだ。
「はい、ルドガー」
「ああ、すまん」
裸になった彼はもう落ち着きを取り戻していて、服を着ると、そのまま藁の上に腰を下ろした。
黒髪をくしゃくしゃと掻いて、頭を整理しようとしているようだ。
あなたはそんな彼のそばに、寄り添って座った。
「ごめんね……あんなことになって。心配かけたよね」
「いや……俺こそ悪かった。頭に血が上ってな。……だがお前が無事でよかった。連れ去られでもしたらと思うと……」
ルドガーは眉間にしわを寄せ、険しい表情で拳を握る。
あなたが申し訳ない気持ちで言葉に詰まっていると、彼はこちらを見た。
「お前の守護者の仲間だというのは分かっている。だが、俺はまだ……信用はできていない。ずっと……」
あなたの手を握って、彼は少しつらそうに明かした。
心が掴まれて、あなたも身を乗り出す。
「分かるよ。だって知らない人だもんね。あんなふうに近づかれたら、普通心配するよ……」
正直あなたも、あの紫髪の魔術師に少し怖さは感じた。
セロ達に対しての冷たい態度と、自分への崇敬の念みたいなものの落差に。
それをルドガーにも説明したら、彼も不審に感じたようだった。
彼女に対するセロとナザルの強い警戒心や怒りも、あのとき目の当たりにした。
それはあなたとルドガーを守るためでもあり、今や自分達は仲間なのだと、気持ちが強固にもなった瞬間だった。
「あいつらがいてくれてよかった」
「うん、そうだよね。私のことも、守ってくれたんだ。……もちろん、ルドガーもだよ」
皆を守る盾のように立ちはだかってくれた彼が愛おしく、あなたは膝立ちで彼の肩に手を回す。
抱きつくように抱擁すると、太い腕が背を包み、力強く抱きしめ返された。
見つめ合い、顔が近づいてきてキスをされる。
藁の上で、動物たちは静かだが、しばらくあなた達の口づけが響いた。
「……ああ。やっと少し心が静まったぞ。お前が帰ってきて安心した」
「ふふ。ごめんね。ちゃんと帰って来たよ」
そっと微笑み合って、胸に頭をあずけて寄りかかる。
「買い物はちゃんと出来たか? 何を買ったんだ?」
ルドガーに穏やかに問われて、あなたはおずおずと持ってきていた袋を取り出した。
こんな場所で渡すのもあれだけど、早く今回の理由を明かしてしまいたかった。
大騒動になる原因を作ってしまったのだ。
「あのね。魔道具店にも行ったの。可愛いローブ買ったから、あとで見せてあげる」
「ああ、全部見せてくれ。興味があるな」
あなたは真剣に聞いてくれる彼に笑いかける。
少しドキドキしたが、袋から彼に買ったものを出した。
「あとね、実は本当は、今日はこれを買いに行ったんだ。この前、初めてお給料が出たから。ルドガーへのプレゼントだよ。……はいっ」
恥ずかしくなり、サイズの大きな暗色のシャツを彼の胸に押し付けた。
彼からはお花やネックレスなど素晴らしいものをたくさんもらっているが、自分が何か贈るのは初めてで緊張した。
「え……? 俺の、服……? お前、それを買いに行ったのか……?」
ルドガーは目をはっと見開いた。その表情があまりに純粋で、少し幼くも見えて。
あなたは照れた笑みを浮かべて頷く。
「…………名無しっ!!」
すると彼はものすごい勢いであなたの小さな体を自分の胸にしまい込んだ。
きつくきつく抱きしめられ、苦しいほどである。
「わあっ、ちょっ、服がつぶれるよっ」
「あ、すまん、……嬉しすぎてな⋯! ああ、信じられん!」
彼はすごく照れくさそうな舞い上がった顔をしていた。
それほど予想外のことだったのだろうか。
シックなシャツを開き、まじまじと確かめ、顔つきがさらに柔らかく緩んでいく。
「そんなに服の前で嬉しそうなあなた、初めて見たよ」
「だって、お前からもらったものだからだ。……すごく格好いいな、俺に似合うだろうか?」
絶対似合うよ!とあなたが嬉しくなりおすすめすると、さっき服を着替えたばかりの彼は、もう一度上を脱いでシャツを着こんでくれた。
分厚い胸が張っていて、上からでも筋肉質で美しい体の線が分かる。襟元も袖も、きっちりと大人な雰囲気でとてもよく似合っていた。
「格好いいよ~最高っ!」
「ははっ、そうか? 嬉しいな。……ありがとうな、名無し。最高の贈り物だ!」
ルドガーはにこりと笑って、あなたをふわっと抱き上げた。
二人は近い目線で笑顔を交わし、また唇を重ねる。
今日はあんなことがあったのに、今こうして幸せな気分で向かい合ってることが、奇跡にも思える。
でも本当は、必然なのだ。たとえ何かが起こったとしても、二人の間を変えることはできない。
そこに在るのは、二人でこれまで作ってきた、大切な居場所だからである。
「すごく気に入ったぞ。毎日着るか」
「ええっ、すぐボロボロになりそう」
「それは嫌だな。じゃあ特別なときにしよう。お洒落なデートのときだ」
「うんっ!」
明るい約束をして、あなたもとびきりの喜びを見せる。
二人は手をつないで、しばらく厩舎で寄り添っていた。
するとまた、今日のことを振り返る。
「ねえねえ、あの人、どうなるのかな。大丈夫かな」
「……そうだな。ミザロが決めることだ。俺達はひとまずそれに従う」
「うん……」
肩に頭をそっと預けていると、彼があなたの顔をのぞきこんできた。
「大丈夫だぞ、名無し。何があっても、俺たちは一緒だ。そうすれば怖いものはない。何にも負けないんだ」
踏み込んだ彼の言葉が、今のあなたの心を柔らかく包んでいく。
指を絡ませた手のひらからも、二人の繋がりを感じて、あなたは力強く頷いた。
明日の尋問までの間、彼女はミザロの監視下に置かれることになった。
皆と別れたあと、あなたは獣のルドガーと騎士団の厩舎に向かった。
彼はさっき獣化した際に服がはじけ飛んでしまったため、あなたは一度部屋に戻り、服を持ってきたのだ。
「はい、ルドガー」
「ああ、すまん」
裸になった彼はもう落ち着きを取り戻していて、服を着ると、そのまま藁の上に腰を下ろした。
黒髪をくしゃくしゃと掻いて、頭を整理しようとしているようだ。
あなたはそんな彼のそばに、寄り添って座った。
「ごめんね……あんなことになって。心配かけたよね」
「いや……俺こそ悪かった。頭に血が上ってな。……だがお前が無事でよかった。連れ去られでもしたらと思うと……」
ルドガーは眉間にしわを寄せ、険しい表情で拳を握る。
あなたが申し訳ない気持ちで言葉に詰まっていると、彼はこちらを見た。
「お前の守護者の仲間だというのは分かっている。だが、俺はまだ……信用はできていない。ずっと……」
あなたの手を握って、彼は少しつらそうに明かした。
心が掴まれて、あなたも身を乗り出す。
「分かるよ。だって知らない人だもんね。あんなふうに近づかれたら、普通心配するよ……」
正直あなたも、あの紫髪の魔術師に少し怖さは感じた。
セロ達に対しての冷たい態度と、自分への崇敬の念みたいなものの落差に。
それをルドガーにも説明したら、彼も不審に感じたようだった。
彼女に対するセロとナザルの強い警戒心や怒りも、あのとき目の当たりにした。
それはあなたとルドガーを守るためでもあり、今や自分達は仲間なのだと、気持ちが強固にもなった瞬間だった。
「あいつらがいてくれてよかった」
「うん、そうだよね。私のことも、守ってくれたんだ。……もちろん、ルドガーもだよ」
皆を守る盾のように立ちはだかってくれた彼が愛おしく、あなたは膝立ちで彼の肩に手を回す。
抱きつくように抱擁すると、太い腕が背を包み、力強く抱きしめ返された。
見つめ合い、顔が近づいてきてキスをされる。
藁の上で、動物たちは静かだが、しばらくあなた達の口づけが響いた。
「……ああ。やっと少し心が静まったぞ。お前が帰ってきて安心した」
「ふふ。ごめんね。ちゃんと帰って来たよ」
そっと微笑み合って、胸に頭をあずけて寄りかかる。
「買い物はちゃんと出来たか? 何を買ったんだ?」
ルドガーに穏やかに問われて、あなたはおずおずと持ってきていた袋を取り出した。
こんな場所で渡すのもあれだけど、早く今回の理由を明かしてしまいたかった。
大騒動になる原因を作ってしまったのだ。
「あのね。魔道具店にも行ったの。可愛いローブ買ったから、あとで見せてあげる」
「ああ、全部見せてくれ。興味があるな」
あなたは真剣に聞いてくれる彼に笑いかける。
少しドキドキしたが、袋から彼に買ったものを出した。
「あとね、実は本当は、今日はこれを買いに行ったんだ。この前、初めてお給料が出たから。ルドガーへのプレゼントだよ。……はいっ」
恥ずかしくなり、サイズの大きな暗色のシャツを彼の胸に押し付けた。
彼からはお花やネックレスなど素晴らしいものをたくさんもらっているが、自分が何か贈るのは初めてで緊張した。
「え……? 俺の、服……? お前、それを買いに行ったのか……?」
ルドガーは目をはっと見開いた。その表情があまりに純粋で、少し幼くも見えて。
あなたは照れた笑みを浮かべて頷く。
「…………名無しっ!!」
すると彼はものすごい勢いであなたの小さな体を自分の胸にしまい込んだ。
きつくきつく抱きしめられ、苦しいほどである。
「わあっ、ちょっ、服がつぶれるよっ」
「あ、すまん、……嬉しすぎてな⋯! ああ、信じられん!」
彼はすごく照れくさそうな舞い上がった顔をしていた。
それほど予想外のことだったのだろうか。
シックなシャツを開き、まじまじと確かめ、顔つきがさらに柔らかく緩んでいく。
「そんなに服の前で嬉しそうなあなた、初めて見たよ」
「だって、お前からもらったものだからだ。……すごく格好いいな、俺に似合うだろうか?」
絶対似合うよ!とあなたが嬉しくなりおすすめすると、さっき服を着替えたばかりの彼は、もう一度上を脱いでシャツを着こんでくれた。
分厚い胸が張っていて、上からでも筋肉質で美しい体の線が分かる。襟元も袖も、きっちりと大人な雰囲気でとてもよく似合っていた。
「格好いいよ~最高っ!」
「ははっ、そうか? 嬉しいな。……ありがとうな、名無し。最高の贈り物だ!」
ルドガーはにこりと笑って、あなたをふわっと抱き上げた。
二人は近い目線で笑顔を交わし、また唇を重ねる。
今日はあんなことがあったのに、今こうして幸せな気分で向かい合ってることが、奇跡にも思える。
でも本当は、必然なのだ。たとえ何かが起こったとしても、二人の間を変えることはできない。
そこに在るのは、二人でこれまで作ってきた、大切な居場所だからである。
「すごく気に入ったぞ。毎日着るか」
「ええっ、すぐボロボロになりそう」
「それは嫌だな。じゃあ特別なときにしよう。お洒落なデートのときだ」
「うんっ!」
明るい約束をして、あなたもとびきりの喜びを見せる。
二人は手をつないで、しばらく厩舎で寄り添っていた。
するとまた、今日のことを振り返る。
「ねえねえ、あの人、どうなるのかな。大丈夫かな」
「……そうだな。ミザロが決めることだ。俺達はひとまずそれに従う」
「うん……」
肩に頭をそっと預けていると、彼があなたの顔をのぞきこんできた。
「大丈夫だぞ、名無し。何があっても、俺たちは一緒だ。そうすれば怖いものはない。何にも負けないんだ」
踏み込んだ彼の言葉が、今のあなたの心を柔らかく包んでいく。
指を絡ませた手のひらからも、二人の繋がりを感じて、あなたは力強く頷いた。
