巨体の人外に助けられて世話される話
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「なんだこれは、クソッ!」
ガシャガシャと檻を力で壊そうとしたのを見て、あなたは慌てて鍵を開ける。
そして外へ出てすぐ、ルドガーの腰に抱きついた。
「よかった、無事だったんだね⋯⋯!」
「⋯⋯名無し! それは俺の台詞だ!」
心痛の面持ちで力強く抱きしめられる。
なぜだか一番の安心に包まれた。あなたは心から彼の帰還が嬉しかった。
「ああ、悪かった。なぜお前をこんなことに⋯!」
彼が悔やむ顔つきで吐き出す。ここまで激情を露わにした姿は初めてのことだ。
「私は大丈夫だよ、心配しないで。あの人達が来たから、虎獣人の人がここにいたら安全だって教えてくれたんだ」
そう伝えるものの、ルドガーは反感を隠せない険しい表情であなたを見つめる。
「ねえ。今日何があったの? 重要な任務だって聞いたけど⋯⋯」
「今日はゼイラン様が指揮する軍から、魔物の討伐命令が出ていた。だから俺も参加していたんだ」
「えっ? そうなんだ⋯⋯大丈夫だったの、そんな大変そうなこと」
あなたは驚いて彼の身体に触れ、怪我がないか確かめる。
だが褐色肌には傷ひとつ見当たらず、むしろ石鹸のいい香りまで漂ってきた。
「お風呂入ったの? ルドガー」
「⋯⋯ああ、湯を浴びた。任務のあとで、屋敷の夕食会があったからな」
話によると、主のゼイランや軍関係者も集まる公式の場だったようだ。
正直、彼は野性的な獣のイメージに固められていたため想像しづらかった。
けれどきちんと自分の社会的立場をもった男性だったのだ。
「どうして仕事のこと、言ってくれなかったの。ぺらぺら喋れなさそうなのは分かるけど。あなたって軍人だったんだね。制服も⋯⋯似合ってるね。いつもと違う」
「そうか⋯⋯。お前に言いたくはなかった。誇れることではない」
なんだか陰りのある言い方をされたが、ルドガーはあなたの頬を大きな手で撫でてきて、もどかしそうだ。
「お前はちゃんと食べたか?」
「うん。昼も夜も食べたよ」
そう答えると、彼はほっとした様子だった。
もうひとつ重要なことだが、ここは彼の本当の家ではないと教えられた。
仕事のために駐在する小屋で、短期的なサイクルで軍人が交代し、森の治安を守っているのだという。
「そうなんだ⋯⋯完全に仕事中だったんだね。それなのに私、ここに居座っちゃって⋯⋯」
「俺が拾ったんだから、俺の責任だ」
当然のように言ってくれる彼に感謝するものの、疑問は残ったままだ。
きっと自分のことを聞いても、あの虎獣人の隊長と同じく分からないだろうと思い、あなたは黙っていた。
ただでさえ感情が治まってない今の彼に、たたみかけることはしたくなかった。
「名無し、上に行こう。ここは冷える」
「うん」
歩けるのに丁寧に横抱きにされて、地下から一階の居間へ運ばれた。
ルドガーは暖炉に薪を焚べ、あなたに毛布をかけて温めてくれる。
ホットミルクまで渡されて、静かに口をつけた。
彼は黙々と散らかった酒瓶の食卓を片付けている。
自分がやると言ったが断られてしまった。
まだ今日の顛末を気にしているようだ。
「あのね。隊長のセヴァさんは親切にしてくれたよ。他の大きな声の獣人さんたちからも守ってくれてさ。ルドガーのこともよく知ってるみたいだった」
気を紛らわせようと話題を振ると、彼はムッとした顔で振り向いた。
「親切だと? あんな檻に入れてか。お前を解放してすぐに帰るべきだろう。あいつらはこの俺より粗暴な連中だ!」
強く憤る彼を見て、あなたは動揺しハラハラする。
「でも、ここまで来て祝おうとしてくれたんだよ、仲間思いじゃないかな。それに皆騒ぐから私が隠れただけで――」
そう伝えるが、彼はあなたが彼らをかばうことが理解できない様子だ。
ルドガーは次第に弱々しい表情になっていく。
「⋯⋯偉そうに腹を立ててはいるが、俺も同じだ。⋯⋯お前を閉じ込めて好きにしている。お前を気に入ったから、離れさせなくしているんだ」
食卓に両手をついてうなだれ、彼はそう認めた。
あなたはあまりに感情にあふれた彼の告白に、居ても立ってもいられなくなる。
立ち上がり、そばへ駆け寄った。
「今は違うよ。自分でここにいるんだから。さっきだってそう。安全な檻に自分で入ってルドガーを待ってたんだよ」
横から分厚い体躯を抱きしめると、彼の反応は一瞬遅れたが、広い腕ですくって抱擁を返される。
彼は大きく身を屈め、あなたの唇にゆっくりとキスをした。
そんなはかなげで相手を思いやる口づけは、初めてかもしれない。
「んっ⋯⋯」
「名無し⋯⋯俺を待っててくれたのか。ありがとうな。⋯⋯だが、いつも一人にして悪かった」
「⋯⋯しょ、しょうがないよ、仕事なんだし」
何度かしっとり唇を重ねられる。
この甘い雰囲気はなんだろうと焦ったけれど、彼の柔らかい感情に触れているようで、心地よさは広がっていった。
しかし、ルドガーはまだ引っかかることがあったようだ。
あなたと共に暖炉前に腰を下ろし、話し始めてくれたのだが。
「セヴァと話したのか」
「うん。紳士的でいい人だよね。どんな関係なの? 仕事の同僚?」
「⋯⋯そうだ。軍の規律を俺に叩き込んでくれた。新人の頃から世話になった隊長だ。俺に命じるのは主だけだから、直属の上官ではないけどな」
あなたは納得しながら話に聞き入る。
最初は傍若無人な大男だと思っていたのに、実は主に忠誠を誓う軍人だったのだから、新鮮な驚きに包まれる。
隊長が言ったように、ルドガーにはきっと特別な能力があり、主の命にそった単独の行動も多いのだろう。
「お前はよくあいつを褒めるな。セヴァに惚れたのか?」
「⋯⋯えっ?」
突如見当違いなことを言われてあなたは目を剥く。
しかしルドガーは真剣さを崩さなかった。
「何を言ってるの? 今日会ったばかりの人に惚れるわけないでしょう」
「俺は森に落ちていたお前をひと目見て気に入った。ベッドに寝かせて、目覚めたあとは強烈に欲しくなった」
射抜くような激しく甘い眼差しに、言葉が奪われる。
なにやら急に頭まで熱くなってきた。
彼にドキドキするなんて、おかしい。
「それは⋯⋯ルドガーだけだよ。私も彼を何とも思ってないし、彼も私のこと何とも思ってないよ」
サッと正面に向き直り、そう口にした。
今隣をきちんと見つめる勇気がなくなってしまった。
ルドガーはそんなあなたの気を引きたくて、頬にそっと手を添えて自分に向かせる。
「⋯⋯本当だってば。だって今、あなたと一緒にいるんだから」
「俺と一緒⋯⋯? 本当か」
まだ甘くざらっとした声で尋ねてきて、黙って頷いた。
白シャツからのぞく胸板が近づいてくるが、不快じゃない。
むしろあなたは、そこに自ら収まった。
彼をなだめようとして、なぜか信じてもらおうとも考える。
「ねえ⋯⋯だから大丈夫だよ。⋯⋯でも一応これだけ聞くけど、あなたの常識では、もし浮気したらどうなるの?」
別に自分達に当てはめたわけではなく、一般論として問う。彼の激しい反応から予備知識として知りたくなったのだ。
「浮気か。そうだな⋯⋯相手を殺す」
「えぇ!? 嘘でしょう? だって信頼してる人なのに!」
「番を取られそうになったら仕方がないことだ。他のオスは殺さないとな」
あっさりと言われて沈黙した。
獣のまっすぐな思考を甘く見ていたようだ。
「でも殺すって⋯そんなことしないでしょ。ルドガーは優しい人なんだから」
「ふっ。俺は優しくもないし人でもない。簡単に獣を信用するな」
殺気立ってる様子はなく、あなたの頬を撫でながら穏やかに言うが、まさか本当に殺したりしないよね、とあなたは焦っていく。
あんなにいい人そうでルドガーを思いやってる人を。
「まあいい。あいつに話を聞こう。これは大事なことだ」
「な、何するの? 恥ずかしいからやめてよ! あなたが勘違いしてるだけなのに!」
「これはオスとオスの話だ、名無し。怖がるな、お前は選ぶだけでいい」
本当に何を考えてるのだろうと、やはり獣の思考は理解できないと知りあなたは動揺した。
ガシャガシャと檻を力で壊そうとしたのを見て、あなたは慌てて鍵を開ける。
そして外へ出てすぐ、ルドガーの腰に抱きついた。
「よかった、無事だったんだね⋯⋯!」
「⋯⋯名無し! それは俺の台詞だ!」
心痛の面持ちで力強く抱きしめられる。
なぜだか一番の安心に包まれた。あなたは心から彼の帰還が嬉しかった。
「ああ、悪かった。なぜお前をこんなことに⋯!」
彼が悔やむ顔つきで吐き出す。ここまで激情を露わにした姿は初めてのことだ。
「私は大丈夫だよ、心配しないで。あの人達が来たから、虎獣人の人がここにいたら安全だって教えてくれたんだ」
そう伝えるものの、ルドガーは反感を隠せない険しい表情であなたを見つめる。
「ねえ。今日何があったの? 重要な任務だって聞いたけど⋯⋯」
「今日はゼイラン様が指揮する軍から、魔物の討伐命令が出ていた。だから俺も参加していたんだ」
「えっ? そうなんだ⋯⋯大丈夫だったの、そんな大変そうなこと」
あなたは驚いて彼の身体に触れ、怪我がないか確かめる。
だが褐色肌には傷ひとつ見当たらず、むしろ石鹸のいい香りまで漂ってきた。
「お風呂入ったの? ルドガー」
「⋯⋯ああ、湯を浴びた。任務のあとで、屋敷の夕食会があったからな」
話によると、主のゼイランや軍関係者も集まる公式の場だったようだ。
正直、彼は野性的な獣のイメージに固められていたため想像しづらかった。
けれどきちんと自分の社会的立場をもった男性だったのだ。
「どうして仕事のこと、言ってくれなかったの。ぺらぺら喋れなさそうなのは分かるけど。あなたって軍人だったんだね。制服も⋯⋯似合ってるね。いつもと違う」
「そうか⋯⋯。お前に言いたくはなかった。誇れることではない」
なんだか陰りのある言い方をされたが、ルドガーはあなたの頬を大きな手で撫でてきて、もどかしそうだ。
「お前はちゃんと食べたか?」
「うん。昼も夜も食べたよ」
そう答えると、彼はほっとした様子だった。
もうひとつ重要なことだが、ここは彼の本当の家ではないと教えられた。
仕事のために駐在する小屋で、短期的なサイクルで軍人が交代し、森の治安を守っているのだという。
「そうなんだ⋯⋯完全に仕事中だったんだね。それなのに私、ここに居座っちゃって⋯⋯」
「俺が拾ったんだから、俺の責任だ」
当然のように言ってくれる彼に感謝するものの、疑問は残ったままだ。
きっと自分のことを聞いても、あの虎獣人の隊長と同じく分からないだろうと思い、あなたは黙っていた。
ただでさえ感情が治まってない今の彼に、たたみかけることはしたくなかった。
「名無し、上に行こう。ここは冷える」
「うん」
歩けるのに丁寧に横抱きにされて、地下から一階の居間へ運ばれた。
ルドガーは暖炉に薪を焚べ、あなたに毛布をかけて温めてくれる。
ホットミルクまで渡されて、静かに口をつけた。
彼は黙々と散らかった酒瓶の食卓を片付けている。
自分がやると言ったが断られてしまった。
まだ今日の顛末を気にしているようだ。
「あのね。隊長のセヴァさんは親切にしてくれたよ。他の大きな声の獣人さんたちからも守ってくれてさ。ルドガーのこともよく知ってるみたいだった」
気を紛らわせようと話題を振ると、彼はムッとした顔で振り向いた。
「親切だと? あんな檻に入れてか。お前を解放してすぐに帰るべきだろう。あいつらはこの俺より粗暴な連中だ!」
強く憤る彼を見て、あなたは動揺しハラハラする。
「でも、ここまで来て祝おうとしてくれたんだよ、仲間思いじゃないかな。それに皆騒ぐから私が隠れただけで――」
そう伝えるが、彼はあなたが彼らをかばうことが理解できない様子だ。
ルドガーは次第に弱々しい表情になっていく。
「⋯⋯偉そうに腹を立ててはいるが、俺も同じだ。⋯⋯お前を閉じ込めて好きにしている。お前を気に入ったから、離れさせなくしているんだ」
食卓に両手をついてうなだれ、彼はそう認めた。
あなたはあまりに感情にあふれた彼の告白に、居ても立ってもいられなくなる。
立ち上がり、そばへ駆け寄った。
「今は違うよ。自分でここにいるんだから。さっきだってそう。安全な檻に自分で入ってルドガーを待ってたんだよ」
横から分厚い体躯を抱きしめると、彼の反応は一瞬遅れたが、広い腕ですくって抱擁を返される。
彼は大きく身を屈め、あなたの唇にゆっくりとキスをした。
そんなはかなげで相手を思いやる口づけは、初めてかもしれない。
「んっ⋯⋯」
「名無し⋯⋯俺を待っててくれたのか。ありがとうな。⋯⋯だが、いつも一人にして悪かった」
「⋯⋯しょ、しょうがないよ、仕事なんだし」
何度かしっとり唇を重ねられる。
この甘い雰囲気はなんだろうと焦ったけれど、彼の柔らかい感情に触れているようで、心地よさは広がっていった。
しかし、ルドガーはまだ引っかかることがあったようだ。
あなたと共に暖炉前に腰を下ろし、話し始めてくれたのだが。
「セヴァと話したのか」
「うん。紳士的でいい人だよね。どんな関係なの? 仕事の同僚?」
「⋯⋯そうだ。軍の規律を俺に叩き込んでくれた。新人の頃から世話になった隊長だ。俺に命じるのは主だけだから、直属の上官ではないけどな」
あなたは納得しながら話に聞き入る。
最初は傍若無人な大男だと思っていたのに、実は主に忠誠を誓う軍人だったのだから、新鮮な驚きに包まれる。
隊長が言ったように、ルドガーにはきっと特別な能力があり、主の命にそった単独の行動も多いのだろう。
「お前はよくあいつを褒めるな。セヴァに惚れたのか?」
「⋯⋯えっ?」
突如見当違いなことを言われてあなたは目を剥く。
しかしルドガーは真剣さを崩さなかった。
「何を言ってるの? 今日会ったばかりの人に惚れるわけないでしょう」
「俺は森に落ちていたお前をひと目見て気に入った。ベッドに寝かせて、目覚めたあとは強烈に欲しくなった」
射抜くような激しく甘い眼差しに、言葉が奪われる。
なにやら急に頭まで熱くなってきた。
彼にドキドキするなんて、おかしい。
「それは⋯⋯ルドガーだけだよ。私も彼を何とも思ってないし、彼も私のこと何とも思ってないよ」
サッと正面に向き直り、そう口にした。
今隣をきちんと見つめる勇気がなくなってしまった。
ルドガーはそんなあなたの気を引きたくて、頬にそっと手を添えて自分に向かせる。
「⋯⋯本当だってば。だって今、あなたと一緒にいるんだから」
「俺と一緒⋯⋯? 本当か」
まだ甘くざらっとした声で尋ねてきて、黙って頷いた。
白シャツからのぞく胸板が近づいてくるが、不快じゃない。
むしろあなたは、そこに自ら収まった。
彼をなだめようとして、なぜか信じてもらおうとも考える。
「ねえ⋯⋯だから大丈夫だよ。⋯⋯でも一応これだけ聞くけど、あなたの常識では、もし浮気したらどうなるの?」
別に自分達に当てはめたわけではなく、一般論として問う。彼の激しい反応から予備知識として知りたくなったのだ。
「浮気か。そうだな⋯⋯相手を殺す」
「えぇ!? 嘘でしょう? だって信頼してる人なのに!」
「番を取られそうになったら仕方がないことだ。他のオスは殺さないとな」
あっさりと言われて沈黙した。
獣のまっすぐな思考を甘く見ていたようだ。
「でも殺すって⋯そんなことしないでしょ。ルドガーは優しい人なんだから」
「ふっ。俺は優しくもないし人でもない。簡単に獣を信用するな」
殺気立ってる様子はなく、あなたの頬を撫でながら穏やかに言うが、まさか本当に殺したりしないよね、とあなたは焦っていく。
あんなにいい人そうでルドガーを思いやってる人を。
「まあいい。あいつに話を聞こう。これは大事なことだ」
「な、何するの? 恥ずかしいからやめてよ! あなたが勘違いしてるだけなのに!」
「これはオスとオスの話だ、名無し。怖がるな、お前は選ぶだけでいい」
本当に何を考えてるのだろうと、やはり獣の思考は理解できないと知りあなたは動揺した。
