巨体の人外に助けられて世話される話
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森に来て二週間が経った頃。あなたはいつも通りベッドの中で目覚めた。
だが、床で寝ていたはずのルドガーがいない。
「……どこ? 今何時だろう……」
時計を見るともうすぐ昼で、寝すぎてしまったようだ。
目をこすりながらログハウスのリビングに向かった。
ガラス張りの向こうは雨が降っていて、森の風景が薄暗い。
「ルドガー、狩りに行っちゃったのかな。こんなに雨降ってるのに」
大丈夫かな。濡れないかな。
獣の彼は無敵なはずだが、あなたはぽつんと部屋に残され、外を見て佇んでいた。
換毛期が始まった夜みたいに心細くなり、クッションを抱いてその場に座る。
「一人にしないでってば……」
まだ眠くて、その体勢のまま横に倒れた。
そしてあなたは、暖炉が温かな部屋で、体を丸めて眠ってしまった。
しばらくして、ネグリジェにガウンを羽織っただけの小柄な体は、ひょいっと持ち上げられる。
太く逞しい腕に大事に抱えられ、大きなベッドに戻された。
シーツの上で、風呂上りで熱気のこもった体が、あなたをぎゅうっと抱きしめる。
ずっとずっと、待ち望んだ瞬間だ。
彼はしばらくそうしていたが、胸の前で安心して眠る愛おしい寝顔に、早く起きてほしくなってしまった。
「……名無し。俺だぞ。ただいま」
「ん……ぅん……ルドガー……」
自分の名が小さな口元から出たとき、もっとも体が燃え上がりそうになった。
抑えていた想いが、彼の唇を動かし、あなたとの繋がりを得ようとする。
「…んっむ……は、あ……」
「ああ、どうか起きてくれ……」
するとようやくあなたは薄ら目を開ける。
そして、にこりと笑いかけた。
「ふふふ……また夢見ちゃった……だめだよ、獣のルドガーが焼きもち妬いちゃう……」
彼が目を丸くしていると、あなたはだんだんと、自分を抱く体がやけに熱いことを感じた。
これは本物の体温だ。
「え……。なに…? どういうこと?」
さっきまでリビングにいたはずだが、どうやってベッドに来たのだろう。
「名無し! 夢じゃないぞ、戻ってきたんだ」
彼はまばゆい笑顔であなたに語りかけるが、あなたは辺りをきょろきょろ見回した。
「……どこッ? 獣のルドガーどこ行ったのっ?」
寝起きで現実が分からず、混乱している。
そんなあなたを見て、ルドガーは一瞬胸がしめつけられた。
しかし、この長い期間で、あなたの瞳には獣のルドガーへの愛が確かに宿っていたことを、自分が一番よく知っている。
だから彼はすぐに起き上がり、いつも寝ていた床の上に立った。
「大丈夫だぞ、俺はここにいる、少し待ってろよ!」
そう元気づけて、ルドガーは再び獣化して見せた。
びっくりしたあなたの前で、またすぐに人化する。
胸を張り雄々しく立っている褐色肌の男。
うねった短い黒髪に、獣のときより小さくなった黒い角。
あなたはようやく理解して、瞳が揺れ出した。
「戻って来たんだ、ルドガー…!」
「……ああ! そうだぞ、ただいま!」
ルドガーはベッドに膝を乗り上げ、あなたの身軽な体をすくい上げるように抱きしめる。
ぎゅうっと離すまいという強い想いを、伝えたくて仕方なかった。
「ごめんね、少しパニックになっちゃったの、ずっと獣のあなたといたから」
「ああ、わかるぞ。お前が俺のことを、毎日大事にしてくれたからな」
間近で見つめた彼は、切なく愛おしい気持ちにあふれ、顔を近づける。
「んう、ぅ」
唇を触れ合わせ、何度か顔を傾けたあと、またあなたをじっと見た。
「だからこそ、俺は早くこの姿でお前とこうしたかった。ずっとお前のことばかり考えてたんだ……」
大事なことを伝えると、またルドガーは分厚い唇で、あなたの唇を塞ぐ。
赤らんだあなたの顔は、されるがまま恍惚として、広い両肩へぴたりと手を添えていた。
「私も嬉しいよぉ……キスしたかったの。いっぱいして……」
素直に求めると、ルドガーは興奮した様子で、あなたの体に回す腕に力をこめる。
「んっ、ん、む、好き、ルドガー」
「俺もだ、名無し……っ」
唇を合わせられるということがこれほどまでに素晴らしく、奇跡的なことなのだと。
二人の頭の中は、共通の思いで占められていた。
舌をからめて、ずうっとキスをする。
もうそれ以外、いらなかった。
二週間も叶わなかったのだ。
獣の彼と一緒にいて、全部が愛に包まれて満たされていた。
でもこうして抱かれていると、あなたは知らず知らずのうちに溶かされ、目の前の彼のことしか考えられなくなってしまう。
ベッドの上であぐらをかいた彼の腰にまたがり、あなたも太い首に手を回して甘いキスを求める。
けれど彼は一瞬力をほどいて、上気した顔であなたの頬をなであげた。
「やだ、やめないで…っ」
「すまん、繋がらせてくれ、お前のもとに帰ってきたのだと実感したい」
彼はあなたが思う以上に、限界が近づいている。
なんとか理性をとどめ、小さな体を大事に扱おうとしている。
獣の自分にできたのだから、今できないはずはない。
それでも欲しくてたまらない。
だからあなたに許しをもらうと、ネグリジェを優しく脱がして自身の上に招いた。
「ああっ……ルドガー、はいっちゃう……!」
「……くっ……そうだ、やっと一緒だぞ、名無し…!」
がっちりした腕があなたの背を抱え、下からゆっくりと気遣うように揺らしてくれる。
視線はあなたのほうが少し下で、たまに見つめ合うと恥ずかしくてたまらなくなった。
「はぁ、んん、ゆっくり、あぁ」
「ゆっくりだ、お前をたっぷりと味わいたい」
甘い声で囁き、あなたはくらくらと揺れる。
彼の口元があなたの耳をそっとついばみ、キスしてくる。
声がもれてぞくぞくする身をよじり、初めての感覚に陥った。
大きな手も長い腕も、目の前に広がる胸板も。
まるでもう一度ルドガーを知ったみたいに、熱い恋に落ちていく。
「どうした、名無し…? なぜ顔を隠すんだ? よく見せてくれ」
「やあ……だってあなたが……」
「俺がなんだ? どこか、変わってしまったか?」
律動で呼吸を浅くしながら、彼が心配そうに尋ねてくる。
あなたは首を振り、頑張って目を合わせた。
「あなたが、すごく格好いいんだもん……っ」
顔を真っ赤に染めながら伝えると、その赤さはルドガーにも伝染する。
「そ、そうか? そんなに恰好よくなったか、俺は」
「前からだけど……こんなふうに触れられるのも、久し振りだから…」
そう伝えると彼は嬉しそうに笑顔になる。
広い胸に包み込み、キスをしながら想いを返してくれた。
今日はもっと素直になってしまいそうだ。
彼が彼自身を全てあなたに見せてくれたように、あなたもきっとそうなる予感がしていた。
二人は心地よい汗をまとい、シーツの上で手を繋いで天井を見上げる。
狭くなったベッドが嬉しく、あなたは横向きに寝返りを打って微笑みを向けた。
「ねえルドガー。また一緒だね」
「ああ、いつも一緒だぞ。ずっとこうしてる」
彼もこちらに体を向けて、優しく微笑み返す。
そしてルドガー自身も気づく。今自分を映しているあなたの眼差しは、この二週間と少しだけ違うと。
そのことが胸の奥をくすぐって、確かな喜びを覚えさせていく。
「なぁ、してほしいことがあったら全部言え。最近俺は、ずっとお前の世話になっている」
今も全部を気持ちよく包みこんでくれるルドガーが、突然そんなことを言ってきた。
あなたは彼に身を寄せて、自分から頬にキスをした。
うっとりした眼差しで、こう尋ねる。
「何個でもいいの?」
「んっ? おお、いいぞ。お前の願いだ。なにがいい?」
彼は喜びを隠さず、あなたを抱き寄せた。
「じゃあ……いつか、週一回は獣化したあなたとお風呂に入りたいな。そして、人化したあなたには毎日背中を洗ってもらうの」
少し尖った耳元で、そんな可愛らしい願いを聞いた彼は、顔をサッと赤らめる。
「お前の背中は毎日俺が洗ってるよな…? じゃあ獣の俺と風呂に入ることだけか? 増えたのは」
あなたはくすくすとした笑みで頷いた。
ルドガーは、照れながらも首をかしげる。
つまり、あなたの幸せは、ほぼ満たされてるということなのだ。
彼はあなたを抱きしめながら、「でかい風呂が必要だな。作るしかない」なんて言っていた。
二人の大切な時間のことを、すでにちゃんと考え始めてくれてるようだった。
だが、床で寝ていたはずのルドガーがいない。
「……どこ? 今何時だろう……」
時計を見るともうすぐ昼で、寝すぎてしまったようだ。
目をこすりながらログハウスのリビングに向かった。
ガラス張りの向こうは雨が降っていて、森の風景が薄暗い。
「ルドガー、狩りに行っちゃったのかな。こんなに雨降ってるのに」
大丈夫かな。濡れないかな。
獣の彼は無敵なはずだが、あなたはぽつんと部屋に残され、外を見て佇んでいた。
換毛期が始まった夜みたいに心細くなり、クッションを抱いてその場に座る。
「一人にしないでってば……」
まだ眠くて、その体勢のまま横に倒れた。
そしてあなたは、暖炉が温かな部屋で、体を丸めて眠ってしまった。
しばらくして、ネグリジェにガウンを羽織っただけの小柄な体は、ひょいっと持ち上げられる。
太く逞しい腕に大事に抱えられ、大きなベッドに戻された。
シーツの上で、風呂上りで熱気のこもった体が、あなたをぎゅうっと抱きしめる。
ずっとずっと、待ち望んだ瞬間だ。
彼はしばらくそうしていたが、胸の前で安心して眠る愛おしい寝顔に、早く起きてほしくなってしまった。
「……名無し。俺だぞ。ただいま」
「ん……ぅん……ルドガー……」
自分の名が小さな口元から出たとき、もっとも体が燃え上がりそうになった。
抑えていた想いが、彼の唇を動かし、あなたとの繋がりを得ようとする。
「…んっむ……は、あ……」
「ああ、どうか起きてくれ……」
するとようやくあなたは薄ら目を開ける。
そして、にこりと笑いかけた。
「ふふふ……また夢見ちゃった……だめだよ、獣のルドガーが焼きもち妬いちゃう……」
彼が目を丸くしていると、あなたはだんだんと、自分を抱く体がやけに熱いことを感じた。
これは本物の体温だ。
「え……。なに…? どういうこと?」
さっきまでリビングにいたはずだが、どうやってベッドに来たのだろう。
「名無し! 夢じゃないぞ、戻ってきたんだ」
彼はまばゆい笑顔であなたに語りかけるが、あなたは辺りをきょろきょろ見回した。
「……どこッ? 獣のルドガーどこ行ったのっ?」
寝起きで現実が分からず、混乱している。
そんなあなたを見て、ルドガーは一瞬胸がしめつけられた。
しかし、この長い期間で、あなたの瞳には獣のルドガーへの愛が確かに宿っていたことを、自分が一番よく知っている。
だから彼はすぐに起き上がり、いつも寝ていた床の上に立った。
「大丈夫だぞ、俺はここにいる、少し待ってろよ!」
そう元気づけて、ルドガーは再び獣化して見せた。
びっくりしたあなたの前で、またすぐに人化する。
胸を張り雄々しく立っている褐色肌の男。
うねった短い黒髪に、獣のときより小さくなった黒い角。
あなたはようやく理解して、瞳が揺れ出した。
「戻って来たんだ、ルドガー…!」
「……ああ! そうだぞ、ただいま!」
ルドガーはベッドに膝を乗り上げ、あなたの身軽な体をすくい上げるように抱きしめる。
ぎゅうっと離すまいという強い想いを、伝えたくて仕方なかった。
「ごめんね、少しパニックになっちゃったの、ずっと獣のあなたといたから」
「ああ、わかるぞ。お前が俺のことを、毎日大事にしてくれたからな」
間近で見つめた彼は、切なく愛おしい気持ちにあふれ、顔を近づける。
「んう、ぅ」
唇を触れ合わせ、何度か顔を傾けたあと、またあなたをじっと見た。
「だからこそ、俺は早くこの姿でお前とこうしたかった。ずっとお前のことばかり考えてたんだ……」
大事なことを伝えると、またルドガーは分厚い唇で、あなたの唇を塞ぐ。
赤らんだあなたの顔は、されるがまま恍惚として、広い両肩へぴたりと手を添えていた。
「私も嬉しいよぉ……キスしたかったの。いっぱいして……」
素直に求めると、ルドガーは興奮した様子で、あなたの体に回す腕に力をこめる。
「んっ、ん、む、好き、ルドガー」
「俺もだ、名無し……っ」
唇を合わせられるということがこれほどまでに素晴らしく、奇跡的なことなのだと。
二人の頭の中は、共通の思いで占められていた。
舌をからめて、ずうっとキスをする。
もうそれ以外、いらなかった。
二週間も叶わなかったのだ。
獣の彼と一緒にいて、全部が愛に包まれて満たされていた。
でもこうして抱かれていると、あなたは知らず知らずのうちに溶かされ、目の前の彼のことしか考えられなくなってしまう。
ベッドの上であぐらをかいた彼の腰にまたがり、あなたも太い首に手を回して甘いキスを求める。
けれど彼は一瞬力をほどいて、上気した顔であなたの頬をなであげた。
「やだ、やめないで…っ」
「すまん、繋がらせてくれ、お前のもとに帰ってきたのだと実感したい」
彼はあなたが思う以上に、限界が近づいている。
なんとか理性をとどめ、小さな体を大事に扱おうとしている。
獣の自分にできたのだから、今できないはずはない。
それでも欲しくてたまらない。
だからあなたに許しをもらうと、ネグリジェを優しく脱がして自身の上に招いた。
「ああっ……ルドガー、はいっちゃう……!」
「……くっ……そうだ、やっと一緒だぞ、名無し…!」
がっちりした腕があなたの背を抱え、下からゆっくりと気遣うように揺らしてくれる。
視線はあなたのほうが少し下で、たまに見つめ合うと恥ずかしくてたまらなくなった。
「はぁ、んん、ゆっくり、あぁ」
「ゆっくりだ、お前をたっぷりと味わいたい」
甘い声で囁き、あなたはくらくらと揺れる。
彼の口元があなたの耳をそっとついばみ、キスしてくる。
声がもれてぞくぞくする身をよじり、初めての感覚に陥った。
大きな手も長い腕も、目の前に広がる胸板も。
まるでもう一度ルドガーを知ったみたいに、熱い恋に落ちていく。
「どうした、名無し…? なぜ顔を隠すんだ? よく見せてくれ」
「やあ……だってあなたが……」
「俺がなんだ? どこか、変わってしまったか?」
律動で呼吸を浅くしながら、彼が心配そうに尋ねてくる。
あなたは首を振り、頑張って目を合わせた。
「あなたが、すごく格好いいんだもん……っ」
顔を真っ赤に染めながら伝えると、その赤さはルドガーにも伝染する。
「そ、そうか? そんなに恰好よくなったか、俺は」
「前からだけど……こんなふうに触れられるのも、久し振りだから…」
そう伝えると彼は嬉しそうに笑顔になる。
広い胸に包み込み、キスをしながら想いを返してくれた。
今日はもっと素直になってしまいそうだ。
彼が彼自身を全てあなたに見せてくれたように、あなたもきっとそうなる予感がしていた。
二人は心地よい汗をまとい、シーツの上で手を繋いで天井を見上げる。
狭くなったベッドが嬉しく、あなたは横向きに寝返りを打って微笑みを向けた。
「ねえルドガー。また一緒だね」
「ああ、いつも一緒だぞ。ずっとこうしてる」
彼もこちらに体を向けて、優しく微笑み返す。
そしてルドガー自身も気づく。今自分を映しているあなたの眼差しは、この二週間と少しだけ違うと。
そのことが胸の奥をくすぐって、確かな喜びを覚えさせていく。
「なぁ、してほしいことがあったら全部言え。最近俺は、ずっとお前の世話になっている」
今も全部を気持ちよく包みこんでくれるルドガーが、突然そんなことを言ってきた。
あなたは彼に身を寄せて、自分から頬にキスをした。
うっとりした眼差しで、こう尋ねる。
「何個でもいいの?」
「んっ? おお、いいぞ。お前の願いだ。なにがいい?」
彼は喜びを隠さず、あなたを抱き寄せた。
「じゃあ……いつか、週一回は獣化したあなたとお風呂に入りたいな。そして、人化したあなたには毎日背中を洗ってもらうの」
少し尖った耳元で、そんな可愛らしい願いを聞いた彼は、顔をサッと赤らめる。
「お前の背中は毎日俺が洗ってるよな…? じゃあ獣の俺と風呂に入ることだけか? 増えたのは」
あなたはくすくすとした笑みで頷いた。
ルドガーは、照れながらも首をかしげる。
つまり、あなたの幸せは、ほぼ満たされてるということなのだ。
彼はあなたを抱きしめながら、「でかい風呂が必要だな。作るしかない」なんて言っていた。
二人の大切な時間のことを、すでにちゃんと考え始めてくれてるようだった。
