巨体の人外に助けられて世話される話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
あれからしばらくして、日常が戻ってくる。
けれど今日はなぜか、ルドガーと一緒に、赤髪の男ナザルを見つめていた。
一緒に来いと言われて、寮舎の一階にある彼らの部屋に上がり込み、行動を見ているのだ。
ルドガーは一体、どうしちゃったのだろう。
獣としての牽制なのか威圧なのか。
「おい、なんであいつらいんだよ。隅っこで見つめてきてこえーんだけど。お前嫌われてなかったか?」
「知らねーよ。……名無し、あんただけなら大歓迎だけど、なんで旦那までいんだ?」
腕を組み不審がるナザルに、旦那と言われてあなたはぽっと赤くなる。
「えっとぉ……どうしてなの? ルドガー」
「あいつの生態を把握しようとしている。……だが分からん」
しかめっ面で答える彼に、ナザルは「フン」と横柄な様子で笑っていた。
あなた達の半分ほどのサイズの部屋には、セロの研究机と大きな騎士用のベッド、食卓にキッチンなど、暮らしに最適なものがそろっている。
机に向かっていたセロと違い、ナザルは日常的に筋トレをしてるようだ。
上半身裸の男が見せつけるように汗を流し、あなたに爽やかにアピールする。
夕食の時間になると、あなたはお邪魔したお礼として持参した食事を広げた。
「おお~っ、やっぱうめえな! 人間にしか出せない味だわ、これは」
「ありがとうございます。いっぱい食べてくださいね。……ナザルさんはどうですか?」
「わりいな名無し、すっげえ美味そうだけど、俺は人間の食い物は食えねえんだよな」
味わって食べるルドガーとは対照的に、ナザルは申し訳なさそうに笑った。
じゃあ、何を食べるんだろう。
神妙に考え、セロを見やる。すると彼は呆れ笑いをした。
「そうなんだよ、こいつの餌は魔力だから。ちっ。面倒くせえな。ちょうどやるか」
黒髪の平凡な顔立ちの魔術師は、体格のいい赤髪を正面に座らせ、手をのばす。
額にかざすように詠唱をした。
するとナザルは英気を得たように、瞳をゆっくりと開いた。
「……えっ? 今ので終わりですか?」
「そうだよ。腹がふくれたか、ナザル」
「全然。お前のちっぽけな魔力で満杯になったことなんかねえわ」
はは、と笑いながら彼はあなたに目配せした。
「あんたのくれたらもっと嬉しいんだけどなぁ」
「ええっ、私のちょびっとしかないんで、なくなっちゃいますよ。無理です」
「そんなことねえよ、日に日に増えてんじゃねえか」
ナザルは成長を褒めるお兄さん的な微笑みを浮かべる。
同時にあなたはルドガーをちらりと見た。
あなたの頬がそっと染まった表情を見て、ルドガーは顔を近づけてくる。
「何が言いたい? ……キスしてもいいか?」
妙に色づいた小声で囁かれ、顔がもっと熱くなる。
「……だめに決まってるでしょうっ」
他の男達の前で何を言い出すのかと思えば、ルドガーは珍しく皆の前で楽しそうに笑った。
結局二人で長々と滞在した後、おやすみを言って部屋を出る。
寮の廊下を歩いて帰る間、あなた達は会話をした。
ルドガーがまとうムードは、彼らといてもそこまで殺伐としたものではなかった。
この間、想いを確かめ合い、二人きりのデートの時間を経てから、少し落ち着いたのかもしれない。
けれど今日の行動は、あなたの心を少しだけざわつかせる。
彼の本能はやはり獣だからだ。
「ねえねえ、まさか殺すための準備とかじゃないよね? そんなことしちゃだめだからね」
「安心しろ、そんなことはしない。…まだな」
彼は不気味に言い、廊下で振り返る。
指先があなたの重なり合うネックレスに触れると、顔つきが一瞬柔らかくなった。
かと思うと、また思案するような真剣な面持ちになる。
「名無し……あいつ、俺に似ていないか?」
「えっ? もしかして、ナザルさん? どこが? 全然似てないよ! ……どうしたのルドガー」
あなたは心配した。まさかそこまで思い詰めてるのかと。
だが彼は冷静で、まったくそういうことじゃないらしかった。
「気質の話じゃない。外見だ。……あいつの角、それに体格も……俺と同じで、獣人ではないよな。耳も尾もない、人化できる獣だ」
どうやら彼がしてるのは種族的な話のようだ。
確かに色は違うが、二人の角の形はよく似ていた。
だが、今日の生活を見ていても、ルドガーとナザルは根本的に違う気がした。
ルドガーも人の形になれるけれど、普通に食事もするし睡眠も必要だ。
だがナザルは、さっき聞いた話だが、別に寝なくても生きられるらしい。
「あいつは前に、自分を幻獣だと言っていた。お前も見ただろう、黒い気体になって、壁をすり抜けたり、小動物に変身もできる」
確かに、すごく異質な存在だ。
それに彼は姿にかかわらず、魔法もある程度使えるらしい。
セロの魔力で動いていると言っていたから、魔術が関わっているのだろうか。
「でも外見が少し似ているのは、もしかしてルドガーと同じ種族、とか…?」
ルドガーの獣の姿を見たことはあるが、詳しくは聞いたことがなかった。
彼の過去も含め、安易に触れていい話題か分からなかったのだ。
「俺の種族は、戦闘を生業とする古代種というだけで、詳しくは不明なんだ。ゼイラン様に引き取られて間もない頃、学者に調べさせたらしいが、魔界でも希少種だと言われた」
初めて知る話にあなたは驚いた。
ルドガーの様子をじっと伺ったけれど、深く思い悩む様子はなく、ただ事実として受け止めているようだ。
けれど自分の生まれが定まらない気持ちは、少なからずあなたにも理解できる。
「もし仲間とかがいて、何か分かればいいんだけどね……ナザルさんに聞いても、教えてくれないかな」
「きっと答えないだろうな。セロも同じだ、語りたがらなかっただろう?」
あなたは思い出しながら頷いた。
二人は少しずつ素を見せてくれているけれど、おそらく根幹の部分は明かしていないのだ。
まるで何か隠してるかのように。
けれどひとつだけ確かなのは、やはりルドガーは、ナザルの実態を知りたがっているということだった。
「あいつの角も、煙になる力も、あの言葉も……偶然とは思えない」
思い返すように呟いた彼の横顔は、どこか悩ましげだった。
「なあ、俺はゼイラン様に会いに行こうと思う。お前も来てくれるか?」
「……えっ? うん! 一緒に行こうよ! 彼が何か知ってるかな?」
「いや……分からないが。他にも確かめたいことがあるんだ」
ルドガーは決意をこめた眼差しで、あなたの手をしっかりと握っていた。
けれど今日はなぜか、ルドガーと一緒に、赤髪の男ナザルを見つめていた。
一緒に来いと言われて、寮舎の一階にある彼らの部屋に上がり込み、行動を見ているのだ。
ルドガーは一体、どうしちゃったのだろう。
獣としての牽制なのか威圧なのか。
「おい、なんであいつらいんだよ。隅っこで見つめてきてこえーんだけど。お前嫌われてなかったか?」
「知らねーよ。……名無し、あんただけなら大歓迎だけど、なんで旦那までいんだ?」
腕を組み不審がるナザルに、旦那と言われてあなたはぽっと赤くなる。
「えっとぉ……どうしてなの? ルドガー」
「あいつの生態を把握しようとしている。……だが分からん」
しかめっ面で答える彼に、ナザルは「フン」と横柄な様子で笑っていた。
あなた達の半分ほどのサイズの部屋には、セロの研究机と大きな騎士用のベッド、食卓にキッチンなど、暮らしに最適なものがそろっている。
机に向かっていたセロと違い、ナザルは日常的に筋トレをしてるようだ。
上半身裸の男が見せつけるように汗を流し、あなたに爽やかにアピールする。
夕食の時間になると、あなたはお邪魔したお礼として持参した食事を広げた。
「おお~っ、やっぱうめえな! 人間にしか出せない味だわ、これは」
「ありがとうございます。いっぱい食べてくださいね。……ナザルさんはどうですか?」
「わりいな名無し、すっげえ美味そうだけど、俺は人間の食い物は食えねえんだよな」
味わって食べるルドガーとは対照的に、ナザルは申し訳なさそうに笑った。
じゃあ、何を食べるんだろう。
神妙に考え、セロを見やる。すると彼は呆れ笑いをした。
「そうなんだよ、こいつの餌は魔力だから。ちっ。面倒くせえな。ちょうどやるか」
黒髪の平凡な顔立ちの魔術師は、体格のいい赤髪を正面に座らせ、手をのばす。
額にかざすように詠唱をした。
するとナザルは英気を得たように、瞳をゆっくりと開いた。
「……えっ? 今ので終わりですか?」
「そうだよ。腹がふくれたか、ナザル」
「全然。お前のちっぽけな魔力で満杯になったことなんかねえわ」
はは、と笑いながら彼はあなたに目配せした。
「あんたのくれたらもっと嬉しいんだけどなぁ」
「ええっ、私のちょびっとしかないんで、なくなっちゃいますよ。無理です」
「そんなことねえよ、日に日に増えてんじゃねえか」
ナザルは成長を褒めるお兄さん的な微笑みを浮かべる。
同時にあなたはルドガーをちらりと見た。
あなたの頬がそっと染まった表情を見て、ルドガーは顔を近づけてくる。
「何が言いたい? ……キスしてもいいか?」
妙に色づいた小声で囁かれ、顔がもっと熱くなる。
「……だめに決まってるでしょうっ」
他の男達の前で何を言い出すのかと思えば、ルドガーは珍しく皆の前で楽しそうに笑った。
結局二人で長々と滞在した後、おやすみを言って部屋を出る。
寮の廊下を歩いて帰る間、あなた達は会話をした。
ルドガーがまとうムードは、彼らといてもそこまで殺伐としたものではなかった。
この間、想いを確かめ合い、二人きりのデートの時間を経てから、少し落ち着いたのかもしれない。
けれど今日の行動は、あなたの心を少しだけざわつかせる。
彼の本能はやはり獣だからだ。
「ねえねえ、まさか殺すための準備とかじゃないよね? そんなことしちゃだめだからね」
「安心しろ、そんなことはしない。…まだな」
彼は不気味に言い、廊下で振り返る。
指先があなたの重なり合うネックレスに触れると、顔つきが一瞬柔らかくなった。
かと思うと、また思案するような真剣な面持ちになる。
「名無し……あいつ、俺に似ていないか?」
「えっ? もしかして、ナザルさん? どこが? 全然似てないよ! ……どうしたのルドガー」
あなたは心配した。まさかそこまで思い詰めてるのかと。
だが彼は冷静で、まったくそういうことじゃないらしかった。
「気質の話じゃない。外見だ。……あいつの角、それに体格も……俺と同じで、獣人ではないよな。耳も尾もない、人化できる獣だ」
どうやら彼がしてるのは種族的な話のようだ。
確かに色は違うが、二人の角の形はよく似ていた。
だが、今日の生活を見ていても、ルドガーとナザルは根本的に違う気がした。
ルドガーも人の形になれるけれど、普通に食事もするし睡眠も必要だ。
だがナザルは、さっき聞いた話だが、別に寝なくても生きられるらしい。
「あいつは前に、自分を幻獣だと言っていた。お前も見ただろう、黒い気体になって、壁をすり抜けたり、小動物に変身もできる」
確かに、すごく異質な存在だ。
それに彼は姿にかかわらず、魔法もある程度使えるらしい。
セロの魔力で動いていると言っていたから、魔術が関わっているのだろうか。
「でも外見が少し似ているのは、もしかしてルドガーと同じ種族、とか…?」
ルドガーの獣の姿を見たことはあるが、詳しくは聞いたことがなかった。
彼の過去も含め、安易に触れていい話題か分からなかったのだ。
「俺の種族は、戦闘を生業とする古代種というだけで、詳しくは不明なんだ。ゼイラン様に引き取られて間もない頃、学者に調べさせたらしいが、魔界でも希少種だと言われた」
初めて知る話にあなたは驚いた。
ルドガーの様子をじっと伺ったけれど、深く思い悩む様子はなく、ただ事実として受け止めているようだ。
けれど自分の生まれが定まらない気持ちは、少なからずあなたにも理解できる。
「もし仲間とかがいて、何か分かればいいんだけどね……ナザルさんに聞いても、教えてくれないかな」
「きっと答えないだろうな。セロも同じだ、語りたがらなかっただろう?」
あなたは思い出しながら頷いた。
二人は少しずつ素を見せてくれているけれど、おそらく根幹の部分は明かしていないのだ。
まるで何か隠してるかのように。
けれどひとつだけ確かなのは、やはりルドガーは、ナザルの実態を知りたがっているということだった。
「あいつの角も、煙になる力も、あの言葉も……偶然とは思えない」
思い返すように呟いた彼の横顔は、どこか悩ましげだった。
「なあ、俺はゼイラン様に会いに行こうと思う。お前も来てくれるか?」
「……えっ? うん! 一緒に行こうよ! 彼が何か知ってるかな?」
「いや……分からないが。他にも確かめたいことがあるんだ」
ルドガーは決意をこめた眼差しで、あなたの手をしっかりと握っていた。
