巨体の人外に助けられて世話される話
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翌日。カーテンからの木漏れ日に目覚めても、あなたはまだ夢の中にいるようだった。
「……体が重い……ルドガーのバカ。えっち」
ベッドの中から裸で横向きになり、仕事の制服に着替える彼を恨めしく見る。
たくましい褐色肌が白シャツに覆われても、昨夜の活力に満ちあふれたイメージがぬぐえない。
「疲れたか? 俺の魔力が入ったかな」
「……ばかっ」
「ははっ。お前の怒った顔も好きだ」
彼は戻って来て、シーツに片膝をのりあげる。あなたの髪をさらっと優しく払い、頬に音付きのキスをした。
なにやら機嫌がすこぶる良い。
あなたのことを心行くまで愛することができたためだ。
昨日は初めて「愛してる」と彼に告げたが、それが彼の心の中では大きな自信となり、幸せに輝いている。
少し照れくさく思いながらも、あなたはゆっくり起き上がった。
「待って。朝ごはん準備するよ」
「大丈夫だ、休んでいろ。もう用意した」
あなたが驚いてガウンを羽織り、キッチン近くのテーブルに向かうと、珈琲とサンドイッチが置いてあった。
感動で目が潤む。
「ありがとう~優しいルドガ~っ」
「ふっ。単純だな、お前は。では激しく抱いた次の日はいつもこうしよう」
「もうっそんなこと言ってないでしょ!」
くるくると表情の変わるあなたの存在は、この騎士団での二人の生活を明るく照らし続けていた。
「ねえ、結局魔力は増えた?」
「分からん。俺には差が見えないんだが……あとで聞いてみよう」
「えっ?」
隣に座るルドガーはあなたの頬を指で撫で、穏やかにそう言った。
二人で仲良く並んでごはんを食べたあと、ふとルドガーが席を立つ。
「もう行くの?」
「ああ。別のやることがある」
まだ制服の上着を椅子にかけたまま玄関から出ていくので、あなたは気になって後を追った。
するとなんと、廊下に出て、隣のジュリスのドアを叩いたのだ。
珍しい。なにか用でもあるのだろうか。
「――なんだい? ああ、君か。短期間でこんなに接触されるとは。しかも朝早くに」
「まだ寝ていたのか? もう出勤時間だろう」
「俺は幹部なんでね。重役出勤でいいのさ。……あ、おはよう。名無し。昨日はよく眠れた?」
声音を柔らかくし、朝からキラキラ金髪がまぶしい寝間着の美男子に目配せされる。
あなたはドキっとしながらも、「はい」と手を軽く振った。
「ジュリス。お前に聞きたいことがある。俺たちの、昨日の交尾の音が聞こえたか?」
その衝撃的な台詞に、魔族の彼と人間のあなたは一瞬動きが止まった。
だがすぐに阿鼻叫喚のあなたの反応が割り込む。
「なっ、なっ、なっ、なに言い出すの、バカっっっ、恥ずかしいこと言わないで!!」
「どうなんだ、教えろ」
「いや……教えろって。たとえ聞こえてたとしても、言いにくくないか? レディの前で」
色男の騎士でさえも、腕を組み、困惑の青い瞳でルドガーを見ている。
「まあ答えは聞こえなかった、だが。正確には、俺は夜は出かけることが多いんだ、街にね。だからそういう物音は気にしなくていいよ」
とても恥ずかしい状況だが、大人な答えにあなたは真っ赤になり縮こまる。
「そうか。ならいい」
「……ルドガー……もう分かったでしょう。行くよ……。すみません、ジュリスさん。この人、獣なんです。羞恥心が薄いんです」
「うん、そうだろうね。――でもな、ルドガー。俺からひとつ助言をしておこう」
少し真剣な顔立ちで、彼は同僚をじっと見つめた。
「これは直感なんだけど。君、童貞だったんじゃないか? 女性を辱めたらいけないぞ。彼女の顔を見てみろ。恥ずかしさで真っ赤っ赤だ。俺にはとてもソソるが」
「何を言っている? 殺すぞ。 俺は気になったことを聞いただけだ。名無しが気にしていたからな。それに、童貞で何が悪い」
ルドガーは表情を変えないが、威圧的に目力を強めている。
童貞だったことを知っているあなたは、ハラハラと二人の間を見守った。
「悪くはないさ。俺も団長も、君の隊長だって、男は皆最初は童貞だったんだから。けれどな、ひときわモテる俺から言わせてもらうと――」
「お前はただの女たらしだ。すべては一人の女を大事に出来ないオスの戯言にすぎん。じゃあな」
くるっと大きな背中を向けたルドガーは、あなたの手を握りまた部屋へと戻ろうとした。
「……ちょっ……今のはすごくグサっと来たぞ。……獣に諭されるとは……」
本気で呆然とショックを受けているジュリスが少し可哀そうだったが、あなたはぺこっとお辞儀をして去った。
部屋の扉を閉めて、玄関先で向き直る。
「ルドガー、すごく良いこと言ってたけど、ジュリスさんショック受けてたよ。ダメだよ、本当のこと言ったら」
「またか? 難しいな。本当のことを言うのは良いことだろう。あいつはいつも複数の女の匂いをまとっていてな、鼻がもげそうだったんだ。いつか文句を言おうと思っていた。それに、俺は女にだらしない奴は嫌いだ」
怒られて若干拗ねたような顔のルドガーは、あなたをぎゅっと抱きしめる。
出発前にしてはやたらと長いハグに、あなたもだんだんと表情を和らげた。
「格好いいね、ルドガーは。そんなところも好きだよ。交尾のこと話したときは引いたけど」
「それは悪かった。気をつけよう。もう言わないぞ」
「そうだよ。二人の秘密のやり取りなんだから。愛し合うのは、私達だけの大切な行為でしょう?」
上目遣いのあなたの瞳に、ルドガーはぐっと胸をつかまれたようだ。
「そうだな。わかった。お前が正しい」
そこまでは良かったのだが。
獣の彼は、やっぱり思考がやや真っ直ぐすぎる。
「よし、じゃあ部屋に防音効果をつけよう。それでお前もたくさん声を出せる」
「……はっ? どうやってそんなことするの?」
「騎士団には結界師がいるんだ。そいつに防音魔法を貼ってもらう。もう安心だぞ、名無し」
何を言ってるのかよく分からなかったが、あなたは首をひねりながらも、ひとまず頷いてみた。
「……体が重い……ルドガーのバカ。えっち」
ベッドの中から裸で横向きになり、仕事の制服に着替える彼を恨めしく見る。
たくましい褐色肌が白シャツに覆われても、昨夜の活力に満ちあふれたイメージがぬぐえない。
「疲れたか? 俺の魔力が入ったかな」
「……ばかっ」
「ははっ。お前の怒った顔も好きだ」
彼は戻って来て、シーツに片膝をのりあげる。あなたの髪をさらっと優しく払い、頬に音付きのキスをした。
なにやら機嫌がすこぶる良い。
あなたのことを心行くまで愛することができたためだ。
昨日は初めて「愛してる」と彼に告げたが、それが彼の心の中では大きな自信となり、幸せに輝いている。
少し照れくさく思いながらも、あなたはゆっくり起き上がった。
「待って。朝ごはん準備するよ」
「大丈夫だ、休んでいろ。もう用意した」
あなたが驚いてガウンを羽織り、キッチン近くのテーブルに向かうと、珈琲とサンドイッチが置いてあった。
感動で目が潤む。
「ありがとう~優しいルドガ~っ」
「ふっ。単純だな、お前は。では激しく抱いた次の日はいつもこうしよう」
「もうっそんなこと言ってないでしょ!」
くるくると表情の変わるあなたの存在は、この騎士団での二人の生活を明るく照らし続けていた。
「ねえ、結局魔力は増えた?」
「分からん。俺には差が見えないんだが……あとで聞いてみよう」
「えっ?」
隣に座るルドガーはあなたの頬を指で撫で、穏やかにそう言った。
二人で仲良く並んでごはんを食べたあと、ふとルドガーが席を立つ。
「もう行くの?」
「ああ。別のやることがある」
まだ制服の上着を椅子にかけたまま玄関から出ていくので、あなたは気になって後を追った。
するとなんと、廊下に出て、隣のジュリスのドアを叩いたのだ。
珍しい。なにか用でもあるのだろうか。
「――なんだい? ああ、君か。短期間でこんなに接触されるとは。しかも朝早くに」
「まだ寝ていたのか? もう出勤時間だろう」
「俺は幹部なんでね。重役出勤でいいのさ。……あ、おはよう。名無し。昨日はよく眠れた?」
声音を柔らかくし、朝からキラキラ金髪がまぶしい寝間着の美男子に目配せされる。
あなたはドキっとしながらも、「はい」と手を軽く振った。
「ジュリス。お前に聞きたいことがある。俺たちの、昨日の交尾の音が聞こえたか?」
その衝撃的な台詞に、魔族の彼と人間のあなたは一瞬動きが止まった。
だがすぐに阿鼻叫喚のあなたの反応が割り込む。
「なっ、なっ、なっ、なに言い出すの、バカっっっ、恥ずかしいこと言わないで!!」
「どうなんだ、教えろ」
「いや……教えろって。たとえ聞こえてたとしても、言いにくくないか? レディの前で」
色男の騎士でさえも、腕を組み、困惑の青い瞳でルドガーを見ている。
「まあ答えは聞こえなかった、だが。正確には、俺は夜は出かけることが多いんだ、街にね。だからそういう物音は気にしなくていいよ」
とても恥ずかしい状況だが、大人な答えにあなたは真っ赤になり縮こまる。
「そうか。ならいい」
「……ルドガー……もう分かったでしょう。行くよ……。すみません、ジュリスさん。この人、獣なんです。羞恥心が薄いんです」
「うん、そうだろうね。――でもな、ルドガー。俺からひとつ助言をしておこう」
少し真剣な顔立ちで、彼は同僚をじっと見つめた。
「これは直感なんだけど。君、童貞だったんじゃないか? 女性を辱めたらいけないぞ。彼女の顔を見てみろ。恥ずかしさで真っ赤っ赤だ。俺にはとてもソソるが」
「何を言っている? 殺すぞ。 俺は気になったことを聞いただけだ。名無しが気にしていたからな。それに、童貞で何が悪い」
ルドガーは表情を変えないが、威圧的に目力を強めている。
童貞だったことを知っているあなたは、ハラハラと二人の間を見守った。
「悪くはないさ。俺も団長も、君の隊長だって、男は皆最初は童貞だったんだから。けれどな、ひときわモテる俺から言わせてもらうと――」
「お前はただの女たらしだ。すべては一人の女を大事に出来ないオスの戯言にすぎん。じゃあな」
くるっと大きな背中を向けたルドガーは、あなたの手を握りまた部屋へと戻ろうとした。
「……ちょっ……今のはすごくグサっと来たぞ。……獣に諭されるとは……」
本気で呆然とショックを受けているジュリスが少し可哀そうだったが、あなたはぺこっとお辞儀をして去った。
部屋の扉を閉めて、玄関先で向き直る。
「ルドガー、すごく良いこと言ってたけど、ジュリスさんショック受けてたよ。ダメだよ、本当のこと言ったら」
「またか? 難しいな。本当のことを言うのは良いことだろう。あいつはいつも複数の女の匂いをまとっていてな、鼻がもげそうだったんだ。いつか文句を言おうと思っていた。それに、俺は女にだらしない奴は嫌いだ」
怒られて若干拗ねたような顔のルドガーは、あなたをぎゅっと抱きしめる。
出発前にしてはやたらと長いハグに、あなたもだんだんと表情を和らげた。
「格好いいね、ルドガーは。そんなところも好きだよ。交尾のこと話したときは引いたけど」
「それは悪かった。気をつけよう。もう言わないぞ」
「そうだよ。二人の秘密のやり取りなんだから。愛し合うのは、私達だけの大切な行為でしょう?」
上目遣いのあなたの瞳に、ルドガーはぐっと胸をつかまれたようだ。
「そうだな。わかった。お前が正しい」
そこまでは良かったのだが。
獣の彼は、やっぱり思考がやや真っ直ぐすぎる。
「よし、じゃあ部屋に防音効果をつけよう。それでお前もたくさん声を出せる」
「……はっ? どうやってそんなことするの?」
「騎士団には結界師がいるんだ。そいつに防音魔法を貼ってもらう。もう安心だぞ、名無し」
何を言ってるのかよく分からなかったが、あなたは首をひねりながらも、ひとまず頷いてみた。
