美オヤジを誘って囲われて救われる話
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ヴィクトルが東欧出張へ行ってから五日が経った。
あなたの日常は仕事と家の往復に、料理や家事をしたりと変わりない。
だが時々国際ニュースをスマホでチェックしている。
「ああよかった、今日も何も起きてないな」
そうしてほっとして、しばらく彼のことを考え、また生活に戻る。
……いや、本当はどんな時でもヴィクトルのことを考えてしまっていた。
まだたった五日なのに、海外という遠い場所にいるからだろうか。
自分が一人になった感覚がして、それは久々のものだった。
でもヴィクトルは普段より更に仕事が大変だろうに、毎日メールをくれる。
「本当に彼って、優しいなぁ……」
温かい文章を見るたびにあなたは幸せな気分になり、ちゃんと安心もする。
やっぱり離れている分、何をしているか分からないため、時々不安にもなるのだ。
そんな心を彼のメッセージは包み込むように癒してくれた。
あなたは普段平日の出勤が中心だが、ある土曜日にブティックの店頭に立っていた。
なぜならヴィクトルの同僚である女性二人が、嬉しいことに訪問してくれるからだ。
夕方の人が少ない時間に、お洒落なコートとブーツ姿の華やかな二人組がやって来た。
一人は三十代半ばの大人の女性マグダで、もう一人は彼女の後輩的存在のケイトだった。
「名無しさん、来たよ~! お店すっごく美しいわね、門から庭園までの景色が映画みたいで足が止まっちゃった!」
「ありがとうございます、オーナーがこだわって作ったので、きっと聞いたら喜びますよ」
マグダに褒められたあなたも感激して出迎える。
感情表現豊かな彼女に比べ飄々と自由な性格のケイトも、あなたに会えて嬉しそうに緩いハイタッチをしてくれた。
彼女達はここへ来ることを楽しみにしていたようで、さっそく一階、二階とゴシックなディティールに満ちた洋館内を巡る。
「今日はさ、私絶対買うわよ。ホームページで予め見てきたから。でもね、私の骨格がさ、結構たくましくて合う服探すの難しいんだよね。どうしよう名無しさん」
「ちょっと先輩、早々に考えるの放棄しないでくださいよ~。名無しさんが困るでしょ」
「大丈夫ですよ、マグダさんは長身で足がすらっと長くて、スタイルがものすごく良いんです。あと普段は綺麗めを着ることが多いけど、フェミニンな雰囲気のものも試したいとおっしゃってましたよね。私何着かピックアップしてみたんです、ご覧になりますか? もちろんケイトさん好みのハードめのアイテムもありますので持ってきますよ」
「マジですか、見る見る!」
「わっ、ありがとう!」
目を輝かせた二人の声が色めきだつ。
この間のクリスマス会でお喋りをした時に、彼女達からいろいろと聞いていたおかげで準備ができていた。
最初にケーキ店で会った際の服装やクリスマス会のドレスアップから、参考になったのだ。
二階のゆったりした試着ルームでフィッティングを終えた頃には、このブティックの虜となっているようだった。
そして数十分経つと、二人の腕にはいくつかの紙袋が下げられ、表情もほくほくして満足顔だ。
「もうこんなに可愛い服に出会えると思わなかった。私にあんなに似合うワンピースドレスあるなんてさ。予定より買っちゃったわよ。ねえケイト、あなたも珍しく私に対して賞賛の嵐だったね」
「うん。そうですよ先輩。だってめっちゃ可愛かったです、女の子って感じで。今までの服全部捨てたほうがいいですよ。あとメイクも変えましょう」
「あんたねえ! そこまで言うことないでしょ!」
二人のいつもの仲の良さに、あなたは会計をしながら笑っていた。
ケイトもお気に入りの黒革ジャケットと鞄を見つけ、誇らしげに袋を抱えている。
店のスタッフという以前に、あなた自身が大好きなテイストの服を紹介できたことが、本当に嬉しく思えた日だった。
「あの、これオリジナルのキーケースのノベルティなんです。よかったら使ってください。こちらに一緒に入れておきますね」
「可愛い~ありがとう! あ、そうだ。大事なこと忘れてた、これ渡そうと思ってね」
帰る間際、マグダがあるものを手渡してくれた。
今日は仕事モードと友人モードの中間にいたあなたが、それを見て愕然とする。
「えっ……待ってください……これって……ヴィクトル……?」
「そうなの、部長の写真! 五年ぐらい前かな、クリスマス会のやつなんだけど。微妙に若いでしょう? 名無しさん欲しいかなと思って」
「欲しいです!!」
「はは、すごい食いつきですね~。愛されてるんだな部長。今度教えてあげよー」
何気に鋭いケイトの突っ込みもすぐ耳に入らないほど、あなたは興奮してその数枚の写真を食い入るように見つめていた。
本当にいいのかと尋ねたら、「私が持っててもしょうがない」と言われ甘えることにする。
爽やかなスーツ姿のヴィクトルが、この前とは違う雰囲気の会場にいて、もう少し若い社員らと笑顔のカメラ目線で映っているものだ。
「ありがとうございます、マグダさん。宝物にしますね、へへ」
「よかった、喜んでくれて。やっぱり必要な人のところにあるのが一番いいからね」
「ちなみにその左端に映ってるの、先輩の元カレです」
「……えっ、本当ですか!?」
あなたは急に言われて度肝を抜かれた。
マグダを見やると彼女は否定もせず真顔だった。
「そうだったんですか、じゃあもらわないほうがいいんじゃ…!」
「ううん、もらってちょうだい。元カレのものなんて、後生大事に持ってるほうがおかしいんだから。そう思わない?」
「……お、思います。元カレのものなんていらないですよ、何も!」
あなたが急に前のめりになって同意すると、二人は若干顔を見合わせていたが、すぐに吹き出すように笑ってくれた。
「よかったー同じ気持ちで。じゃあそれ、大事にしてあげてね。今は部長、出張で少し寂しいかもしれないけど、大丈夫だよ。仕事も成功させて、いつも無事に帰ってくるからね」
「はいっ! ありがとうございます!」
「ふふふ。またうちらも来ますからねー名無しさん。今度お茶でもしましょうよ、先輩の家で」
「はいっ是非! あ、いや、すみません勝手に」
「いいよいいよ。寂しいからいつでも来て」
こんな風に年がバラバラな三人は、最後まで笑みが続き、楽しく別れることができた。
ヴィクトルがいない間のちょっとした時間のことだったが、自分にとっては素晴らしい瞬間になったのも間違いない。
今回の訪問を伝えたら、きっと彼も喜んでくれるだろう。
それにもうひとつ、あなたはひそかに彼女達に感謝をしていた。
あのミーガンについて、とくに何も言わないでいてくれたことを。
この件や彼らの仲がどうなってしまったのかは分からないが、今日のように普通に接してくれたことも、二人の優しさだと感じたのだ。
あなたの日常は仕事と家の往復に、料理や家事をしたりと変わりない。
だが時々国際ニュースをスマホでチェックしている。
「ああよかった、今日も何も起きてないな」
そうしてほっとして、しばらく彼のことを考え、また生活に戻る。
……いや、本当はどんな時でもヴィクトルのことを考えてしまっていた。
まだたった五日なのに、海外という遠い場所にいるからだろうか。
自分が一人になった感覚がして、それは久々のものだった。
でもヴィクトルは普段より更に仕事が大変だろうに、毎日メールをくれる。
「本当に彼って、優しいなぁ……」
温かい文章を見るたびにあなたは幸せな気分になり、ちゃんと安心もする。
やっぱり離れている分、何をしているか分からないため、時々不安にもなるのだ。
そんな心を彼のメッセージは包み込むように癒してくれた。
あなたは普段平日の出勤が中心だが、ある土曜日にブティックの店頭に立っていた。
なぜならヴィクトルの同僚である女性二人が、嬉しいことに訪問してくれるからだ。
夕方の人が少ない時間に、お洒落なコートとブーツ姿の華やかな二人組がやって来た。
一人は三十代半ばの大人の女性マグダで、もう一人は彼女の後輩的存在のケイトだった。
「名無しさん、来たよ~! お店すっごく美しいわね、門から庭園までの景色が映画みたいで足が止まっちゃった!」
「ありがとうございます、オーナーがこだわって作ったので、きっと聞いたら喜びますよ」
マグダに褒められたあなたも感激して出迎える。
感情表現豊かな彼女に比べ飄々と自由な性格のケイトも、あなたに会えて嬉しそうに緩いハイタッチをしてくれた。
彼女達はここへ来ることを楽しみにしていたようで、さっそく一階、二階とゴシックなディティールに満ちた洋館内を巡る。
「今日はさ、私絶対買うわよ。ホームページで予め見てきたから。でもね、私の骨格がさ、結構たくましくて合う服探すの難しいんだよね。どうしよう名無しさん」
「ちょっと先輩、早々に考えるの放棄しないでくださいよ~。名無しさんが困るでしょ」
「大丈夫ですよ、マグダさんは長身で足がすらっと長くて、スタイルがものすごく良いんです。あと普段は綺麗めを着ることが多いけど、フェミニンな雰囲気のものも試したいとおっしゃってましたよね。私何着かピックアップしてみたんです、ご覧になりますか? もちろんケイトさん好みのハードめのアイテムもありますので持ってきますよ」
「マジですか、見る見る!」
「わっ、ありがとう!」
目を輝かせた二人の声が色めきだつ。
この間のクリスマス会でお喋りをした時に、彼女達からいろいろと聞いていたおかげで準備ができていた。
最初にケーキ店で会った際の服装やクリスマス会のドレスアップから、参考になったのだ。
二階のゆったりした試着ルームでフィッティングを終えた頃には、このブティックの虜となっているようだった。
そして数十分経つと、二人の腕にはいくつかの紙袋が下げられ、表情もほくほくして満足顔だ。
「もうこんなに可愛い服に出会えると思わなかった。私にあんなに似合うワンピースドレスあるなんてさ。予定より買っちゃったわよ。ねえケイト、あなたも珍しく私に対して賞賛の嵐だったね」
「うん。そうですよ先輩。だってめっちゃ可愛かったです、女の子って感じで。今までの服全部捨てたほうがいいですよ。あとメイクも変えましょう」
「あんたねえ! そこまで言うことないでしょ!」
二人のいつもの仲の良さに、あなたは会計をしながら笑っていた。
ケイトもお気に入りの黒革ジャケットと鞄を見つけ、誇らしげに袋を抱えている。
店のスタッフという以前に、あなた自身が大好きなテイストの服を紹介できたことが、本当に嬉しく思えた日だった。
「あの、これオリジナルのキーケースのノベルティなんです。よかったら使ってください。こちらに一緒に入れておきますね」
「可愛い~ありがとう! あ、そうだ。大事なこと忘れてた、これ渡そうと思ってね」
帰る間際、マグダがあるものを手渡してくれた。
今日は仕事モードと友人モードの中間にいたあなたが、それを見て愕然とする。
「えっ……待ってください……これって……ヴィクトル……?」
「そうなの、部長の写真! 五年ぐらい前かな、クリスマス会のやつなんだけど。微妙に若いでしょう? 名無しさん欲しいかなと思って」
「欲しいです!!」
「はは、すごい食いつきですね~。愛されてるんだな部長。今度教えてあげよー」
何気に鋭いケイトの突っ込みもすぐ耳に入らないほど、あなたは興奮してその数枚の写真を食い入るように見つめていた。
本当にいいのかと尋ねたら、「私が持っててもしょうがない」と言われ甘えることにする。
爽やかなスーツ姿のヴィクトルが、この前とは違う雰囲気の会場にいて、もう少し若い社員らと笑顔のカメラ目線で映っているものだ。
「ありがとうございます、マグダさん。宝物にしますね、へへ」
「よかった、喜んでくれて。やっぱり必要な人のところにあるのが一番いいからね」
「ちなみにその左端に映ってるの、先輩の元カレです」
「……えっ、本当ですか!?」
あなたは急に言われて度肝を抜かれた。
マグダを見やると彼女は否定もせず真顔だった。
「そうだったんですか、じゃあもらわないほうがいいんじゃ…!」
「ううん、もらってちょうだい。元カレのものなんて、後生大事に持ってるほうがおかしいんだから。そう思わない?」
「……お、思います。元カレのものなんていらないですよ、何も!」
あなたが急に前のめりになって同意すると、二人は若干顔を見合わせていたが、すぐに吹き出すように笑ってくれた。
「よかったー同じ気持ちで。じゃあそれ、大事にしてあげてね。今は部長、出張で少し寂しいかもしれないけど、大丈夫だよ。仕事も成功させて、いつも無事に帰ってくるからね」
「はいっ! ありがとうございます!」
「ふふふ。またうちらも来ますからねー名無しさん。今度お茶でもしましょうよ、先輩の家で」
「はいっ是非! あ、いや、すみません勝手に」
「いいよいいよ。寂しいからいつでも来て」
こんな風に年がバラバラな三人は、最後まで笑みが続き、楽しく別れることができた。
ヴィクトルがいない間のちょっとした時間のことだったが、自分にとっては素晴らしい瞬間になったのも間違いない。
今回の訪問を伝えたら、きっと彼も喜んでくれるだろう。
それにもうひとつ、あなたはひそかに彼女達に感謝をしていた。
あのミーガンについて、とくに何も言わないでいてくれたことを。
この件や彼らの仲がどうなってしまったのかは分からないが、今日のように普通に接してくれたことも、二人の優しさだと感じたのだ。
