美オヤジを誘って囲われて救われる話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ヴィクトルは今日一日、あなたのことが頭から離れなかった。
午前中の役員会議やクライアントとの会合、夜の仕事がらみの夕食。何をしていてもだ。
「お疲れ様でした〜。ヴィクトル、このあと行きますよね? 今日は違う店にしましょうよ。いいラウンジ見つけたんです」
会社のビルの上から下まで喋りながらついてくる部下に、彼は口元を上げる。
「ああそう。俺はいいや。今日は他の人を誘えよ」
「ええっ? 何言ってるんですか、女の子はべらすの大好きでしょう、あなた!」
好き勝手言う年下の男をヴィクトルはちらりと見た。
「心外だな。あれは皆を楽しませるためにやってるポーズだよ、ポーズ。まあ飲むのは好きだけどな。ほら、俺にツケていいから楽しんでおいで」
ひらひらと追いやられ、一気に現金な顔をした調子のいい部下は、後ろ髪をひかれるフリをしながら駆けていった。
ヴィクトルは建物から出て、街灯の下で腕時計を見やる。夜の十時すぎだ。
彼はスーツのポケットに手を入れて歩き出した。
ホテルはここから歩いて五分で、いつも通り身軽である。
けれど心は普段よりも浮き足立っていた。
もしかしたらホテルに帰ったあと、この寂れた心を明るく灯すことになるかもしれない。
こんな気持ちは、久しく感じていなかった。
ーーー
都会にそびえ立つホテルの上階にたどり着き、カードキーをかざして入った。
だが、広い部屋に人影は見当たらなかった。
「⋯⋯⋯⋯いないか」
軽いため息混じりでヴィクトルは佇み、また時計に視線を落とす。
あなたはブティックで働いていて、遅くともこのぐらいの時間には帰っているはずだ。
彼はスーツを脱いでネクタイを外し、黒髪をかきあげた。
夜景をちりばめた窓ガラスには、背が高く外見のいい男が映っている。
けれど表情には失望が広がっていた。
「はあ。酒でも飲むか」
彼は先にシャワーを浴び、そのあとでガウン一枚を羽織り、まだ濡れた髪でグラスをあおった。
なんだか異様に空っぽの気分になる。
いつもは部屋で一人で飲んだりしない。
ここはただ帰って寝るだけの空間だった。
でもベッドに視線を移すと、今朝まで居たあなたの姿を思い出す。
「⋯⋯⋯⋯くそっ、格好つけずに抱いていればよかった⋯⋯」
天井を仰いで吐露する。
そうすればあなたは少しでも、自分に興味を持ってくれたかもしれないなどと自惚れた。
ヴィクトルは紳士ぶってあなたに寄り添って眠ったことを、後悔していた。
そのぐらい、たった一日の出会いであなたという素直で真摯にひたむきに、悩み事に向き合う女性に惹かれていた。
彼はその後、ウイスキーの入ったグラスを二杯空にして、ベッドへ寝転んだ。
私的な時間には遠ざけているスマホをわざわざ手にし、メッセージ画面を開く。
「うーん⋯⋯仕事よりも頭を使うな」
彼はあなたに何か送りたかったのだが、どういう文面でも、四十の男からのメッセージなど寒々しく感じた。
悩んだ末に、ヴィクトルはこう打った。
今の自分の正直な思いだ。
『名無しちゃん、大丈夫? ちゃんと眠れてるかな。俺は隣に君がいたらいいなって思ってる』
送ってしまった文を見て、彼は枕に横顔をうずめた。
自分は何をやっているんだ。未練たらしいと。
苦い思いでうずうずとしていると、数分でスマホに通知が入る。
ヴィクトルは飛び起きて肘をつき、画面を食い入るように見つめた。
そこにあったのはあなたからの返信で、こう綴られている。
『私も。すぐにヴィクトルに会いたい。抱いて欲しいよ』
彼は切れ長の瞳を大きく見開き、ベッドから全身を起こす。
「ああ、え? ど、どうする」
彼らしからぬ右往左往ぶりで、ひとまず服を手に掴んだ。身だしなみを整えながら、ヴィクトルはすぐにアプリからあなたに電話をかける。
遠い場所にいるあなたはびっくりして電話に出た。
『もしもし、大丈夫かい? 名無しちゃん』
『⋯⋯⋯⋯あっ、うん』
ヴィクトルは熱い文面とは異なるあなたのテンションに、いささか驚きを受けていたが、冷静に話をした。
『今どこにいるの? すぐ迎えに行くよ。――あっ、ごめん、俺酒飲んでた、そうだタクシーでいくから――』
焦る彼の声に、あなたは電話の向こうで遠慮をする。
『ううん、大丈夫だよ』
『大丈夫じゃないでしょう、いいから教えて名無しちゃん、心配なんだ』
もう午前十二時を過ぎていて、あなたは自分でホテルに向かうと言ったが、彼は賛成しなかった。
タクシーを呼び、ホテルのロビーから出て行ってあなたを迎えに行く。
ヴィクトルの気持ちははやり、あなたを早く抱きしめたいという思いでいっぱいになる。
彼の情動は高鳴る鼓動をいっそう速めていた。
午前中の役員会議やクライアントとの会合、夜の仕事がらみの夕食。何をしていてもだ。
「お疲れ様でした〜。ヴィクトル、このあと行きますよね? 今日は違う店にしましょうよ。いいラウンジ見つけたんです」
会社のビルの上から下まで喋りながらついてくる部下に、彼は口元を上げる。
「ああそう。俺はいいや。今日は他の人を誘えよ」
「ええっ? 何言ってるんですか、女の子はべらすの大好きでしょう、あなた!」
好き勝手言う年下の男をヴィクトルはちらりと見た。
「心外だな。あれは皆を楽しませるためにやってるポーズだよ、ポーズ。まあ飲むのは好きだけどな。ほら、俺にツケていいから楽しんでおいで」
ひらひらと追いやられ、一気に現金な顔をした調子のいい部下は、後ろ髪をひかれるフリをしながら駆けていった。
ヴィクトルは建物から出て、街灯の下で腕時計を見やる。夜の十時すぎだ。
彼はスーツのポケットに手を入れて歩き出した。
ホテルはここから歩いて五分で、いつも通り身軽である。
けれど心は普段よりも浮き足立っていた。
もしかしたらホテルに帰ったあと、この寂れた心を明るく灯すことになるかもしれない。
こんな気持ちは、久しく感じていなかった。
ーーー
都会にそびえ立つホテルの上階にたどり着き、カードキーをかざして入った。
だが、広い部屋に人影は見当たらなかった。
「⋯⋯⋯⋯いないか」
軽いため息混じりでヴィクトルは佇み、また時計に視線を落とす。
あなたはブティックで働いていて、遅くともこのぐらいの時間には帰っているはずだ。
彼はスーツを脱いでネクタイを外し、黒髪をかきあげた。
夜景をちりばめた窓ガラスには、背が高く外見のいい男が映っている。
けれど表情には失望が広がっていた。
「はあ。酒でも飲むか」
彼は先にシャワーを浴び、そのあとでガウン一枚を羽織り、まだ濡れた髪でグラスをあおった。
なんだか異様に空っぽの気分になる。
いつもは部屋で一人で飲んだりしない。
ここはただ帰って寝るだけの空間だった。
でもベッドに視線を移すと、今朝まで居たあなたの姿を思い出す。
「⋯⋯⋯⋯くそっ、格好つけずに抱いていればよかった⋯⋯」
天井を仰いで吐露する。
そうすればあなたは少しでも、自分に興味を持ってくれたかもしれないなどと自惚れた。
ヴィクトルは紳士ぶってあなたに寄り添って眠ったことを、後悔していた。
そのぐらい、たった一日の出会いであなたという素直で真摯にひたむきに、悩み事に向き合う女性に惹かれていた。
彼はその後、ウイスキーの入ったグラスを二杯空にして、ベッドへ寝転んだ。
私的な時間には遠ざけているスマホをわざわざ手にし、メッセージ画面を開く。
「うーん⋯⋯仕事よりも頭を使うな」
彼はあなたに何か送りたかったのだが、どういう文面でも、四十の男からのメッセージなど寒々しく感じた。
悩んだ末に、ヴィクトルはこう打った。
今の自分の正直な思いだ。
『名無しちゃん、大丈夫? ちゃんと眠れてるかな。俺は隣に君がいたらいいなって思ってる』
送ってしまった文を見て、彼は枕に横顔をうずめた。
自分は何をやっているんだ。未練たらしいと。
苦い思いでうずうずとしていると、数分でスマホに通知が入る。
ヴィクトルは飛び起きて肘をつき、画面を食い入るように見つめた。
そこにあったのはあなたからの返信で、こう綴られている。
『私も。すぐにヴィクトルに会いたい。抱いて欲しいよ』
彼は切れ長の瞳を大きく見開き、ベッドから全身を起こす。
「ああ、え? ど、どうする」
彼らしからぬ右往左往ぶりで、ひとまず服を手に掴んだ。身だしなみを整えながら、ヴィクトルはすぐにアプリからあなたに電話をかける。
遠い場所にいるあなたはびっくりして電話に出た。
『もしもし、大丈夫かい? 名無しちゃん』
『⋯⋯⋯⋯あっ、うん』
ヴィクトルは熱い文面とは異なるあなたのテンションに、いささか驚きを受けていたが、冷静に話をした。
『今どこにいるの? すぐ迎えに行くよ。――あっ、ごめん、俺酒飲んでた、そうだタクシーでいくから――』
焦る彼の声に、あなたは電話の向こうで遠慮をする。
『ううん、大丈夫だよ』
『大丈夫じゃないでしょう、いいから教えて名無しちゃん、心配なんだ』
もう午前十二時を過ぎていて、あなたは自分でホテルに向かうと言ったが、彼は賛成しなかった。
タクシーを呼び、ホテルのロビーから出て行ってあなたを迎えに行く。
ヴィクトルの気持ちははやり、あなたを早く抱きしめたいという思いでいっぱいになる。
彼の情動は高鳴る鼓動をいっそう速めていた。
