美オヤジを誘って囲われて救われる話
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涙を乾かすまでの時間が必要だったが、あなたは母と実家に帰ってきた。
ごまかすように照れ笑いをして話しかける。
「誰にも言わないでよ、子供みたいにやっちゃったこと」
「言わないってば。別にいいじゃない、親の前なんだから。いくつでも子供だよー」
下から鼻をつままれてからかわれる。
まだ気恥ずかしさはあるけれど、明るい雰囲気の母で良かったと思った。
あなたは荷物をキッチンに置いたあと、洗面台に行って顔を洗った。父が帰る前に腫れた目を戻さないと。
衝撃的な出来事のあとで、ヴィクトルのことも頭から離れなかった。
なんでも話してと言ってくれた彼。このことを伝えたらどうなるのだろう。
でも、自分は元カレに言い返せた。はっきり気持ちを告げられた。だから、彼はマティアスにまた怒りが湧き起こるだろうが、知らせてもいいんじゃないかと思えた。
ちゃんと言えたよって。
あなたはまだ胸の底にくすぶる興奮を抱えながら、実家で過ごすことになった。
父からあと1時間で着くと言われたので、食卓の準備を始めた。スタートは午後三時ぐらいだろうか。
その間母がなにやら熱心にメールを打っていたが、あなたはテーブルの食器配置や飾り付けを終えて満足する。
実は父と会うのも若干緊張が拭えないでいた。ヴィクトルのことを面と向かって話すのは初めてだからだ。
「――あっ、車の音だ。帰ってきたわね」
母が窓の外を見やり、急ぎ足で玄関へ向かう。半年ぶりに会う父を若干ドキドキしながら待っていると、やがて大柄な父が扉をくぐって現れた。
「お父さん、おかえり〜。クリスマスおめでとう!」
「ああ。ただいま。お前もおかえり、名無し。おめでとうな」
口元はうっすら微笑まれたが、なんだかテンションが低く見えた。
父の名はステファンといい、高身長でガタイがよく65歳とは思えない。白髪交じりの茶髪以外は若い風貌だ。
外見も柔和な母親に近いあなたとはあまり似ていないが、性格は温和でけっして怖くはない。
「お父さん、釣り楽しかった? 何釣れたの?」
「ほとんどボラだな。楽しかったぞ」
本当だろうか。普段は明るくくだらない冗談も言う父が、なんだかよそよそしい雰囲気だった。
銀行の事務員の母とは違い、長年リフォーム会社で内装を取りまとめる職人気質の人間だ。
今も自宅なのに、仕事モードかのようなピリっとしたものを感じた。
――まさか。私のせい?
あなたは察知したが、言い出すことは出来ず食卓についた。
「じゃあいただきましょうか。乾杯〜! 今年も皆よく頑張ったわね〜、来年もこの調子でいくわよ!」
「はは、なにその挨拶。今までそんなのなかったのに。ねえお父さん」
「⋯⋯⋯⋯」
父は口数少なくビールを自分についで飲んでいる。
いつもは陽気に二人にもふるまってくれるのだが。
しばらく皆黙々と七面鳥を食べていたが、あなたは気詰まりがしてチラチラと父を見ていた。
すると、いきなり眼光鋭い父の瞳があなたを捕らえた。
「名無し。婚約したというのは本当か」
「あっ⋯⋯うん。そうなんだ。へへ⋯」
「俺は聞いていない」
「そっ⋯⋯うん、ごめん。今日言おうと思ってて」
冷たい空気を感じた瞬間に、練習したはずの受け答えが飛んでしまった。
父が楽しくない様子なのは明らかである。
「ごめんなさい!! お父さんの気持ちも考えずに、たぶん許してもらえるだろうと思って、というかやっぱり少し言いづらくなってお母さんに頼んで――」
「言いづらいことをしてるという自覚があるのか」
「えっ⋯⋯」
「二十歳も下の女の子を手籠めにするような男は、ロクな奴じゃない」
父は切り捨てるように言った。
あなたは一瞬固まるが、すぐに我に返る。
「いや違うよ。それ全部間違ってる。年の差は18歳だし、手籠めになんてされてないし、わ、私がヴィクトルをナンパしたんだし。そして彼は常識的なとってもいい人だよ」
しどろもどろで言うあなたは、この台詞じゃ逆効果だと父の表情でわかった。
「常識がある奴はな、こんなことしないんだよ。お前も男をそのへんでナンパするような人間じゃないだろう? 俺はお前を信じてるぞ。だからそいつが悪い」
「違うってば! 状況だけで判断しないでよ、彼は何も悪くない、私が彼を好きになったんだから!」
前のめりになって主張するが、父は太い腕を組んで壁のように座っている。
ああ、どうしよう。
まさかここまで怒りを溜めてるとは思わなかった。
自分が直接話さなかったのが一番悪いが、母からも詳しく聞いてなかったのだ。
「ごめん、名無し⋯⋯。なんとか今日までになだめようとしたんだけどね、なんか怒っちゃって⋯⋯そういう時頑固でさ、ステファンって⋯」
「君はなぜそっち側につくんだ? 俺は理解できないね。二人とも警戒心がなさすぎる。どこの馬の骨とも知らない中年が年端もいかない娘に近づいてきたら、許さないのは当たり前だ!」
父が叫ぶと小柄な母も負けじと食卓に両手をつく。
「あなただって私より十五歳上の男だったじゃない、変わらないわよ! 私はね、ただ会ってみてから決めましょうよって言ってるの!」
「会う必要なんかない! 俺も確かに君と出会った時40の男だったが、君は25歳だった! 21の若い娘じゃないだろう!」
「⋯⋯はっ? ねえ今すごくひどい事言った? 25だって若い娘なんですけどッ!」
「い、いやそういう意味じゃなくてな、悪かった、確かに若いよ――ああ君も少し冷静になれよ!」
二人がヒートアップしてしまい、あなたは間でおろおろする。
自分と彼の交際が、どうやら夫婦の仲にも大きな影響を与えていたようだ。
「ごめんって、喧嘩しないでよ! 言わなかった私が悪かったから! でもねお父さん、出来たら一回会ってみてほしいんだ、ヴィクトルは本当にそんないい加減な人じゃないんだよ。出会いは誤解されるかもしれないけど、年の差も簡単に受け入れられないかもしれないけど、私達は本当に真剣に付き合ってるんだよ。だからお願い、二人で挨拶をするチャンスをくれないかな」
あなたは精一杯父に伝える。
だが父は隙を与えぬ表情のまま、何も答えなかった。
あなたは段々と抑えていた苛立ちが湧いてくる。
会うぐらいいいじゃないかと。
心配なのは分かるが、自分だって似たような境遇のくせに少し冷たいんじゃないかと思ったのだ。
「お父さんだってお祖父ちゃんにものすごい反対されたんだよね? だったら気持ち分かるんじゃないの?」
「それはお前が言うことじゃない。お前はな、まだ世間を知らないんだ。悪い男のことも何も分かってない。無知だから騙されてるだけだ。俺は父親としてお前を守ってるだけなんだよ、名無し」
そう言われてプチっと切れてしまった。あなたは椅子をうるさく引いて立ち上がる。
「守ってる? 何をどう守ってるの? 話も聞いてくれないのに! もういいよ! お父さんなんかこっちから願い下げだよ!」
「また部屋に行くのか? お前はいつもそうだな。怒ったらすぐ一人の世界にこもるんだ。変わらないな」
「うるさいな! 自分だってそうでしょ、怒ったら台所占領していつもチビチビ飲んでるくせに! 親子だから似てるんだよ!」
「ああそうだな、そっくりだ! だからこの問題は解決しないだろうな、どっちかが折れなければな!」
売り言葉に買い言葉で怒り合った親子は、顔を勢いよくそらして別れた。
あなたは2階へ駆け上がって自室の扉を乱暴に閉めると、ベッドに勢いよくダイブする。
そして大きなクッションを抱え、横向きにぐっと丸まった。
それからしばらくして、気持ちが急にすーっと引いてきて、長いため息を吐き続ける。
「⋯⋯⋯⋯ああ⋯⋯。やっちゃったよ。⋯⋯馬鹿だ私⋯⋯。今日は色々起こりすぎだよ⋯⋯」
あなたの眼差しは消沈している。
元カレで消耗したところに、強敵となってしまった父の存在。
父と口論するなど、数年に一回もないことだが、今回は譲れなかった。
ここで自分達を、ヴィクトルをどうしても守りたかった。
でも上手くいかなかった。父が言ったことはほぼ同意出来ないが、自分の無知さだけは当たっている。
どうすれば納得してもらえるのか、うまくやる術を知らない。
親の心配は重々分かっている。ただ、これだけは諦めることはできないのだ。
すでに日が落ちて夜に変わるカーテンの向こうを眺めながら、あなたは悶々と考えていた。
だがやがて、このままじゃいけないと決心し、いつもより早く立ち上がる。
きちんと話さなければ。
今のままじゃヴィクトルに顔向けできない。
彼がいつも自分の精神的な支えとなってくれてるように。
あなたも親との間に立って彼を守る覚悟が、もうすでに出来ていたのだ。
ごまかすように照れ笑いをして話しかける。
「誰にも言わないでよ、子供みたいにやっちゃったこと」
「言わないってば。別にいいじゃない、親の前なんだから。いくつでも子供だよー」
下から鼻をつままれてからかわれる。
まだ気恥ずかしさはあるけれど、明るい雰囲気の母で良かったと思った。
あなたは荷物をキッチンに置いたあと、洗面台に行って顔を洗った。父が帰る前に腫れた目を戻さないと。
衝撃的な出来事のあとで、ヴィクトルのことも頭から離れなかった。
なんでも話してと言ってくれた彼。このことを伝えたらどうなるのだろう。
でも、自分は元カレに言い返せた。はっきり気持ちを告げられた。だから、彼はマティアスにまた怒りが湧き起こるだろうが、知らせてもいいんじゃないかと思えた。
ちゃんと言えたよって。
あなたはまだ胸の底にくすぶる興奮を抱えながら、実家で過ごすことになった。
父からあと1時間で着くと言われたので、食卓の準備を始めた。スタートは午後三時ぐらいだろうか。
その間母がなにやら熱心にメールを打っていたが、あなたはテーブルの食器配置や飾り付けを終えて満足する。
実は父と会うのも若干緊張が拭えないでいた。ヴィクトルのことを面と向かって話すのは初めてだからだ。
「――あっ、車の音だ。帰ってきたわね」
母が窓の外を見やり、急ぎ足で玄関へ向かう。半年ぶりに会う父を若干ドキドキしながら待っていると、やがて大柄な父が扉をくぐって現れた。
「お父さん、おかえり〜。クリスマスおめでとう!」
「ああ。ただいま。お前もおかえり、名無し。おめでとうな」
口元はうっすら微笑まれたが、なんだかテンションが低く見えた。
父の名はステファンといい、高身長でガタイがよく65歳とは思えない。白髪交じりの茶髪以外は若い風貌だ。
外見も柔和な母親に近いあなたとはあまり似ていないが、性格は温和でけっして怖くはない。
「お父さん、釣り楽しかった? 何釣れたの?」
「ほとんどボラだな。楽しかったぞ」
本当だろうか。普段は明るくくだらない冗談も言う父が、なんだかよそよそしい雰囲気だった。
銀行の事務員の母とは違い、長年リフォーム会社で内装を取りまとめる職人気質の人間だ。
今も自宅なのに、仕事モードかのようなピリっとしたものを感じた。
――まさか。私のせい?
あなたは察知したが、言い出すことは出来ず食卓についた。
「じゃあいただきましょうか。乾杯〜! 今年も皆よく頑張ったわね〜、来年もこの調子でいくわよ!」
「はは、なにその挨拶。今までそんなのなかったのに。ねえお父さん」
「⋯⋯⋯⋯」
父は口数少なくビールを自分についで飲んでいる。
いつもは陽気に二人にもふるまってくれるのだが。
しばらく皆黙々と七面鳥を食べていたが、あなたは気詰まりがしてチラチラと父を見ていた。
すると、いきなり眼光鋭い父の瞳があなたを捕らえた。
「名無し。婚約したというのは本当か」
「あっ⋯⋯うん。そうなんだ。へへ⋯」
「俺は聞いていない」
「そっ⋯⋯うん、ごめん。今日言おうと思ってて」
冷たい空気を感じた瞬間に、練習したはずの受け答えが飛んでしまった。
父が楽しくない様子なのは明らかである。
「ごめんなさい!! お父さんの気持ちも考えずに、たぶん許してもらえるだろうと思って、というかやっぱり少し言いづらくなってお母さんに頼んで――」
「言いづらいことをしてるという自覚があるのか」
「えっ⋯⋯」
「二十歳も下の女の子を手籠めにするような男は、ロクな奴じゃない」
父は切り捨てるように言った。
あなたは一瞬固まるが、すぐに我に返る。
「いや違うよ。それ全部間違ってる。年の差は18歳だし、手籠めになんてされてないし、わ、私がヴィクトルをナンパしたんだし。そして彼は常識的なとってもいい人だよ」
しどろもどろで言うあなたは、この台詞じゃ逆効果だと父の表情でわかった。
「常識がある奴はな、こんなことしないんだよ。お前も男をそのへんでナンパするような人間じゃないだろう? 俺はお前を信じてるぞ。だからそいつが悪い」
「違うってば! 状況だけで判断しないでよ、彼は何も悪くない、私が彼を好きになったんだから!」
前のめりになって主張するが、父は太い腕を組んで壁のように座っている。
ああ、どうしよう。
まさかここまで怒りを溜めてるとは思わなかった。
自分が直接話さなかったのが一番悪いが、母からも詳しく聞いてなかったのだ。
「ごめん、名無し⋯⋯。なんとか今日までになだめようとしたんだけどね、なんか怒っちゃって⋯⋯そういう時頑固でさ、ステファンって⋯」
「君はなぜそっち側につくんだ? 俺は理解できないね。二人とも警戒心がなさすぎる。どこの馬の骨とも知らない中年が年端もいかない娘に近づいてきたら、許さないのは当たり前だ!」
父が叫ぶと小柄な母も負けじと食卓に両手をつく。
「あなただって私より十五歳上の男だったじゃない、変わらないわよ! 私はね、ただ会ってみてから決めましょうよって言ってるの!」
「会う必要なんかない! 俺も確かに君と出会った時40の男だったが、君は25歳だった! 21の若い娘じゃないだろう!」
「⋯⋯はっ? ねえ今すごくひどい事言った? 25だって若い娘なんですけどッ!」
「い、いやそういう意味じゃなくてな、悪かった、確かに若いよ――ああ君も少し冷静になれよ!」
二人がヒートアップしてしまい、あなたは間でおろおろする。
自分と彼の交際が、どうやら夫婦の仲にも大きな影響を与えていたようだ。
「ごめんって、喧嘩しないでよ! 言わなかった私が悪かったから! でもねお父さん、出来たら一回会ってみてほしいんだ、ヴィクトルは本当にそんないい加減な人じゃないんだよ。出会いは誤解されるかもしれないけど、年の差も簡単に受け入れられないかもしれないけど、私達は本当に真剣に付き合ってるんだよ。だからお願い、二人で挨拶をするチャンスをくれないかな」
あなたは精一杯父に伝える。
だが父は隙を与えぬ表情のまま、何も答えなかった。
あなたは段々と抑えていた苛立ちが湧いてくる。
会うぐらいいいじゃないかと。
心配なのは分かるが、自分だって似たような境遇のくせに少し冷たいんじゃないかと思ったのだ。
「お父さんだってお祖父ちゃんにものすごい反対されたんだよね? だったら気持ち分かるんじゃないの?」
「それはお前が言うことじゃない。お前はな、まだ世間を知らないんだ。悪い男のことも何も分かってない。無知だから騙されてるだけだ。俺は父親としてお前を守ってるだけなんだよ、名無し」
そう言われてプチっと切れてしまった。あなたは椅子をうるさく引いて立ち上がる。
「守ってる? 何をどう守ってるの? 話も聞いてくれないのに! もういいよ! お父さんなんかこっちから願い下げだよ!」
「また部屋に行くのか? お前はいつもそうだな。怒ったらすぐ一人の世界にこもるんだ。変わらないな」
「うるさいな! 自分だってそうでしょ、怒ったら台所占領していつもチビチビ飲んでるくせに! 親子だから似てるんだよ!」
「ああそうだな、そっくりだ! だからこの問題は解決しないだろうな、どっちかが折れなければな!」
売り言葉に買い言葉で怒り合った親子は、顔を勢いよくそらして別れた。
あなたは2階へ駆け上がって自室の扉を乱暴に閉めると、ベッドに勢いよくダイブする。
そして大きなクッションを抱え、横向きにぐっと丸まった。
それからしばらくして、気持ちが急にすーっと引いてきて、長いため息を吐き続ける。
「⋯⋯⋯⋯ああ⋯⋯。やっちゃったよ。⋯⋯馬鹿だ私⋯⋯。今日は色々起こりすぎだよ⋯⋯」
あなたの眼差しは消沈している。
元カレで消耗したところに、強敵となってしまった父の存在。
父と口論するなど、数年に一回もないことだが、今回は譲れなかった。
ここで自分達を、ヴィクトルをどうしても守りたかった。
でも上手くいかなかった。父が言ったことはほぼ同意出来ないが、自分の無知さだけは当たっている。
どうすれば納得してもらえるのか、うまくやる術を知らない。
親の心配は重々分かっている。ただ、これだけは諦めることはできないのだ。
すでに日が落ちて夜に変わるカーテンの向こうを眺めながら、あなたは悶々と考えていた。
だがやがて、このままじゃいけないと決心し、いつもより早く立ち上がる。
きちんと話さなければ。
今のままじゃヴィクトルに顔向けできない。
彼がいつも自分の精神的な支えとなってくれてるように。
あなたも親との間に立って彼を守る覚悟が、もうすでに出来ていたのだ。
