美オヤジを誘って囲われて救われる話
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仕事が終わると、彼から「お疲れ様」と労いの言葉と、熱が完全に下がったという内容のメッセージが届き、ほっと一安心する。
今日は車だったので、あなたはスーパーで買い物をしてから彼のマンションへ向かった。
「ただいま〜。あれ⋯? いないみたい」
リビングの高い天井の明かりはついていたが、ヴィクトルの姿はなく、奥の書斎室から話し声が聞こえる。
夜八時を過ぎても仕事をしてるようだ。ではその間に料理を作ってしまおうと考えた。
支度をしてキッチンへ立ち、あっさりした鶏のポトフに小さいパスタを入れて煮込む。
飲み物も準備して、一息ついた。
丸型の大人数用ソファに座っていると、余計にがらんとした空間を感じる。
彼はいつもここで過ごしてるんだなぁ。
そんなことを考えながら、暇なので日課のストレッチを始めた。
スタイルの良いヴィクトルにつり合うようにと、いっそう真剣に取り組んでいたのだが、ふと後ろに気配を感じた。
「わっ!!」
あなたが振り向くと彼が微笑みを浮かべ、顎に手を当てて見つめていた。
「いたのヴィクトル! ただいま」
「おかえり名無しちゃん。続けていいよ」
「いや無理、恥ずかしいしっ」
あなたは慌てて身だしなみを整え、すくっと立ち上がった。
両足をあげてる変なポーズを見られてしまった。
しかし彼は気にせず、あなたの前に立って両腕で抱きしめてくる。
昨日から触れてはいけなかったから、気持ちがすぐに安心感に満たされ、背中に手を回した。
「俺達の仲で恥ずかしいなんて思うこと、ないと思うけどなぁ」
「そうかな⋯?」
「うん。君のシャイなとこはとっても可愛いけどね。まあ名無しちゃんはおしとやかな子だからな」
そう言われて目が飛び出るかと思うぐらい見上げた。
「私全然おしとやかじゃないよ!」
「そうなのかい?」
「そうだよ。どっちかというとガサツだよ。要領もあんまりよくないし、それにドジだし――」
何を好きな人の前で悪いところを羅列してるのだろうと気づく。
しかしヴィクトルの反応は予想外だった。
「興味深いね。じゃあもっとそういうところも見せてほしいな」
「⋯⋯えっ? 隠したほうがよくない⋯? 嫌われたら嫌だよ」
「嫌いになんてならないよ。もうこんなに好きなのに」
さらりと告げてこちらの顔を赤くさせるも、彼は熱っぽい笑みで見つめてくる。
あなたは相変わらず彼の心の広さと温かさに、うずもれてしまいそうだった。
「ヴィクトル、私に甘すぎだよ⋯⋯調子のったらどうするの」
「うーん。喜ぶね」
その言い方がおもしろくて、あなたは彼の胸に横顔をつけたまま無邪気に笑う。
「ねえねえ。一緒に暮らしたら、たぶんほんとに私に幻滅することあるかもしれないよ」
「ないよ。俺のほうこそ君をがっかりさせるかも」
彼はあなたの頬をそっと撫でて、心配と愛情が入り混じった顔つきをしている。
「でも想像がつかないなぁ。いつも完璧だし」
「ははっ。今ものすごくだらしないだろう? そうだ、つい我慢できなくて抱きしめちゃったけど、昨日から風呂に入ってないんだよ。ねえ、入ってもいいかい?」
彼があなたに許可を求めてきたので、瞬きをした。
でもすぐに意図が通じる。看病で心配しっぱなしだったから、こうやって聞いてくれたのだろうと。
「ふふ。なんか可愛いねヴィクトルって」
「え? 笑うとこ?」
「そうだなぁ、熱はないし、シャワーなら大丈夫だと思うけど。いつもどうしてるの?」
「もっと早く入ってるよ」
「じゃあ大丈夫だね」
あなたは再び吹き出してしまったけれど、一緒に浴室に行ってヒーターを暖かくして、彼を見送った。
出てきたらご飯を食べようと約束して。
「あぁ、いいな。君がいるだけで俺はこんなに幸せを感じるんだな。それにね名無しちゃん、君ぐらいだよ。俺の体の心配なんかしてくれるのは」
「ええっ。そんなことないでしょう? 皆心配するよ。あっそういえば昔とか、家族はどうだったの?」
当時の同居していた頃のことを何気なく尋ねると、彼はさらっとこんな話をした。
「放置だね。少しの風邪とか怪我ぐらいなら、あんまり気にされなかったよ」
「えぇっ!」
「男はそんなものかもな。活発で転ぶのも日常茶飯事だし」
女の子一人で育てられたあなたとはだいぶ違う環境に、びっくりする。彼の今のイメージからは想像できないが、思ったよりやんちゃな男子だったのだろうか。
スポーツも得意だし、もともと体も強い方なのだろう。
たまに風邪を引くことがあっても、そんな姿はどこか意外で、むしろ人間らしささえ感じる。
彼はきっと小さい頃から、自分で立ち上がることを覚えてきたのかもしれない。
こうやってまた新しい一面を知れたなと、あなたは心の中でひとり頷いていた。
ーーー
ヴィクトルが風呂から出たあとは、食卓で夕食を取り、そのまま話もした。
彼はあなたの大きな鞄が目に入ったようで、少しそわそわした様子だ。
「名無しちゃん、もしかして⋯⋯明日も泊まる? 金曜だけど」
「そうしてもいい? 長過ぎる?」
「いいや全然、やった!」
彼にしては珍しく、舞い上がって喜んでいる。
まるで試合で勝利したときのような表情だ。あなたは照れながらも、ほわっと嬉しい気持ちが募った。
「へへ。よかったぁ。もちろん心配なのはあったけど、やっぱり長く一緒にいたいもんね」
「⋯⋯俺もさ、もちろん」
彼が正面から手を伸ばし、あなたの手の甲に重ねる。
どきりとしたが、その黒い瞳を見つめ返すと、なぜか曇り始めた。
「あのね、そうなんだけど実は、土曜日急に仕事が入っちゃったんだ」
「え! 大丈夫? 私、帰ったほうがいいかな?」
「いやいや、もしよかったらいてほしいよ。でもつまらないよね、本当に申し訳ない」
彼に残念そうに謝られるけれど、そんな必要は全然なかった。むしろ違うことが頭をよぎる。
「もしかして、ヴィクトルが取ってくれた誕生日の休みのせいで、仕事が立て込んじゃってるとか? どうしよう、迷惑が――」
「違うよ、それはまったく心配ないことなんだ。海外の取引先の都合でね、その日しか会議が出来なくて。急遽決まったことだからね」
やんわりと気遣うように伝えられて、ひとまずほっと胸をなで下ろした。
「それに君の誕生日は、一番大事な日だよ。俺にとって何よりも優先することだから」
にこりとした微笑みを前に、顔が火照ってしまう。そんなことを誰かに言われたことがない。
「ありがとう、ヴィクトル。私も楽しみ⋯⋯」
「ふふ。楽しみにしててね。君を最大限に喜ばせたいんだ」
ウインクされて鼓動も跳ねた。本当にいいのだろうか。
一緒にいてくれるだけで嬉しいのに、彼のわくわくした表情を見ていると、なにやら素晴らしい日になりそうだと緊張すらしてくる。
そして彼は日曜日も二人でゆっくり過ごそうと言ってくれた。
「近場の街をぶらぶらしてもいいよね」
「そうだね。調子がよかったら。でも無理しないでね」
こうやって和気あいあいとしながらも、面と向かい合っていると、ふと昨夜を思い出した。
ヴィクトルは愛情を沢山示してくれるし、自分への優しさや心遣いが詰まっている。
今日大きな荷物を持ってきて、週末まで泊めさせてもらおうと考えたのは、実際勇気がいる行動だった。
あのセリフがあったから、やっぱり将来的なことを考えてしまったのだ。
もっと互いの普段の生活を知るべきなんじゃないかと。
なによりヴィクトルが今回風邪を引き、そばにいたい、いなきゃいけないという気持ちがずっと強まった。
彼はその前から一緒に住みたいと言ってくれていたけれど。
「名無しちゃん、どうしたの?」
「んっ?」
「考え事してた?」
彼の目尻に細かい皺がよった優しい表情。
それを見ていると、気持ちがとめどなくあふれそうになった。
「好きだなぁって思って。ヴィクトルのこと」
あなたは彼につられるように、愛情に満ちた顔つきを見せる。大人びたような、でもあどけなさも残る笑顔に、ヴィクトルは心が掴まれたようだった。
彼は急に立ち上がり、あなたの隣の椅子に腰を下ろした。
そして背を屈めて、内緒話をするように顔を近づけてくる。
「俺も愛してるよ、名無しちゃんのこと」
「⋯⋯⋯⋯っ。うれしい⋯⋯」
「⋯⋯困ったな。キスしたいよ」
彼は本当に悔しそうに、あなたの前髪にそっと唇を添えた。
そうして胸元へ抱きしめる。
そのもどかしい距離感さえロマンチックに感じて、あなたは頬を染めながら腕に抱かれた。
こんなに愛し合っているんだから、末永く一緒にいられるはず。
ヴィクトルもきっと、そう思ってくれてるに違いないんだ。
あなたの心の中は、ドキドキと期待感でずっと高鳴っていた。
けれども話題にあった土曜日に、また予期していなかった大きな出来事が起こるのだった――。
今日は車だったので、あなたはスーパーで買い物をしてから彼のマンションへ向かった。
「ただいま〜。あれ⋯? いないみたい」
リビングの高い天井の明かりはついていたが、ヴィクトルの姿はなく、奥の書斎室から話し声が聞こえる。
夜八時を過ぎても仕事をしてるようだ。ではその間に料理を作ってしまおうと考えた。
支度をしてキッチンへ立ち、あっさりした鶏のポトフに小さいパスタを入れて煮込む。
飲み物も準備して、一息ついた。
丸型の大人数用ソファに座っていると、余計にがらんとした空間を感じる。
彼はいつもここで過ごしてるんだなぁ。
そんなことを考えながら、暇なので日課のストレッチを始めた。
スタイルの良いヴィクトルにつり合うようにと、いっそう真剣に取り組んでいたのだが、ふと後ろに気配を感じた。
「わっ!!」
あなたが振り向くと彼が微笑みを浮かべ、顎に手を当てて見つめていた。
「いたのヴィクトル! ただいま」
「おかえり名無しちゃん。続けていいよ」
「いや無理、恥ずかしいしっ」
あなたは慌てて身だしなみを整え、すくっと立ち上がった。
両足をあげてる変なポーズを見られてしまった。
しかし彼は気にせず、あなたの前に立って両腕で抱きしめてくる。
昨日から触れてはいけなかったから、気持ちがすぐに安心感に満たされ、背中に手を回した。
「俺達の仲で恥ずかしいなんて思うこと、ないと思うけどなぁ」
「そうかな⋯?」
「うん。君のシャイなとこはとっても可愛いけどね。まあ名無しちゃんはおしとやかな子だからな」
そう言われて目が飛び出るかと思うぐらい見上げた。
「私全然おしとやかじゃないよ!」
「そうなのかい?」
「そうだよ。どっちかというとガサツだよ。要領もあんまりよくないし、それにドジだし――」
何を好きな人の前で悪いところを羅列してるのだろうと気づく。
しかしヴィクトルの反応は予想外だった。
「興味深いね。じゃあもっとそういうところも見せてほしいな」
「⋯⋯えっ? 隠したほうがよくない⋯? 嫌われたら嫌だよ」
「嫌いになんてならないよ。もうこんなに好きなのに」
さらりと告げてこちらの顔を赤くさせるも、彼は熱っぽい笑みで見つめてくる。
あなたは相変わらず彼の心の広さと温かさに、うずもれてしまいそうだった。
「ヴィクトル、私に甘すぎだよ⋯⋯調子のったらどうするの」
「うーん。喜ぶね」
その言い方がおもしろくて、あなたは彼の胸に横顔をつけたまま無邪気に笑う。
「ねえねえ。一緒に暮らしたら、たぶんほんとに私に幻滅することあるかもしれないよ」
「ないよ。俺のほうこそ君をがっかりさせるかも」
彼はあなたの頬をそっと撫でて、心配と愛情が入り混じった顔つきをしている。
「でも想像がつかないなぁ。いつも完璧だし」
「ははっ。今ものすごくだらしないだろう? そうだ、つい我慢できなくて抱きしめちゃったけど、昨日から風呂に入ってないんだよ。ねえ、入ってもいいかい?」
彼があなたに許可を求めてきたので、瞬きをした。
でもすぐに意図が通じる。看病で心配しっぱなしだったから、こうやって聞いてくれたのだろうと。
「ふふ。なんか可愛いねヴィクトルって」
「え? 笑うとこ?」
「そうだなぁ、熱はないし、シャワーなら大丈夫だと思うけど。いつもどうしてるの?」
「もっと早く入ってるよ」
「じゃあ大丈夫だね」
あなたは再び吹き出してしまったけれど、一緒に浴室に行ってヒーターを暖かくして、彼を見送った。
出てきたらご飯を食べようと約束して。
「あぁ、いいな。君がいるだけで俺はこんなに幸せを感じるんだな。それにね名無しちゃん、君ぐらいだよ。俺の体の心配なんかしてくれるのは」
「ええっ。そんなことないでしょう? 皆心配するよ。あっそういえば昔とか、家族はどうだったの?」
当時の同居していた頃のことを何気なく尋ねると、彼はさらっとこんな話をした。
「放置だね。少しの風邪とか怪我ぐらいなら、あんまり気にされなかったよ」
「えぇっ!」
「男はそんなものかもな。活発で転ぶのも日常茶飯事だし」
女の子一人で育てられたあなたとはだいぶ違う環境に、びっくりする。彼の今のイメージからは想像できないが、思ったよりやんちゃな男子だったのだろうか。
スポーツも得意だし、もともと体も強い方なのだろう。
たまに風邪を引くことがあっても、そんな姿はどこか意外で、むしろ人間らしささえ感じる。
彼はきっと小さい頃から、自分で立ち上がることを覚えてきたのかもしれない。
こうやってまた新しい一面を知れたなと、あなたは心の中でひとり頷いていた。
ーーー
ヴィクトルが風呂から出たあとは、食卓で夕食を取り、そのまま話もした。
彼はあなたの大きな鞄が目に入ったようで、少しそわそわした様子だ。
「名無しちゃん、もしかして⋯⋯明日も泊まる? 金曜だけど」
「そうしてもいい? 長過ぎる?」
「いいや全然、やった!」
彼にしては珍しく、舞い上がって喜んでいる。
まるで試合で勝利したときのような表情だ。あなたは照れながらも、ほわっと嬉しい気持ちが募った。
「へへ。よかったぁ。もちろん心配なのはあったけど、やっぱり長く一緒にいたいもんね」
「⋯⋯俺もさ、もちろん」
彼が正面から手を伸ばし、あなたの手の甲に重ねる。
どきりとしたが、その黒い瞳を見つめ返すと、なぜか曇り始めた。
「あのね、そうなんだけど実は、土曜日急に仕事が入っちゃったんだ」
「え! 大丈夫? 私、帰ったほうがいいかな?」
「いやいや、もしよかったらいてほしいよ。でもつまらないよね、本当に申し訳ない」
彼に残念そうに謝られるけれど、そんな必要は全然なかった。むしろ違うことが頭をよぎる。
「もしかして、ヴィクトルが取ってくれた誕生日の休みのせいで、仕事が立て込んじゃってるとか? どうしよう、迷惑が――」
「違うよ、それはまったく心配ないことなんだ。海外の取引先の都合でね、その日しか会議が出来なくて。急遽決まったことだからね」
やんわりと気遣うように伝えられて、ひとまずほっと胸をなで下ろした。
「それに君の誕生日は、一番大事な日だよ。俺にとって何よりも優先することだから」
にこりとした微笑みを前に、顔が火照ってしまう。そんなことを誰かに言われたことがない。
「ありがとう、ヴィクトル。私も楽しみ⋯⋯」
「ふふ。楽しみにしててね。君を最大限に喜ばせたいんだ」
ウインクされて鼓動も跳ねた。本当にいいのだろうか。
一緒にいてくれるだけで嬉しいのに、彼のわくわくした表情を見ていると、なにやら素晴らしい日になりそうだと緊張すらしてくる。
そして彼は日曜日も二人でゆっくり過ごそうと言ってくれた。
「近場の街をぶらぶらしてもいいよね」
「そうだね。調子がよかったら。でも無理しないでね」
こうやって和気あいあいとしながらも、面と向かい合っていると、ふと昨夜を思い出した。
ヴィクトルは愛情を沢山示してくれるし、自分への優しさや心遣いが詰まっている。
今日大きな荷物を持ってきて、週末まで泊めさせてもらおうと考えたのは、実際勇気がいる行動だった。
あのセリフがあったから、やっぱり将来的なことを考えてしまったのだ。
もっと互いの普段の生活を知るべきなんじゃないかと。
なによりヴィクトルが今回風邪を引き、そばにいたい、いなきゃいけないという気持ちがずっと強まった。
彼はその前から一緒に住みたいと言ってくれていたけれど。
「名無しちゃん、どうしたの?」
「んっ?」
「考え事してた?」
彼の目尻に細かい皺がよった優しい表情。
それを見ていると、気持ちがとめどなくあふれそうになった。
「好きだなぁって思って。ヴィクトルのこと」
あなたは彼につられるように、愛情に満ちた顔つきを見せる。大人びたような、でもあどけなさも残る笑顔に、ヴィクトルは心が掴まれたようだった。
彼は急に立ち上がり、あなたの隣の椅子に腰を下ろした。
そして背を屈めて、内緒話をするように顔を近づけてくる。
「俺も愛してるよ、名無しちゃんのこと」
「⋯⋯⋯⋯っ。うれしい⋯⋯」
「⋯⋯困ったな。キスしたいよ」
彼は本当に悔しそうに、あなたの前髪にそっと唇を添えた。
そうして胸元へ抱きしめる。
そのもどかしい距離感さえロマンチックに感じて、あなたは頬を染めながら腕に抱かれた。
こんなに愛し合っているんだから、末永く一緒にいられるはず。
ヴィクトルもきっと、そう思ってくれてるに違いないんだ。
あなたの心の中は、ドキドキと期待感でずっと高鳴っていた。
けれども話題にあった土曜日に、また予期していなかった大きな出来事が起こるのだった――。
