美オヤジを誘って囲われて救われる話
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目が覚めたときは、翌朝6時だった。
ベッドにいたはずのヴィクトルの姿がなく、あなたは飛び起きる。
心配に駆られてリビングへ向かうと、なんと広い食卓で食事中の彼を見つけた。
体の力が一気に抜けきっていく。
「ヴィクトル⋯! よかった、もうご飯食べられるんだね!」
「名無しちゃん! ごめんね、起こしちゃったかい」
彼が立ち上がろうとしたので急いで近くへ行った。
昨日作り置きした野菜スープと、スライスしたパンまで数枚食べたようだ。
「私は大丈夫だよ。あぁ、食欲出てよかったよ」
「そうなんだ。朝起きたらすごくお腹減ってて。ありがとう、とても美味しくて食べやすかったよ」
ヴィクトルは昨日の倒れた時とは打って変わり、優しく微笑む。
寝間着姿にガウンを羽織っただけで、緩やかな黒髪に寝癖もついている。
普段と違う隙だらけの姿に、あなたは胸がこみあげてきて、椅子に座る彼のことを肩ごと抱きしめた。
「名無しちゃん⋯⋯」
「もう、心配したでしょう。あんなメールして。すぐに呼ばなきゃだめだよ」
「⋯⋯ごめんね。でもやっぱりまだ離れたほうが⋯⋯」
「やだ」
頑なにハグをして、おでこをくっつけた。
微妙に温かいが、かなり熱が引いている。今は微熱で体の痛みも無くなったと教えられ、心の底から安堵する。
隣の椅子に腰を下ろし、彼と向かい合った。
まったく責めるつもりなんてないが、あなたの切にこもった眼差しに彼は少したじろいでいた。
「昨日は大丈夫だった?」
「ええとね、君に話した通り、幹部の打ち上げがあったんだけど。夕方から調子が悪くなってね。とりあえず出席はしたんだが、早々に帰ってきたんだ。⋯⋯君にメッセージは送りたいし、かといって正直に伝えたら、名無しちゃんは優しいから家に来てしまうかもしれないと思ったんだよ」
「もちろん来るよ。だって心配だもん。そういう時こそそばにいたいよ」
あなたはしっかりと頷き、意思を告げる。
彼は瞳を揺り動かし、あなたの手を握りたそうだったが我慢していた。
「ありがとう。君がいてくれて本当によかった。看病してくれて、そばに君の存在があって、すごく嬉しかったよ。⋯⋯昨日は、夢に君も出てきたんだ」
「⋯⋯え!?」
「そんなに驚くことかな? ふふ」
彼が見惚れるような笑みをしたので、あなたは黙って体が熱くなっていく。
そういえば、彼の寝言について思い出した。
いや、忘れるはずがない。
でもあれはなんだったのか、聞けるはずもない。
きっと覚えてないだろうし、ただの寝言なのに本気にしたら恥ずかしいからだ。
「ははっ、きっとずっとそばにいたからだね。ははは⋯⋯嬉しいなぁ。⋯⋯あ、そうだ! 今日はヴィクトル、仕事どうするの? 出来れば、まだ完全には回復してないし、ゆっくりしたほうがいいんじゃないかって思ったんだけど⋯⋯」
彼の様子を伺いながら言ってみる。
なんとなく、彼のような多忙なビジネスマンは、この程度なら無理して仕事してしまうイメージがあったのだ。
彼は実際に目を丸くしていたが、少し考えたあと、素直に頷いた。
「そうだよね⋯⋯正直、こういうことは年に一回ぐらいはあって、無理やり寝て見て見ぬふりすることも多かったんだけど、今日は出来そうだったら家で仕事するよ。あとで各所に電話しよう」
「ほんとう? それなら安心だよ」
あなたは冷静な彼の判断にほっとする。
仕事はやっぱりするんだ、と思ったのは事実とはいえ、取締役というのは状況に関わらず経営に問題が起きればいつでも出社する立場だ。
それでも体調を崩した時ぐらいは、自分の体を第一に考えてほしいと願った。
「よしっ。じゃあ少しは安心だな。今日は外出しちゃだめだよ」
「うん」
彼がにこにこしているのを良いことに、あなたはシャワーもまだ浴びちゃだめだよ、なんてことも口出してしまった。
彼は立派な大人なのに、つい構いたくなってしまう。
「ごめん、私口うるさいよね」
「いいや嬉しいんだ。とってもね」
「ふふふ。帰ったらまた体に良さそうなもの作るね」
「えっ?」
あなたは立ち上がり、彼に温かいはちみつジンジャードリンクを用意しながら話をする。
戻ってくると、彼はそわそわしていた。
「名無しちゃん、今日もここへ帰ってきてくれるの?」
「もちろん。心配だし。私が見てないと」
彼の表情が緩んでいき、少し顔が赤らんだので、また熱じゃないかと心配になる。
ヴィクトルは素直に喜んでいる様子だった。
「ふむ、なるほど。俺はもっと風邪引いたほうがいいかもな」
「もうっ」
「冗談だよ。昨日からすごく君に怒られてるな。自分が悪いんだけど、こういうのもいいね」
食卓に置かれた飲み物にお礼を言い、口に含みながら楽しそうに笑っている。
ついつい心配から大きく反応してしまうけれど、こんなふうにいつもみたいに会話できることが、すごく幸せで尊いものだと感じた。
その後、ヴィクトルは秘書に連絡をし、また役員の同僚にも電話をしていた。
話し声が少し聞こえたが、彼らは何も問題ないと受け取ったようで、ちゃんと休むように伝えてくれたようだ。
今日は重大なアポイントメントなどはなく、タイミング的にもよかった。
あなたはというと、午前十時からブティックに出社のため、彼の軽めの食事を準備してから、一度家に帰宅して向かうことにした。
出発のときは、玄関口でガウンを羽織ったヴィクトルが見送ってくれる。
「ごめんね、こんな格好で」
「いいんだよ。今日はゆっくりしてね」
彼は謙遜するけれど、妙に気だるい感じで色気が増している。こんなときにドキドキするのも不謹慎だと反省した。
あなたと目が合った彼は少し身を屈めて、優美に微笑む。
「こうやって見送れるのも、嬉しいなぁ。また一緒に暮らしたら、ありえることだよね」
「⋯⋯そっ、そ、そうっ⋯⋯だよねっ」
あなたはまた顔が熱くなり、なんだか過剰に反応してしまった。しかも次の言葉が出てこない。
不自然に黙ったあなたを見て、ヴィクトルが「ん?」という顔をする。
「あ、いや。プレッシャーをかけるつもりじゃないんだよ、ごめん」
「ううんっ。全然分かってるし! こっちこそごめんっ」
顔を勢いよく振りながら、あなたの頭の中で、昨日の彼の言葉が反芻する。
熱にうなされたみたいに、言っていた言葉。
あなただけに向けて。
だけれど、それは夢の中の言葉だ。
現実ではない。
「じゃあ行ってきます!」
「あ⋯うん! ねえ、ちゃんと帰ってきてくれよ、名無しちゃん!」
「もちろんだよ!」
あなたは足早に逃げるように、彼に振り返って手を振ることもせず、マンションの静かな廊下を進みエレベーターに乗った。
馬鹿だ⋯⋯変な態度を取ってしまった。
嬉しいはずなのに、そういう話題にどう反応をすればいいのか分からなくなってしまった。
自分は少なからず、彼との将来に期待している部分があったからだ。
ブティックでの勤務は、今日は二人だったため裏方に回り在庫整理をしていた。
その間も一人で悶々と考える。
あなたは勝手に、ヴィクトルには結婚願望はないんじゃないかと思っていた。
今年40歳になった大人の男性で、仕事のできる経営コンサルタントだ。これまで独身だったし、この先も独身でいたいのではないかと。
前にずっとそばにいてくれると約束してくれて、本当に嬉しく、心から信じてもいる。
二人の愛がつづく限り、ヴィクトルは誠実に一途にそばにいて、恋人を大切にしてくれる素晴らしい人だと。
そのことに疑いはなかった。
まだ若い娘で、経験もそんなにない自分の甘い考えかもしれないけれど。
「はあ⋯⋯なんで多くを望んじゃうんだろうな。人の考えなんて、それぞれ違うのに」
昨日の言葉は、もしかしたら彼の潜在意識の言葉かも。
それだけであなたは嬉しくもなり、幸せにもなる。
このまま何年も付き合って、別にゴールが婚姻を結ぶことじゃなくたっていいのだ。
そもそも、彼に比べて未熟な自分が結婚したいと思えるような人物であるかということすら、疑問だった。
「もう余計なこと考えるのやめよう。悩むのは早すぎる問題だよね」
つい自信のない性格が戻ってきて、まだ問題にもなってない事柄について勝手に悩んでいる。
あなたは頭を振って、今日帰宅したらまたヴィクトルに会える、そのことを考えていったんすべて忘れようとした。
ベッドにいたはずのヴィクトルの姿がなく、あなたは飛び起きる。
心配に駆られてリビングへ向かうと、なんと広い食卓で食事中の彼を見つけた。
体の力が一気に抜けきっていく。
「ヴィクトル⋯! よかった、もうご飯食べられるんだね!」
「名無しちゃん! ごめんね、起こしちゃったかい」
彼が立ち上がろうとしたので急いで近くへ行った。
昨日作り置きした野菜スープと、スライスしたパンまで数枚食べたようだ。
「私は大丈夫だよ。あぁ、食欲出てよかったよ」
「そうなんだ。朝起きたらすごくお腹減ってて。ありがとう、とても美味しくて食べやすかったよ」
ヴィクトルは昨日の倒れた時とは打って変わり、優しく微笑む。
寝間着姿にガウンを羽織っただけで、緩やかな黒髪に寝癖もついている。
普段と違う隙だらけの姿に、あなたは胸がこみあげてきて、椅子に座る彼のことを肩ごと抱きしめた。
「名無しちゃん⋯⋯」
「もう、心配したでしょう。あんなメールして。すぐに呼ばなきゃだめだよ」
「⋯⋯ごめんね。でもやっぱりまだ離れたほうが⋯⋯」
「やだ」
頑なにハグをして、おでこをくっつけた。
微妙に温かいが、かなり熱が引いている。今は微熱で体の痛みも無くなったと教えられ、心の底から安堵する。
隣の椅子に腰を下ろし、彼と向かい合った。
まったく責めるつもりなんてないが、あなたの切にこもった眼差しに彼は少したじろいでいた。
「昨日は大丈夫だった?」
「ええとね、君に話した通り、幹部の打ち上げがあったんだけど。夕方から調子が悪くなってね。とりあえず出席はしたんだが、早々に帰ってきたんだ。⋯⋯君にメッセージは送りたいし、かといって正直に伝えたら、名無しちゃんは優しいから家に来てしまうかもしれないと思ったんだよ」
「もちろん来るよ。だって心配だもん。そういう時こそそばにいたいよ」
あなたはしっかりと頷き、意思を告げる。
彼は瞳を揺り動かし、あなたの手を握りたそうだったが我慢していた。
「ありがとう。君がいてくれて本当によかった。看病してくれて、そばに君の存在があって、すごく嬉しかったよ。⋯⋯昨日は、夢に君も出てきたんだ」
「⋯⋯え!?」
「そんなに驚くことかな? ふふ」
彼が見惚れるような笑みをしたので、あなたは黙って体が熱くなっていく。
そういえば、彼の寝言について思い出した。
いや、忘れるはずがない。
でもあれはなんだったのか、聞けるはずもない。
きっと覚えてないだろうし、ただの寝言なのに本気にしたら恥ずかしいからだ。
「ははっ、きっとずっとそばにいたからだね。ははは⋯⋯嬉しいなぁ。⋯⋯あ、そうだ! 今日はヴィクトル、仕事どうするの? 出来れば、まだ完全には回復してないし、ゆっくりしたほうがいいんじゃないかって思ったんだけど⋯⋯」
彼の様子を伺いながら言ってみる。
なんとなく、彼のような多忙なビジネスマンは、この程度なら無理して仕事してしまうイメージがあったのだ。
彼は実際に目を丸くしていたが、少し考えたあと、素直に頷いた。
「そうだよね⋯⋯正直、こういうことは年に一回ぐらいはあって、無理やり寝て見て見ぬふりすることも多かったんだけど、今日は出来そうだったら家で仕事するよ。あとで各所に電話しよう」
「ほんとう? それなら安心だよ」
あなたは冷静な彼の判断にほっとする。
仕事はやっぱりするんだ、と思ったのは事実とはいえ、取締役というのは状況に関わらず経営に問題が起きればいつでも出社する立場だ。
それでも体調を崩した時ぐらいは、自分の体を第一に考えてほしいと願った。
「よしっ。じゃあ少しは安心だな。今日は外出しちゃだめだよ」
「うん」
彼がにこにこしているのを良いことに、あなたはシャワーもまだ浴びちゃだめだよ、なんてことも口出してしまった。
彼は立派な大人なのに、つい構いたくなってしまう。
「ごめん、私口うるさいよね」
「いいや嬉しいんだ。とってもね」
「ふふふ。帰ったらまた体に良さそうなもの作るね」
「えっ?」
あなたは立ち上がり、彼に温かいはちみつジンジャードリンクを用意しながら話をする。
戻ってくると、彼はそわそわしていた。
「名無しちゃん、今日もここへ帰ってきてくれるの?」
「もちろん。心配だし。私が見てないと」
彼の表情が緩んでいき、少し顔が赤らんだので、また熱じゃないかと心配になる。
ヴィクトルは素直に喜んでいる様子だった。
「ふむ、なるほど。俺はもっと風邪引いたほうがいいかもな」
「もうっ」
「冗談だよ。昨日からすごく君に怒られてるな。自分が悪いんだけど、こういうのもいいね」
食卓に置かれた飲み物にお礼を言い、口に含みながら楽しそうに笑っている。
ついつい心配から大きく反応してしまうけれど、こんなふうにいつもみたいに会話できることが、すごく幸せで尊いものだと感じた。
その後、ヴィクトルは秘書に連絡をし、また役員の同僚にも電話をしていた。
話し声が少し聞こえたが、彼らは何も問題ないと受け取ったようで、ちゃんと休むように伝えてくれたようだ。
今日は重大なアポイントメントなどはなく、タイミング的にもよかった。
あなたはというと、午前十時からブティックに出社のため、彼の軽めの食事を準備してから、一度家に帰宅して向かうことにした。
出発のときは、玄関口でガウンを羽織ったヴィクトルが見送ってくれる。
「ごめんね、こんな格好で」
「いいんだよ。今日はゆっくりしてね」
彼は謙遜するけれど、妙に気だるい感じで色気が増している。こんなときにドキドキするのも不謹慎だと反省した。
あなたと目が合った彼は少し身を屈めて、優美に微笑む。
「こうやって見送れるのも、嬉しいなぁ。また一緒に暮らしたら、ありえることだよね」
「⋯⋯そっ、そ、そうっ⋯⋯だよねっ」
あなたはまた顔が熱くなり、なんだか過剰に反応してしまった。しかも次の言葉が出てこない。
不自然に黙ったあなたを見て、ヴィクトルが「ん?」という顔をする。
「あ、いや。プレッシャーをかけるつもりじゃないんだよ、ごめん」
「ううんっ。全然分かってるし! こっちこそごめんっ」
顔を勢いよく振りながら、あなたの頭の中で、昨日の彼の言葉が反芻する。
熱にうなされたみたいに、言っていた言葉。
あなただけに向けて。
だけれど、それは夢の中の言葉だ。
現実ではない。
「じゃあ行ってきます!」
「あ⋯うん! ねえ、ちゃんと帰ってきてくれよ、名無しちゃん!」
「もちろんだよ!」
あなたは足早に逃げるように、彼に振り返って手を振ることもせず、マンションの静かな廊下を進みエレベーターに乗った。
馬鹿だ⋯⋯変な態度を取ってしまった。
嬉しいはずなのに、そういう話題にどう反応をすればいいのか分からなくなってしまった。
自分は少なからず、彼との将来に期待している部分があったからだ。
ブティックでの勤務は、今日は二人だったため裏方に回り在庫整理をしていた。
その間も一人で悶々と考える。
あなたは勝手に、ヴィクトルには結婚願望はないんじゃないかと思っていた。
今年40歳になった大人の男性で、仕事のできる経営コンサルタントだ。これまで独身だったし、この先も独身でいたいのではないかと。
前にずっとそばにいてくれると約束してくれて、本当に嬉しく、心から信じてもいる。
二人の愛がつづく限り、ヴィクトルは誠実に一途にそばにいて、恋人を大切にしてくれる素晴らしい人だと。
そのことに疑いはなかった。
まだ若い娘で、経験もそんなにない自分の甘い考えかもしれないけれど。
「はあ⋯⋯なんで多くを望んじゃうんだろうな。人の考えなんて、それぞれ違うのに」
昨日の言葉は、もしかしたら彼の潜在意識の言葉かも。
それだけであなたは嬉しくもなり、幸せにもなる。
このまま何年も付き合って、別にゴールが婚姻を結ぶことじゃなくたっていいのだ。
そもそも、彼に比べて未熟な自分が結婚したいと思えるような人物であるかということすら、疑問だった。
「もう余計なこと考えるのやめよう。悩むのは早すぎる問題だよね」
つい自信のない性格が戻ってきて、まだ問題にもなってない事柄について勝手に悩んでいる。
あなたは頭を振って、今日帰宅したらまたヴィクトルに会える、そのことを考えていったんすべて忘れようとした。
