美オヤジを誘って囲われて救われる話
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彼のマンションへ着き、大理石のロビーを抜けて最上階へ向かった。
互いの合鍵を渡し合っていたため、玄関のドアを開けて入るが、使うのは初めてだ。
「⋯⋯いるの? ヴィクトル⋯⋯?」
廊下の明かりが自動でつき、広いリビングまで歩いていく。部屋は真っ暗で、床に彼の鞄が落ち、スーツの上着が脱ぎ捨てられていた。
あなたの鼓動が鳴っていく。
明らかに様子が変だ。しかし室内は物音ひとつせず、がらんと静寂に満ちていた。
彼の寝室の前で足を止め、覚悟を決めて扉を開いた。
すると、眼前には信じられない光景が広がっていた。
「⋯⋯ヴィクトル!? どうしたの!」
彼は大きなベッドの上で、うつぶせになって倒れていた。
あなたは青ざめて駆け寄り、彼の様子を確かめた。
帰宅して直行したのか、ネクタイは外していたがワイシャツとズボンはそのままだ。
「大丈夫! ねえ!」
彼は浅く息を吐きながら、ゆっくり寝返りを打とうとする。だが苦しそうな顔には汗がにじみ、とても赤らんでいた。
「ん⋯⋯名無しちゃん⋯⋯どうして⋯⋯」
あなたが急いで彼の頬と額に手を当てると、高熱が出ていた。
すぐに事態を把握し、パニックを抑えながら彼に声をかける。
「ヴィクトル、具合が悪かったんだね、大丈夫だよ、私が来たからね!」
きっと彼は変な気を使って、こんなに自分が苦しんでいる中で、あんなメールを送ったのだと知る。
あなたはよからぬ事を考えてしまったことを瞬間的に恥じたが、同時にすぐに彼の看病をしなければと考えた。
「ええと、体温計どこだろう、あっ、待ってお水飲んだ? 持ってくるね!」
リビングで必要なものを探そうと出ていこうとすると、彼はあなたの手首を驚くほどがっしりと握った。
振り返ると、つらそうにするヴィクトルが口を動かす。
「帰って⋯⋯君に移したくない⋯⋯」
「⋯⋯え!? 何言ってるの、帰るわけないでしょう、こんな状態なのにっ」
「でも、だめだ⋯⋯君は、お客さんに接する仕事で⋯⋯俺のそばに⋯⋯いないほうがいい」
そんな言葉を聞き、あなたは滅多にあることではないものの、カチンときてしまった。
「ヴィクトルの馬鹿っ!! そんなの今気にしないで、私はあなたのそばにいるよ、一番大事な人なんだからねっ!」
怒りながらベッド脇にひざまずき、彼の上半身に負荷をかけないように抱擁する。
彼は言葉を失い、もう何も返せないようだった。
あなたははっとなって顔をあげる。
「大きな声出してごめんね、痛かったっ? とにかく、今は休まなきゃだめだよ、そうだ、お腹は壊してない? 気持ち悪くない?」
彼はぼうっとして、潤んだ黒い瞳で微かに首を振る。
あなたは胸を撫で下ろし、彼の額に張りついた黒髪をそっとといた。
「よかった。大丈夫、きっと風邪だよ。待っててね、準備するから」
あなたは立ち上がり、彼に微笑みかけて部屋を出た。
弱ってる彼に強く言ってしまったことを反省しながら、キッチンでお湯を出し、はちみつと塩をまぜてドリンクを作る。
前にあなたが指を切ってしまったときに、彼が奥の棚の引き出しから消毒液や絆創膏を出してくれたのを覚えていて、そこを見ると体温計もあった。
一人暮らしなのにちゃんと必要なものを揃えている彼をすごいと思う。
寝室に戻ると、ヴィクトルは横になっていたが、体を少し起こしてくれ、水分を取った。
合間に体温計を額に当てると、一瞬で体温が三十八度五分と出る。思ったよりも低く安心はしたが、これから上がるかもしれない。
「ヴィクトル、服着替えようか。これで大丈夫?」
「⋯⋯うん、ありがとう⋯⋯あぁ、自分で出来るよ⋯⋯」
彼はあまり人に世話されることに慣れてないようだ。元々屈強なスポーツマンだし、恥ずかしさもあるのかも。
でも今は手伝わせてほしいと、あなたはゆっくり彼の服を脱がせ、汗を拭いて薄着の上下を着せた。
そうして水分を補給し、布団の中に入ったヴィクトルは、少し表情が和らいでいた。
あなたはそばの床に膝立ちをし、タオルで髪を拭いながら、愛おしい思いで見つめる。
「名無しちゃん、そんなに近くにいたら⋯⋯移る⋯⋯」
「もう。まだ言ってるの? もう移っちゃったよーだ」
「⋯⋯意地悪だな、君は⋯⋯」
そんなふうに言われてふっと笑いがもれた。言い返せるなら大丈夫だろうと、彼に少し休んでもらうため腰を浮かす。
寝室には備え付けのバスルームがすぐそばにあるし、彼も大丈夫だと言ったから少しの間またキッチンに行った。
今は何も食べられないだろうけど、飲み物に加えてスープも用意しておこう。
冷蔵庫には野菜もあったし十分だ。彼は多忙なのに時折自炊していて、本当に尊敬する。
風邪のときの定番の、野菜のチキンスープを作り、こっそりと寝室へ戻った。
静かに確認すると、彼は寝息を立てて眠っていた。
顔色はさっきよりも良い。色々触って確かめたくなるのをこらえ、あなたはそばの一人がけソファに座って見守ることにした。
時刻はもうすぐ夜十時で、あなたは彼に明日の仕事を休んでもらいたいと願う。
どのみち自分はここに泊まり、朝まで一緒にいるつもりだ。
色々考えていたら、うとうとしてソファ椅子で眠ってしまった。
「⋯⋯あっ、やばっ」
あなたは瞬きをするが、彼はまだ眠っている。
もう二時間近く経っていた。愚かすぎる。何かあったらどうするの、そう自分を責めたが、あることに気づいた。
自分の胸元までブランケットがかかっていたのだ。
まさか一度起きた彼がやったのかな?
胸がじんと熱くなり凝視するけれど、聞くすべはなかった。
でも、起き上がって用を足すことも出来たみたいだし、よかった。
そう考えて、あなたは彼のベッドで一緒に眠ることにした。
十分に大きく、二人でも余るぐらいの広さだ。
自分も着替えて就寝の準備をし、邪魔しないように端で丸まった。
暗がりにヴィクトルの広い背中が見える。
今日は本当に心配した。何かあったと思ったら、やっぱり何かあった。
でもまさか思いもよらない事になってるなんて。
こんな時はすぐに呼んでほしい、自分に助けさせてほしい。
湧き出る思いはひとまずしまって、早く良くなりますように、彼の背に向けてそう祈った。
その時だった。彼は「うぅ⋯⋯」と小さく唸った。
「んっ⋯⋯?」
あなたは慌てて体を起こし、静かに忍び寄る。
きちんと寝息は立てているし、大丈夫そうだ。
でも彼は、夢を見てるのか、うなされてるのか、わからなかった。
「名無しちゃん⋯⋯」
「⋯⋯なに? 大丈夫⋯?」
もし寝言だったら答えないほうがいいよね、そう思いながらも、喉をごくりと鳴らして近づく。
すると彼はこう呟いた。
「⋯⋯名無しちゃん⋯⋯結婚したい⋯⋯」
あなたは瞳を最大限に見開き、動きを止める。
しばらく、時間まで停まってしまったかのように微動だに出来なかった。
ヴィクトルはすーっと寝入ったままだ。
あなたは瞳を揺らして、彼の背にぴたりと手のひらをあてる。
まだ熱い。熱は引いてないようだ。
「⋯⋯私も。⋯⋯私も。ヴィクトル」
そう声に出して、あなたは彼の背に額をつけて、柔らかい口元で目を閉じた。
互いの合鍵を渡し合っていたため、玄関のドアを開けて入るが、使うのは初めてだ。
「⋯⋯いるの? ヴィクトル⋯⋯?」
廊下の明かりが自動でつき、広いリビングまで歩いていく。部屋は真っ暗で、床に彼の鞄が落ち、スーツの上着が脱ぎ捨てられていた。
あなたの鼓動が鳴っていく。
明らかに様子が変だ。しかし室内は物音ひとつせず、がらんと静寂に満ちていた。
彼の寝室の前で足を止め、覚悟を決めて扉を開いた。
すると、眼前には信じられない光景が広がっていた。
「⋯⋯ヴィクトル!? どうしたの!」
彼は大きなベッドの上で、うつぶせになって倒れていた。
あなたは青ざめて駆け寄り、彼の様子を確かめた。
帰宅して直行したのか、ネクタイは外していたがワイシャツとズボンはそのままだ。
「大丈夫! ねえ!」
彼は浅く息を吐きながら、ゆっくり寝返りを打とうとする。だが苦しそうな顔には汗がにじみ、とても赤らんでいた。
「ん⋯⋯名無しちゃん⋯⋯どうして⋯⋯」
あなたが急いで彼の頬と額に手を当てると、高熱が出ていた。
すぐに事態を把握し、パニックを抑えながら彼に声をかける。
「ヴィクトル、具合が悪かったんだね、大丈夫だよ、私が来たからね!」
きっと彼は変な気を使って、こんなに自分が苦しんでいる中で、あんなメールを送ったのだと知る。
あなたはよからぬ事を考えてしまったことを瞬間的に恥じたが、同時にすぐに彼の看病をしなければと考えた。
「ええと、体温計どこだろう、あっ、待ってお水飲んだ? 持ってくるね!」
リビングで必要なものを探そうと出ていこうとすると、彼はあなたの手首を驚くほどがっしりと握った。
振り返ると、つらそうにするヴィクトルが口を動かす。
「帰って⋯⋯君に移したくない⋯⋯」
「⋯⋯え!? 何言ってるの、帰るわけないでしょう、こんな状態なのにっ」
「でも、だめだ⋯⋯君は、お客さんに接する仕事で⋯⋯俺のそばに⋯⋯いないほうがいい」
そんな言葉を聞き、あなたは滅多にあることではないものの、カチンときてしまった。
「ヴィクトルの馬鹿っ!! そんなの今気にしないで、私はあなたのそばにいるよ、一番大事な人なんだからねっ!」
怒りながらベッド脇にひざまずき、彼の上半身に負荷をかけないように抱擁する。
彼は言葉を失い、もう何も返せないようだった。
あなたははっとなって顔をあげる。
「大きな声出してごめんね、痛かったっ? とにかく、今は休まなきゃだめだよ、そうだ、お腹は壊してない? 気持ち悪くない?」
彼はぼうっとして、潤んだ黒い瞳で微かに首を振る。
あなたは胸を撫で下ろし、彼の額に張りついた黒髪をそっとといた。
「よかった。大丈夫、きっと風邪だよ。待っててね、準備するから」
あなたは立ち上がり、彼に微笑みかけて部屋を出た。
弱ってる彼に強く言ってしまったことを反省しながら、キッチンでお湯を出し、はちみつと塩をまぜてドリンクを作る。
前にあなたが指を切ってしまったときに、彼が奥の棚の引き出しから消毒液や絆創膏を出してくれたのを覚えていて、そこを見ると体温計もあった。
一人暮らしなのにちゃんと必要なものを揃えている彼をすごいと思う。
寝室に戻ると、ヴィクトルは横になっていたが、体を少し起こしてくれ、水分を取った。
合間に体温計を額に当てると、一瞬で体温が三十八度五分と出る。思ったよりも低く安心はしたが、これから上がるかもしれない。
「ヴィクトル、服着替えようか。これで大丈夫?」
「⋯⋯うん、ありがとう⋯⋯あぁ、自分で出来るよ⋯⋯」
彼はあまり人に世話されることに慣れてないようだ。元々屈強なスポーツマンだし、恥ずかしさもあるのかも。
でも今は手伝わせてほしいと、あなたはゆっくり彼の服を脱がせ、汗を拭いて薄着の上下を着せた。
そうして水分を補給し、布団の中に入ったヴィクトルは、少し表情が和らいでいた。
あなたはそばの床に膝立ちをし、タオルで髪を拭いながら、愛おしい思いで見つめる。
「名無しちゃん、そんなに近くにいたら⋯⋯移る⋯⋯」
「もう。まだ言ってるの? もう移っちゃったよーだ」
「⋯⋯意地悪だな、君は⋯⋯」
そんなふうに言われてふっと笑いがもれた。言い返せるなら大丈夫だろうと、彼に少し休んでもらうため腰を浮かす。
寝室には備え付けのバスルームがすぐそばにあるし、彼も大丈夫だと言ったから少しの間またキッチンに行った。
今は何も食べられないだろうけど、飲み物に加えてスープも用意しておこう。
冷蔵庫には野菜もあったし十分だ。彼は多忙なのに時折自炊していて、本当に尊敬する。
風邪のときの定番の、野菜のチキンスープを作り、こっそりと寝室へ戻った。
静かに確認すると、彼は寝息を立てて眠っていた。
顔色はさっきよりも良い。色々触って確かめたくなるのをこらえ、あなたはそばの一人がけソファに座って見守ることにした。
時刻はもうすぐ夜十時で、あなたは彼に明日の仕事を休んでもらいたいと願う。
どのみち自分はここに泊まり、朝まで一緒にいるつもりだ。
色々考えていたら、うとうとしてソファ椅子で眠ってしまった。
「⋯⋯あっ、やばっ」
あなたは瞬きをするが、彼はまだ眠っている。
もう二時間近く経っていた。愚かすぎる。何かあったらどうするの、そう自分を責めたが、あることに気づいた。
自分の胸元までブランケットがかかっていたのだ。
まさか一度起きた彼がやったのかな?
胸がじんと熱くなり凝視するけれど、聞くすべはなかった。
でも、起き上がって用を足すことも出来たみたいだし、よかった。
そう考えて、あなたは彼のベッドで一緒に眠ることにした。
十分に大きく、二人でも余るぐらいの広さだ。
自分も着替えて就寝の準備をし、邪魔しないように端で丸まった。
暗がりにヴィクトルの広い背中が見える。
今日は本当に心配した。何かあったと思ったら、やっぱり何かあった。
でもまさか思いもよらない事になってるなんて。
こんな時はすぐに呼んでほしい、自分に助けさせてほしい。
湧き出る思いはひとまずしまって、早く良くなりますように、彼の背に向けてそう祈った。
その時だった。彼は「うぅ⋯⋯」と小さく唸った。
「んっ⋯⋯?」
あなたは慌てて体を起こし、静かに忍び寄る。
きちんと寝息は立てているし、大丈夫そうだ。
でも彼は、夢を見てるのか、うなされてるのか、わからなかった。
「名無しちゃん⋯⋯」
「⋯⋯なに? 大丈夫⋯?」
もし寝言だったら答えないほうがいいよね、そう思いながらも、喉をごくりと鳴らして近づく。
すると彼はこう呟いた。
「⋯⋯名無しちゃん⋯⋯結婚したい⋯⋯」
あなたは瞳を最大限に見開き、動きを止める。
しばらく、時間まで停まってしまったかのように微動だに出来なかった。
ヴィクトルはすーっと寝入ったままだ。
あなたは瞳を揺らして、彼の背にぴたりと手のひらをあてる。
まだ熱い。熱は引いてないようだ。
「⋯⋯私も。⋯⋯私も。ヴィクトル」
そう声に出して、あなたは彼の背に額をつけて、柔らかい口元で目を閉じた。
