美オヤジを誘って囲われて救われる話
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アパートへ帰ってからも幸せな気分は継続していた。クリスマスに誕生日、彼との約束が目白押しで顔がにやける。
「お風呂ありがとう。さっぱりしたな」
「よかったー」
食事を済ませたあと、湯上がりの彼が黒髪をタオルで拭ってそばへ来る。
あなたが選んだゆるい黒とグレイの部屋着姿は、妙に色気を放っていてドキドキする。
自宅アパートに彼の私物が増えることも、くつろいでもらえてることも嬉しかった。
「ふう」
彼がソファであなたの隣に座ると、ふわっといい香りがした。
この前贈った爽やかな香水だ。あなたはいっそう癒やされて、彼の腕に嬉しそうに巻きついた。
「この時間が一番幸せだなぁ。ヴィクトルを独り占めできるね」
「ふふ、可愛いなぁ。いくらでも君にあげるよ、こんな俺なんて」
一見謙遜しすぎな言葉でも、艷っぽい眼差し付きだと自信しか感じないのはなぜだろう。
赤らんで黙ってしまうあなたの頬を、ヴィクトルは親指で愛おしそうに撫でる。
「名無しちゃんは家にいるとき、もっと甘えてくれるね」
「⋯⋯そう? 前にも言ってたね。外でも甘えてほしいの?」
「うん」
ストレートな返事に鼓動が跳ねる。
彼はにこっと笑って唇を近づけてきた。キスをされて早くもとろけそうになる。
外でもイチャつきたいんだ⋯⋯。今日は彼の意外な一面の連続で、ゆであがりっぱなしだ。
「じゃあ頑張るね」
「ははっ。無理しないでね。ほんのちょびっとでも大丈夫だよ」
「どんなこと?」
「君からキスしてくれるとか」
至近距離でとんでもないことを言われて、あなたは「全然ちょっとじゃないよ〜」と真っ赤になった。するとまた彼の気持ちいい笑い声が響く。
「ごめんごめん、半分冗談だから――」
でも言われたことは嬉しくて、まだ笑っている彼の唇を見つめ、ちゅっとキスをしてあげた。
すると彼は一瞬黙り、スイッチが入ったかのように、あなたを抱き寄せて腕に閉じ込め、本格的な甘いモードに誘ってくる。
「んんっ」
「名無しちゃん⋯⋯」
熱い唇が触れ、密着が深まっていくとあなたは焦り出した。
「まってぇ」
「ん⋯⋯?」
「まだ聞きたいことがあるの⋯!」
「なに⋯?」
「ヴィクトルのお父さんのこと⋯っ」
攻勢に遭いながらあなたははっきりとそう告げた。すると彼はあなたを覆う肩を止めて、まつげの長い瞳を瞬かせる。
「え。俺の親父? ⋯⋯ちょっと待って、今すごく甘い雰囲気の中で親父の顔が浮かんでびっくりしたよ」
「ごめんねっ。でも気になっちゃって。今日聞こうと思ってたの。この前お誕生日だったんだよね?」
そう。彼が父親に二人の関係を伝えたと聞いていたから、反応をものすごく考えていたのだ。
ヴィクトルはすぐに納得し話をしてくれた。印象はまったく悪くなくて、あなたの祝いのメッセージにもお礼を言っていたし、かなり驚かれたが大反対はされなかったと。
「本当⋯?」
「うん、本当だよ。俺はものすごく怒られたけどね。若いお嬢さんに何手を出してるんだって。きっとたぶらかしてると思ったんだろうな」
彼は生温かい目で反芻していたが、あなたは真っ青になる。
「そんなことないよ! むしろ私がたぶらかしてるほうで!」
「おいおい。それは違うでしょう。確かに俺は君の魅力にやられちゃってるけどね?」
大人な彼はこんな話題のときでも包み込むような表情で微笑み、落ち着かせようとしてくれる。
「親父は君の心配とご家族のことが気がかりみたいでね。完全に俺と同じ懸念だから大丈夫。いいかい名無しちゃん、責任は遥か大人の俺にあるんだから、何も心配しないで」
「でも、でも⋯⋯二人のことだよ。それに、お母さんはどうだろう」
「あぁお袋か。大丈夫だよ、きっと親父と同じさ。うちの家族は皆俺みたいな感じだから、君のこと可愛い〜って思うだけだよ。責められるとしたら完全に俺だな。昔から人様の迷惑になることだけはするなって言われてきたからね」
彼は大げさに肩をすくめ、それでも明るい様子だった。
話に聞くと、誠実な彼を見ても分かるように立派なご両親らしい。
でも、ヴィクトルみたいなの⋯? 想像するとなんだか親近感がわく。優しい人達なのかもしれない。
とにかく気を引き締めて、自分にできることをしていこうと思った。
彼はむしろあなたの家族のことを変わらず心配してるようだったから、実はもう母親には交際を伝えたと教えた。
「すごく関心持ってて、出来れば来年とか会いたいなって感じなんだけど⋯⋯どうかな?」
「もちろん。ぜひお会いしたいな、ありがとうね」
そう喜んでもらえてほっとした。正直父親とはまだ話してないが、母が伝えると言っていた。
別に仲は普通だけど、親子で頻繁に連絡するタイプでもなく、対面はきっと四人で出来るだろう。
「それでね、俺も少し気になることがあってさ」
「なになに? 直すとこがあったら何でも言ってね」
あなたが身を乗り出すと彼は「そんなの何もないよ」と驚き微笑みを見せる。
「実は、親父に何気なく言われたんだけどね。俺の年的に父親みたいな感じで慕われてるんじゃないかってさ。それがまったく悪いとかじゃないんだよ。俺も頼ってもらえる男になりたいし。⋯⋯でもその、君の男性のタイプ的にそういうことあるのかなって」
彼は瞳を近づけて、じっと尋ねてきた。
あなたは予想だにしない問いに唖然として首を振った。
「父親!? ぜんぜん違うよ、こんな格好いい父親いる!?」
「そう? ありがとう、照れるな」
「そうだよ! というか、うちのお父さんとは全く違うし、あ、でもそういうことじゃないよね。言ってることは分かるんだ――」
ものすごく慌ててから、まっすぐ聞いてくれた彼のためにも真摯に答えようとした。
「あのね、年齢によってあふれでる包容力とか勿論あるんだろうけど、ヴィクトルのは個人の性質だと思うよ!」
年の差は正直、あなた自身は気にしていない。周りから、とくにヴィクトルがどう思われるか、それは気になる。
立場とか環境の違いは都度思い知るけれど、二人の間で年齢自体が大きな問題と思ったことはなかった。
「私は今のヴィクトルが好きだよ。大人だから安心できるし、余裕を感じて居心地がいいっていうのは、正直あるかもしれない。でも一番は、ヴィクトルの人柄だよ。想像だけど、ヴィクトルは昔からずっとそういう人だと思う。優しくて思いやりがあって、温かくて。よく私のこと気づいてくれて」
説明してるうちに感情が止まらなくなってきた。
「今日もお友達に会って知ったよ、皆から愛されてるんだなって。好かれてるの分かるし、それも嬉しいし、でも私だけに見せてくれる顔もあるのかなって⋯自惚れたりもしちゃうんだ」
彼のことを話していると、表情が自然に和らいできて、愛おしい思いが湧き出てくる。
「――だからね、自分と年が離れてる男性だから好きってことは、全然ないんだ。ヴィクトルの魅力だから、それももちろん含まれてるけど、あなた自身を愛してるの。だからこんなに好きなの!」
そう言って彼の胸元に抱きついた。普段はあまり気持ちをさらけ出せる性格じゃないけど、今はぶつけずにいられなかった。
もし彼が気がかりに思うことがあるなら、いつも自分にしてくれるように、すぐに取っ払いたかった。
ヴィクトルはぎゅうっと広い胸に押し込んで抱きしめてくれた。
急激に全身が火照っていく。熱い顔で見上げると、彼もかなり感極まった照れ顔で見つめ返してくる。
「名無しちゃん。俺今泣きそうなぐらい嬉しくなったよ」
「えええっ。泣かないで、私が每日思ってることだよ!」
「うん。ありがとう。君は一瞬で俺のこと幸せにしてくれるな」
眼前に彼の柔らかい表情がある。目元がうっすら染まり、いつもよりもっと優しい。
彼はいつどんな時でも素敵だけれど、きっとこの顔は、自分だけに見せてくれるものなんじゃないか。
そう思ったら、二人で見つめ合う時間がさらに幸せに包まれた。
「ねえねえ、ふと思ったんだけど。逆に私が若いところが好きなの?」
安心したらそんな疑問が出てきて、あなたは軽い気持ちで尋ねる。
別にいたずらで言ったわけではないけれど、目を丸くした彼はふるふると首を振る。かと思うと、じっとこちらを見て慈しんだような顔つきをしてくる。何かをじっくり考えてるみたいだ。
「確かに君はすごく若いよね。俺の約半分だから。でも何歳でも名無しちゃんはとっても可愛いよ。ずっとずっと愛おしいよ。一緒に年取りたいなって思う」
彼の偽りのない思いが、その言葉に集約されていると感じた。
「嬉しい⋯⋯!」
あなたも涙が出そうなほどくしゃっとした顔を、彼の胸にうずめて喜んだ。
互いの環境について話せば話すほど、気持ちを知れば知るほど、二人の愛は深まっていくのだと感じた。
ーーー
こんなふうに今日は、彼も不安なことがあるんだなって、もっと身近に触れた日だ。
だからあなたはこう考える。
与えてもらうだけでなく、自分も与えたい、もっと想いを伝えたいと。
それをまずベッドの上で試そうとした。
変な表し方かもしれないけれど、心の繋がりが強まると、肉体も深めたいと思うのは当然のことなのだ。
「えっ? 名無しちゃん、今日は上になりたいの?」
小さい照明を灯した寝室で、彼に散々官能的な愛撫をされたあと。
あなたは白いふかふかのベッドの上で、裸の彼のそばに横たわり、小さく頷いた。
「本当に? 俺は嬉しいけど」
「嬉しいの? やじゃない?」
「いや、嫌な男なんていないでしょ。好きな子にそんなことされて」
さっと照れたヴィクトルにあなたは張り切る。
彼にクッションを背に寝そべってもらい、裸体のまま腰のあたりにまたがってみた。
「ん⋯⋯無理しないでね」
優しく語りかけられて、あなたは赤く染まり動きを止めてしまう。
まだ挿入なんてしてないけど、目線の置き場がわからず、何をどうすればいいのだろう。
「え、えっとぉ⋯」
彼みたいにムードをもって始められず、ぎこちなくなる。
すると見かねた彼が起き上がり、座ったまま抱きしめてくれた。
「ごめんね⋯! もっと経験があれば⋯」
正直ないわけじゃないけど、挿入関連はいまだに分からないことも多い。してもらってばかりだからだ。
彼は優しい瞳であなたの長い髪をといてくれる。
「あのねえ。そんなの気にしなくていいんだよ、名無しちゃん。大事なのは気持ちだから。俺は君の気持ちが嬉しい。さっきもそうだけど、俺のためにそうしようって、伝えたいって思ってくれたんでしょう? すごく伝わってるよ。だから俺もすぐ返したくなるんだよね」
あなたは彼の言葉が全身に染み渡り、うるっとくる。
「ありがとう⋯でも今日は頑張りたい⋯っ」
「よしわかった。じゃあやってみよう」
頭を丁寧に撫でられる。まるで年下丸出しで恥ずかしいけれど、安心がもたらされた。
そのまま脚を伸ばして座る彼に誘導され、ゆっくり腰をおろした。
「んぁあ⋯っ」
「⋯⋯っ、大丈夫、上手だよ」
ずぷすぷと大きいものが奥まで入ってきてしまい、腰が震えながらも少しずつ動いてみる。羞恥でいっぱいなのに快感にさらわれそうだ。
彼を見やると、浅く息づいて微動だにしていない。
「ヴィクトル、どう⋯っ?」
「⋯⋯ん? これはまずいよ」
え? まずいの?
パニックになったあなたを落ち着かせるように、彼はそっと腰を抱えて微笑む。
「うん。だからあまり動かなくて大丈夫だよ」
そう言ってくれたけど、あなたは焦り頑張って動き始めた。
やってみて分かったが、自分をコントロールしながら相手を気持ちよくしようとすることが、どれだけ大変か。
「ヴィクトル、すごいよぉ。いつもこんなことしてくれてるの」
「あ、名無しちゃん」
「気持ちいい、あぁ、だめえ、もっとヴィクトルを気持ちよくしたいのに」
あなたは勝手に感じ始めてしまい、彼の両肩に手を置いて腰を揺らした。
すると彼が顔を上向け、吐息まじりの唇を動かす。
「どうやってそんなこと覚えたの?」
「⋯⋯え? ヴィクトルが教えてくれたんでしょう」
「俺そんなこと教えたか?」
独り言みたいにつぶやく彼の反応を見ると面白い。引き締まった腹筋をぴくぴくさせて、感じてるみたいだ。
自分が刺激を与えてるんだ。この前手でしたときみたいに。
そう自覚して段々嬉しくなってくる。でも奥に当たってこちらも余裕がない。
このままじゃ先に達してしまうと焦り、あなたは彼に後ろに倒れてもらった。
「おっと、あぁ、これはもっとやばいぞ」
そうもらしたヴィクトルは、あなたの腰をがっしり支えてサポートしてくれた。
「あ、あぁ、ヴィクトルっ」
あなたは腰の動きが止まらなくなってくる。
揺れる胸も、腰つきも、下から丸見えだろうけど、彼を征服してるような気分になってきて喜びもわく。
「気持ちいい?」
「うん、すごくいいよ。名無しちゃん、しめつけてくる」
そんなこと言われたらもっとおかしくなる。つい動きも止まりそうになった。
このままじゃ先にイってしまい、そのあとは力がなくなってるかも。
「ねえ、俺をイかせたい?」
突然下から薄く開いた瞳で尋ねられた。彼も首筋に汗がにじみ、余裕のない呼吸をしている。
「ん、え? え?」
その直球のやらしいセリフに、あなたは完全に集中を奪われ、一気に膣の中がきゅうきゅうしてきた。
「や、あ、あぁ、ヴィクトル、いかせてぇっ」
彼への返事ができず、逆に懇願をする。
するとヴィクトルはあなたの腰を掴み、下から勢いよく突いてきた。
「あっ、あっ、あっ、んあぁ!」
彼は性急に起き上がり、あなたをがっちりと抱えたまま後ろに倒れたところを、強く抱き込まれ、激しくイかされる。
それは自分がしていたこととまったく違う、的確で大きすぎる快楽だった。
「だめっ、いくっ、いくっ、いく!」
分厚い筋肉のはった胸がくっつき、シーツに押しつけられるように腰を入れられ、奥までしっかり突かれる。
あなたは一気に達したあと、息を乱し、彼の下で小刻みに腰を震わせていた。
彼のものもあなたの膣の動きに呼応するように、ビクっ、ビクっ、と脈打ち、イッたのだと悟る。
「はぁ、はぁ、名無しちゃん⋯⋯」
二人の胸がぴたりと合わさり、鼓動がとても速い。汗で離れないほど密着している。
あなたは呆然としながらも、彼の背中を持ちうる力で掴んだ。
「いかせたかったのにぃ⋯⋯また気持ちよくなっちゃった⋯」
顔をあげて、濡れた瞳を合わせる。
ヴィクトルは興奮を鎮めようと努めていたが、満たされた表情だ。
「すごく気持ちよかったよ。俺もね。ありがとう」
「⋯⋯本当? 嬉しい⋯⋯でも私がお礼言いたいよ」
小声で明かすと彼は小さく笑って、あなたの頬を指先でいじってくる。
「君が上に乗って揺れてるの見てるだけで、もう堪えられなかったよ」
「やだ⋯⋯恥ずかしい」
「あんなにたくさんしてくれたのに? ⋯⋯今度またしてくれる?」
またその色っぽくずるい笑みだ。
でもまた、と言われてあなたも輝くような笑顔で頷いた。
彼をもっと幸せにしたい。小さなことからだけど、自分にも出来るかもしれない。
そんな希望にほころんだ顔をヴィクトルが肩ごと覆ってきて、腕の中にしまう。
「あぁ。幸せだな⋯⋯君が大好きだ、名無しちゃん。何度言っても足りないぐらいに」
「ふふ。足りてるよ。十分感じるもん」
「そうかな?」
「うんっ」
「⋯⋯もっと表してもいい?」
彼がやけに真剣にじっと目を見て尋ねてくるから、あなたはまだその意図に気づいていなかったけれど、とろんとした瞳でこう返事をした。
「うん、いいよ。もっとして」
甘い声を出して彼の懐に潜り込む。
ヴィクトルはあなたの可愛らしさにうっとりする。彼の思惑は当然深いところにあったが、より強い手応えを得るまでに、もうあまり時間はかからなかったのだ。
「お風呂ありがとう。さっぱりしたな」
「よかったー」
食事を済ませたあと、湯上がりの彼が黒髪をタオルで拭ってそばへ来る。
あなたが選んだゆるい黒とグレイの部屋着姿は、妙に色気を放っていてドキドキする。
自宅アパートに彼の私物が増えることも、くつろいでもらえてることも嬉しかった。
「ふう」
彼がソファであなたの隣に座ると、ふわっといい香りがした。
この前贈った爽やかな香水だ。あなたはいっそう癒やされて、彼の腕に嬉しそうに巻きついた。
「この時間が一番幸せだなぁ。ヴィクトルを独り占めできるね」
「ふふ、可愛いなぁ。いくらでも君にあげるよ、こんな俺なんて」
一見謙遜しすぎな言葉でも、艷っぽい眼差し付きだと自信しか感じないのはなぜだろう。
赤らんで黙ってしまうあなたの頬を、ヴィクトルは親指で愛おしそうに撫でる。
「名無しちゃんは家にいるとき、もっと甘えてくれるね」
「⋯⋯そう? 前にも言ってたね。外でも甘えてほしいの?」
「うん」
ストレートな返事に鼓動が跳ねる。
彼はにこっと笑って唇を近づけてきた。キスをされて早くもとろけそうになる。
外でもイチャつきたいんだ⋯⋯。今日は彼の意外な一面の連続で、ゆであがりっぱなしだ。
「じゃあ頑張るね」
「ははっ。無理しないでね。ほんのちょびっとでも大丈夫だよ」
「どんなこと?」
「君からキスしてくれるとか」
至近距離でとんでもないことを言われて、あなたは「全然ちょっとじゃないよ〜」と真っ赤になった。するとまた彼の気持ちいい笑い声が響く。
「ごめんごめん、半分冗談だから――」
でも言われたことは嬉しくて、まだ笑っている彼の唇を見つめ、ちゅっとキスをしてあげた。
すると彼は一瞬黙り、スイッチが入ったかのように、あなたを抱き寄せて腕に閉じ込め、本格的な甘いモードに誘ってくる。
「んんっ」
「名無しちゃん⋯⋯」
熱い唇が触れ、密着が深まっていくとあなたは焦り出した。
「まってぇ」
「ん⋯⋯?」
「まだ聞きたいことがあるの⋯!」
「なに⋯?」
「ヴィクトルのお父さんのこと⋯っ」
攻勢に遭いながらあなたははっきりとそう告げた。すると彼はあなたを覆う肩を止めて、まつげの長い瞳を瞬かせる。
「え。俺の親父? ⋯⋯ちょっと待って、今すごく甘い雰囲気の中で親父の顔が浮かんでびっくりしたよ」
「ごめんねっ。でも気になっちゃって。今日聞こうと思ってたの。この前お誕生日だったんだよね?」
そう。彼が父親に二人の関係を伝えたと聞いていたから、反応をものすごく考えていたのだ。
ヴィクトルはすぐに納得し話をしてくれた。印象はまったく悪くなくて、あなたの祝いのメッセージにもお礼を言っていたし、かなり驚かれたが大反対はされなかったと。
「本当⋯?」
「うん、本当だよ。俺はものすごく怒られたけどね。若いお嬢さんに何手を出してるんだって。きっとたぶらかしてると思ったんだろうな」
彼は生温かい目で反芻していたが、あなたは真っ青になる。
「そんなことないよ! むしろ私がたぶらかしてるほうで!」
「おいおい。それは違うでしょう。確かに俺は君の魅力にやられちゃってるけどね?」
大人な彼はこんな話題のときでも包み込むような表情で微笑み、落ち着かせようとしてくれる。
「親父は君の心配とご家族のことが気がかりみたいでね。完全に俺と同じ懸念だから大丈夫。いいかい名無しちゃん、責任は遥か大人の俺にあるんだから、何も心配しないで」
「でも、でも⋯⋯二人のことだよ。それに、お母さんはどうだろう」
「あぁお袋か。大丈夫だよ、きっと親父と同じさ。うちの家族は皆俺みたいな感じだから、君のこと可愛い〜って思うだけだよ。責められるとしたら完全に俺だな。昔から人様の迷惑になることだけはするなって言われてきたからね」
彼は大げさに肩をすくめ、それでも明るい様子だった。
話に聞くと、誠実な彼を見ても分かるように立派なご両親らしい。
でも、ヴィクトルみたいなの⋯? 想像するとなんだか親近感がわく。優しい人達なのかもしれない。
とにかく気を引き締めて、自分にできることをしていこうと思った。
彼はむしろあなたの家族のことを変わらず心配してるようだったから、実はもう母親には交際を伝えたと教えた。
「すごく関心持ってて、出来れば来年とか会いたいなって感じなんだけど⋯⋯どうかな?」
「もちろん。ぜひお会いしたいな、ありがとうね」
そう喜んでもらえてほっとした。正直父親とはまだ話してないが、母が伝えると言っていた。
別に仲は普通だけど、親子で頻繁に連絡するタイプでもなく、対面はきっと四人で出来るだろう。
「それでね、俺も少し気になることがあってさ」
「なになに? 直すとこがあったら何でも言ってね」
あなたが身を乗り出すと彼は「そんなの何もないよ」と驚き微笑みを見せる。
「実は、親父に何気なく言われたんだけどね。俺の年的に父親みたいな感じで慕われてるんじゃないかってさ。それがまったく悪いとかじゃないんだよ。俺も頼ってもらえる男になりたいし。⋯⋯でもその、君の男性のタイプ的にそういうことあるのかなって」
彼は瞳を近づけて、じっと尋ねてきた。
あなたは予想だにしない問いに唖然として首を振った。
「父親!? ぜんぜん違うよ、こんな格好いい父親いる!?」
「そう? ありがとう、照れるな」
「そうだよ! というか、うちのお父さんとは全く違うし、あ、でもそういうことじゃないよね。言ってることは分かるんだ――」
ものすごく慌ててから、まっすぐ聞いてくれた彼のためにも真摯に答えようとした。
「あのね、年齢によってあふれでる包容力とか勿論あるんだろうけど、ヴィクトルのは個人の性質だと思うよ!」
年の差は正直、あなた自身は気にしていない。周りから、とくにヴィクトルがどう思われるか、それは気になる。
立場とか環境の違いは都度思い知るけれど、二人の間で年齢自体が大きな問題と思ったことはなかった。
「私は今のヴィクトルが好きだよ。大人だから安心できるし、余裕を感じて居心地がいいっていうのは、正直あるかもしれない。でも一番は、ヴィクトルの人柄だよ。想像だけど、ヴィクトルは昔からずっとそういう人だと思う。優しくて思いやりがあって、温かくて。よく私のこと気づいてくれて」
説明してるうちに感情が止まらなくなってきた。
「今日もお友達に会って知ったよ、皆から愛されてるんだなって。好かれてるの分かるし、それも嬉しいし、でも私だけに見せてくれる顔もあるのかなって⋯自惚れたりもしちゃうんだ」
彼のことを話していると、表情が自然に和らいできて、愛おしい思いが湧き出てくる。
「――だからね、自分と年が離れてる男性だから好きってことは、全然ないんだ。ヴィクトルの魅力だから、それももちろん含まれてるけど、あなた自身を愛してるの。だからこんなに好きなの!」
そう言って彼の胸元に抱きついた。普段はあまり気持ちをさらけ出せる性格じゃないけど、今はぶつけずにいられなかった。
もし彼が気がかりに思うことがあるなら、いつも自分にしてくれるように、すぐに取っ払いたかった。
ヴィクトルはぎゅうっと広い胸に押し込んで抱きしめてくれた。
急激に全身が火照っていく。熱い顔で見上げると、彼もかなり感極まった照れ顔で見つめ返してくる。
「名無しちゃん。俺今泣きそうなぐらい嬉しくなったよ」
「えええっ。泣かないで、私が每日思ってることだよ!」
「うん。ありがとう。君は一瞬で俺のこと幸せにしてくれるな」
眼前に彼の柔らかい表情がある。目元がうっすら染まり、いつもよりもっと優しい。
彼はいつどんな時でも素敵だけれど、きっとこの顔は、自分だけに見せてくれるものなんじゃないか。
そう思ったら、二人で見つめ合う時間がさらに幸せに包まれた。
「ねえねえ、ふと思ったんだけど。逆に私が若いところが好きなの?」
安心したらそんな疑問が出てきて、あなたは軽い気持ちで尋ねる。
別にいたずらで言ったわけではないけれど、目を丸くした彼はふるふると首を振る。かと思うと、じっとこちらを見て慈しんだような顔つきをしてくる。何かをじっくり考えてるみたいだ。
「確かに君はすごく若いよね。俺の約半分だから。でも何歳でも名無しちゃんはとっても可愛いよ。ずっとずっと愛おしいよ。一緒に年取りたいなって思う」
彼の偽りのない思いが、その言葉に集約されていると感じた。
「嬉しい⋯⋯!」
あなたも涙が出そうなほどくしゃっとした顔を、彼の胸にうずめて喜んだ。
互いの環境について話せば話すほど、気持ちを知れば知るほど、二人の愛は深まっていくのだと感じた。
ーーー
こんなふうに今日は、彼も不安なことがあるんだなって、もっと身近に触れた日だ。
だからあなたはこう考える。
与えてもらうだけでなく、自分も与えたい、もっと想いを伝えたいと。
それをまずベッドの上で試そうとした。
変な表し方かもしれないけれど、心の繋がりが強まると、肉体も深めたいと思うのは当然のことなのだ。
「えっ? 名無しちゃん、今日は上になりたいの?」
小さい照明を灯した寝室で、彼に散々官能的な愛撫をされたあと。
あなたは白いふかふかのベッドの上で、裸の彼のそばに横たわり、小さく頷いた。
「本当に? 俺は嬉しいけど」
「嬉しいの? やじゃない?」
「いや、嫌な男なんていないでしょ。好きな子にそんなことされて」
さっと照れたヴィクトルにあなたは張り切る。
彼にクッションを背に寝そべってもらい、裸体のまま腰のあたりにまたがってみた。
「ん⋯⋯無理しないでね」
優しく語りかけられて、あなたは赤く染まり動きを止めてしまう。
まだ挿入なんてしてないけど、目線の置き場がわからず、何をどうすればいいのだろう。
「え、えっとぉ⋯」
彼みたいにムードをもって始められず、ぎこちなくなる。
すると見かねた彼が起き上がり、座ったまま抱きしめてくれた。
「ごめんね⋯! もっと経験があれば⋯」
正直ないわけじゃないけど、挿入関連はいまだに分からないことも多い。してもらってばかりだからだ。
彼は優しい瞳であなたの長い髪をといてくれる。
「あのねえ。そんなの気にしなくていいんだよ、名無しちゃん。大事なのは気持ちだから。俺は君の気持ちが嬉しい。さっきもそうだけど、俺のためにそうしようって、伝えたいって思ってくれたんでしょう? すごく伝わってるよ。だから俺もすぐ返したくなるんだよね」
あなたは彼の言葉が全身に染み渡り、うるっとくる。
「ありがとう⋯でも今日は頑張りたい⋯っ」
「よしわかった。じゃあやってみよう」
頭を丁寧に撫でられる。まるで年下丸出しで恥ずかしいけれど、安心がもたらされた。
そのまま脚を伸ばして座る彼に誘導され、ゆっくり腰をおろした。
「んぁあ⋯っ」
「⋯⋯っ、大丈夫、上手だよ」
ずぷすぷと大きいものが奥まで入ってきてしまい、腰が震えながらも少しずつ動いてみる。羞恥でいっぱいなのに快感にさらわれそうだ。
彼を見やると、浅く息づいて微動だにしていない。
「ヴィクトル、どう⋯っ?」
「⋯⋯ん? これはまずいよ」
え? まずいの?
パニックになったあなたを落ち着かせるように、彼はそっと腰を抱えて微笑む。
「うん。だからあまり動かなくて大丈夫だよ」
そう言ってくれたけど、あなたは焦り頑張って動き始めた。
やってみて分かったが、自分をコントロールしながら相手を気持ちよくしようとすることが、どれだけ大変か。
「ヴィクトル、すごいよぉ。いつもこんなことしてくれてるの」
「あ、名無しちゃん」
「気持ちいい、あぁ、だめえ、もっとヴィクトルを気持ちよくしたいのに」
あなたは勝手に感じ始めてしまい、彼の両肩に手を置いて腰を揺らした。
すると彼が顔を上向け、吐息まじりの唇を動かす。
「どうやってそんなこと覚えたの?」
「⋯⋯え? ヴィクトルが教えてくれたんでしょう」
「俺そんなこと教えたか?」
独り言みたいにつぶやく彼の反応を見ると面白い。引き締まった腹筋をぴくぴくさせて、感じてるみたいだ。
自分が刺激を与えてるんだ。この前手でしたときみたいに。
そう自覚して段々嬉しくなってくる。でも奥に当たってこちらも余裕がない。
このままじゃ先に達してしまうと焦り、あなたは彼に後ろに倒れてもらった。
「おっと、あぁ、これはもっとやばいぞ」
そうもらしたヴィクトルは、あなたの腰をがっしり支えてサポートしてくれた。
「あ、あぁ、ヴィクトルっ」
あなたは腰の動きが止まらなくなってくる。
揺れる胸も、腰つきも、下から丸見えだろうけど、彼を征服してるような気分になってきて喜びもわく。
「気持ちいい?」
「うん、すごくいいよ。名無しちゃん、しめつけてくる」
そんなこと言われたらもっとおかしくなる。つい動きも止まりそうになった。
このままじゃ先にイってしまい、そのあとは力がなくなってるかも。
「ねえ、俺をイかせたい?」
突然下から薄く開いた瞳で尋ねられた。彼も首筋に汗がにじみ、余裕のない呼吸をしている。
「ん、え? え?」
その直球のやらしいセリフに、あなたは完全に集中を奪われ、一気に膣の中がきゅうきゅうしてきた。
「や、あ、あぁ、ヴィクトル、いかせてぇっ」
彼への返事ができず、逆に懇願をする。
するとヴィクトルはあなたの腰を掴み、下から勢いよく突いてきた。
「あっ、あっ、あっ、んあぁ!」
彼は性急に起き上がり、あなたをがっちりと抱えたまま後ろに倒れたところを、強く抱き込まれ、激しくイかされる。
それは自分がしていたこととまったく違う、的確で大きすぎる快楽だった。
「だめっ、いくっ、いくっ、いく!」
分厚い筋肉のはった胸がくっつき、シーツに押しつけられるように腰を入れられ、奥までしっかり突かれる。
あなたは一気に達したあと、息を乱し、彼の下で小刻みに腰を震わせていた。
彼のものもあなたの膣の動きに呼応するように、ビクっ、ビクっ、と脈打ち、イッたのだと悟る。
「はぁ、はぁ、名無しちゃん⋯⋯」
二人の胸がぴたりと合わさり、鼓動がとても速い。汗で離れないほど密着している。
あなたは呆然としながらも、彼の背中を持ちうる力で掴んだ。
「いかせたかったのにぃ⋯⋯また気持ちよくなっちゃった⋯」
顔をあげて、濡れた瞳を合わせる。
ヴィクトルは興奮を鎮めようと努めていたが、満たされた表情だ。
「すごく気持ちよかったよ。俺もね。ありがとう」
「⋯⋯本当? 嬉しい⋯⋯でも私がお礼言いたいよ」
小声で明かすと彼は小さく笑って、あなたの頬を指先でいじってくる。
「君が上に乗って揺れてるの見てるだけで、もう堪えられなかったよ」
「やだ⋯⋯恥ずかしい」
「あんなにたくさんしてくれたのに? ⋯⋯今度またしてくれる?」
またその色っぽくずるい笑みだ。
でもまた、と言われてあなたも輝くような笑顔で頷いた。
彼をもっと幸せにしたい。小さなことからだけど、自分にも出来るかもしれない。
そんな希望にほころんだ顔をヴィクトルが肩ごと覆ってきて、腕の中にしまう。
「あぁ。幸せだな⋯⋯君が大好きだ、名無しちゃん。何度言っても足りないぐらいに」
「ふふ。足りてるよ。十分感じるもん」
「そうかな?」
「うんっ」
「⋯⋯もっと表してもいい?」
彼がやけに真剣にじっと目を見て尋ねてくるから、あなたはまだその意図に気づいていなかったけれど、とろんとした瞳でこう返事をした。
「うん、いいよ。もっとして」
甘い声を出して彼の懐に潜り込む。
ヴィクトルはあなたの可愛らしさにうっとりする。彼の思惑は当然深いところにあったが、より強い手応えを得るまでに、もうあまり時間はかからなかったのだ。
