美オヤジを誘って囲われて救われる話
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日曜日の午後。ヴィクトルは黒塗りの自家用車を運転していた。サングラスをかけ片手でハンドルを握り、車内に響くロック音楽を楽しんでいる。
最近あなたとの共通の趣味を知ったことから、昔聴いてた音楽をまた漁り始めていた。
山道を走り海が見えてきた丘で、彼は車を停めた。白壁が風景に映える一軒家前に降り立つ。
ここは空気が気持ちいい見晴らし抜群の土地だ。自分が独立した後に両親が購入したのだが、今の孤独な家主を考えると、来るたび心が痛まないこともない。
「――はい」
「親父。俺だ、開けてくれ」
サングラスを取って大きな荷物を傍らに抱えたヴィクトルは、扉が開くと手をあげた。
現れたのはグレイヘアの長身の男だ。堀の深い顔立ちと切れ長で知性的な目元はヴィクトルそっくりだが、甘さを引いて威厳を足したような美形だった。
カジュアルなダウンとジーンズ姿の息子に対し、彼は家でも皺一つないシャツとセーターをまとっている。
「よう」
「来たのか。入れ。唐突だな」
「何言ってるんだよ。今日は親父の誕生日だろ? ほらこれ、おめでとう」
両手で持って差し出す。すると彼の父、ロベルトは普段の仏頂面を明るく驚かせる。
「おお、こんな良いメーカーのゴルフクラブ買ったのか? これは素晴らしい。ありがとうな。だが珍しいな、何かあったのか? 70まではまだ先だぞ」
軽口を叩きながら父はそれを屋内に運び、開封して喜んでいる。ヴィクトルはほっとした瞳をがらんとした家に移した。
ガラス張りの広い室内で崖下の海が一望できる。開放的なテラスにはくつろげる椅子が置かれ、机にはコーヒーと新聞が乗っていた。
リビングも整頓されていて、男の一人暮らしにしてはとても綺麗だ。
「誕生日会はするのか?」
「そんなだいそれたものじゃないけどな。夜に友人らと食事に行くよ」
まだまだ元気で活動的な父だが、大企業に勤めて二年前に退職したロベルトは、ヴィクトルと同じく昼夜問わず働く仕事人間だった。
今の生活はかなり時間を持て余してるはずである。
二人はダイニングテーブルで向かい合った。
父はコーヒーを出してくれ、菓子もつまむ。
「お前の秘書からの贈り物も毎年趣向をこらしていてよかったがな。あいつが出てってからはペアのチケットはなくなったし、気を使われてるのは感じたよ」
自虐的に笑い、ヴィクトルもそれに合わせて口元を上げる。
だが息子とそっくりな父の黒い瞳は、じっと見つめた。
「それで、今回なぜこんなに豪華なプレゼントをよこしてきた。お前なにかしたのか?」
「ひどいな。俺が何か問題を起こしたことがあるか? ただひとりの息子だぞ」
「⋯⋯ふん、ないな。俺の反対を無視して在学中に起業した時ぐらいか」
腕を組んで短く息を吐く。ヴィクトルは堅苦しい親の前でもいつも通り飄々としているが、少しずつ心拍数は上がっていた。
「実はな、親父。今付き合っている人がいるんだ」
「ほう。嘘だろ?」
「嘘じゃないよ。なんでこんなところまで来て一人でさみしげな親に嘘つくんだよ」
「俺は別に寂しくない。あいつだってもうすぐ戻ってくるだろう。まだ別居して1年だからな」
そう言いながらも伏せた瞳に覇気はない。
ヴィクトルも同情的な視線を送った。
母とは別れていないが、1年前に別のアパートへ移ったのだった。父は妻への愛情は強いと自負していたものの、長年1人にすることも多かった。頭が固い彼はきっと退職後二人になってからの接し方を間違えたのだろう。
母は息子との連絡は定期的に取っており、安否確認は出来ている。
「戻ってきてほしいなら行動したらどうだ?」
「偉そうに⋯⋯簡単に言うな。女心は複雑なんだ。男心もだがな」
「それは分かるけどなぁ⋯⋯」
ここへ来るたびに同じ話をし、飽きてきてもいる。
ヴィクトルは少なくとも1年に三回実家に顔を出す。クリスマスやイースター、新年などだ。
両親が別居していると二度手間になるとも思ったが、それは言わなかった。
「それで、もったいぶるなよ。お前と付き合ってくれている優しい女性とはどんな人なんだ?」
暗に息子を同類の仕事人間だと揶揄しているのだが、ヴィクトルは自然と表情が緩んでしまった。
「素敵な人だよ。とても心優しくて、純粋な女性だ。ユーモアもあって、とにかく可愛らしい。俺は今幸せなんだ。こんな風に感じたのは初めてさ」
父親は顎を引いて怪訝な顔をしつつ、息子をじっと捉えた。
「本気なんだな。お前もようやく結婚する気になったか。一生独り身だと思っていたが」
「それは同僚にも言われたよ」
「ふっ。それで、いくつなんだ? 彼女は」
「今年二十二歳なんだ」
そう白状したときのヴィクトルは、軽やかに伝えたつもりだが批判の覚悟はもちろんしていた。大きく見張った父の瞳から逸らすこともない。
だが当然、父ロベルトは烈火のごとく怒りだした。
「なんだと? 二十一ということか?」
「いやだから、来月二十二に――」
「同じことだ!!」
立ち上がり机を強く拳で叩かれたものの、ヴィクトルはびくともしない。年をとっても企業の重役として培った迫力は衰えることのない父であるが、唯一怯えない者もこの息子だけなのだ。
「やっぱり問題に思うか」
「当たり前だろう! お前は何を考えている! 年を考えろ、年を! 親御さんには話したのか!?」
「⋯⋯いや⋯⋯まだだ。もちろんお会いしたいとは思っているよ。けどまだ付き合って三ヶ月でな⋯⋯」
呼吸が浅い父の興奮を抑えることは出来なかったが、ひとまず彼は腰を落とす。
そして頭を抱える様子で息子を見据えた。
ヴィクトルはあなたの仕事や環境なども簡単に教え、二人とも真剣交際をしているのだと伝えたが父は険しい顔のままだ。
彼はただでさえ昔気質で女性の扱いは丁寧にしろ、けっして傷つけるなと若い頃から教えていた紳士的な人物でもある。
「年若い女性と付き合って三ヶ月だと⋯⋯そのまま一年付き合ってみろ。お前はもう用なしだ」
「おい! なんでそんなひどいことを言うんだよ。俺は捨てられる前提なのか? 誠心誠意付き合っているぞ、言ったように俺は本気なんだ」
身を乗り出して主張をする。
すべて理解されるとは思っていないが、真剣だということだけは伝えたかった。
きっと向こうは本気じゃないと言いたいのだろう。気持ちは分かるし、自分も完全に驕っているわけではない。何度も何度も考えた。
自分がそばにいたいという欲求にあなたの気持ちを利用していないか、まだ若いあなたの時間と将来を無駄にしてしまうのではないかと。
「それでも好きなんだよ。愛しているんだ。名無しちゃんを」
「⋯⋯名無しさん、というのか。その人は」
そんな風に慈しむ表情で恋人のことを話す息子を見たことがない父親は、背もたれに背を預け、また腕を結んだ。
「わかった。飽きられて去られるまで好きにすればいい。ただし親御さんへ挨拶はしろよ。⋯⋯ああ、彼女もだが、とくにご両親に申し訳ない。俺に娘はいないが、もしいたら、お前みたいなチャラチャラした中年が現れたら一発殴るかもしれない」
「おい酷すぎだろ。親父ぐらい味方してくれよ。まあそうなる覚悟はしてるが⋯」
「親父だから言ってるんだ」
かなりビターな言葉をもらったが、ヴィクトルは愛情が含まれた叱咤として受け取るしかなかった。
「親父にも誕生日おめでとうって言ってくれてたぞ」
「そうか。それはありがたいな。お礼を伝えておいてくれ」
「ああ。あと、そうだ。写真見るか? すっごく可愛いんだよ」
「うっやめろ。これ以上俺の良心の呵責を刺激するんじゃない」
無理やりスマホ画面を見せると、そこには天使のようなあなたのまばゆい笑顔が映る。ずっと前庭園をデートしたときの、晴天の下のあなたである。
ヴィクトルの父は眼鏡をかけて見つめ眺めた。
「ほう⋯⋯本当に美しい女性だな。大人っぽく見えるし落ち着いていそうだ」
「そうなんだよ、でも二人でいるときはとても愛らしいんだ。俺を頼ってくれたりもして、もちろんこちらも何度も助けられているけどな。そもそも彼女の存在自体が自分にはもったいないほどに尊くて――」
長々と惚気だす息子に父も段々と引いていた。
しかし幸せが舞い込み人が変わったようになったヴィクトルに、呆れていた父もきちんと話をする心づもりは出来たようだ。
「本当に好きなんだな。だがひとつ思ったんだが⋯⋯お前は父親のごとく好かれてるんじゃないか? ほら、そういう女性もいるかもしれないぞ。年の離れた男性ならば安心するとか、まあお前に俺みたいな包容力があるとは思えんが」
どの口が言うのだと思ったヴィクトルだが、少しひっかかる。
あなたが年上男性をわざわざ好むという可能性は、あまり考えたことがなかった。そういう自分の面も好きになってくれたのだろうか。
出会いを考えれば、余裕や経験のありそうな年上を選んだ理由は十分わかる。しかし詳しい経緯はもちろん親は愚か友人にすら言うつもりはない。
それは二人だけの大切な出来事として心に秘めた繋がりでもあるからだ。
「どうだろうな⋯⋯いや、そういえば彼女のお父さんは親父と同い年なんだよ」
「本当か? それは一見お前には安心材料かもしれないけどな⋯⋯だからこそ余計にひとしおの思いがありそうではあるか」
父はどうしても父目線で話をしている。
向こうのご両親の気持ちを慮っているのだろう。
だからこそヴィクトルもより一層気が引き締まるように感じていった。
だが、あなたが年上だから自分を好きなのかどうかについては、少しだけ心に残る疑問にもなっていた。
最近あなたとの共通の趣味を知ったことから、昔聴いてた音楽をまた漁り始めていた。
山道を走り海が見えてきた丘で、彼は車を停めた。白壁が風景に映える一軒家前に降り立つ。
ここは空気が気持ちいい見晴らし抜群の土地だ。自分が独立した後に両親が購入したのだが、今の孤独な家主を考えると、来るたび心が痛まないこともない。
「――はい」
「親父。俺だ、開けてくれ」
サングラスを取って大きな荷物を傍らに抱えたヴィクトルは、扉が開くと手をあげた。
現れたのはグレイヘアの長身の男だ。堀の深い顔立ちと切れ長で知性的な目元はヴィクトルそっくりだが、甘さを引いて威厳を足したような美形だった。
カジュアルなダウンとジーンズ姿の息子に対し、彼は家でも皺一つないシャツとセーターをまとっている。
「よう」
「来たのか。入れ。唐突だな」
「何言ってるんだよ。今日は親父の誕生日だろ? ほらこれ、おめでとう」
両手で持って差し出す。すると彼の父、ロベルトは普段の仏頂面を明るく驚かせる。
「おお、こんな良いメーカーのゴルフクラブ買ったのか? これは素晴らしい。ありがとうな。だが珍しいな、何かあったのか? 70まではまだ先だぞ」
軽口を叩きながら父はそれを屋内に運び、開封して喜んでいる。ヴィクトルはほっとした瞳をがらんとした家に移した。
ガラス張りの広い室内で崖下の海が一望できる。開放的なテラスにはくつろげる椅子が置かれ、机にはコーヒーと新聞が乗っていた。
リビングも整頓されていて、男の一人暮らしにしてはとても綺麗だ。
「誕生日会はするのか?」
「そんなだいそれたものじゃないけどな。夜に友人らと食事に行くよ」
まだまだ元気で活動的な父だが、大企業に勤めて二年前に退職したロベルトは、ヴィクトルと同じく昼夜問わず働く仕事人間だった。
今の生活はかなり時間を持て余してるはずである。
二人はダイニングテーブルで向かい合った。
父はコーヒーを出してくれ、菓子もつまむ。
「お前の秘書からの贈り物も毎年趣向をこらしていてよかったがな。あいつが出てってからはペアのチケットはなくなったし、気を使われてるのは感じたよ」
自虐的に笑い、ヴィクトルもそれに合わせて口元を上げる。
だが息子とそっくりな父の黒い瞳は、じっと見つめた。
「それで、今回なぜこんなに豪華なプレゼントをよこしてきた。お前なにかしたのか?」
「ひどいな。俺が何か問題を起こしたことがあるか? ただひとりの息子だぞ」
「⋯⋯ふん、ないな。俺の反対を無視して在学中に起業した時ぐらいか」
腕を組んで短く息を吐く。ヴィクトルは堅苦しい親の前でもいつも通り飄々としているが、少しずつ心拍数は上がっていた。
「実はな、親父。今付き合っている人がいるんだ」
「ほう。嘘だろ?」
「嘘じゃないよ。なんでこんなところまで来て一人でさみしげな親に嘘つくんだよ」
「俺は別に寂しくない。あいつだってもうすぐ戻ってくるだろう。まだ別居して1年だからな」
そう言いながらも伏せた瞳に覇気はない。
ヴィクトルも同情的な視線を送った。
母とは別れていないが、1年前に別のアパートへ移ったのだった。父は妻への愛情は強いと自負していたものの、長年1人にすることも多かった。頭が固い彼はきっと退職後二人になってからの接し方を間違えたのだろう。
母は息子との連絡は定期的に取っており、安否確認は出来ている。
「戻ってきてほしいなら行動したらどうだ?」
「偉そうに⋯⋯簡単に言うな。女心は複雑なんだ。男心もだがな」
「それは分かるけどなぁ⋯⋯」
ここへ来るたびに同じ話をし、飽きてきてもいる。
ヴィクトルは少なくとも1年に三回実家に顔を出す。クリスマスやイースター、新年などだ。
両親が別居していると二度手間になるとも思ったが、それは言わなかった。
「それで、もったいぶるなよ。お前と付き合ってくれている優しい女性とはどんな人なんだ?」
暗に息子を同類の仕事人間だと揶揄しているのだが、ヴィクトルは自然と表情が緩んでしまった。
「素敵な人だよ。とても心優しくて、純粋な女性だ。ユーモアもあって、とにかく可愛らしい。俺は今幸せなんだ。こんな風に感じたのは初めてさ」
父親は顎を引いて怪訝な顔をしつつ、息子をじっと捉えた。
「本気なんだな。お前もようやく結婚する気になったか。一生独り身だと思っていたが」
「それは同僚にも言われたよ」
「ふっ。それで、いくつなんだ? 彼女は」
「今年二十二歳なんだ」
そう白状したときのヴィクトルは、軽やかに伝えたつもりだが批判の覚悟はもちろんしていた。大きく見張った父の瞳から逸らすこともない。
だが当然、父ロベルトは烈火のごとく怒りだした。
「なんだと? 二十一ということか?」
「いやだから、来月二十二に――」
「同じことだ!!」
立ち上がり机を強く拳で叩かれたものの、ヴィクトルはびくともしない。年をとっても企業の重役として培った迫力は衰えることのない父であるが、唯一怯えない者もこの息子だけなのだ。
「やっぱり問題に思うか」
「当たり前だろう! お前は何を考えている! 年を考えろ、年を! 親御さんには話したのか!?」
「⋯⋯いや⋯⋯まだだ。もちろんお会いしたいとは思っているよ。けどまだ付き合って三ヶ月でな⋯⋯」
呼吸が浅い父の興奮を抑えることは出来なかったが、ひとまず彼は腰を落とす。
そして頭を抱える様子で息子を見据えた。
ヴィクトルはあなたの仕事や環境なども簡単に教え、二人とも真剣交際をしているのだと伝えたが父は険しい顔のままだ。
彼はただでさえ昔気質で女性の扱いは丁寧にしろ、けっして傷つけるなと若い頃から教えていた紳士的な人物でもある。
「年若い女性と付き合って三ヶ月だと⋯⋯そのまま一年付き合ってみろ。お前はもう用なしだ」
「おい! なんでそんなひどいことを言うんだよ。俺は捨てられる前提なのか? 誠心誠意付き合っているぞ、言ったように俺は本気なんだ」
身を乗り出して主張をする。
すべて理解されるとは思っていないが、真剣だということだけは伝えたかった。
きっと向こうは本気じゃないと言いたいのだろう。気持ちは分かるし、自分も完全に驕っているわけではない。何度も何度も考えた。
自分がそばにいたいという欲求にあなたの気持ちを利用していないか、まだ若いあなたの時間と将来を無駄にしてしまうのではないかと。
「それでも好きなんだよ。愛しているんだ。名無しちゃんを」
「⋯⋯名無しさん、というのか。その人は」
そんな風に慈しむ表情で恋人のことを話す息子を見たことがない父親は、背もたれに背を預け、また腕を結んだ。
「わかった。飽きられて去られるまで好きにすればいい。ただし親御さんへ挨拶はしろよ。⋯⋯ああ、彼女もだが、とくにご両親に申し訳ない。俺に娘はいないが、もしいたら、お前みたいなチャラチャラした中年が現れたら一発殴るかもしれない」
「おい酷すぎだろ。親父ぐらい味方してくれよ。まあそうなる覚悟はしてるが⋯」
「親父だから言ってるんだ」
かなりビターな言葉をもらったが、ヴィクトルは愛情が含まれた叱咤として受け取るしかなかった。
「親父にも誕生日おめでとうって言ってくれてたぞ」
「そうか。それはありがたいな。お礼を伝えておいてくれ」
「ああ。あと、そうだ。写真見るか? すっごく可愛いんだよ」
「うっやめろ。これ以上俺の良心の呵責を刺激するんじゃない」
無理やりスマホ画面を見せると、そこには天使のようなあなたのまばゆい笑顔が映る。ずっと前庭園をデートしたときの、晴天の下のあなたである。
ヴィクトルの父は眼鏡をかけて見つめ眺めた。
「ほう⋯⋯本当に美しい女性だな。大人っぽく見えるし落ち着いていそうだ」
「そうなんだよ、でも二人でいるときはとても愛らしいんだ。俺を頼ってくれたりもして、もちろんこちらも何度も助けられているけどな。そもそも彼女の存在自体が自分にはもったいないほどに尊くて――」
長々と惚気だす息子に父も段々と引いていた。
しかし幸せが舞い込み人が変わったようになったヴィクトルに、呆れていた父もきちんと話をする心づもりは出来たようだ。
「本当に好きなんだな。だがひとつ思ったんだが⋯⋯お前は父親のごとく好かれてるんじゃないか? ほら、そういう女性もいるかもしれないぞ。年の離れた男性ならば安心するとか、まあお前に俺みたいな包容力があるとは思えんが」
どの口が言うのだと思ったヴィクトルだが、少しひっかかる。
あなたが年上男性をわざわざ好むという可能性は、あまり考えたことがなかった。そういう自分の面も好きになってくれたのだろうか。
出会いを考えれば、余裕や経験のありそうな年上を選んだ理由は十分わかる。しかし詳しい経緯はもちろん親は愚か友人にすら言うつもりはない。
それは二人だけの大切な出来事として心に秘めた繋がりでもあるからだ。
「どうだろうな⋯⋯いや、そういえば彼女のお父さんは親父と同い年なんだよ」
「本当か? それは一見お前には安心材料かもしれないけどな⋯⋯だからこそ余計にひとしおの思いがありそうではあるか」
父はどうしても父目線で話をしている。
向こうのご両親の気持ちを慮っているのだろう。
だからこそヴィクトルもより一層気が引き締まるように感じていった。
だが、あなたが年上だから自分を好きなのかどうかについては、少しだけ心に残る疑問にもなっていた。
