美オヤジを誘って囲われて救われる話
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彼と出会ってもうすぐ二ヶ月が経つ。
あなたがアパートを無事に見つけ引っ越してからは、約一ヶ月だ。
ここは広めの1LDKで前より部屋数は減ったが、建物は新しくセキュリティもしっかりしていて、住心地がいい。
元彼のことがあったためヴィクトルも安心してくれて、もう二回は遊びに来てくれた。
このひと月で一緒に過ごしたのは毎週土日で、お互いの家を行き来している。
彼のホテルに泊まっていた時は每日顔を合わせていたから、ちょっと寂しいといえばそうなのだが。
「毎週末一緒に過ごせるだけでもすごいよね。ていうか、ヴィクトルは本当に大丈夫かな。休みたいだろうし⋯⋯」
あなたは台所で野菜を切りながら、独り言をもらした。
目下の悩みはそれだった。本当に楽しみの週末であるが、普段忙しい彼の自由時間を奪ってるのではないかと。
でもまだそのことを聞けてない。
わがままを言えば自分はたくさん会いたいけれど、コンサルティング会社勤務の彼とブティック店員の自分では、忙しさも疲労度もまるで違うだろう。
今日は店舗の都合で勤務時間が短縮し、早く帰宅した。まだ6時だから夕飯を作るつもりだ。
そんなとき、カウンターにあったスマホが鳴った。画面を見ると、親友からのメッセージが入っている。
あなたには中等科から一番仲のよいセリアという友人がいた。同い年で今年二十二歳の女の子である。
「ん? え⋯? 今から来たい? セリアちゃんてば、いつもいきなりだなぁ。まぁいっか」
あなたは気軽に「大丈夫だよ」と返信した。ついでに切らしていた牛乳買ってきてともお願いして。
彼女とは遠慮なく何でも言い合える仲である。
しかし今回の恋愛劇については、正直最初は黙っていた。
この一ヶ月で大体のことを説明したのだが、セリアはまだ納得いっていないふしがあった。なぜならあなたの新しい恋人が、二十歳近くも年上の男性だからだ。
「はあ。今日は直に説教されそうだな」
あなたは呟きながらも、街の劇団員で忙しい親友と久々に話せることは嬉しかった。
二十分後。親友は衣装や小道具の入った大きなカバンを抱えて登場した。にこやかな顔にボリュームのあるセミロング、丸メガネ姿で、あなたより小柄な女性だ。
「よ〜名無しー、急に悪いね。お酒も買ってきたよ」
「いいんだけどさ〜。まさか泊まらないよね」
「泊まらない泊まらない! ちゃんと帰るって」
シラフなのにすでに酔った感じで入ってきて、あなたは後ろをついていく。彼女は酔ったら中々面倒くさいのだ。可愛らしくはあるけれど。
セリアは新しいアパートを見渡して、植物や雑貨コーナーやらロウソクの飾りなどを物色した。
「あれ? その彼氏の写真は?」
「まだないよ!」
あなたはさっと赤くなり、台所で準備した簡単なパスタを食卓に並べる。二人で小さなカフェみたいな小洒落た空間に落ち着き、向き合った。
照明は少し落として、若い女子同士が最近の話に華を咲かせる。
「パスタ美味い、最高っ!」
「ありがとう。お酒はゆっくり飲みなよ」
「わかってるってぇ」
彼女の口に乗せられながら、あなたは内心ドキドキする。いつ突っ込まれるかと。
「――そんでさ。私もびっくりしたね。まずあんたがやっとあの男と別れたってとこがさ」
「まあね⋯⋯大変だったよ。まあ私も悪いからさ⋯⋯」
「やめてそれ! 最後に浮気までされたんだよ? 9割あいつが悪いでしょ!」
「う、うん。だよね」
彼女を落ち着かせ、あなたも自分のネガティブさを反省する。セリアは何事もぎりぎりまで我慢する自分とは正反対の性格で、きっぱりしている。
そんなところが好きで憧れているところでもあった。
でもそんな彼女にも、別れた本当の理由は言っていない。セックスがまともに出来なかったことだ。
いくら女同士で親友でも、相手のこともあるし性の問題はおおっぴらに言えなかった。とはいえ、元彼の女にだらしなさそうな面は、高校が同じだった彼女には見透かされていたのだが。
「とにかく別れられたし、よかったと思うんだ。そのときもヴィクトルに助けてもらって――」
あなたは彼の名を口にしたとき、つい頬が緩んでしまった。
ホテルでお世話になっていたことも彼女には白状した。自分が家を出たあとに、駅で彼に声をかけたことも。
すべて怒られることを覚悟である。
しかしセリアの不満はそこではなかった。どうして一番先に自分を頼らなかったのかということだ。
「それはごめん。セリアちゃんも忙しかったし、私もなんか、勢いで飛び込んじゃったところもあるんだ。でもその⋯⋯やっぱり言えなかったよね、見知らぬ男性といきなり親しくなっちゃったとか⋯」
「そうだよねえ。だってあんたらしくないもん、そんなの」
じろっと童顔な顔に見つめられて口をつぐむ。
そう。自分らしくない。
今だって、中々信じられないのだ。あんなに素敵な年上男性と恋人になったことが。
「へへ⋯⋯ごめんごめん。でもさ、今かなり幸せで⋯⋯」
「なにその笑い! あぁ〜なんか心配だよ! 早く会わせなよそのおっさんに!」
「ちょっ、その呼び方やめてくれる!? 彼はねえ、そんな気軽におっさんとか――⋯⋯あっ、ヴィクトルからメールだ!」
あなたはスマホの画面に釘付けになり、途端に色めきだった声を上げた。
まだ七時半なのに、もう仕事が終わったと書いてある。
「うそっ! こんなに早くっ?」
くるりと後ろを向いたあなたは、悔しそうに反応する。
今日に限って彼の夜の時間が空いたらしい。本当だったら今すぐ近くに行って、一緒に夕食でも食べられたかもしれなかった。
このアパートは彼の会社からは車で二十分ぐらいだし、彼の家へは三十分なので、会社に迎えに行くことも出来ただろう。
あなたは再び一人暮らしをする際、あったほうがいいだろうと思って実家に置いていた車を持ってきたのだった。
「⋯⋯あぁでもお酒も飲んじゃったよ! くぅ〜っ、なんで今日に限って⋯⋯!」
「はっ? なにどういう意味? まさかあんた、この十年来の親友よりも出会って二ヶ月の中年男を優先しようとしてたわけ? まさかだよね、名無し」
「⋯⋯そ、そんなわけないでしょ。確かにすごいチャンスだったけどさ⋯⋯」
久しぶりに会えた、せっかく来てくれた親友を追い出そうなどと思っていない。
しかし本当にヴィクトルになんて言えばいいのか痛恨の極みだった。
「ねえもう返事した?」
「⋯⋯はいはい書きますよ。ええと実は今友達が家に来てて⋯⋯」
「いや待って、ねえそのヴィクトル呼ぼうよ! ここに!」
「はっ⋯?」
「そうだよそうしよう、ちょうどいいじゃん! 私も会いたかったし。二人も会えるんだし一石二鳥だわ〜」
乗り気な彼女にあなたは血の気が引いていく。
それは絶対にないと思った。セリアは今完全に酔っているし、こんな急に友達との場に呼び出すなんて非常識だからだ。
「絶対だめ! 自分だったらって考えてみて、怖すぎでしょ! いきなり付き合って間もない恋人の友達に会えとか!」
「別に? 私だったら普通に行くけどね。楽しく飲み食いだってできるもん」
余裕で笑う性格の違いすぎる友についていけない。
そうこうしているうちに、ヴィクトルから電話がきてしまった。
あなたは立ち上がり、事情を正直に話そうと考えた。
リビングから遠くない台所へ行き、小声で通話に出る。
「⋯⋯あっ、ヴィクトル? ごめんねすぐ返事しないで! うん、今家なんだ。仕事お疲れ様。早かったんだね」
『ありがとう、そうなんだ。名無しちゃんはもうご飯食べちゃった? 食べてなかったら、一緒にどこか――あっ、もし食べちゃってても、少しでいいから会いたいな⋯⋯って思ってさ』
甘い口調でスマートに気持ちを伝えてくる彼に、あなたは電話越しに悶えそうになる。
「私もすっごい会いたい⋯⋯! でも、その、ごめんね。実は今友達が来てて、中等科の時からの子で⋯⋯」
『あっ! そうなのか! ごめんごめん、大丈夫だよ俺は。じゃあまた今度にしよう。今日は二人で楽しんでね、その子にもよろしく――』
その時、背後にいつの間にかセリアが立っていた。
振り返ると彼女はにまっと笑みを浮かべこんなことを言った。
「ヴィクトルさーん、一緒に飲みましょうよ! 今呼ぼうって話してたんですよ! だめですか? へへへへ」
「ちょ、ちょっとバカ、やめてよっ!」
あなたは素で怒り、慌てて「なんでもない」と言おうとしたが彼の反応は違った。
『んっ? もしかして今の名無しちゃんの友達かい?』
「そうなの。ごめんねちょっと飲みが進んでて、気にしないで!」
『いや、俺なら全然平気だよ。行っても』
「⋯⋯えぇぇ!? やじゃないのっ?」
『うん、嫌じゃないよ。むしろ嬉しいな、君のお友達に紹介してもらえるのは。⋯あっ、もちろん名無しちゃんが反対じゃなかったらだけどね』
あなたは彼の懐の深さに驚いてしまったが、もちろんこちらも嫌なんかではない。ただただ申し訳なかったのだ。
「⋯⋯本当にいいの? 私だって嬉しいよ。いつか会ってもらえたらなって思ってたし⋯。でもこんないきなりのつもりなくて、どうしてもセリアちゃんが会いたいってしつこくて⋯!」
『あ、そうだったのか。はは、こちらも光栄だよ、そんなふうに言ってもらえて。本当に気にしないで。なるべく早く向かうから、あとで三人で乾杯しよう』
大人な彼は優しく声をかけてくれて、あなたは深く礼を言いひとまず電話を切った。
まさかこんなことになるとは。
「セリアちゃん。本当に来てくれるってさ。⋯⋯絶対失礼なこと言わないでよ!!」
「へへへ、言わないってば。まあいい人だね〜今のとこは。でもいつ化けの皮がはがれんのかなぁ。私が確かめてやる!」
間違った方向に意気込む彼女に、あなたはぷるぷると震えそうになった。
彼女は変わってるけどいい子だし、そんな大事にはならないと思うけれど、絶対にヴィクトルを守るんだと決意しながら。
あなたがアパートを無事に見つけ引っ越してからは、約一ヶ月だ。
ここは広めの1LDKで前より部屋数は減ったが、建物は新しくセキュリティもしっかりしていて、住心地がいい。
元彼のことがあったためヴィクトルも安心してくれて、もう二回は遊びに来てくれた。
このひと月で一緒に過ごしたのは毎週土日で、お互いの家を行き来している。
彼のホテルに泊まっていた時は每日顔を合わせていたから、ちょっと寂しいといえばそうなのだが。
「毎週末一緒に過ごせるだけでもすごいよね。ていうか、ヴィクトルは本当に大丈夫かな。休みたいだろうし⋯⋯」
あなたは台所で野菜を切りながら、独り言をもらした。
目下の悩みはそれだった。本当に楽しみの週末であるが、普段忙しい彼の自由時間を奪ってるのではないかと。
でもまだそのことを聞けてない。
わがままを言えば自分はたくさん会いたいけれど、コンサルティング会社勤務の彼とブティック店員の自分では、忙しさも疲労度もまるで違うだろう。
今日は店舗の都合で勤務時間が短縮し、早く帰宅した。まだ6時だから夕飯を作るつもりだ。
そんなとき、カウンターにあったスマホが鳴った。画面を見ると、親友からのメッセージが入っている。
あなたには中等科から一番仲のよいセリアという友人がいた。同い年で今年二十二歳の女の子である。
「ん? え⋯? 今から来たい? セリアちゃんてば、いつもいきなりだなぁ。まぁいっか」
あなたは気軽に「大丈夫だよ」と返信した。ついでに切らしていた牛乳買ってきてともお願いして。
彼女とは遠慮なく何でも言い合える仲である。
しかし今回の恋愛劇については、正直最初は黙っていた。
この一ヶ月で大体のことを説明したのだが、セリアはまだ納得いっていないふしがあった。なぜならあなたの新しい恋人が、二十歳近くも年上の男性だからだ。
「はあ。今日は直に説教されそうだな」
あなたは呟きながらも、街の劇団員で忙しい親友と久々に話せることは嬉しかった。
二十分後。親友は衣装や小道具の入った大きなカバンを抱えて登場した。にこやかな顔にボリュームのあるセミロング、丸メガネ姿で、あなたより小柄な女性だ。
「よ〜名無しー、急に悪いね。お酒も買ってきたよ」
「いいんだけどさ〜。まさか泊まらないよね」
「泊まらない泊まらない! ちゃんと帰るって」
シラフなのにすでに酔った感じで入ってきて、あなたは後ろをついていく。彼女は酔ったら中々面倒くさいのだ。可愛らしくはあるけれど。
セリアは新しいアパートを見渡して、植物や雑貨コーナーやらロウソクの飾りなどを物色した。
「あれ? その彼氏の写真は?」
「まだないよ!」
あなたはさっと赤くなり、台所で準備した簡単なパスタを食卓に並べる。二人で小さなカフェみたいな小洒落た空間に落ち着き、向き合った。
照明は少し落として、若い女子同士が最近の話に華を咲かせる。
「パスタ美味い、最高っ!」
「ありがとう。お酒はゆっくり飲みなよ」
「わかってるってぇ」
彼女の口に乗せられながら、あなたは内心ドキドキする。いつ突っ込まれるかと。
「――そんでさ。私もびっくりしたね。まずあんたがやっとあの男と別れたってとこがさ」
「まあね⋯⋯大変だったよ。まあ私も悪いからさ⋯⋯」
「やめてそれ! 最後に浮気までされたんだよ? 9割あいつが悪いでしょ!」
「う、うん。だよね」
彼女を落ち着かせ、あなたも自分のネガティブさを反省する。セリアは何事もぎりぎりまで我慢する自分とは正反対の性格で、きっぱりしている。
そんなところが好きで憧れているところでもあった。
でもそんな彼女にも、別れた本当の理由は言っていない。セックスがまともに出来なかったことだ。
いくら女同士で親友でも、相手のこともあるし性の問題はおおっぴらに言えなかった。とはいえ、元彼の女にだらしなさそうな面は、高校が同じだった彼女には見透かされていたのだが。
「とにかく別れられたし、よかったと思うんだ。そのときもヴィクトルに助けてもらって――」
あなたは彼の名を口にしたとき、つい頬が緩んでしまった。
ホテルでお世話になっていたことも彼女には白状した。自分が家を出たあとに、駅で彼に声をかけたことも。
すべて怒られることを覚悟である。
しかしセリアの不満はそこではなかった。どうして一番先に自分を頼らなかったのかということだ。
「それはごめん。セリアちゃんも忙しかったし、私もなんか、勢いで飛び込んじゃったところもあるんだ。でもその⋯⋯やっぱり言えなかったよね、見知らぬ男性といきなり親しくなっちゃったとか⋯」
「そうだよねえ。だってあんたらしくないもん、そんなの」
じろっと童顔な顔に見つめられて口をつぐむ。
そう。自分らしくない。
今だって、中々信じられないのだ。あんなに素敵な年上男性と恋人になったことが。
「へへ⋯⋯ごめんごめん。でもさ、今かなり幸せで⋯⋯」
「なにその笑い! あぁ〜なんか心配だよ! 早く会わせなよそのおっさんに!」
「ちょっ、その呼び方やめてくれる!? 彼はねえ、そんな気軽におっさんとか――⋯⋯あっ、ヴィクトルからメールだ!」
あなたはスマホの画面に釘付けになり、途端に色めきだった声を上げた。
まだ七時半なのに、もう仕事が終わったと書いてある。
「うそっ! こんなに早くっ?」
くるりと後ろを向いたあなたは、悔しそうに反応する。
今日に限って彼の夜の時間が空いたらしい。本当だったら今すぐ近くに行って、一緒に夕食でも食べられたかもしれなかった。
このアパートは彼の会社からは車で二十分ぐらいだし、彼の家へは三十分なので、会社に迎えに行くことも出来ただろう。
あなたは再び一人暮らしをする際、あったほうがいいだろうと思って実家に置いていた車を持ってきたのだった。
「⋯⋯あぁでもお酒も飲んじゃったよ! くぅ〜っ、なんで今日に限って⋯⋯!」
「はっ? なにどういう意味? まさかあんた、この十年来の親友よりも出会って二ヶ月の中年男を優先しようとしてたわけ? まさかだよね、名無し」
「⋯⋯そ、そんなわけないでしょ。確かにすごいチャンスだったけどさ⋯⋯」
久しぶりに会えた、せっかく来てくれた親友を追い出そうなどと思っていない。
しかし本当にヴィクトルになんて言えばいいのか痛恨の極みだった。
「ねえもう返事した?」
「⋯⋯はいはい書きますよ。ええと実は今友達が家に来てて⋯⋯」
「いや待って、ねえそのヴィクトル呼ぼうよ! ここに!」
「はっ⋯?」
「そうだよそうしよう、ちょうどいいじゃん! 私も会いたかったし。二人も会えるんだし一石二鳥だわ〜」
乗り気な彼女にあなたは血の気が引いていく。
それは絶対にないと思った。セリアは今完全に酔っているし、こんな急に友達との場に呼び出すなんて非常識だからだ。
「絶対だめ! 自分だったらって考えてみて、怖すぎでしょ! いきなり付き合って間もない恋人の友達に会えとか!」
「別に? 私だったら普通に行くけどね。楽しく飲み食いだってできるもん」
余裕で笑う性格の違いすぎる友についていけない。
そうこうしているうちに、ヴィクトルから電話がきてしまった。
あなたは立ち上がり、事情を正直に話そうと考えた。
リビングから遠くない台所へ行き、小声で通話に出る。
「⋯⋯あっ、ヴィクトル? ごめんねすぐ返事しないで! うん、今家なんだ。仕事お疲れ様。早かったんだね」
『ありがとう、そうなんだ。名無しちゃんはもうご飯食べちゃった? 食べてなかったら、一緒にどこか――あっ、もし食べちゃってても、少しでいいから会いたいな⋯⋯って思ってさ』
甘い口調でスマートに気持ちを伝えてくる彼に、あなたは電話越しに悶えそうになる。
「私もすっごい会いたい⋯⋯! でも、その、ごめんね。実は今友達が来てて、中等科の時からの子で⋯⋯」
『あっ! そうなのか! ごめんごめん、大丈夫だよ俺は。じゃあまた今度にしよう。今日は二人で楽しんでね、その子にもよろしく――』
その時、背後にいつの間にかセリアが立っていた。
振り返ると彼女はにまっと笑みを浮かべこんなことを言った。
「ヴィクトルさーん、一緒に飲みましょうよ! 今呼ぼうって話してたんですよ! だめですか? へへへへ」
「ちょ、ちょっとバカ、やめてよっ!」
あなたは素で怒り、慌てて「なんでもない」と言おうとしたが彼の反応は違った。
『んっ? もしかして今の名無しちゃんの友達かい?』
「そうなの。ごめんねちょっと飲みが進んでて、気にしないで!」
『いや、俺なら全然平気だよ。行っても』
「⋯⋯えぇぇ!? やじゃないのっ?」
『うん、嫌じゃないよ。むしろ嬉しいな、君のお友達に紹介してもらえるのは。⋯あっ、もちろん名無しちゃんが反対じゃなかったらだけどね』
あなたは彼の懐の深さに驚いてしまったが、もちろんこちらも嫌なんかではない。ただただ申し訳なかったのだ。
「⋯⋯本当にいいの? 私だって嬉しいよ。いつか会ってもらえたらなって思ってたし⋯。でもこんないきなりのつもりなくて、どうしてもセリアちゃんが会いたいってしつこくて⋯!」
『あ、そうだったのか。はは、こちらも光栄だよ、そんなふうに言ってもらえて。本当に気にしないで。なるべく早く向かうから、あとで三人で乾杯しよう』
大人な彼は優しく声をかけてくれて、あなたは深く礼を言いひとまず電話を切った。
まさかこんなことになるとは。
「セリアちゃん。本当に来てくれるってさ。⋯⋯絶対失礼なこと言わないでよ!!」
「へへへ、言わないってば。まあいい人だね〜今のとこは。でもいつ化けの皮がはがれんのかなぁ。私が確かめてやる!」
間違った方向に意気込む彼女に、あなたはぷるぷると震えそうになった。
彼女は変わってるけどいい子だし、そんな大事にはならないと思うけれど、絶対にヴィクトルを守るんだと決意しながら。
