美オヤジを誘って囲われて救われる話
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「名無しちゃん、待たせちゃってごめんね」
ゆっくり近づいてきたヴィクトルに、あなたはほっとしたものの、見知らぬ外国人男性にナンパされていた場面を見られ気まずさが襲った。
「やあ、こんにちは」
彼はその男性にも薄っすら笑みを浮かべて挨拶する。
「やあどうも。もしかして――」
「そうなんだ。彼女は俺のガールフレンドなんだよね」
ヴィクトルが瞳を細めながらもはっきりと言うと、男性は額に手を打って大げさにリアクションした。
「あぁ! やっぱり、たった今気付いたよ! やたらハンサムな男性が近づいてきたなと思ってさ。いやぁごめん。素敵な子だったからつい声をかけちゃったんだ」
「わかるよ。一人にした俺が悪いよな。ごめんね、名無しちゃん」
ヴィクトルに腰をそっと抱き寄せられ、優しい顔つきだったが痛恨の眼差しで見つめられた。
「ううんっ、大丈夫大丈夫」
その後も二人の会話をどきどきしながら聞いていると、外国人男性はさらりと名乗り、同じようにしたヴィクトルと握手をかわしていた。
この若い男性はベルギー出身で男女含めた友人らと旅行をしているらしく、世間話をした後こんなことを言ってきた。
「この街夜も活気があってすごく気に入ってるんだ。そうだ、声かけちゃったお詫びに二人とも今夜バーに来ない? 皆で飲むんだけど、ご馳走するよ」
マッチョな男性は明るくフレンドリーに誘ってくれて、あなたはどうしようと焦る。
ヴィクトルは社交的だし、友好的に喋っているし、もしやと思ったのだ。対して自分はよく知らない人の間に入っていくのは苦手だった。
「それはいいお誘いだね、ありがとう。でも今日は彼女と二人きりで過ごしたいんだ。特別な滞在だからさ」
「そうか、ちょっと残念だけど、凄く素敵なお話だ。二人に会えてよかったよ、ゆっくり楽しんでね!」
「ああ、君たちもね。旅行がいいものになるといいな」
二人は最後まで和やかに話し、あなたにも挨拶をした男性は離れて別の場所に行った。
ナンパされてどうなることかと思いきや、うまくまとまったのはヴィクトルのおかげだ。
「助けてくれてありがとう、本当に――」
「ああ、名無しちゃん。すまない。怖かっただろう、あんなマッチョな大男にいきなり声をかけられて」
彼は有無を言わさずあなたのことを長い腕でぎゅうっと抱きしめてきた。
公共の場での熱い抱擁だったので、一気に顔が赤くなる。
「えっ、だ、大丈夫っ。ちょ、ここジムだよ、落ち着いてヴィクトル」
「君のほうこそ心臓がどきどきしてるじゃないか。そんなに怖かったのかい?」
「くっついてるから!」
人前でもおかまいなしに髪をそっと撫でられて熱くなる。
そんなとき、あなたはふと視線を感じ、ヴィクトルの後方に目をやった。
彼の部下のクリスがまだランニングマシーンの近くにいて、わざとらしく顔をタオルで拭いながらニコッと笑いかけてきたのだ。
完全に抱き合ってるところを見られてしまった。
それにクリスの笑いは、どこか面白がる様な含みがある。
「どうしようヴィクトル、やばいよ。見られちゃってるんだけど、クリスさんに」
「ん? ああ。気にしないで。彼にはもう君のことを紹介したから」
「⋯⋯え!?」
「どうしてそんな驚くの? だめ?」
「な⋯⋯なんて言ったの?」
「俺のガールフレンドだよって」
どっちの意味だろうとあなたは悶々とする。でもヴィクトルが表情を和らげ笑顔になったから、突っ込めなかった。
「そういえばヴィクトル、さっきあの男の人と会話してたでしょう? 一瞬ほんとに行くのかと思っちゃったよ、はは」
あなたは一人で対処できなかった不甲斐なさを感じながらも、冗談めかして話題にしようとした。
しかし彼から返ってきたのは、かなりの心配な眼差しだ。
「名無しちゃん⋯⋯そんなの行くわけないだろう? 君をナンパしてきた奴だぞ? なぜ俺が仲良く酒を飲めると思うんだい」
「あっ⋯⋯ごめんなさい、そんな本気で怒るとは⋯」
「本気にもなるさ。いや違う、もちろん君に怒ってるんじゃない。一人にしてしまった俺が馬鹿なんだからね。あぁ本当に心配でたまらなくなったよ――」
彼は独り言をいいながら自分を責めている。
申し訳ないのは当然だけれど、そこまで真っ直ぐに考えてくれる彼に対し、とても愛おしい気持ちがわきあがってきた。
「いいかい、絶対に知らない男についていかないでね?」
「行かない行かない! 逃げるから大丈夫だよ」
「よかった」
彼はほっとしてあなたに柔らかく微笑む。
「⋯⋯ああでも、俺がこんなことを言う資格はないよね。あんなふうに君を連れ帰っておいて⋯⋯。でも、信じられないかもしれないけど、あれは初めてなんだ。けっして慣れてるとかじゃない。⋯⋯いや、そんなふうに見えないよな⋯」
普段自信に満ち溢れてみえるヴィクトルが、苦悩を深めている。
こういう風に正直な思いをさらけ出してくれるところに、あなたはよりいっそう心が奪われてしまうのだ。
「ヴィクトル⋯⋯ナンパしたの私だし。私も信じてもらえるか分からないけど、初めてだよ。すごく勇気だして、話しかけたの」
「名無しちゃん⋯⋯」
「それに後悔してないよ。ヴィクトルに会えてよかったって思ってる。だって、凄く好きになっちゃったんだ⋯⋯」
彼の揺れる黒い瞳を見つめて、あなたはジムにいることも忘れ、彼の胸に身を寄せそうになる。
そしてハッと我にかえった。
「ごめん⋯! こんな場所で!」
「いや場所はどこでもいいよ。⋯⋯本当に俺のこと、そんな風に思ってくれてる?」
「⋯⋯う、うん。本当だよ。⋯⋯でも、続きはあとにしよう。さっきから、クリスさんがすごいこっち見てる⋯⋯!」
あなたが気付いたとおり、ヴィクトルの部下は一部始終を興味深そうに遠くから眺めていた。
上司に振り向かれ、焦りと愛想笑いを浮かべてトレーニングに戻っていったが。
「そうだね。あとでゆっくり話そう。ああ待ち遠しいな」
そう彼に言ってもらえたのはよかったけれど、あなたは墓穴を掘ってしまったようにも感じていた。
どうしよう。
我慢できずに気持ちを伝えてしまった。でもまだ色々な準備が済んでないのだ。
ゆっくり近づいてきたヴィクトルに、あなたはほっとしたものの、見知らぬ外国人男性にナンパされていた場面を見られ気まずさが襲った。
「やあ、こんにちは」
彼はその男性にも薄っすら笑みを浮かべて挨拶する。
「やあどうも。もしかして――」
「そうなんだ。彼女は俺のガールフレンドなんだよね」
ヴィクトルが瞳を細めながらもはっきりと言うと、男性は額に手を打って大げさにリアクションした。
「あぁ! やっぱり、たった今気付いたよ! やたらハンサムな男性が近づいてきたなと思ってさ。いやぁごめん。素敵な子だったからつい声をかけちゃったんだ」
「わかるよ。一人にした俺が悪いよな。ごめんね、名無しちゃん」
ヴィクトルに腰をそっと抱き寄せられ、優しい顔つきだったが痛恨の眼差しで見つめられた。
「ううんっ、大丈夫大丈夫」
その後も二人の会話をどきどきしながら聞いていると、外国人男性はさらりと名乗り、同じようにしたヴィクトルと握手をかわしていた。
この若い男性はベルギー出身で男女含めた友人らと旅行をしているらしく、世間話をした後こんなことを言ってきた。
「この街夜も活気があってすごく気に入ってるんだ。そうだ、声かけちゃったお詫びに二人とも今夜バーに来ない? 皆で飲むんだけど、ご馳走するよ」
マッチョな男性は明るくフレンドリーに誘ってくれて、あなたはどうしようと焦る。
ヴィクトルは社交的だし、友好的に喋っているし、もしやと思ったのだ。対して自分はよく知らない人の間に入っていくのは苦手だった。
「それはいいお誘いだね、ありがとう。でも今日は彼女と二人きりで過ごしたいんだ。特別な滞在だからさ」
「そうか、ちょっと残念だけど、凄く素敵なお話だ。二人に会えてよかったよ、ゆっくり楽しんでね!」
「ああ、君たちもね。旅行がいいものになるといいな」
二人は最後まで和やかに話し、あなたにも挨拶をした男性は離れて別の場所に行った。
ナンパされてどうなることかと思いきや、うまくまとまったのはヴィクトルのおかげだ。
「助けてくれてありがとう、本当に――」
「ああ、名無しちゃん。すまない。怖かっただろう、あんなマッチョな大男にいきなり声をかけられて」
彼は有無を言わさずあなたのことを長い腕でぎゅうっと抱きしめてきた。
公共の場での熱い抱擁だったので、一気に顔が赤くなる。
「えっ、だ、大丈夫っ。ちょ、ここジムだよ、落ち着いてヴィクトル」
「君のほうこそ心臓がどきどきしてるじゃないか。そんなに怖かったのかい?」
「くっついてるから!」
人前でもおかまいなしに髪をそっと撫でられて熱くなる。
そんなとき、あなたはふと視線を感じ、ヴィクトルの後方に目をやった。
彼の部下のクリスがまだランニングマシーンの近くにいて、わざとらしく顔をタオルで拭いながらニコッと笑いかけてきたのだ。
完全に抱き合ってるところを見られてしまった。
それにクリスの笑いは、どこか面白がる様な含みがある。
「どうしようヴィクトル、やばいよ。見られちゃってるんだけど、クリスさんに」
「ん? ああ。気にしないで。彼にはもう君のことを紹介したから」
「⋯⋯え!?」
「どうしてそんな驚くの? だめ?」
「な⋯⋯なんて言ったの?」
「俺のガールフレンドだよって」
どっちの意味だろうとあなたは悶々とする。でもヴィクトルが表情を和らげ笑顔になったから、突っ込めなかった。
「そういえばヴィクトル、さっきあの男の人と会話してたでしょう? 一瞬ほんとに行くのかと思っちゃったよ、はは」
あなたは一人で対処できなかった不甲斐なさを感じながらも、冗談めかして話題にしようとした。
しかし彼から返ってきたのは、かなりの心配な眼差しだ。
「名無しちゃん⋯⋯そんなの行くわけないだろう? 君をナンパしてきた奴だぞ? なぜ俺が仲良く酒を飲めると思うんだい」
「あっ⋯⋯ごめんなさい、そんな本気で怒るとは⋯」
「本気にもなるさ。いや違う、もちろん君に怒ってるんじゃない。一人にしてしまった俺が馬鹿なんだからね。あぁ本当に心配でたまらなくなったよ――」
彼は独り言をいいながら自分を責めている。
申し訳ないのは当然だけれど、そこまで真っ直ぐに考えてくれる彼に対し、とても愛おしい気持ちがわきあがってきた。
「いいかい、絶対に知らない男についていかないでね?」
「行かない行かない! 逃げるから大丈夫だよ」
「よかった」
彼はほっとしてあなたに柔らかく微笑む。
「⋯⋯ああでも、俺がこんなことを言う資格はないよね。あんなふうに君を連れ帰っておいて⋯⋯。でも、信じられないかもしれないけど、あれは初めてなんだ。けっして慣れてるとかじゃない。⋯⋯いや、そんなふうに見えないよな⋯」
普段自信に満ち溢れてみえるヴィクトルが、苦悩を深めている。
こういう風に正直な思いをさらけ出してくれるところに、あなたはよりいっそう心が奪われてしまうのだ。
「ヴィクトル⋯⋯ナンパしたの私だし。私も信じてもらえるか分からないけど、初めてだよ。すごく勇気だして、話しかけたの」
「名無しちゃん⋯⋯」
「それに後悔してないよ。ヴィクトルに会えてよかったって思ってる。だって、凄く好きになっちゃったんだ⋯⋯」
彼の揺れる黒い瞳を見つめて、あなたはジムにいることも忘れ、彼の胸に身を寄せそうになる。
そしてハッと我にかえった。
「ごめん⋯! こんな場所で!」
「いや場所はどこでもいいよ。⋯⋯本当に俺のこと、そんな風に思ってくれてる?」
「⋯⋯う、うん。本当だよ。⋯⋯でも、続きはあとにしよう。さっきから、クリスさんがすごいこっち見てる⋯⋯!」
あなたが気付いたとおり、ヴィクトルの部下は一部始終を興味深そうに遠くから眺めていた。
上司に振り向かれ、焦りと愛想笑いを浮かべてトレーニングに戻っていったが。
「そうだね。あとでゆっくり話そう。ああ待ち遠しいな」
そう彼に言ってもらえたのはよかったけれど、あなたは墓穴を掘ってしまったようにも感じていた。
どうしよう。
我慢できずに気持ちを伝えてしまった。でもまだ色々な準備が済んでないのだ。
