対抗意識
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先ほどからアジトには旨そうな匂いが漂っている。
ナナシがキッチンに立つようになってから、腹を空かせて帰って来ても旨い食事にありつけるようになった。
昨日たまたま休みが重なったオレはナナシを飲みに誘った。
キッチンカウンターごしに昨夜バールでした話の続きなんかしている。
「ギアッチョ、まだコーヒーある?」
まだ半分も減っていない、と返しかけた時だった。
「―――痛ぁ!」
スペアリブと格闘していたと思ったら指を切ったらしい。
「あーあー大丈夫?」
隣で雑誌を広げていたメローネがさっさと近づき手を取ると、切った指を口に含んだ。
手品のように取り出した絆創膏を巻きつけ指に口づけると、こちらを見てニヤリと笑う。
ムカっ
隣でDVDに集中していたはずのイルーゾオがおもむろに立ち上がる。
イルーゾオはナナシの後ろに立つと、背中から出し決める形で前に手を回した。
ナイフの上から彼女の手を握り、耳元に顔を近づける。
「ホラ、骨付きはこうすれば切りやすいだろ?」
「ホントだ。すごい切りやすい」
体制の事なんか気にしていないように素直に喜んでやがる。
と、イルーゾオはナナシの肩越しに『フッ』と黒い笑いを見せた。
イラっ
イルーゾオに礼を告げて手を洗っているナナシに、今度は鏡に向かって髪をいじっていたホルマジオが近づく。
「ちょっと腹減っちゃったんだけど、何か食わせてくれよォ」
「サラダのトマトでいい?」
「スタイリング剤で手ベタベタだから食わして」
こ の や ろ う !
あーん、と赤いトマトを摘んで差し出してきたナナシの指先ごと口に入れやがった。
モグモグしながら片側の口端をあげてニヤニヤする。
ビキっ
ついには一人掛けのソファで新聞を広げていたプロシュートが立ち上がり、洗い物を始めたナナシの後ろから棚に手を伸ばした。
背中に体を密着させて、さり気なく腰に手を回して。
「あ、ごめん。邪魔だよね」
「いや、グラスを取るだけだ」
グラスを持った手を腰にやり、空いた手でナナシの髪を梳きながら、耳元で囁く。
「旨そうだな。いい匂いがしてる」
「プロシュートもお腹空いたの?」
談笑する二人は後ろから見るとまるで新婚夫婦のようだ。
チラリとこちらを見たプロシュートがフフンと鼻を鳴らす。
ブチっ
持っていたケータイがミシっと音を立てた時、アジトの扉が開きリゾットが帰ってきた。
「お疲れ様です」
「あぁ……」
相槌をうちながら、リゾットは小さな箱を差し出した。
「食え」
「?……あぁー!これ1日10個限定のフランボワーズムースケーキ!リーダー買ってきてくれたんですか!?」
一気にテンションの上がったナナシはプロシュートの腕からするりと抜け出しリゾットに飛びついてキスをする。
「グラッツェ!リーダー大好き!」
事情を知らない筈のリゾットが、抱きつかれたままこちらに向かって勝ち誇った笑みを浮かべた。
.
ナナシがキッチンに立つようになってから、腹を空かせて帰って来ても旨い食事にありつけるようになった。
昨日たまたま休みが重なったオレはナナシを飲みに誘った。
キッチンカウンターごしに昨夜バールでした話の続きなんかしている。
「ギアッチョ、まだコーヒーある?」
まだ半分も減っていない、と返しかけた時だった。
「―――痛ぁ!」
スペアリブと格闘していたと思ったら指を切ったらしい。
「あーあー大丈夫?」
隣で雑誌を広げていたメローネがさっさと近づき手を取ると、切った指を口に含んだ。
手品のように取り出した絆創膏を巻きつけ指に口づけると、こちらを見てニヤリと笑う。
ムカっ
隣でDVDに集中していたはずのイルーゾオがおもむろに立ち上がる。
イルーゾオはナナシの後ろに立つと、背中から出し決める形で前に手を回した。
ナイフの上から彼女の手を握り、耳元に顔を近づける。
「ホラ、骨付きはこうすれば切りやすいだろ?」
「ホントだ。すごい切りやすい」
体制の事なんか気にしていないように素直に喜んでやがる。
と、イルーゾオはナナシの肩越しに『フッ』と黒い笑いを見せた。
イラっ
イルーゾオに礼を告げて手を洗っているナナシに、今度は鏡に向かって髪をいじっていたホルマジオが近づく。
「ちょっと腹減っちゃったんだけど、何か食わせてくれよォ」
「サラダのトマトでいい?」
「スタイリング剤で手ベタベタだから食わして」
こ の や ろ う !
あーん、と赤いトマトを摘んで差し出してきたナナシの指先ごと口に入れやがった。
モグモグしながら片側の口端をあげてニヤニヤする。
ビキっ
ついには一人掛けのソファで新聞を広げていたプロシュートが立ち上がり、洗い物を始めたナナシの後ろから棚に手を伸ばした。
背中に体を密着させて、さり気なく腰に手を回して。
「あ、ごめん。邪魔だよね」
「いや、グラスを取るだけだ」
グラスを持った手を腰にやり、空いた手でナナシの髪を梳きながら、耳元で囁く。
「旨そうだな。いい匂いがしてる」
「プロシュートもお腹空いたの?」
談笑する二人は後ろから見るとまるで新婚夫婦のようだ。
チラリとこちらを見たプロシュートがフフンと鼻を鳴らす。
ブチっ
持っていたケータイがミシっと音を立てた時、アジトの扉が開きリゾットが帰ってきた。
「お疲れ様です」
「あぁ……」
相槌をうちながら、リゾットは小さな箱を差し出した。
「食え」
「?……あぁー!これ1日10個限定のフランボワーズムースケーキ!リーダー買ってきてくれたんですか!?」
一気にテンションの上がったナナシはプロシュートの腕からするりと抜け出しリゾットに飛びついてキスをする。
「グラッツェ!リーダー大好き!」
事情を知らない筈のリゾットが、抱きつかれたままこちらに向かって勝ち誇った笑みを浮かべた。
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