ハロウィン
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日が傾き、空が赤と紺のグラデーションになっている。
通りにもちらちらと仮装した子供たちが歩き始めていたし、菓子店ではハロウィン最後の呼び込みをしていた。
二人は今、極度の緊張状態にある。
「着いた、な」
プロシュートの部屋の前、ホルマジオは小さな声で呟いた。
去年、ホルマジオはプロシュートの頭からコアントローと砂糖をぶちまけ、火を放って『フランベ』しようとした。
ナナシが反対したのを押し切っての、単独行動。
予定ではリトルフィートで逃げる予定だった。が、火を放つ前に、プロシュートの足は小さくなったホルマジオを的確に蹴り飛ばした。
酒と砂糖にまみれたプロシュートは、気を失いもとの大きさに戻ったホルマジオの首根っこを掴むと、どこかへ引きずっていってしまった。
日付が変わる頃、蒼白な顔でガタガタ震えながらホルマジオは戻ってきた。
───その時のことを誰かが問いただしても、ホルマジオが口を開くことは決して無いというが───
「やめない?」
「やめねェ!!」
そう言ったホルマジオの顔は、あの時のように真っ青だった。
はぁ、とため息をつくナナシの横でホルマジオは一度大きく身震いすると、ドアノブに手をかけ開け放った。
「トリ──────ト!!!」
「選択肢なし!?」
突っ込むナナシの隣で、プロシュートの踵を脳天にめり込ませたホルマジオが倒れた。
「ノックも無しとはいい度胸だな」
気配を察して玄関まで出ていたんだろう。
ギロリと睨みつけるプロシュートに、ナナシは体を強ばらせて立ち尽くしていた。
「あ、の、」
「あぁ、菓子だったな」
一度部屋に戻ったプロシュートは包みを持ってくる。オレンジ色の包装紙に黒いリボン。
ペッシがくれたものと同じ店のものらしいが、中にはカラフルなジェリービーンズ。
「あ、ありがと」
我に返ってナナシはプロシュートに渡すためのキャンディを取りだそうとトリートバックに手を突っ込む。
「あぁ、いらねぇよ」
彼女の耳に唇が触れるようにプロシュートが囁いた。
「『トリック』の方を期待してるからな」
真っ赤になったナナシの足元で、ようやくホルマジオが目を覚ました。
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