……───ていうことだ」

「マンマ・ミーア」

　ソルベは思わず口に出していた。長いことギャングをやっていて、さまざまなトラブルには見舞われてきたが、マンマ・ミーア(なんてこった)なんて口に出したことがなかった。
　ジェラートはしれっとしたものだ。

「そ。最初から何も、無かったことにすればいい。全て計画通りさ」

　大事そうにキャンディの瓶を抱え、ジェラートはようやく重い背中を起こす。

「許してやらないし忘れてもやらないし、高くつくぜ」

　やっと開けた扉の前で、「一般人を相手にして無闇にスタンドを使うべからず」とのリゾットのお達しに、勝手に『緊急的』と札を貼り付け、ジェラートはお得意の能力をご披露しようと意識を集中させた。

「ジェラルドさん！今日こそ家賃を払ってもらいますよ！」

「……スミマセン、立て込んでいたもので、連絡もできないで」

　余裕シャクシャクの態度から一転、ヘーコラし始めるジェラートの様子を不審に思い、生ごみの臭いのソルベが玄関先を覗きこむ。

　青ざめるジェラート、怒り狂う老人の向こうに、青筋を立てたプロシュート兄貴が立っていたのだ。



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