ゆるやかに、気怠く、緩慢な空気に飲まれる日々。



ひどい近視で眼鏡を手放せないカーリーヘアの男が、コンタクトレンズだった。


ことあるごとに猥褻な話をもちかけるアシンメトリーカットの男はパソコンに向かい、卑猥でない調べもので一日を過ごした。


毎日5回は兄貴分からどやされ、うち一回かそれ以上のゲンコツをもらうマンモーニが、一度も叱られなかった。


その兄貴分は、毎朝同じバールで引っかけてくるグラッパ入りのエスプレッソを飲み忘れた。


神経質すぎるほど神経質な黒髪の男が、裏返しで着ていたシャツに一日気が付かなかった。


「しょおがねぇな」が口癖のボウズ頭が、「しょうがない」で片付かない問題に向かい合った。





無口なリーダーが――――少し昔の話をして聞かせた。




そんな珍しい現象が重なった、翌日の朝。
前日のツケを払うかのように、少しばかり奇妙な物語が動き出した。






.