なんでもない3日間の出来事
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「!!!!????」
赤と、緑。
まん丸に膨らんだ2色のゴム風船が、部屋の中央、先ほどまでリゾットが繋がれていた箇所に円錐型の塔を築いていた。
プティ・シュークリームを固めた、クロカンブッシュの形。
随分と荒い白い粉がふりかかり、星の形の風船がなかったのか、黄色いゴム手袋が膨らまされて最上部にちょこんと乗っていた。
突如現れたそれは、まるで季節はずれのクリスマスツリー。
「リゾットは!?この下にいるのか!?」
「まさか!おい、メローネ!メローネ、どこだ!?」
さすがのティッツァーノも、二人の姿が見えないことに焦りを覚えた。
しかしそれと同時に、嫌な薬品の臭いが鼻をついた。
ジ、
僅かな音を捕らえたのはスクアーロの耳だけだった。
「退けェエーーーッ!!!」
部屋に一歩踏み込んだティッツァーノに、スクアーロが力の限り飛びかかった。
体ごと真横へ飛ぶ。
と同時。
ド ゥ ン !!!
風船のクリスマスツリーーが、まばゆい閃光と炎を炸裂させた!!!
嵐の波音に似た音を立て、まるで部屋一杯の炎の固まりが、暗黒舞踏の役者さながらにうねくる。
狂ったように燃える炎の四角で、スクアーロは押しつぶしてしまっていたティッツァーノを乱暴に揺すった。
「無事か、おい、…ティッツァ!!」
「ウ、痛…、何が…」
頭をかばってやる余裕もなくぶっ飛ばしたティッツァーノに意識があることを認め、スクアーロは顔をあげた。
最初の爆炎が、波のようにサっと引き返していく。
炎に舐められた辺り一面が、真っ黒な炭と化していた。
中央部はまだ赤々と炎が燃え、辺りの可燃物を巻き込んで再び勢力を広げてきている。
何事かと分析している間などない。
しかしスクアーロは、長い爪の大きな手に顔をがちりと掴まれた。
「か、髪がッ!!」
「それどころじゃあねェー!!」
ティッツァーノと一対(いっつい)になっていたスクアーロの長い髪は、爆発の炎に燃えていた。
まだメラメラと火のついた髪を、ティッツァーノがばさばさと手で叩く。
火が消え焼け落ちるスクアーロの髪を、ティッツァーノは咄嗟に掴んだ。
手の平には細く黒いススの束がボロボロと取れ、スクアーロの肩に背中に落ちていく。
「僕の愛したスクアーロの、美しい髪が!!……あぁ、スクアーロ……!!」
「オレはお前の髪じゃあなくて良かったと思ってる」
狭い室内の酸素を喰らい尽くした炎が、逃げ場を求めて浸食を始めていた。
ティッツァーノを守るように抱え起こし、スクアーロは窓を蹴り破った。
.