なんでもない3日間の出来事
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「……船舶免許持ってるヤツは?」
「そもそも運転免許だって持っていないんだろう、ギアッチョ?」
「うるせぇクソ。オイ、オメェはどうだペッシ?」
「あるわけがない」
ペッシより先にメローネが口を開いた。
「無いけど……それより、これって近海で漁をする船のサイズじゃあないと思うんだ」
改めて、全貌を見渡す。
塗装は禿げ、船底まで茶色い錆を垂れ流す。
天井まで届きそうにそびえたマストには、千切れそうなロープの束。
海風に吹かれてべとべとになったのだろうガラスは、さらに埃がへばりついて濁った灰色に変色している。
デッキ部分へは…底高のブーツによって二メートルに近い身長になっているメローネが手を伸ばしても届かないだろう高さがある。
全長は何フィートになるのだろうか。船尾は、倉庫奥の闇に消えている。
「船から魚の臭いがしない。それにこの大きさ!カーゴシップ(貨物輸送船)じゃあないか。しかも」
「つまり何なんだよペッシ!」
クソ。口癖をも留めてギアッチョが促す。
「石炭燃やして動いてた蒸気レシプロ船なんか……いまさら動かせやすか?」
ギアッチョから出掛かった悪態が断絶し、メローネも黙りこくって船を見上げた。
.