なんでもない3日間の出来事
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三人がキセル乗車を繰り返してポタジーノへたどり着いたとき、山の傾斜にそって建てられた真っ白い建物は闇に沈んでいた。
険しく蛇行を繰り返す海岸線まで車を飛ばしてきたことのあるギアッチョのおぼろげな記憶をナビに、真っ黒な夜闇の中、なんとか倉庫群へとたどり着く。
人気のない3104号船舶倉庫。
ここいら一帯には同じ形の倉庫がずらりと並んでいるだけで、民家も近くには見当たらなかった。
ガンガン!!
ギアッチョが遠慮なしの力加減でシャッターを叩く。
が、空虚であろう内部に虚しく反響しただけだった。
改めて探るが、やはり人の気配はない。
「勝手に入れってか」
「テッラチナまでの遊覧船はサーヴィスが悪いみたいだね」
こんなささいなことで苛立つギアッチョの呟きに、メローネもいつもの癖で軽口を挟んだ。
潮風にガッチリと錆び付いた穴にリゾットに渡された鍵をやっと挿し入れ、シャッターを巻き上げる。
錆と潮と腐った魚の血を濃縮したような臭い、淀んだ空気がウワっと中からあふれ出す。
酷い臭気にしかめられた三人の目は、黒々と鎮座する漁船を見上げた。
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