なんでもない3日間の出来事
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「任務は三種類。ホルマジオとナナシがチーム、あとは二人と三人で自由に組んでいい」
ちょっかいを出し合うギアッチョとホルマジオの頭にのゲンコツをくれて黙らせ、リゾットは感情の欠落した視線をすべらせて説明を始めた。
ポケットに突っ込まれて尻のカーブがついた紙をホルマジオとナナシに差し出す間に、プロシュートがコインを出して各々に弾かせ、チームを分ける。
「研究機関への潜入、ファイルの入手。内容が解るものであれば写真でも構わない」
「ずいぶんと簡単ね」
「報酬もそれなりだ」
人を殺めることのない任務に、ナナシは緊張の解けた面もちでいた。
渡された施設内部の見取り図に目を通し、一緒に渡された写真をチラリと確認して、ホルマジオは方眉をつり上げる。
「……これは確かに、オレじゃあなくちゃ入れねぇ場所だな」
真剣な眼差しの先には、ドアや窓、外界と内部を繋ぐ箇所が全く見あたらない。
が、ネズミの這うような通気口、もしくは配電設備のための隙間を通るくらい、どんな建物にも備わっている。
ホルマジオになら十分に通れる道。
緊張を促すように、リゾットが付け加えた。
「ただし時間がない。期限は二日後の正午、不明な点は移動中にケータイで聞け」
「了解」
耳だけを話に集中させながら、ナナシはソファの下からかかとの低いヒールブーツを引き出し、履き替えていた。
ふくらはぎまで覆うファスナーをジャリっと上げ、ギアッチョの手入れが行き届いたデリンジャー(小型の装飾拳銃)の残弾を確認してスカートをまくり上げる。
ヒュウと飛んできたホルマジオの口笛を睨みつけて、さっさと太股のホルスターに納めた。
ホルマジオもテーブルの上からナイフを取り、ヒュンと回してポケットに収納する。
「期限が二日後の正午で良かった。その日は三時からデートだから、シャワー浴びて着替える余裕があるわね」
「何だとォオ!?相手は!?」
「内緒。それまではホルマジオとデートみたいなモンなんだから、まぁいいじゃあないの」
緊張感にかける会話を交わして出ていく背中を見送り、コインで編成された残りの二チームを振り返った。
.