†クリスマス†
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ホルマジオの手の小箱の中身は、ケーキ。
小さいながら、薄く焼かれたスポンジをロール状にしたブッシュドノエル。
中はバニラビーンズの黒いつぶを点々と含んだカスタード、木肌に見立てた筋を走らせる外側のクリームはチョコレートモカ。
この時期の旨くないイチゴはいない。代わりに、大粒のチョコレート。
上に乗ったプレートには、専門店のロゴが金色でプリントされている。
ベルギーに本店を置く店がクリスマス限定で発売したケーキ。
当日店頭に並んだ分はとっくに売り切れていた。わざわざ予約しておいて正解。
ナナシが甘い誘惑に勝てるはずがないのを、ホルマジオはちゃあんと見抜いている。
「残るもの、ってガラでも無ぇし」
その場限り、食べてしまえば「はい、お終(しま)い」の関係が丁度いいと思っていた。
もちろん、酒でもよかった。
しかし、酒にかまけるだけの関係にはなりたくない。
「たまに『食う』から、ウメェんだよな」
いやらしい含みに、へへ、と自分で笑った。
「さぁて…タバスコはどこで買っていくかなぁ?」
今日、もっと日が照っていたなら、ホルマジオの影には悪魔のシッポが見えたかもしれない。
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