ドミノ ージエンドオブエデンー
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
両腕をついて上半身を支えるメローネの横ツラを、問答無用でプロシュートの革靴が蹴り飛ばす。
「あ゙ォッ―!……ちょっと、聞けよ!ぐゥ……ナナシには居なくなってもらう必要が、あったんだ」
容赦のない蹴りを喰らって寝ころんだまま、メローネはゲボゲボと咳き込んで口の中に溢れた血を吐いた。
「ナナシに関わった野郎どもを殺ったのはお前の仕業だな?正確には、ベイビーフェイスだろう。それから───あの死体だ」
「ッフ、ヒヒヒヒヒ、まさか一部始終をご存知だったとはね」
冷たい道上に、文字通りの意味で『笑い転げる』メローネを見下ろしていると、プロシュートの中で怒りがはっきりと形をとりはじめる。
噛み潰した巻紙の隙間から細かい草が口に入って、唾ごと地面に吐き出した。
「阿呆どもはテンパってやがるしリゾットは何も言わねぇ。……でも目の前にあるのは、大して日も経ってねぇのに死蝋化したみてぇな木偶人形だ」
身を屈めたプロシュートは、長い煙草の火を波打つ肋骨の中心に押し付けた。
「ぁあ!」
「テメーのガキ(baby)はいつの間に生き物にまで化けられるようになった?」
「ハァ、ハァ、フフ、生き物じゃあッ…ないさ」
押し付けた腕を両手で抱きながら、荒い呼吸に言葉を混じらせた。
火が消えるほど強く押し付けているわけではないから、煙草の火はメローネの皮膚を焼き続ける。
真っ青な空気の中に灯る鮮やかな炎は、プロシュートのまばたきの裏側で『この世に存在しない硝子の青い百合』になった。
濃いグレーの煙がのたくりながら上を目指し、消えた。
殺虫剤をかけられた断末魔の虫と同じ格好で足をばたつかせ、腕に食い込むメローネの爪が半月型の鬱血を幾つも作る。
頭殺場の豚と変わらない悲鳴をあげ、呼吸の合間がようやく言葉になった。
「ウフ、オレのbaby―は、生物細胞のレヴェルまで細かくなって、物凄く精巧に出来た剥製みたいな形になっただけだぜ?」
ジリッと押し付けた火が深い火傷の上に黒い痕を付けて消え、いっそういやな臭いの煙が登った。
「精巧な───ッたとえば、」
「黒い犬とか」
冷たく見下ろすグレイの目と、見開かれた真っ青な片目の視線がしっかりと合った。
みるみる口が耳のほうへと大きく切れ上がり、ますます悦に入ったメローネは気が振れたように笑い声を上げた。
「ヒハハハ!結構!ディッ………モールト、結構!嬉しいよ、文句なしだプロシュート!!」
.