贖罪
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乾いた口の中を潤すジュースも水もなく、ペッシは一度つばを飲み込んだ。
鼻の中から入り込んだ潮の臭いが、唾液に混じって喉に落ちた。
「……組織から抜け出したかったんじゃあなかったら、いったい何が目的だったんだ?」
「ペッシ、やっぱりお前はまだ甘ちゃんのマンモーニだな。
髪の毛一本、細胞のひとかけらまで裏の世界に染まりきったヤツらが、逃げ出そうなんて…逃げられるなんて思うはず無いんだよ。
薄気味悪い天国論なんかを、信じるわけがないんだ」
言い聞かせるように付け加えた最後の言葉は、メルセデスのボディに寄りかかり、焦点の合わない瞳を空に向けていたナナシに向けられていた。
合計で、36。
全てのケースを叩き割るころには、ホルマリンと硝子とソルベのパーツの山で、ジェラートの狭い棺が溢れそうになっていた。
ギアッチョとイルーゾォが金属タンクからガソリンを撒く。
タンクをすっかり空にしてしまうと、泥と薬液とガソリンと…ソルベの欠片で足もとを濡らした二人は、引火を避けて充分に距離を置いた。
ホルマリンと混じり合わず、虹色のマーブルを描く赤黒いオイルの上に、プロシュートが吸いさしの煙草を投げ捨てた。
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