ノンセクト
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白い天使がキラキラしたラメを振りまいている緑色のクリスマスカードと、トナカイとサンタクロースの赤いクリスマスカード。
こっちで買えばいいような、真新しいバスケットシューズ。
介護施設で祖母が編んだのだろう、小さすぎるセーター。
色気ないダンボールからそれらを取り出すのを、ナナシが好奇心いっぱいに見つめる。
「これは、カレンダー?」
何となくポンとよけた30センチ四方の箱を取り上げ、興味ありげにこちらに寄越す。
「うわ、アドベントカレンダー!……ん?これ知らねーの?」
カレンダーと言っても、雪をかぶった家やスノーマン、クリスマスツリーなんかの絵がついていて、それぞれに12月1日から24日までの数字がふってある。
ちょうど一日だから『1』の数字のついたスノーマンの腹の紙に指を突っ込んだ。
「こうしてクリスマスまで一日一個、窓を破っていくんだ。ほら、やるよ」
今日はキャンディがひとつ。
中は子供だましのチープなオモチャや菓子の小さな包みで、25日には特別なものが入っているという仕組み。
「これ、一度にぜーんぶ開けちゃったことあるでしょ」
今まさに、そのイタズラを敢行せんというようなワクワクした目がこちらに向いた。
「もちろん!それで怒られなかった子供はまずいないね」
そう言いながら、むかし母親にされたように箱を高く持ち上げて人差し指を鼻先に突きつけた。
「いいこと?一日ひとつ、ちゃあんとお手伝いが出来たらママの目の前で開けてもいいわ。さもないと、サンタクロースがくれるのは木の枝一本きりなんですからね!」
「あはははは!それは重要な任務ね!」
高い声を作ったオレも、ナナシも笑った。
「フフ。ところで、木の枝一本て何?」
「一年間いい子にしていなかった悪い子のところには、木の枝を折った鞭一本しかくれないんだぜ。イタリアのサンタクロースは違うのか?」
「多分、悪い子のところには何も置いていかないわ」
箱からまた箱を取り出して包装紙を剥くと、これまたこっちでもレンタルされている映画のビデオと、これはありがたいことに新作のゲームソフトが数本。
「アメリカのサンタクロースよりケチだな。去年のプレゼントは何だった?鞭?」
「んー?『眠れない夜』だったかしら?」
「やっぱり出ていけよ!」
あははと笑ったナナシが、キャンディを剥いてぱくりと口にくわえた。
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