シュールマルーシェ
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『ソリッド』の100万リレを請け負った黒が、また盤面を支配する。
ナナシの白い前歯が下唇を微かに噛み、深い息を肺から吐き出して椅子の背もたれにカタンと倒れた。
「ストリッパーみたいに上手には脱げません」
「そんな事に期待はしていない。賭けるものが無いと燃えないだけだ」
確かに『ソリッド』の目は下心ありげでもなく、飢えた男が女をねめる危険な光を帯びたりもしていない。
また立ち上がったナナシは『ソリッド』に背を向けて頭を垂れ、肩から手を伸ばしてワンピースのファスナーに手をかけた。
「……ン、やだ」
「どうかしたか?」
もどかしげに身をよじるナナシの声に、手の中でチップを重ねていた『ソリッド』が顔を上げた。
マニキュアの塗られた中指の爪がツマミをいじるが、7センチほど降りた所から降りなくなっている。
「引っかかっているみたい」
音も立てずに立ち上がった『ソリッド』はヒタリと背に寄り、細い頸椎にそっと指を滑らした。
ヒクと身を堅くするナナシの耳に、低く低く呟く。
「脱がせてやるか」
ナナシの手をよけさせ、わずかな布を食ったファスナーを引き
『上げた』。
『ソリッド』はここでゲームを終いにしても良いと思ってそうしたが、返ってきた答えは意外なものだった。
「もちろん、そうしてくださいます?」
振り返ったナナシが『ソリッド』の手を取る。
「そうしないと続けられないでしょう?次は、500万」
「結構だ」
ようやく面白くなってきたというようにギラリとナナシを見つめ、『ソリッド』は後ろに手を回してゆっくりとファスナーを下ろした。
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