シュールマルーシェ
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「……あら」
「俺の勝ちだな」
盤面のチップは僅かに黒が多かった。
ナナシは肩をすくめて見せ、髪を耳にかけると十字架のピアスを抜いて盤面の横に置く。
『ソリッド』はまだ酒が残っているナナシのグラスに追加を注ぎ、パチパチとチップを回収して渡した。
「たった5,000じゃあ、やる気にならないわ」
ナナシは人質となったピアスを爪弾き、足された酒を飲み込んでツンとしてみせた。
「なら次は10,000。お前はまたひとつ、だ」
体の熱もギャンブル熱も、酒のせいで高まってくる。
ナナシは少し真剣な顔でボードを見下ろした。
黒が白へ。
挟まれた白が、また黒へと染められる。
最後の一手まで封じられて、靴まで脱いでしまったナナシは唇を引き結んだ。
「弱いな」
片眉をあげた『ソリッド』が、先ほどナナシがしたのと同じように挑発してせせら笑う。
「……もう!」
4度続けて負け、アクセサリーをもっとつけておけば良かったと後悔したが、今さら遅すぎる。
ナナシは立ち上がって椅子に裸足の片足を上げ、下着が見えてしまうギリギリまでスカートをすぅっと引き上げる。
「これが目的で最初は手加減していたと考えても?」
「好きにすればいいさ」
爪を引っ掛けないよう、大腿からストッキングをスルスルと脱いで椅子の背に引っ掛けた。
ほんの少し寒そうになったナナシが座り直しながら左右の膝頭をスリ合わせる。
「後がないな。勝てよ?」
「言われなくても」
中身が空になった自分のグラスと、一口分しか減っていないナナシのグラスへ酒を足す。
お互い片手に持ったまま、真剣な眼差しでチップをパタパタと返した。
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