ノンセクト
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「出直そうか?」
「や、アンタが気にしないならいいよ」
ガラステーブルには食い散らかしたポテトチップのカスをかぶったリモコンやらゲームのコントローラーやらに、潰したコーラの空き缶が三つ。
起きたままのベッドの上はグチャグチャのブランケットと、兄貴が少しのドル紙幣を挟んで荷物に紛れさせてくれたポルノ雑誌が開きっぱなし。
「悪ィね。掃除病のイタリア人と違ってコレが普通だったからよ」
愕然とする彼女の前でダンボールをズリズリ押して避け、可燃も不燃も全部ビニール袋にさらってテーブルの上に少しスペースを作った。
デジャブるなぁと思ったら、初めて出来たガールフレンドが部屋に来たときと同じ展開じゃあないか。
オレってつくづく成長してねぇ。
「コーラでいい?ビールもイケる?」
「ノンアルコールがありがたいわ」
ブランケットをよけて申し訳なさそうにベッドにかけた彼女に缶をひとつ渡して、ドキドキしながらオレも隣に座った。
「で、かくまって欲しいってことは誰かに追われてるんだろ?」
「うーん」
彼女はモジモジと缶をいじくりながら、唇を引き結んで難しそうな顔をしている。
「理由も話せないようなら、置いてやりたくねぇ。正直に言ってみな」
浮かれた気分はちっとも治まらないが、ここは重要なポイントだった。
『三階に住んでいる』と言ったからニシンのパイを焼いて持って行ったのに、ゲイのカップルが出てきて「女は住んでいない」と言った。
そうして忽然と姿を消した彼女が、突然訪ねてきて『かくまってほしい』という理由。
それを話せるか否かは、つまり、彼女にとって信用に値する男なのか否か、ということに直結している。
少し考えてから、彼女は切り出した。
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