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ヘアバンドで前髪を上げたナナシは濡れた顔をタオルで拭き拭き、歯ブラシに手を伸ばすところだった。
…ちょーっと、驚かせてやろうか。
歯磨き粉のチューブが下に張り付いたみてェーに持ち上がらなかったら、どうする?
もしかして、百年の恋もいっぺんに冷めてしまうような顔で驚くか?
昨日勝手にいなくなった罰だ、弟と兄貴相手には飽きるほど仕掛けたタネのないマジックで驚かしてやる。
───そっと、ナナシの後ろに忍び寄ったクラフト・ワークが、手を伸ばして歯磨き粉のチューブを『固定』する。
瞬間接着剤なんか比べモノにならないくらい強力に張り付いたチューブを、四苦八苦して取り上げようとしたところで『解除』。
トリコロールカラーの歯磨き粉を撒き散らして、ナナシはマットの上にドシンと尻餅!
「大丈夫?何か大きな音がしたけど」
ぽかんとする彼女を起こしてやって、オレは歯磨き…
…シミュレートはバッチリだ。
既に傍らに立っていたクラフト・ワークをバスルームへと忍び込ませる。
と同時。
鏡の角度で絶対に見えないはずのこちら側を、ナナシがものすごい勢いで振り返った。
ナナシの左手前に立つ、オレと同じような『もの』。
人の形をしたような、機械でできているような、『それ』。
「……やば」
「
バスルームに顔を出したオレとナナシは、しばらく固まって見つめ合った。
ゆるくなって地面に引っ張られていた顎の関節を引き締め直し、何とか先に口を開いた。
「……それ終わったら、少し話してよ」
「少しだけね」
一瞬の動揺をまるで消し去ったナナシは鏡へと向かい、何事もなかったかのように歯磨き粉のチューブを取った。
───うぁ、オレの心臓のが止まりそうだ!
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