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誰かと生活するっていうのは、馴れるとか馴れないとかいうんじゃあない。
百年の恋もいっぺんで冷めるような、相手の嫌な部分を見てしまうこともあるってことだ。
ちょっといいな、と思ってたチアリーディングのリーダーが睫毛にマスカラを塗りたくっているのを見たとき、オレはこっそり、勝手に幻滅してしまった。
上唇を前歯に巻き込んで鼻の下が伸びきって、額に出来たシワは収穫を終えたばかりのジャガイモ畑のウネそのもの。
金髪のカツラをかぶったチンパンジーが頬紅をつけて、鏡の中の自分とにらめっこしているんだぜ?
それから、オレが初めてセックスした子。
朝起きたら、ヨダレをたらして半目で寝ているのにはマジで参った。
それにしても、ナナシはそういう『嫌なトコロ』を全く見せなかった。
マスカラを塗る時はつんと鼻先を上げるが、とろんとした目と微かに開いた唇がセクシーで凄くいい。
鏡の中で目があうとする、はにかみ笑いもいい。
ただ、『追われている』筈のナナシはいつのまにか居なくなる。
オレが居ない時を見計らうのではなく、サニーサイドアップから昇る湯気が天井に消えるのと同じくらい、『いつのまにか』。
便所から戻ると、一分前まで新聞を広げていた姿がどこにもない。
冷蔵庫の奥に一本だけ残っていたスプライトを掴んで顔を上げたら、一瞬ドアの影になっただけのナナシがもういない。
二度、三度。
翌朝には何事も無かったかのように戻っていて「ハロウ、ハロウ、寝坊助さん。ご機嫌いかが?今日はとってもいい天気」と、相変わらず変な発音でオレを起こす。
「昨日はなんでいなくなったんだよ。どこに行ってたんだ?」
「目玉焼きがうまく焼けるかどうか正念場なんだから後にして!」
ハグしようとしたら細い肘がみぞおちに入って、朝からガフガフ咳き込むハメになった。
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