ラバー・ゲイジ
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太陽の国。
白壁の隙間を抜ける、焼けた海風。
季節によってはコバルトよりも明るく、トルコ石のブルーを目前に広げてみせる海。
ずらりと接岸した白い漁船とクルーザー。
古い街並み。
新旧、人工物と自然物を絶妙に包む空は、この国の誇るべき風景だといえる。
料理は全体的に軽い味。
───しかし、シチリアには退廃的な印象さえ持っていた。
それはこの島の裏ばかり見て歪んでしまった眼鏡のせいもあるが、これは仕方がない。
裏社会。
それこそが、この小さな島の全て。
拠点にするマフィアの全てなのだから。
どこかの国のミュージシャンだかセレブだかは、表向きの『さびれた華やかさ』を眺めては感嘆の声を上げる。
各国の一般人も暑い時期にやって来ては、通り一遍代わり映えしないリゾートをこなして帰る。
この島、国の全てが濁色の空に沈み、じっと息をひそめる季節が一番似合うのを知らないまま。
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