ラバー・ゲイジ
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ナナシがいなくなって、どれくらいになるか。
いつも通り、新聞に目を通していたリゾットの眉間には深いシワが刻まれていた。
チームリーダーの『いつも通り』の様子に、ただ虚ろに居るだけのメンバーは何を気に留めることもない。
その中で疑心を抱くひとりが、読んでいるフリの雑誌の向こうから冷たい目を向けるのにも。
「ソルベとジェラートは?」
「任務はこなしている」
口火を切ったのはプロシュートだった。
リゾットは折り目を逆にバサリと畳み、読んでいた記事の面を出して寄越す。
漁船が引っ掛けた、男の遺体のニュース。
薬品で皮膚を焼かれて麻袋に詰められ溺死したと、またマフィア絡みの事件───と、組織の思惑どおりに報じられている。
『相変わらずいいシュミしてやがる』
プロシュートは頬の筋肉をひきつらせ、ヘドの出るようなニュースを折り丸めてまたテーブルに投げ出した。
「いつからだ?」
リゾットに問われたのがシチリア行きの件だと、すぐに理解する。
ちらりと見た時計に贈り主の面影が重なり、プロシュートの気分に憂鬱の埃を巻き上げた。
「…そろそろ出るか。そっちも読み終わってたら寄越せ、船は退屈だ」
「あぁ、」
生返事を返しはしたが、手に握られたロンバルディアの新聞はそのまま部屋へと連れ去られる。
丸めた新聞を開き直し、プロシュートは忌々しげな視線を投げかけた。
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