ノルマ
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鏡の前に立つと、誰だって自分が映るだろう?
吸血鬼伝説じゃあ無いんだ。
俺だって映る。
誰だって映る。
でも、鏡の世界にはもうひとりの俺がいない。
手を伸ばした途端、確かにいるはずの俺はそこに居なくて、指だけがアッチの空間に突き抜けるんだ。
目の前には、やっぱり俺と同じ顔の虚像がこっちに手を伸ばしている。
でも鏡の中の俺はこっちの世界に爪の先の一ミクロンだって出てくることが出来ないし、俺はもうひとりの俺に触れることもない。
もうひとつの世界がそこに存在するなら、もうひとりの俺がそこに居たっていいはずだろう?
ただ空虚な世界だけがそこにあるなんておかしいと思わないか?
ナナシは、鏡に映った俺自身だったんだ。
虚像で、虚栄で、
───とてもよく似ていた。
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