蜜色の空
名前変換
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「ペッシペッシペッシペッシよぉォ、こんなあッたり前の事で吐いてんじゃあねぇぞ!」
プロシュートが捲ったカーテンの影で、ペッシはゲェゲェ声を上げながら床に反吐を落としていた。
「ったく、メローネ、これも片付けとけ」
「水分は無理。あんたが片付けな」
メローネの足元で死体が幾つもの四角になり、コーンフレークの箱の形に組み直って手の中に収まった。
床には丸いような形の血溜まりだけが残される。
プロシュートは舌打ちしたが、胃の内容物を全て押し出させるようにペッシの背中を軽く叩いた。
マフィアのポーズを解いたリゾットが一人掛けの革張り椅子から立ち上がり、メローネの取り出したノートパソコンを覗き込んだ。
びっしりと並んだ数字にざっと目を通し、眉根を寄せる。
「上場、ということに出来るか?」
「イケるけど、結局こっちは事実上の倒産だね」
「……致し方ない。そうしてくれ」
アイアイサーと気の抜ける返事を返し、メローネは画面に向かって何か打ち込み始めた。
数回弾かれたかれたキーボードが、市場の片隅の金をあちらからこちらへと簡単に、魔法のように動かしてしまう。
完全に吐ききったペッシがやっと立ち上がり、途端にフラリと傾いたのに、プロシュートが支えの手を伸ばした。
「金のために、殺し……」
嘔吐で血糖値が急激に下がったペッシは、そこまで呟いてブルリと震えた。
わななく膝を危うく吐瀉物の中についてしまいそうになる。
「あぁそうだ。俺達が稼いだカネを使い込みやがったんだからな」
当然のことと吐き捨てたプロシュートの手を振り払い、壁へグラリと寄りかかる。
画面で変化する数字を見たままメローネがポケットからチューインガムを引っ張り出して投げたが、つかみ損ねた四角い紙パックは、臭い反吐の中に落ちた。
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