クライド
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ごくまれに。
イルーゾォは血を浴びてアジトに戻ってくる。
メローネやプロシュート、プロシュートにくっついているペッシはともかく、ギアッチョとリゾットが血濡れで帰って来たところをナナシは見たことが無い。
そもそも『暗殺』稼業をしている者が、返り血を浴びるはずもない。
警察だって馬鹿じゃあないのだから。
スニーカーの足跡ひとつ、シャツの袖口に跳ねた1センチの血液反応に、因果関係や動機など二の次でたちまちのうちに殺人犯と決めつけでっち上げてしまう。
それで勲章のひとつも増えれば、彼らにはコーヒーの香りに鼻先をくすぐられながら過ごす怠惰な老後が約束されるのだ。
逃れる自信はある。
しかし失敗すれば、自分が始末される。
それでも、組織は時々派手に血を撒き散らす『やり方』を指定した。
それが裏側の権力を示す方法のひとつであった。
深夜のアジトは物音一つ、かすかな気配すらしなかったものだから、裾の汚れた
途端、充満していた血の臭いがナナシの周りに絡みつく。
思わずドレスの薄地をきつく握り、息を詰めた。
血濡れのホルマジオが何もかもに疲れ果てた顔で、静かに呼吸をしていた。
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